6.鍛えよ。
難しいはずはない、不可能なことでもない。
元よりこの身は収束と圧縮に特化した霊能力
この場に散った無数の霊力の残滓、そして束ねるは星の伊吹とガイアの霊力
悪霊よ。恐れずに掛かってこい!! もしかすれば我が身に届くやもしれんぞ!
スターライトブレイ
悪霊さんにげてー 超にげてー
はっ!?一気に目が覚めた。なにか他の世界線の光景を見た気がする。
昨日、冥子さんの救助をして、僕は霊能力を使い悪霊を祓った。
それで気絶してしまったんだ。
それでおかしな夢を見てしまったようだ。
うわ、汗ビッショリ 学校始まるまでにシャワーを浴びてさっぱりしよう
朝食を作っていたところに優が起きてきた。
優はドライヤーで髪を乾かさないようで、しっとりと濡れていた。
優の瑞々しい肌につく水滴が艶かしい。優のうなじ、優の鎖骨、優のふくらはぎ~
あぁ駄目よ。いくら可愛い優とはいえ、あの子は愛しい我が子、そんな目で見ちゃダメなのよ。
さぁいつもどおりにすまして、優に挨拶するのよ。ファイト!百合子。
「おはよう優、あらシャワーを浴びてきてたのね」
「さぁ朝ごはんを食べて学校に行きなさい。」
優の学生鞄を持って、玄関まで見送る。あぁなんだか新婚の時の気分だわ
「優、気をつけて行ってくるのよ」
「あぁそうそう母さん、学校の帰りに美神さんのところに寄るので、帰りは少し遅くなるかもしれません」
そう告げて、ドアノブを回すが身体が動かない
百合子さんが、僕の肩を握りつぶしかけている
「ねぇ優、なんであんな女の家に行くのかな?お母さん不思議だなぁ ねぇ何で?」
生存本能が昨日以上の警鐘を鳴らし続ける。
なので洗いざらい全てを喋った。
・GSの仮免があるけど、霊能力はあまり使わないので放置していたこと。
・昨日のASEの任務で悪霊に襲われ、霊能力の力が欲しかったこと。
・修行をするにも、霊能者の知り合いはいないので、美神さんに鍛えてもらおうと思ったこと。
・美神さんのアルバイトだと思っているがASEとの掛け持ちになってしまっているので、辞めるにしろ筋を通しに行こうと思っていること。
心の奥底で聞こえた声のことは黙っておいた。
そこまで全て話すと、百合子さんはにっこり笑って肩を離しくれた。
「そうだったの優、今日の晩御飯は貴方の好きなから揚げだから早く帰ってくるのよ。」
「遅くなるようだったら連絡するのよ。あと、これお弁当よ。」
うふふ、優ったらあんなに慌てて学校に行くなんて、まだ余裕のある時間なのに
それにしても優ったら嘘はついてないけど、私に言ってないこともあるわね。
まぁいいわ、私の可愛い優・・・
やばかった。なにがやばかったって超やばかった。
殴っ血Kill並にやばかった。正直ちょっとチビるかと思った。百合子ママやばい。
一回死んでいるせいか、御神苗君の生存本能なのか、前はそんなこと感じなかったのに。
まぁいいや、まずは学校に行こう。
「おはよう愛子さん」
「あら優君、早いのね」
「愛子さんもねー」
「私はこの学校にいるんだもの、はやくて当たり前だわ」
「あ、ごめんなさい」
「いいのよ。そういう妖怪なんだもの」
授業が始まり、午前の部が終了する。
ピートとタイガーが一緒に昼を食べようと寄ってくる。
「はぁ優さん、百合子さんと住むようになって、まともな昼食をたべれていますのぃ」
「ですねー とても美味しそうです。」
「そうだ、新しいマンションに引越したから暇ならタイガーさんもピートさんも今度遊びにきてよ。」
「おぉ優さん、わっしはわっしはー」
「僕もいいんですか?」
「え、ピートさんなんかダメなの?」
「僕は正体を隠していましたが、実はヴァンパイアハーフなんです」
「そうなんだ、だからそんなにイケメンなんだね」
苦笑をしながら「横島さんにも同じことを言われましたよ。」
「まぁいいよ。二人共僕の友達になってくれたんだし、友達の家に遊びに行くくらい普通だよ。」
「ゆ、優君、私達も優君の家に遊びに行ってもいいかしら?」
突然横から愛子さんと花戸さんが声をかけてくる。愛子さんと花戸さんかぁとちょっと渋っていると
「私が机妖怪だから、やっぱりダメなのかな?」
「いや、そんなことはないよ。帰りが遅くなると机を担いで学校に戻るのが大変だから泊まっていってもらおうかなぁって思った。」
「優君の家にお泊り、いや百合子さんがいらっしゃるのよ。あぁお母様にご挨拶、あぁ愛子どうしましょう 青春だわー」
また愛子さんがブツブツと一人の世界にはいってしまう。
「小鳩もダメなんですか?」
「もちろんいいよ。小鳩さん可愛いから遅くなったら危ないからね。その時は家まで送っていくよ」
「小鳩は横島さんのお嫁さん、結婚式もしたんだしでも本当に結婚した訳じゃないんだし優君のお嫁さんも・・」
頬に手を当ていやいやしながら身体をくねらせてる。小鳩さんも一人の世界にご案内
「遊びに行くのはまた今度ね。お菓子とか用意しておくし、母さんに一言いっておかないと」
後日、4人で家に遊びに来ることが決まった。楽しみだなぁ
さて、今日の授業が終わった。美神さんの事務所に向かうとしよう。
「横島さんお久しぶり。怪我は大丈夫だったんですか?」
いきなり声が聞こえる。これがあの人工幽霊一号か
「僕は兄じゃなくて弟の優です。よろしくお願いします。なんとお呼びすれば?」
「人工幽霊とお呼びください」
「美神さんはいらっしゃるかな?」
「はい、マスターは本日はお見えになります。優さんがいらっしゃたことをお伝えしますね。どうぞお上がりください。」
鍵があき、ドアが自動で開く
便利だな、人工幽霊、家にも来て欲しいくらいだ。
人工幽霊の指示にしたがい、屋敷の中を進む
「この部屋にマスターがいらっしゃいます。」
ドアを開けると美神さんがこちらを睨んでいる。
「まずはいらっしゃいといいましょう。横島君」
「怪我が治りましたので、美神所長にご報告に参りました。」
「そう、要件はそれだけなのかしら?」
僕は90度に深々と頭をさげる
ここは素直に頭を下げ、ストレートに謝るしかない。なにせやり過ぎとはいえ、その原因は忠夫君にあったのだ。
「この度は、美神様に置かれまして、大変ご迷惑をおかけし誠に申し訳ありませんでした。またお見舞いに来てくださったのに
あのような態度をしてしまい。合わせてお詫びいたします。」
「あなた本当に横島君?」
「いえ、貴女の知っている横島ではありません、未だに記憶が戻っていないのです。いまは双子の弟の優として生活をしています。」
「そうなの、横島君、いえ、優君、来てくれて嬉しいわ。もう二度とここには来てくれないと思ったもの」
「それにおキヌちゃんもずっと心配していたのよ」
そういって、美神さんはちょっと涙ぐんでいる。避けずに来てよかった。
「おキヌさんには記憶が戻っていないことは秘密でお願いします。」
「わかったわ。今日の要件はそれだけなのかしら」
「いえ、2,3質問と相談があって今日はきました。」
・体の奥底から声が聞こえたこと
・霊能力を鍛えてほしいこと
・またアルバイトさせて欲しいこと
「そうね、まず2番目と3番目の答えだけど、ここで霊能力を鍛えるのとアルバイトとして雇うのは無理だわ」
やっぱりダメだったか、しょぼんとして思わず涙ぐんでしまう。
「ゆ、優君泣かないで、言い方が悪かったわね。優君の霊能力の適正は収束と圧縮だと思うわ。
私ではあなたのサイキックソーサーや霊波刀の適切な指導ができないのよ。」
「それなら基礎だけでも教えてもらえませんか?」
「それは3番目の答えになってしまうけど、六道女学院からアルバイトの子を雇ってしまったの。この業界弟子や従業員でないと慣習として指導するのはまずいのよ」
「ごめんなさい、あなたがもう戻ってこないと思ったから・・・」
「いえ、いいんです。美神さん僕も貴女の指導を受けたいと思っていましたが我が儘は言えません。
「それにASEのアルバイトスタッフになったんです。美神さんなら特別に内緒で引き受けてもいいですよ」
うわ、美神さんの目が¥マークになってる。
「ASEってあの超高額な人材派遣のASE!? 優君どの部門なの?」
「マルチドライバーの適正があったみたいで、ドライバー部門です。」
「そうなの、特殊な車両とかあったらお願いするわね。」
「そうそう、1番最初のは今見てあげるわ、ASEのドライバーを使えるんだもの先払いしちゃうわ」
そういってウィンクしてくる。
美人のお姉さんにそんなことされたら、いくら僕でも顔が赤くなっちゃいますよ。
やっぱり、飛びかかってはこないか、でも顔を真っ赤にして優君可愛いわ、なんか少年を誑かす悪女になったみたい。
さて霊視ゴーグルを持ってこないと
「まずは貴女の状態を霊視してみるわ、ただ私も専門ではないからそこは了承してね。」
かなり分かりづらいけど神霊の御霊それに、あら新しい守護霊が付いているわね。まさか横島君?
「あなたには新しい守護霊がついているわ、一度現出させてみましょう」
「守護霊ですか、僕はなにもわかりませんよ。」
「元々守護霊というのは本人には見えないし、感じられないものなのよ。その役割は守護しているものを修行させること。
そして功徳があがると、守護霊本人の功徳があがる仕組みなの」
「この者に宿る守護霊よ、汝その身を一時この世に出現せよ。」
そうすると見慣れた雰囲気の守護霊が私に飛びかかってきたわ
「美神さ~ん、やっぱり俺のことを探してくれるなんてやっぱり愛してくれていたんですね。 もうぼかぁぼかぁ愛の告白と取るしか」
あ、神通棍で叩き落とされてる。そうか忠夫君は僕の守護霊になってくれたのか
「あぁなんか慣れた痛みやわぁ、お前何を俺の体を使っとんねんといいたいところだが、もう守護霊として括られてしまっている
その体は好きに使えばええよ。入れ替わることもないし。それにお前といると何故か女の子にもモテてるみたいだし、寝取られプレイみたいでこうふ、
あ、また殴られてる
「美神さん、守護霊って祓うことできないんですか?」
「う~ん、守護霊というのは神様によって采配されていると聞くから基本的には祓わない方がいいわ」
「そうなんですか、忠夫兄さん、優といいます。これからもよろしくお願いします。」
「おう、基本的には何もしないけど、後ろから見守っているからな。俺も弟ができて嬉しいし」
「忠夫兄さん、この間の除霊で僕に力をくれました?」
「あぁやっぱりバレたかぁ、まぁ秘密なんだが、お前の中にはかなり強い神霊がいらっしゃる。その方のお力を少し借りた」
「ただ、何度もできることじゃないからな、頑張って生きろよ。」
そういって消えていく。いなくなったとも思っていたが忠夫君が憑いていたか、ある意味これも世界意思なんだろうか
「美神さんありがとうございました。忠夫兄さんが守護霊になっているのは内緒にしてくださいね。」
「今日はもうこれで帰りますね。」
「あらおキヌちゃんと話して夕飯も食べて帰ればいいじゃない。」
「大変嬉しいお誘いですけど、夕飯は百合子さんが作ってくれているので、家で食べますね。」
「もう少し、おキヌさんをまたさせてもらいます」
「なら、お茶でも、もういっぱい如何かしら?」
「はい、いただきます」
「そういえば、あなたこの間除霊したビルだけど何をしたの?今でも下手な神社の神域より清浄な空間になっているわよ。」
「あの時は無我夢中で正直何をしたのか、あまりはっきり覚えていないんです。気絶もしちゃいましたし」
「そうだったの。あなたの霊能は収束と圧縮が特性だと思ったけど、神道の禊や陰陽術にも適性があるのかもね」
それからは和やかに美神さんを実の姉のように感じながら和やかに住む場所が変わったことなど
近況をお話した。
時間になってもおキヌさんが戻ってこなかったので、お暇することにした。
帰りに美神さんが、はいっと封筒を渡してくる。
見ると紹介状と書いてある。
「私の師匠の唐巣神父の紹介状よ。私は教えてあげられないからせめて師匠を紹介してあげるわ」
「美神さんありがとうございます。明日にでも早速行ってみますね。」
「いつでも、遊びにいらっしゃい、ただし次は相談料をとるわよ」
そう冗談をいってくる、冗談だよな・・・
今度遊びに来るときにはなにか貢物を持ってこよう。
「そうそうおキヌちゃん、あなたが買い物に行っている間に横島君が来たわよ。もっとも双子の弟の優君だったけど。横島君そっくりだったわ。」
「横島君を大人しくして、少し幼くした感じかしら」
「もうちょっと、早く帰ってこればよかったですー」
「住所は聞いておいたから暇なときにでも遊びに行ってみたら」
「わーい、美神さん、大好きです。」
翌日学校でピートに美神さんから指導を断られたことを話して、唐巣神父の紹介状をもらったことを話した。
ピートの話だと明日は運が良く教会にいるようなので案内をしてもらい唐巣神父に相談に行く事にする。
「やぁ横島優君、ピート君から話はきいているよ。神の家にようこそお茶くらいしか出せないが奥で話そうか」
「初めまして、唐巣神父、これは美神さんからの紹介状です。それとチョコレート菓子くらいしかありませんがお茶請けにどうぞ」
「君はタケノコ派かい? さてちょっと見せてもらうよ。」
「ふむ、横島君が怪我をしている間に他のアルバイトを雇ってしまい、指導できないか、この業界の慣習のせいだね。」
「優君、ここも見ての通りの貧乏所帯でね。ピート君で手一杯なんだよ。とはいえ、神の家に相談に来てくれたんだ。少し道を示してあげよう」
「ありがとうございます。神父、正直どうすればいいのかわからなかったのです。少しでも可能性があればそれを活かします。」
ふむ、なかなかいい目をするじゃないか、横島君の双子というのも少し怪しいが悪い子じゃないんだろう。
「君のお兄さんの霊能を見出したのは妙神山の小竜姫様だとお聞きしている。
武門一林は家族同然というし、弟というとちょっと厚かましいがかもしれないが、無下にされることはないだろう」
なるほど、小竜姫様か、人界最高峰の修行場にいきなり行くのも厚かましい気もするが人に頼れないなら神に頼るのもあるか
だめなら、道を示してくれるかもしれない。
それに妙神山なんて、未知を見てくるのもいいかもしれない。
ASEにいってオフロードバイクを借りてこよう。
「ありがとうございます。神父、僕妙神山に行ってみます。」
「ところで話は変わりますが、唐巣神父はカトリックの神父様なんですよね?」
「あぁ破門されてしまい、ここで勝手に神父をしているが、カトリックを信仰しているよ。」
「ヴァチカンのアンデルセン神父をもしかしてご存知ですか?」
「あぁ修行に行った時に良くしてもらったよ。彼の苛烈な信仰心は今も覚えているよ。たしか
殴っていいのは異教徒と化け物だけといっていたなぁ、彼なりの冗談なんだろうけど」
やばい、イスカリオテのアンデルセン神父はこの世界にいたのか、この調子だとイギリス清教 必要悪の教会や埋葬機関とかもいるかも
好奇心で首を突っ込んだら生きて帰れなくなりそうだ。
「しかし、優君よくアンデルセン神父のことを知っていたね。」
「えぇナルニアでヴァチカンにカトリックの信仰のために旅行に行った知り合いに、大柄の神父にお世話になったと聞いていたので」
「そうか、ナルニアにも神の教えは届いていたか、聖なるかな聖なるかな」
「唐巣神父ありがとうございました。今日はこの辺でお暇いたします」
「そうか、優君、いま妙神山の紹介状を書いてあげるからしばらく待っていてくれ」
そういって唐巣神父は退席した。
数分たってから、紹介状をかいてくれた。
「優君、悩みがあればいつでも来るといい、ここは神の家、異教徒であっても閉じる門はないよ。」