「ありがとう。でも、ごめんなさい」
「え?」
頭を下げるリリーに私は困惑の声を漏らす。
どういうこと、ごめんなさいって?
「よっちゃんの気持ちはうれしい。でもね、よっちゃんは友達としてしか見れない。それに、私は他に好きな人がいるの」
「……そう」
もしかしたら、他に好きな人がいるかもとは思ってた。でも、きっと大丈夫だと思ってたから結構堪える。
リリーの好きな人って誰だろ?千歌かな?それとも曜?
「もしかして、千歌?」
「ううん。曜ちゃんだよ」
「……そっか」
その答えにどこか納得がいく。千歌と曜の二人は特に仲が良かったから、どっちかだと思ったから。曜は確かに私には無いいい所がいっぱいある。
「よっちゃん、きっと告白するのにすごく勇気を振り絞ってくれたんだと思う」
「うん」
「私ね。曜ちゃんに告白するのがずっと怖かったの。フラれるんじゃないかって」
「うん」
「でも、それじゃダメなんだよね。勇気を出さないと。だから、私も勇気を出すね。曜ちゃんに告白する。告白されすぐに別の人に告白しに行くのはおかしいかもしれない。でも、きっとこのまま何もしないでいたら、告白してくれたよっちゃんも前に進めないと思う」
リリーは私の告白で踏ん切りがついたのかそう言う。リリー自身の為なのか、私のためなのか。
「そう。なら、応援するわ。でも、私をフッたからには絶対幸せになりなさいよ!」
「うん、ありがとう。よっちゃん」
どっちでも関係ない。リリーの好意が私に向いていないのなら。だから、せめて私はリリーの幸せを願うことにする。
そんな私に、リリーは笑みを浮かべる。
でも、今曜は千歌に告白されているはず。もし、曜が千歌の気持ちを受け入れたらリリーはどうなるんだろ?
~☆~
あれから数時間が経った。
私は砂浜に寝転がっていた。
「何がダメだったんだろ?」
「さぁ?私にもわからないよ」
私の問いに、隣に寝転がる千歌がそう返す。千歌の目にも涙が流れた跡が残っている。
千歌の告白に対して、曜も好きな人がいたらしくフラれた。しかも、その好きな人がリリーで、本当にリリーは曜に告白して、二人は付き合いだしてしまった。まさかすぎる。
でも、リリーには幸せになって欲しいから、曜から奪おうなんて気は起きない。千歌もそんな感じで、曜の幸せを願った。
リリーが好きだったという気持ちが無くなった。ううん。無くした今、そこはからっぽで何も無い。恋が実らないと、こんなに空虚な感じになるなんてね。
だから、千歌の問いの答えを返せない。
「ねぇ、恋ってなんだったんだろ?」
「うーん、よくわかんない」
「……そう。ねぇ、千歌」
「ん?」
「私たち付き合わない?」
付き合えば恋がなんなのかわかるのかもわからず、なんとなしにそう口にした。今はただこのからっぽな気持ちを埋めたかった。
「善子ちゃん、チカの事好きなの?」
「そうね。よくわかんない」
「そっかぁ」
千歌の事が好きなのかはよくわからない。でも、嫌いではない。まぁ、互いに好きな人がいて、一緒に相談し合ったりと、わりと一緒に居る時間は多かったから、他の人に比べれば好きなんだと思う。
「うん、いいよぉ」
「いいんだ」
「うん」
「よっと」
身体を起こすと、隣で千歌も身体を起こす。
「じゃぁ、新しい恋が見つかるまでってことで」
「うん、新しい恋が見つかるまでよろしくね」
私が左手を上げると、千歌は右手を上げ、私たちはそう言ってパンッと手を合わせるのだった。
~☆~
数年後。
「善子ちゃん、遅れるよ!」
「わかってるわよ!よし、準備完了!」
「大学まで走れー」
「ちょっ!朝から走んの!?」
「そうしないと遅刻しちゃうよー」
「はぁー仕方ない。だから、放すんじゃないわよ!」
「うん、もちろん!ずっと一緒だよ!」