8.鍛えよ。鍛えよ。鍛えよ。
お母様、天照様、お元気でしょうか?
僕は妙神山に拉致ではなく、監禁でもなく、綺麗で可憐な小竜姫様と楽しく修行を送っています。
本当なら連休の三日で帰るはずでしたが、どうしてこうなった・・・
・・・・・誰か助けてー・・・
横島さんが何か惚けて呟いていますね。拉致とか監禁とかこの妙神山には似つかわしくない単語を呟いているので、神剣で後ろからツンツンしたら、今度は綺麗で可憐で慈悲深い小竜姫様って言葉が出てきました。
横島さんはわかっていますね。照れてしまいます。
さて、横島さんは取り敢えず置いて、老師との修行により見事潜在能力を開花させました。
それも覚醒した能力はあの伝説の文珠でした。
文珠とはキーワードを込めると力の方向を完全にコントロールする能力です。
かの菅原道真公以外では横島さんだけでは無いでしょうか?
彼の才能は私が見初めたのだと三千世界に知らしめてもいいくらいです。
駄目ですね。嬉しくて顔がにやけて来てしまいます。
いけません、話が脱線してしまいましたね。
ここからは本当に真面目に行きましょう。
横島さんが老師との荒行を終えて、その精神も肉体も限界を迎えつつありました。
しかしだからこそ、真に限界を超えるにはまたとない機会です。
限界ギリギリのところで生存本能が刺激されれば、殺戮衝動が顔を出すはずです。老師に傷を負わせた時もそうだったと聞きました。
だからこそ、その状態でも殺戮衝動を自身で調伏できれば、今後容易に殺人機械になってしまうこともなくなるでしょう。
これには横島さんの強い精神力が必要になります。駄目かもしれないそう思おう心も私の中にありますが、横島さんを信じています。
もちろん休ませてあげたい。でも私は横島さんの為だと心を鬼にして、横島さんを引きずって修行場に連れて行きました。
「横島さん、老師との荒行により、あなたの心身、精神はもはや限界を迎えているでしょう。しかしここで限界を超えてこそ心深くにある殺戮衝動に打ち勝つことができるのです。
さて、私がお相手して差しあげましょう。死力を尽くしてかかってきなさい。」
AMスーツを着たまま、小竜姫様に修行場に連行される。立っているのも辛い状態だが小竜姫様は何の関係も無しに切りかかってきた。思わずAMスーツを全開にして盾も前面に多重展開したが、構築が脆くあっさり破られ打ちのめされてしまう。
先ほど、老師にも殺人機械になって傷を負わせることに成功した。
老師よりも格下の小竜姫様にも通用するだろう。
生き残るためにはこれしかないそう思い、自身の殺人機械の殺戮衝動に意識を明け渡す。
横島さん展開した盾を破り、対峙をして気が付く。横島さんの辛そうな顔が無表情に変わり、目がぼんやりとした感じなる。恐らく意識を明け渡したのだろう。
横島さんの動きが先ほどまでとは違い、凄まじく早く鋭くなる。
老師は異空間の生成とその後の手加減で力を失っていましたが、私は万全の状態です。
仮にも武神である私は油断さえしなければ機械らしい思考で最短距離を正確な動きで仕掛けてくる攻撃をいなすことは容易いことです。
会話ができるかわかりませんが、横島さんに語り掛ける。
「横島さん、殺人機械になったところで今のあなたでは私には敵いませんよ。機械ではその性能を100%発揮するのが関の山です。
しかし、それを超え力を発揮できるのは人間だけです
120%、130%、それ以上の力を出すのは、人の強い思い、意思が肉体を凌駕するのです。
そしてあなたは他の人にない発想が持ち味でしょう、いつまでも殻に閉じこもってはいけませんよ。」
小竜姫様の語りかけが切っ掛けか、自分の意思が体にこもる。
殺人機械の精神も何もをしても勝てない小竜姫様に諦めて殺されることを選んだか
しかし、自分はこんなところで死にたくない。
まだ伊勢神宮で天照様にお会いしていないのだ。
そしてやばくなったら殺人機械に頼っちゃダメってことか、小竜姫様も存外厳しいが、慈悲深く優しいな。
「ここまで言れて、鈍い僕でもようやくわかりました。」
パワーアシスト機能の壊れたAMスーツの上着を脱ぐ、これで多少は身軽になるだろう。
そして改めて小竜姫様と対峙する。
「賢い選択です。横島さん。先ほども言いましたが死力を振り絞ってかかってきなさい。」
AMスーツを脱いだ影響か、これまで痛めつけられた為か小竜姫様の動きが肌で感じられる。
そして今の自分の切り札は文珠数個、これで小竜姫様に勝てなくても一泡ふかせるしかない。
霊能力は訳のわからない力だ。そして使いこなすにはイメージが何よりも大事だと美神さんから聞いた。
一泡吹かせるイメージはついた。あとは野となれ山となれ実行するだけだ。
小竜姫様を見つめ叫ぶ
「いくぞ、小竜姫!!」
いいですね。覚悟を決めた殿方の力強い眼差し、横島さんに小竜姫と乱暴に呼び捨てられるのも悪くはありませんね。さぁ横島さんあなたの覚悟を見せてください。
とある魔砲使いは言いました。大技を撃つときはまず相手を捕まえましょうと
{縛}の文珠を使い、小竜姫様のいる空間ごとバインドする。
小竜姫様が様子見だったのだろう、わざわざ付き合って捕まってくれる。
「横島さん、捕まえても私には超加速という技があります。あなたが攻撃をするために近づく間に逃げれますよ。」
余裕だろうが、高みの見物だろうが、まずは捕まってくれれば良い
小竜姫様は韋駄天族の超加速が使えると今いった。
超加速はあっという間に時間を歪め空間を移動する技だったはずだ。
ちょっと中学校の理科を思い出そう。音は空気中を秒速340m/sで移動する。
それを超えるとマッハ1という。超加速はもっと早いかもしれない
そして小竜姫様に向けて霊波刀の応用で括弧型の1m程度の長さの砲身を左右それぞれ空中に展開する。
「種子島ですか、そんなもの撃ってからでも避けられますよ」
折れたナイフの刃を砲身の中にそっと置く
最後に{雷}の文珠を用意して空中に展開している砲身に叩き込む
「くらえ小竜姫様、この攻撃は超加速よりなお早いぞ 電磁投射砲!!」
「え!?」
目を見開いた小竜姫様に耳をつんざく様な轟音と衝撃波を発生して自分を後ろに吹っ飛ばしながら、砲身から飛び出したナイフが空気との摩擦で真っ赤になり空間に一筋の線を生み出す。
そう、小竜姫様にご馳走したのは電磁投射砲だ
米軍最新の電磁投射砲はマッハ6を叩き出す。秒速2040m/sだ。つまり1秒間に物体が2km進む。その破壊力はかすらなくても近くにいるだけで衝撃波でダメージを与える
弾丸にしたものはオリハルコン、霊的な者にも効果があるものだ。
小竜姫様が如何に早かろうが6倍近い速さのものは避けられまい。
仮に避けれても衝撃波が空間を粉砕してナイフは進む。
そもそも電磁投射砲の原理は簡単だ。前の世界では電気技師をやっていたのでよく理解している。電線に電気を流すとそこには磁界が発生する。学校でも習う右ネジの法則だ。
電磁投射砲はその原理を応用している。そして大電圧、電流が流れれば威力もあがる。
文珠に込めた雷の一文字、落雷は最大電圧は10億ボルト、最大電流は時に50万アンペアに達する。砲身は短いのだ、一瞬でも発動すれば十分
こんな急増品でもこれだけのパワーを込めれば結果は推して知るべし。
今のように簡易電磁投射砲の完成だ。
あぁくそ、一瞬文珠が発動しただけだが、アーク放電で感電してしまったようだ。
腕がいたい。AMスーツは絶縁処理されていたはず、着ておけばよかった。
正直もう霊力を使いすぎて立っているのもしんどいのだが小竜姫様はどうなったかな。
たぶん無事だろうけど・・・
静まり返った空間を探してみると撃った場所から離れた場所に腕を十字に組み、頭を守っている小竜姫様が立っていた。
「どうですか、小竜姫様これが今思いついた攻撃です。秒速2km/sの弾丸の威力は」
さすがの小竜姫様もかなり驚いたようだ。口から声が出ずパクパクしている。完全に無事とはいかずあちこち服が破れている。
「よ、横島さん貴方、私になんてものを放つんですか!!」
「小竜姫様なら大丈夫という信頼の表れを表現してみました。」
疲れているせいでちょっと皮肉がでてしまう。
もう!と言わんばかりに小竜姫様がその場に座り込む
その時、胸のあたりの布が破れその両胸が
思わず凝視してしまう。小隆起様(誤字にあらず)なんて言われるけど、サラシがなければ中隆起様でもいけるんじゃないでしょうか?え、誰ちっぱいなんて言ってたやつ?
「ちょっとこっち見ないでください! 殿方に胸を晒すなどありません!!」
「す、すみません、後ろ向きます!」
振り向こうとするが、身体が動かない。視線も小竜姫様が両手で隠している胸を凝視したままだ。
「早く後ろを向いてください!!」
「全力で振り向こうとしています!!でも身体が動かないんです!!」
小竜姫様を凝視したまま、自分の背後から今まで感じたこともない莫大な霊力が立ち昇る
そしてあまりに強力な霊力の為、その思念も肉声のように聞こえてくる
(よっしゃーーー!!、よくやったで優!!動くなよーぴくりとも動くなよー動いたら見られへんからなぁ。
小竜姫様のおっぱいやぁ!!!!ちっぱいどころか美乳やんかぁ!!今日はおっぱい祭りやでーーー!! こんなん生きとったら絶対見られへん、ほんまようやったでー優!!
お前が神やったか!!!)
忠夫兄さん、エロハプニングで活性化してしまったんですね。煩悩バーストで極大な霊力が発生している。そして守護霊としてのパスを通して僕にも莫大な霊力が流れ込んできてます。
正直、流れ込んできている霊力で身体が張り裂けそうだ。忠夫兄さん霊体だから関係ないかもしれないけど、肉体のある自分にはしんどすぎる、先ほどから霊力を逃がすために文珠を生成しているがフィーバー状態でどんどん生成される。
それでも、この莫大な霊力は収まることをしらない。そして思わず声にあげる
「忠夫兄さん、僕が死んじゃうから、霊力を収束するの手伝って!」
(ん?もうちょっと見てからでもええやろ)
「小竜姫様に祓われちゃうよ。それに他にもこんなエロチャンスあるかもよ!」
(よっしゃ、圧縮やな、2人で気合いれて圧縮するでー)
ころっと手のひら返しをしてこのパスを通して送られてくる極大な霊力を制御し圧縮を開始した。
「圧縮、圧縮、圧縮、圧縮!」(圧縮、圧縮、圧縮、圧縮!!)
空気だって圧縮すれば熱を発生する。某一方通行さんはベクトル操作で空気中の水素と窒素を集め、圧縮してプラズマを発生させた。
そして僕らが極大の霊力を圧縮したら拳大の珠が出来上がった。
なに、この文珠の親方みたいな珠は?と忠夫兄さんに尋ねてみたがもう気配はなく、その思念も聞こえない。
なんかたまに本当にすごいよ。忠夫兄さん。
もう自分も限界、その珠を握り締めてブラックアウトした。
忠夫兄さん、エロハプニングで大フィーバー、はしゃぎ過ぎて煩悩大爆発でした。
このあと、シリアス気味になるつもりでしたが、どう考えても切りが悪いので今回はここまでです。