階段を昇っていく。昇っている間、俺はオッタルの主神について考えていた。
たぶん、ムキムキの武神かな~。絶対、男神だろ。でも、こんな上の階に住んでる神いたか?なんて思っていた。
そう、俺は聞くべきだった。主神の名は?と。これから会うので知らない方が面白いとか考えたことを後悔するのは先のことだ。
二人とも何もしゃべらず、最上階に着いた。
オッタルが装飾が施された扉を叩く。
「フレイヤ様、失礼します。」
え?
フレイヤ?あの他の神から気に入った団員を奪うことで有名な?都市最強
派閥ともいわれるあの?
頭が混乱している俺をおいてオッタルが扉を開けて中に入る。俺もついていった。
そして、出会った。後に心の底から愛し、憎む女に。
「あら、こんにちは。」
窓から外を見ていたのだろう。振り向いてこちらに目を向ける彼女に心を奪われた。
この世の美しさを全て詰め込んだような身体、鈴を転がすような声、そして見るものの心を奪うその目。
「大丈夫か。」
オッタルに声をかけられて、ハッとした。
ダメだ、予期していなかったとしても相手はあのフレイヤだぞ。気を引き締めなくては。
「ああ、大丈夫だ。」
フレイヤに目を向ける。
「こっちに来て?」
気を抜いたら、魂をもってかれそうだと思いながら、近づく。
オッタルがフレイヤに何か囁いている。それを聞いてフレイヤは少し驚いていた。
「初めまして、私はフレイヤ。あなたのお名前は?」
「スライス、スライス・ミントだ。」
「そう。何で私のファミリアに入ろうと思ったの?」
「フレイヤ様のファミリアに入ろうと思ったのではなく、オッタルのような強い目をした者がいるファミリアに入りたいと思ったから。」
頭の中のこと全て喋ってしまう。
「私のことは知ってる?」
「ああ、俺が最も嫌いな神だ。」
空気が凍った。というかフレイヤの後ろの方がめっちゃ怖い。オッタル無表情だよね?
「どうして?」
一方フレイヤは楽しそうに微笑んでいる。
「俺は画家としてオラリアに来た。画家が書きたいと思うのは、美しいものだ。
そして、俺が思う美しいものは移ろい変わる行くもの。それのわずか一瞬を切り取るの画家だ。だから、不変の神は嫌いだし、美として完成しているあんたは最も嫌いだ。」
神は下界の子供たちの噓が分かる。だから、フレイヤには、俺が言ったことが本心だと分かっていた。
(あぁ、こりゃ駄目だな。)
そう思った。
だけど、フレイヤはこう言った。
「私のファミリアに入りなさい。」
俺はフレイヤファミリアに入ることになった。
次回はオッタルsideです。