GS美神の世界でサバイバル   作:京太郎

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3.美神令子との応酬

3.美神令子との応酬

 

 

 

意識が覚醒し、うっすらと目を開けると白い壁が視界に入ってきた。

まだ、神様にお会いしたあの空間かと思ったがどうやら病室のようだ。

周りを見渡してみても、誰もいない。

日は登って室内は明るいが、時計が無いので時間がわからない。

どうしようもないので、ナースコールを押すことにする。

しばらく待っていると、パタパタと足音が聞こえる。

 

「横島さん目を覚ましましたか?あなたが倒れてから丸一日経過しましたがお加減は大丈夫ですか?」

 

「頭が痛いが大丈夫そうです。それと横島とは誰ですか?」と伝える。

 

「先生をお呼びしますので、そのまましばらくお待ちくださいね。」

 

そういって看護師さんは酷く慌てた様子で病室をでていく。

 

待っている間に先ほどの邂逅を思い出すが、本当に力を授かったようだ。

身体能力は御神苗君ほどでもないが、運転技術、知識は頭の中になる。

今までは絶対にできなかったが、ヘリに乗っても操作はできそうだ。

そんな感じでちょっと浮かれていると、白衣を着た男性が病室に入室してきた。

 

 

「横島さん、気分はどうですか?」

 

先ほど看護師さんに伝えたように、頭が痛いが大丈夫そうですと伝えると

 

「よかったです。頭部に打撲があり、一時は意識不明、脈拍も弱まりここが峠かと思いましたが

なんとか持ち直せたようです。」

「ところで横島さん、先ほど看護師に横島とは誰ですか?とお尋ねになられたそうですね?」

 

自分が横島君の体に憑依していることはすでに認識している。

この世界には元の世界ではあった、自分の戸籍が無いであろうことも想像に固くない。

それにその氏名を思い出せない・・・

自分はこの世界では社会的に死んでいるも同然なのだ。むしろ生まれてすらいない。

最初は御神苗とでも名乗ろうと思っていたが、横島君に憑依したことが判明した。

これまでの横島君の態度も自分が憑依したことで未来が変化してくる。

今の時代、あのセクハラは完全に警察のご厄介になる未来が見える。

それを誤魔化すにはいっそ、記憶が失くなったとでも言って、生活したほうが何かと自由が効くだろうと思う。

この記憶を失くしたフリが今後どうなっていくのが判断できないが、少なくとも頭部を負傷しているので性格が変わっても疑われることはないだろう。

 

 

「はい、酷く混乱しています。自分の名前、住んでいる場所、自分に関することが思い出せないです。

思い出そうとすると頭が割れるように痛みます。幸い日常生活を送れそうですが・・・」

 

「そうですか。まずは簡単な検査をしましょう、ちょっと待っていてください。」

 

そう言うと医師は部屋から出ていく。

 

医師が書類の挟まったバインダーを持って、戻ってくると色々と質問を投げかけてくる

自分の姓名氏名、住んでいる住所、家族構成、通っている高校について等多岐に渡って質問された。

頭部を怪我しているのでその痛みを感じながら、わかる質問には素直に答え、それ以外は素直にわからないと答える一応矛盾はないはずだ。

 

「一応横島君と呼ばせてもらうよ。君は自身のことに関する記憶を失っているようだね。通貨や国の名前は分かっているようだから日常生活には問題はないだろう」

「まず頭部の怪我のために3日程度静養をしなさい。その間に思い出すこともあるだろう。でも無理はいけないよ」

 

そう言って、医師は病室から出ていく。

 

さて、とりあえず3日の猶予はできたが、これからどうやって生活していこうか

まずはやはり、横島君のご両親にご報告しないとまずいだろうなぁ。

たしか、横島君は一人暮らしだったはずだし、筋をとおしておかなと後々面倒なことになりそうだ。

しかし、あなたの御子息は折檻により亡くなりましたとは口が裂けても言えない。

美神さんに個人的には恨みもないし、自分としてはこのまま事故ということで話を合わせて

流してしまってもいい。ただ横島君のような極貧生活はするつもりはサラサラないので

無論慰謝料というか口止め料はいただくつもりだけど

 

実際のところGS免許取得しているのか、取得前なのかで話は変わりそうだが

どちらにせよ。GSは諦めて平穏無事な生活を目指すことにしよう。

まずは美神さんと相談だな、そこまで考え傷を癒すために目を閉じた。

 

 

 

 

 

物音がして目を覚ますと病室に美神さんがお見舞いに来てくれた。

こうやってみるとスタイルの良い切れ長の目を持つ美人だ。

横島君が執着するのもわかる気がする。

そんな事を考えていると、美神さんから声がかかる。

 

「横島君、心配したのよ。そのくらいの傷いつもならすぐに治るじゃない」

 

そうか、まだ美神さんは横島君が亡くなったことは知らないのか

 

「すみません、横島とは僕のことだと思いますが、あなたは誰で僕とはどんな関係の方ですか?」

 

そう答えると、美神さんは顔を顰めてこう答えてきた。

 

「私の名前は美神令子、GS美神よ。あなたは私の丁稚でGS見習いってところかしらね」

 

「GS見習いということは、僕はGS免許の取得はできているわけですね。」

 

「ええそうよ。しかし本当にあなた記憶がなくなっちゃったの?」

 

「そのようです。自分に関することは一切に記憶にありません。」

「最後に見たのはあなたに頭をかち割られるところまでです。」

 

「それは横島君がセクハラをしてきたからでしょ」

 

「仮に僕がセクハラをしたとしても、頭を殴打して記憶を失うまで殴るのは常識的にどうかと思いますよ。」

「この件は事故として処理をしていただいても結構ですが、口止め料と慰謝料はお願いします。」

「それと僕の両親を呼んでください。まだ両親の顔を見ていないので、この怪我のことを話していません。」

 

「い、慰謝料って横島、あんた私を脅すつもりなの!?」

 

「いえ、そんなことはありません。あくまで事故だったのでしょう?」

「ただ、怪我をした従業員に対して治療費や見舞金があってもおかしくはないでしょう。」

「それに未成年のアルバイトが事故とはいえ、記憶を失うような怪我を負うというのは事務所的にどうなんでしょうね?ねぇ美神令子さん?」

「以前の横島君は記憶を失ったことにより、死んでしまったも同然なんですよ。それを理解していますか?」

 

そこまで言うと、丁稚の分際でと怒り出すが、流石に手は出してこない。

 

「治療費、慰謝料の件は僕の両親と話してください。すみませんが頭が痛いので寝させてください。」

 

そう告げると、目をつぶって寝る体勢に入る。

実際頭が痛いのは、本当なのだ。いきなり頭をかち割られる方の身にもなってほしい。

 

美神さんはしばらく自分のことを睨んでいると、病室をでていった。

横島君の両親に電話連絡をしておかなければならない、幸いなことに生徒手帳に電話番号が記載されていた。

ご都合主義此処に極まりだが、ありがたく思う事にしよう。

しかし対応を相談するつもりだったのに、自分も頭をかち割られた事を思ってる以上に怒っているようだ。喧嘩別れのようになってしまった。

 

 

 

 

 

美神サイド

 

丁稚の分際で勝手なことばかりと、憤りを感じたが、

「以前の横島君は記憶を失ったことにより、死んでしまったも同然なんですよ。それを理解していますか?」

この一言を聞いて、冷水を浴びせられたように血の気が引いた。

いずれ記憶が戻り、元の横島君に戻るかもしれないけど、戻らなかったら

肉体的には無事でも精神的には私が殺してしまったことになる。

そう思うと、無事に記憶が戻ってくるのを祈るしかない。

ほんの数日前にはセクハラ小僧と思って折檻したことすら懐かしく感じてしまう。

 

「私はGS美神令子なのよ。しっかりしなさい」

 

そう呟いて自身を鼓舞する。

 

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