続かないかもとか言ったけど、脳内で構想がガンガン捗ってしまったので続きます。一話当たりの文章量減らして更新頻度少しでも上げれるよう頑張るので、よかったら見てって下さい。
その分誤字とか文章可笑しいとこがあるかもしれんけど大目に見てね!(懇願)
この話をするためには、俺三縞真悟の生い立ちというか、経歴から話さなきゃいけないんだけど……え、いい?寧ろ聞きたい?もの好きだなお前。まあ、そう言うなら……少し長くなるぞ?
俺が生まれ落ちた先ってのが熱心なキリスト教徒の夫婦でさ。ああ、裏に関わってたりとかはしてないぞ?ただ信仰に篤いってだけの、ごく普通の両親だったんだ。
そんで当然、俺の生活も二人に合わせて教義中心に回るようになってさ。食事前には天に在す我らが父よみたいなこと長々言ったり、何言ってんのかよくわからんミサに出向いたり、こういっちゃなんだけど毎日キリスト教徒ごっこさせられてる気分だったよ……いや?別にそれについては特に思うことないぞ?両親がよく育つようにってしてくれてたことだし、前世の幼稚園とかでも似たようなことしてたし。まあそっちは仏教だったけど。
とまあそんなこんなで特に信仰心とかないまま形だけ熱心にしてたら、何を勘違いしたんか知らないけど海外の修道院?みたいなとこに入れられちまってな。今まで以上に24時間毎日毎日教えを良く守り学びましょうっつってさ、いやぁ辛かった辛かった。無宗教者が行くもんじゃないねありゃ。
……っと、愚痴になってたな、すまん。さて続きだな、そこでは信仰に篤い奴と教え守ってるんだかわからないような、言ってしまえば不良みたいな奴が一辺に集められて共同生活させられたんだ。多分お互いのことみて信仰の大切さとか知って欲しいとかそんなところかね。でも、もうそんなこと関係ないですけどね!
ライド並感。んで、そん中にアーシアがいたんだよ。アイツ当時から『聖女』として崇められてたみたいで、院の中でもVIP待遇だったな。当時は彼女が何でいたのかわからなかったけど、多分良き信仰者の見本みたいな感じだったんだろうな。あそこ結構な問題児も多かったし、それを矯正する意味もあったと思う。んで、最悪なことに俺はその『手本』の一人として集められてしまったというわけだ。完全に日頃の行いだな。
まあやることはいつもと変わらず礼儀作法だけ守って熱心なふりしてるだけだったんだけど、ガキどもの世話がめんどくさくてなあ。共同生活する中で必然的に信徒と問題児が対立してたから、毎日のように喧嘩してたよ。口喧嘩だけならいいんだけど、あやうく暴力沙汰になりそうだったから、仕方なく止めに入ってたんだ。何せあいつら、アーシアが止めようとしても話聞くどころか、ますますヒートアップするんだもの。
んで、そんなこと繰り返してたら何か懐かれちゃってな。大人から評価されるのはそう振る舞ってたから当然だけど、一体全体なーんで子供たちに一目置かれたのかさっぱりだ。間入って頭はたいてそれっぽいお説教垂れてただけなのにな。
まあそんなこんなで大体一年くらいかな、修道院での生活は。上から解散命令が出て、みんな元の居場所に帰ってったよ。面倒多かったけど、あれはあれで穏やかでいい生活だったなぁ……。
……とと、わるいわるい、つい懐かしくて。あーそれでその後か。
解散した後は家族のところに戻って今まで通り、敬虔な信徒を演じる毎日さ。ん?辛くなかったか?いや別に、もう慣れきってたからなぁ。ここまで来ると作業みたいなもんだし、適当にそれっぽくしてれば何とでもなったからな。
ーーーまあ当然、そんな欺瞞すぐに暴かれてしまうんだが。
いや、最後までバレなかったよ。原因は俺じゃなくて外部要因でね。ニ年前くらいかな、神の御加護ってやつ?それを授けますとかいう儀式みたいなのやったんだよ。んで、その御加護ってのが信仰心の深さによってより強くなるって代物でさ。
うん、バレたよね。信仰ゼロだもの、加護なんてあるはずないわな。
後はまあ転げ落ちるみたいに信用失い、破門されて親泣かせて逃げましたとさ。めでたしめでたしってオチ。その後は日本に戻って完全な一人立ちさ。仕送りもない一人暮らしってのはキツかったけどまあ何とかなったし、何より誰彼憚ることなく自由に出来たから楽しかったけどな。
ーーーーっと、しまったしまった。アーシアの話しなきゃいけねえのに、すっかり自分語りしてしまった。悪い悪い。
確か、ちょうどアーシアが教会から追放されて少し頃だったかな。日本で世話になってた人に頼まれて、一度ヨーロッパに行ったんだよ。魔法関係の品が必要だからーって灰色の魔術師【グラウ・ツァオベラー】にお使い。お使いついでに面白いものも買ってホクホクしながら歩帰ってたんだけど、そこでアーシアが行き倒れてんの見つけちゃってさー。いやー、一瞬死んでんのかと焦ったけどね。
そんでここであったんのも何かの縁ーって数日間彼女に付き合って、そこで助けになればと思って幾つかマジックアイテム渡したりしたんだけどさ。その中に透明マントみたいなものもあって、多分見つからなかったのはそれだと思う。あれ、視覚だけじゃなくて聴覚嗅覚に加えて赤外線とかの光波とかも遮断する代物だから、索敵に引っかからなかったんじゃないかな。
……え、その後?いや、普通に別れたけど。面倒見ようとは思わなかったのかって?いや思ったけどさ。俺も生活に余裕なかったし、アーシアも何も言わなかったし。
……解ってるよ、それくらい。でもさ、それは俺じゃなくて、愛と勇気を胸に戦う主人公君の役割だと思うんだ。それを横から掠めとるのは、ただの恥知らずさ。
「とまあこんな感じかな。透明マントモドキで逃げ切れるとは思えんが……何か質問は?」
「正直アーシアの件どうでもいいから真悟の家庭事情掘り下げていい?」
「いかんわどあほう。そっちがアーシアと俺の関わり聞いてきたのに主旨変わってんじゃん!どうでもいいの俺の事情は!」
「そんなこと無いわ!アタシそう言う話弱いから……うぐっ、ひぐっ……あ、もう駄目想像しただけで泣きそう。辛かったでしょうねぇ……っ」
「おいやめろ、俺にはラノベヒロインみたいにお涙頂戴な不幸話なんざないってか誰だお前は!?」
うっかりアーシアと関わりがある事をばらしてしまい、仕方なく過去語りを敢行した俺であったが……コイツラちょっと自由すぎない?しかも話してる間に知らない人増えとるんやけど。誰やコイツ。
「ああ、紹介してなかったね。彼女は高木音寧、さっき話したもう一人の部員だよ」
「音寧です!これからよろしくね、真悟君!」
高木音寧(たかぎおとね)という名前らしい彼女は片手を上げて溌溂とした様子で話し掛けてくる。
ミディアムヘアの黒髪に黒目と容姿は典型的日本人な少女なのだが、何故か学生服の上から黒いローブととんがり帽子を装備している。因みにAPPはざっと14程度、クラスで3番目くらいの美少女という奴である。
「で、その格好何?コスプレ?」
「ふふん、聞いて驚け見て笑え!こう見えてわたし、魔法使いなんです!」
「見たまんまだが?」
ドヤ顔してる所悪いんだが、ねるねるねるねのCMに出て来そうな格好されたらそうとしか見えない。というか、ここまでテンプレートだと最早ギャグだな。
「とりあえず渾名ねるねるねるねだな」
「やめて!割と散々言われて傷付いてるんだから!」
「会う転生者皆から言われてるよねぇ」
「まったく、失礼にも程があるよ!」
じゃあ格好変えろよ……。
俺達が何でもない会話を続けていると、二回手を鳴らす音が甲高く響いた。
「はいはい、冗談はこれくらいにして、話進めるよ?」
「あいよー」
「……ねぇ、私は冗談ではないんだけど。聞いてる?ねえ!?」
音寧が聖人にしがみつき肩を揺さぶる中、聖人は全く動じずお茶を啜る。うん、二人の関係性読めてきたぞぉ!
「んで?話し戻すって言っても、俺大体話したぞ?」
「つまり、真悟はアーシアの足取りは分からないし連絡も取れない。そういうことでいいね?」
「ああ、偶然行き会っただけだからな。あいつ連絡手段なかったし、もう会うこともないだろ」
「……連れて帰ってくればよかったんじゃないの?こういったら何だけど、確実に付き合えたと思うわよ?」
……音寧の言葉に思わず口を噤んでしまう。確かに、あの時アーシアに「家に来るか?」と一言言うだけで、謂わばお持ち帰りが出来ただろう。転生者としてはそっちのほうが正しいんだろうけど……なぁ。
「原作に関わらないようにしようってのもあったけど、それ以前に女の子を装飾品みたいに扱うのは、ちょっとなあ。しかもアーシア、普通に知り合いだし……」
よくある二次創作のように、女の子侍らせてハーレムとか出来るなら、前世でとっくにやってるわ。流石に人をゲームのヒロインよろしく攻略対象として見るのは抵抗がある。あの時俺の目の前で息衝き、話したアーシアは決してラノベのキャラなどではなかった。
「それに生活に余裕があったわけじゃなかったしな。今でこそ親と暮らし直してるけど、二人は敬虔な信徒だからアーシア受け入れるの難しいだろうし」
「フーン……ま、よくあるオリ主みたいに都合よくは行かないよねっ」
「え、なんでそんなにウッキウキなんだ?」
「転生者って、どうも原作キャラを人間ではなくキャラクターとして見ることが多いからね。そういう人って、そもそも疎まれることが多いんだ」
「新しい部員がまともな人で良かったなーって思って!」
「ああ、なるほどな」
確かに、原作キャラと仲良くしてあわよくば……ってのは多そうだな。正直、俺も彼らをキャラクターとして見てるってところは否定できないしなあ。アーシアの場合は、面と向かって話したことがある知り合いだから人間として見てたってだけだし……。
でもそうか。確かにキャラとして上から目線で接してたら、嫌われて当然だよな。俺も相対するときは気を付けないとな……いや、原作に関わる気はないけれども!
「まあそれは置いておくとしてだ。アーシアの件、結局どうすんの?」
「真悟は連絡取れないし場所もわかんないんでしょ?なら僕たちは静観でいいでしょ。わざわざ関わる必要はないしね」
「ふーん。お前はそれでいいの?連絡回ってくる程度には他の連中と繋がりがあるんじゃねえの?そっちへの義理立てとかさ」
「……。嫌、あくまで連絡網っていうだけだから大丈夫さ。別に取引とかしてるわけじゃないから、情報共有の義務はないさ」
だから気にしないで、と笑う聖人。まあ、俺に出来る事なんもないし、それ以外にないわなあ。
「しかし、堕天使勢力もアーシア囲ってないのか。これ原作どうなるんだ?」
「さあねえ。兵藤一誠は悪魔化してるし、大筋は問題ないんじゃない?この混迷とした世界で『原作』が意味を持つかは疑問だけどさ」
「あー……」
よく考えればそうだよなぁ。勢力図全然違うから、どこまで原作に沿うか未知数なのか。
「英雄派のイベントなんて影も形もないしなぁ」
「下手したら禍の団関連全部なくなるかもよ?」
「いやそれは流石に……ないよな?え、ないよな!?」
「原作数十巻分の内容なくなるとか、もう別作品よねぇ……」
いや、そう思うなら少しは焦れよ!何でそんなのんびりお茶飲んでんの二人とも!?
あれか?もうどうしようもなくて諦めてんのか!?
「ま、のんびり行こうよ。どうせ私ら外様だし〜?」
「原作乖離がどのくらいかを楽しむのもこの世界の醍醐味さ。外野からワイワイヤジ飛ばしながら、お菓子片手に見物するのも乙なものだね」
すげえ、完全にゆったりたっぷりのんびりムードだ。縁側でお茶啜ってるおじいちゃんおばあちゃんみたいになっとる……。
……いや、待てよ?よくよく考えたら、俺も元々は原作に絡まず、のんびり外野から眺めようとしてたな。世界観ぶっ飛びすぎてすっかり忘れてたが。
じゃあ、このまま物語を静観してても、本来の予定とは変わらないのか……?
「なーんだ、焦って損した。ジュースとかってあるか?喋りすぎて喉乾いたわ」
「冷蔵庫の中に一通りあるよー。お好きにどーぞ!」
「さんきゅー」
原作の舞台に飛び込んじゃったからどうしようかと思ったけど、これなら問題ないな!話が合いそうな(ネタ的な意味で)奴とも出会えたし。
何か原作が跡形もなくなりそうな気配はするけど、もうそんなの関係ないですけどねっ!
さて。
三縞真悟が呑気にコーラを一気飲みしていたまさにその頃。
「あの、ありがとうございます!わざわざ道案内まで……!」
「いやいやいや!こっちから頼んだことだからさ!気にしないでくれよ!なあ彩都!」
「おう。どうせあのまま学校行っても遅刻だったしな。遅刻もサボりも大差ねぇ!」
「そこは気にしろよ!そんなんだからお前、先生に目ぇつけられてんだぞ!?」
「お前には言われたくねえよ覗き魔イッセー!」
「あははっ、お二人とも仲良しなんですね」
件の追放された元聖女、アーシア・アルジェントは、原作主人公である兵藤一誠とその親友である瑞風彩都(みずかぜあやと)との邂逅を果たしていたのであった。
そこは、一切の光もない暗闇に閉ざされた場所。一寸先すら見えない暗黒の中で複数の気配が身を焦がす程の興奮と熱情を滲ませていた。
『ナニカ』を今か今かと待ち望む彼等のうちの一人が、勿体ぶった口調で口火を切る。
「諸君。駒王町にて、アーシア・アルジェントが遂に発見された」
おお、と気配達から声が漏れる。そこに含まれるのは感嘆と歓喜。遂に来た、満願成就の夜を目の前にした鬼共のように。
「遂に始まるのだな」
「数十年間の苦労が報われると言うものだ」
「どうする?今から部隊を差し向けて間に合うか?」
「周辺の街に即応可能な部隊は配置済みだ、問題ない」
「これでアーシアは我々のモノ」
「待ちに待った時が来たのだ……」
「下品なんですが……その……」
「言わせねえぞ?」
「ファミチキ下さい」
「「「誰だ今の」」」
「静粛に」
ただ一言。それだけで雑然としていた場と空気は一瞬で静まり返った。
「年甲斐もなく興奮する気持ちは理解するが、場を弁えよ。重要な会議の席だ」
壮年の男性と思われるその声に、あれ程までの熱情を放っていた者達が次々に謝意を示す。ただそれだけのやり取りで、この場における彼の立場がどれだけ重いものかわかるだろう。
そう、『彼』こそが彼等を率いる長。生まれ持った才能とカリスマ、そして尋常ならざる努力によって『組織』を作り上げた男なのだ。
「この時の為に、我々はあらゆる努力をなし、綿密な計画を立ててきたのだ。後は実行するのみ」
『彼』の言葉に、その場にいる全員が息を飲む。
「兵を動かせ。駒を進めよ。霊長の頂点は誰か、蝙蝠モドキの寄生虫共に思い知らせるのだ」
「「「応ッ!!」」」
王たる『彼』の言葉に、その臣下にして同志は異口同音で答える。
彼等が目指すは世界の頂き。あらゆる技術を進歩させ、数多の神秘を食い漁り、死した神が座る玉座に人の身を据えること。
即ち、世界の覇者は自分達人間であることを知らしめることこそ、彼等の野望であり最終目標なのだ。
「兵藤一誠の死と復活が開幕の号砲ならば、アーシア・アルジェントを巡る戦いこそ劇の第一幕。本来ならば主人公の門出となるイベントを、人の手で奪い取る」
さながら謳うように、『彼』は言葉を紡ぐ。それは周りへの呼びかけでありながら、『彼』自身その語りに酔いしれているかのようだった。
然り。それは一人の男がひたすら持ち続け焦がれ続けた夢であるが故に。
「
そう言って『彼』は、彼等は、裏世界で『企業』という名を轟かせる一大勢力の重鎮達は、力強く立ち上がった。
久しぶりに投稿画面みたら使用楽曲の欄があってビビる…なにその機能知らない。