33.式神デスマッチに勝利せよ!
嫌な予感がして眼が覚める、今朝は妙に霊感が囁く
別に寝たはずの清姫が、いつの間にか僕の布団で同衾しているのを忠夫君に見つかり、襲撃を掛けられるのとはまた違った感じがする。
どちらかと言えば、冥子さんの式神暴走に巻き込まれる予兆というか、あの圧倒的な霊波が空間ごと爆砕してくるような、あの死を覚悟するようなあの感覚
・・・ブルッと身震いして、身をすくめるが今の段階ではどうしようもない
巻き込まれることを諦めて、六道家から支給されている装備品一式をクローゼットから引っ張り出しベットの上に並べる。
黒一色のスーツ上下、ワイシャツ、ネクタイ、一見何処にでも売っていそうなスーツに見えるが、そのどれもが布地から聖別され、刺繍、縫い目まで意味を持たせ、これによって霊的加護を大幅に増幅している。
そして、詳しいことは怖くて聞いていないが、どこぞの大聖堂の銀十字を溶かして作った、六道家の家紋をあしらった徽章を取り付ける。
この装備だけでいくらするのか見当も付かないけど、洗い替えも必要よね~と言われ2セット支給されている。
ちなみにクリーニングは六道家にて行われている。家の洗濯機で洗えるわけもないし、街の洗濯屋に持っていけるわけもない。
男の子は汗臭いから~~ちゃんと持ってくるよ~~と言いながら、たまに冥子さんが回収と配達に来てくれる。
さて装備と言えば、人通りのある場所では使用は出来ないが、唐巣神父にお願いした聖別済みの銀を弾頭にした弾丸を収めたマガジンと拳銃、あとは自作の破魔札をとりあえず装備する。拳銃は脇に装備し、破魔札はスーツ各所に分けて収める。
後は腰にハンドガード付きのオリハルコンナイフを装備する。小竜姫様に倣って霊刀を一時期、持ったこともあったが、長さの都合で建物の中では扱いにくいこと、多少雑に扱っても頑丈なナイフのほうが取り回しがよく、さらに言えば清姫に前衛を任せることで、除霊作業が安定したことから最近は使わなくなった。
本当ならAMスーツを着たいところだが、あれはアーカム考古学研究所の所有だから、何か任務があればその都度貸し出される。
このオリハルコンナイフだけは、実戦での戦闘証明が欲しいとのことで、常に貸し出されている。
着替え終わり、ほぼ臨戦態勢のままリビングで向かう。
「おはようございますご主人様。あら、本日は凛々しいお姿でどちらにお出かけですか?」
台所で朝食を作っていた、清姫がこちらに振り向きながら朝の挨拶を交わす。
家に来た当初こそ、家電の使い方が分からなかった清姫だが、最近は食事に洗濯と家事を一手に引き受けてくれている。
申し訳ないので、自分も手伝う旨を伝えたのだが、清姫にはこう返された。
「わたくし、ご主人様の妻として家内のことは全てお任せください。
それとも、わたくしの作る食事はお口に合いませんか?」
上目遣いに言われ、可愛い女の子が作ってくれる食事で胃袋を掴まれてしまえば、もはや陥落するより他に道は無い。
こんなの断れるのは、ホモくらいじゃないかな?
作ってもらった朝食を食べ、入れてもらったお茶を飲んで一息つく。
そこで、ふと気が付いたが、そういえば今日は忠夫君がいないな、最近勘が良くなってきたからさては逃げたか?
「清姫、兄さんは何処に行ったか知ってる?」
「義兄様ですか?確か美神さんのところに向かっているはずですよ?」
なんだ、逃げたわけではないのか・・・
お茶を啜りながら、もうこのままこの霊感も勘違いで終わればいいなぁとか考えたせいで、フラグが立ってしまったのか、特徴的な冥子さんの霊波が近づいてくる。
しかも、暴走一歩、二歩手前の攻撃的で圧倒的な霊波を感じる。
対応を一歩間違えれば、マンションごと消し飛びかねない。
ピンポーン!と軽快な音の呼び鈴が、冥子さんの霊波に固まっていた静かなリビングに鳴り響いた。
まだ、呼び鈴を鳴らす程度の理性が残っていたのかと、ちょっと安心する。
良家の子女だけにそういう教育の結果で反射的な行動かもしれないから、気は抜けない。
鍵を開けに玄関に向かう。
相手を刺激しないよう、にこやかに穏やかに出迎えるのだ。
「いらっしゃい冥子さん、こんなに朝早くからどうしたんですか?」
冥子さんの目元が涙で潤み始める。
しまった会話の選択をミスったか、爆弾処理班になったつもりで対応にあたる
「玄関でお話もなんですから、どうぞおあがり下さい。お菓子とお茶を用意しますよ」
さっと、清姫に目配せをして用意をしてもらう。
甘いお菓子とお茶を飲んでようやく、落ち着いたのか先ほどよりは冷静さを取り戻しつつあるようだ。
持っていたカバンから一つの冊子を取り出し、無言で自分に渡してくる。
渡された冊子を捲れば、お見合い写真のような一人の男性の写真が貼り付けてある。
あっと声が出そうになるのを必死にこらえたが、これを見た瞬間に思い出した。
このお見合い写真のようなものは、お見合い写真ではなく果し合い写真だ。
冥子さんは式神デスマッチが嫌で逃げ出したのか・・・
ふっと、冥子さんの後ろに気配が生まれる、そちらに意識をやるとメイドのフミさんが現れる。
貴女はどうやって入ってくるんですかね?
「メイドで御座いますから」
いや、メイドさんだから何でも許されるわけではないんですよ・・・
しかし全無視で、フミさんが今回の顛末を説明を始める。
式神使いの一族に伝わる古いしきたりで、式神を使役して戦い、勝った方は負けた側の式神を所有することができる、但し使役者は直接殺めることは禁止、そういうルールのようだ。
ただ、自分の原作の記憶と違うのは、最後は暴走するが泣き言をいいながらも冥子さん自身が戦ったように思ったが、百歩譲って美神さんのところに行かないのは良い。
まさか、同じ式神使いとして代打してほしいということなのか?
「はい、横島様に変わってほしいと、冥子お嬢様が望んでおります。」
メイドさんは、人の思考まで読めるんですかね?
フミさんはクスっと笑いながら、さぁと出発を促す。
「横島様も準備万端のようですし、お時間も迫っております。」
いやいや、果し合いの立ち合いとして付き合うのはいいけど、代わりって相手が認めないのではなかろうか?
そんな疑問が脳裏をよぎる。
「ご安心くださいませ横島様、お嬢様は覚悟を決められました。」
それだけ囁くように言うと、いつもの車に乗り込み車は音もなく出発した。
覚悟ってなんの覚悟だよ。まさか12神将を手放す覚悟じゃないだろうな。
~六道家~
フミさんに案内され、その後を付いていくと陣幕と結界が張られた場所に到着した。
陣幕の内側には六道冥奈さん、立合人として美神除霊事務所の御一行、そして件の果し合いの仕合人である鬼道親子が待っていた。
そして若い男が冥子さん見やり、ついでに自分をちらりと見てから口火を切る。
「鬼道 政樹です。よろしゅうおねがいします。」
なぜか僕は冥子さんに腕を掴まれ、そのまま鬼道さんと対峙する位置に立たされる。
「これは鬼道家と六道家の命運を賭けた真剣勝負、関係の無い方はご遠慮願おうか」
「横島優君は冥子の代理なの~~優君が負けたら~~冥子のお友達を全て手放すわ~~
でも~優君は絶対絶対負けないのよ~」
鬼道家の当主が吠えたと思えば、冥子さんも僕の手を掴んで負けじと言い返す。
売り言葉に買い言葉、冥子さんが十二神将を手放す発言をするとは、思いもよらなかった。思わず冥菜さんを見るが、にっこり笑って静かに佇むだけだ。
十二神将は六道家の金看板、それをただのいち従業員に六道家の命運を任すとはどういうつもりなんだ。
「ちょ、ちょっと待ってください。冥子さん何を言い出しちゃってるんですが、僕が負けたら十二神将を手放すって・・・」
「いいのよ~負けたらお友達が全ていなくなってしまうから~責任を取って優君のお嫁さんにしてもらうわ~~」
ちょっと待てい、このぼんやり暴走娘今すごいことを口走ったぞ。
「ほぉ、貴殿は先回のGS試験で優勝を飾った六道家の秘蔵っ子、式神使いの横島殿か
相手にとって不足はないが、突然相手を変えられても困りますなぁ。果し合いは真剣勝負ゆえ相手を変更するなら、こちらも条件を一つだしましょ。」
新米を相手にして勝てば六道家の十二神将が全て手に入ると、喜色満面の顔色を浮かべている鬼道父だが、足元を見てさらに物言いをつけてきた。
「横島殿が現在使役している式神は、人型を取れる極めて高度なものゆえ使用禁止とする。
ただそれでは果し合いとはならんので、十二神将を除く六道家が保有する物から式神を召喚し戦ってもらいましょうか
あぁ勿論、横島殿が負けた場合には、掟に従いその女性型の式神も頂く」
「勿論いいわ~優君は負けないもの~」
冥子さん、人の清姫まで勝手に賭けにベットするのは止めてください!
ちょっと冥菜さん、冥子さんにはビシっと言ってやってくださいよ。
チラ、チラと冥菜さんにアイコンタクトを送り、それを受け取った冥菜さんが口を開く
「鬼道ちゃん~家に事業のお金を借りにきて断られた腹いせなの~そういう嫌らしいとこ嫌い~」
いや、冥菜さんそれはそうなんですが、そういう視線じゃないんです。
なに言ってやったわって顔しているんですか
もうこのぼんやり母娘を相手にできるのはフミさん、貴女しかない
フミさんお願いします。なんとかしてください!
一縷の望みをかけてフミさんを探すと、六道メイド隊の陣頭指揮を取り蔵から刀を始めとする武具、防具を次々と運び出し、整然と並べ始めた。
そんなフミさんもこちらを見て、やりましたわとニコリと笑い、どれでも好きなものをお選びくださいと良い笑顔っておっしゃる。
いやいや、フミさんそうなんだけど、そうじゃないんですよ。
六道母娘にビシっと言ってやってくださいよ。六道家の命運を自分なんかに賭けるなんて、本当にみんなどうかしている。
あまりの事の大きさに及び腰になりながら、清姫を見る。
僕が見ていたことに気が付いた清姫はこちらをしっかり見ながら、いつもの綺麗な笑顔でこう言った。
「何時いかなる時も、どんな事があっても、死が二人を別れさせても
輪廻の果てを超えても、わたくしはご主人様と共にあり続けますわ」
自分の体に稲妻のような電気が走ったかと思うくらいの衝撃を感じた。
前の世界では生活の為に流されるまま、ブラックな労働条件で仕事をしていたが、
この世界にやって来ることになり、最初は命が惜しいから逃げるために、乗り物の運手技術を求めた。でも本当は少し、いや結構楽しみだったのだ。
だから、どうせなら原作に関われるように、前の世界のように流されるままでは良くないと思い、極めてポジティブな精神を持てるように神様に願った。そう願ってしまった。
顔が引きつっていたかもしれないが、清姫を見て精一杯笑った。
それを見て、清姫もさらににっこり笑い、ぽんぽんと優しく背中を叩いて押出してくれた。
世界蛇のエッカート少尉は言いました。ボスはどんなやばい時でも常に笑っているべきだと、そして全身義体の少佐も言ってました。上司のオーダーがきついのは信頼の厚い証拠だと思えと。
胸を張って、六道メイド隊が並べてくれた武具を一つずつ確認する。
鞘に金銀をあしらった美術品としても価値の高そうな豪奢な刀を始め、霊力にあふれた槍や鉾といった武具、何を切ったのか恨み骨髄といった様の妖刀まで色々と取り揃えている。
防具もこれはまた立派な拵えの甲冑を始め、僕の身長よりも大きい大盾など様々あったが
いまいち、自分の霊感というかこれだと言うものが見つからない。
しばらく見ていると、痺れを切らしたか鬼道父が隅に置いてあった、長い年月の間にくすみ古ぼけた感じのする自分の背丈ほどある大太刀を見て、こんな抜けもしない物にだれが使うのかと鼻で笑った。
しかし、自分はその大太刀を見て、長い年月の間にくすみ汚れてしまっているが、それでも尚未だに残る神性と鬼かそれとも大妖を斬ったのか、僅かに残る妖気が見て取れる。
他にも立派な霊刀、妖刀は他にもあったが、ここまで惹かれる大太刀は無かった。
迷わず手を伸ばし、この刀を媒介にして式神を呼ぶことにする。
「冥菜さん、この大太刀を頂きたい。」冥菜さんに了承をもらう。
式神と一言にいえど、六道女学院で使うような式神ケント紙を使った簡易的なものから
六道家に代々伝わる十二神将まで様々あるが、この刀を媒介に式神にするには神を降ろすくらいの大儀式が必要になると感じた。そして今更だが式神と便宜上言ってはいるが、実態は西洋魔術であるところのサーヴァントに近い物だ。実際術式もサーヴァント召喚の物と酷似している。
鬼道さんに向き合い高らかに宣言する。
「では、この大太刀を媒介に式神を召喚します。召喚が適ったらいざ尋常に勝負と行きましょう」
神降ろしの儀式のために、この場の穢れを清め祓う
六道家の敷地内なので、しっかりとした結界が貼られ清浄に保たれてはいるが
神域にはまだ足りない。
手に霊力を込めて柏手を打ち「祓い給え、清め給え 祓い給え、清め給え」と唱える
高天原に坐す 掛けまくも畏き天照皇大神
平に平に伏して願い奉る
諸々の禍事、罪、穢れを祓い給え、潔め給えへと
恐れ恐れ申す。
ちょうど本日は晴天で、天照様の象徴である太陽も昇っている。
貴方の姉なのだから、もっとフランクなお願いでもいいのよと脳裏に聞こえると
この場の穢れ一切が祓われ、神域に近い清浄な空間となる。
さて、この大太刀からは神が出るか鬼がでるか
神ならば、この神域となったこの場なら活動できるだろうし、鬼ならば弱体化するので使役も割りと楽に出来るだろう。
清姫を式神にした時は清姫の同意があったから、すんなり式神となってくれた。
今回はそんな同意もなく、神乃至はそれに準ずるものを呼び出すのだ。
ありったけの霊力を文珠に込めて{召}{喚}する。
自分を中心に霊力のこもった暴力的な突風が巻き起こり、文珠に込められた霊力だけでは足りなかったのか、自分からどんどん霊力が吸われていく。
限界ギリギリまで霊力を絞りきったところで、暴風が止んだ。
思わず脱力してしまい、膝をついてしまうが視線の先にはほっそりとした女性の足が目に入る、どうやら召喚は成功したらしい
足元から辿っていき、視線を上げていくとそこには立派な二子山がそびえ立っていた。
「こんにちは、愛らしい陰陽師さん。……あら?座り込んでしまって大丈夫ですか?」
はい、と差し出される手を掴み、立ち上がることができてから、その立派なたわわに目が行くのを必死で堪え、漸くその顔を見ることができた。
垂れ目気味の優しげな眼差し、長く艶やかな濡れ烏の黒髪、見事なたわわながらスラリとした肢体
あの大太刀を媒介にして、母上(源頼光)を召喚してしまった。
あまりに思いがけない人を呼んでしまって思わず見れていると、頼光さんから声がかかる。
「あの……源頼光と申します。大将として、いまだ至らない身ではありますが、どうかよろしくお願いしますね?」
「はい、横島 優と申します。しがない陰陽師ですがよろ・・・ 危ない母上!!」
背後から頼光の胸を揉もうと忠夫君が「この爆乳は俺のもんじゃぁ~~!!」ととびかかってきていた。
とっさに、脳内変換していた母上と叫んでしまう。いや叫んでしまった。
人には到底抜けぬ大太刀を軽々抜刀し、雷のように目にもとまらぬ鋭く、そして速い一閃を繰り出すが、ある意味で人を超えた反射神経でマトリックスのように仰け反りかわした。
続けて二の太刀をもって腹から両断しようとしたところで、自分からストップの言葉がかかる。
「頼光さん!止まってください!!一応その人は敵ではありません」
「この男かつて平安の都で見たことあるような・・・・・・
ところで陰陽師さん、いえ優、いえいえ愛しい我が子。私のことは母と呼んでいいのですよ。先程も母上と呼んでくれましたよね。」
目の前で一応兄を真っ二つに両断されるのは回避出来てよかった。
しかし、いい加減この肝心な時に思ったこと話してしまう
失言癖なんとかならないか・・・・・・
考え事の最中に、ぎゅっと頼光さんに抱きしめられ、谷間に顔が埋まる
でへへへ、やっぱり失言癖があってもいいかも・・・・・・
その直後、鉄扇を手のひらにぱちんぱちんと叩きつけ、ガラガラベビが威嚇するように清姫が綺麗な笑顔で近づいてくる。
OK、清姫さんちょっと落ち着こうか
この人は母だから、婚約者とかではないから
え?胸に顔を埋めてだらしない顔をしていた?
ほら、あれだって、そう!親子のスキンシップだから、ちゃんと清姫も大好きだから、ね。
「おい、貴様!先程からこちらを無視して、召喚がかなったならば尋常に勝負せよ!」
あぁ鬼道親子を完全に忘れていた。
平安時代における最強クラスの武将が召喚出来た時点で勝ち確定だわ
今より遥かに神秘の多い時代に、鬼を初めとする大妖相手に戦闘を繰り広げ、その当時ですら半神として神性を獲得していたのに、現代では神社に祭神として奉られている。
頼光単体なら負ける要素が見当たらない、有るとすれば術者である、自分が狙われることくらいだろうか?
それも清姫が守ってくれるなら安心だろう
「頼光さん、召喚早々で申し訳ないですが、戦闘ですが掟に則った果し合いでもあります。式神以外は傷を付けないようにお願いします。」
鬼道政樹が夜叉丸の指示を出す。
「君を倒せば全部貰えるんやろ、女といちゃついてるようなやつには負けへん
いざ尋常に勝負や!夜叉丸いてこませ!!」
対する頼光さんと言えば、すでに魔力放出が始まり全身に雷を纏っており、空間放電でバチバチという稲光まで見てとれる。
「愛しい我が子とのふれあいを邪魔するとは、万死に値しますね。」
そう言いながら、腰に付けている大太刀の柄に手をかけ何時でも抜刀できる体制を取る。
そして、夜叉丸が飛び掛かると同時に頼光さんの宝具が放たれる
牛王招雷・天網恢恢!
神鳴りと共に四天王が現れ、それぞれが強力な攻撃を夜叉丸に繰り広げ、最後には頼光さんの電撃を纏った一撃が夜叉丸を切り裂く
式神に対する攻撃の余波をくらい、鬼道政樹もノックダウン
そして、鬼道父を見れば先ほどまでいた場所におらず、遠くに走って逃げている姿があった。
夜叉丸が鬼道さんの影に戻ったのを確認する。夜叉丸を貰ったところで使い道もないし、自分自身が正当な式神使いでもないので、そのままお返しすればいいだろうと思う。
さて、一応果し合いには片がついたしこれ以上の戦闘行動も無いと判断していいだろう。
さて、頼光さんを送還するといますか
「頼光さんのおかげで、無事に果し合いにも勝つことができました。本当にありがとうございます。それでは送還しますので、暫くお待ちください」
「まぁ、私たちは愛し合う母と子の契約を結んだ身の上、貴方を置いて帰ることなんて出来ませんよ。母が虫共から守護して差し上げますからね。」
え?母と子の契約なんてそんな契約を結んだ覚えは無・・・・・・
また、ギュッと抱きしめれ顔が胸に埋もれる・・・
どうやら、母上が出来てしまったようです。あぁ本当に溺れて駄目になりそう
でもそれ以上に、綺麗な笑顔で近づいてくる清姫さんをなんとかしないと・・・・・・