思いつき置き場   作:エルナ

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なろうで投稿予定の連載の第1話
書き貯め中なんだよね(遠い目)


勇者に幼馴染を寝取られた少年に出会ったので弟子にする

クスフェア大陸南部。

大陸の西部を支配し、大陸二強に数えられるブラックトン帝国に面するアルスター王国。

その同名の首都。

王都アルスターの冒険者ギルド。

仕事を求める冒険者や、昼間から酒を飲みバカ騒ぎする冒険者。

それらによってガヤガヤと騒がしいギルドにドドーンと大きく音を立てて扉が開いた。

 

「野郎共!英雄の凱旋じゃぁぁあ!!!」

 

そう言って入ってきたのは1人の青年——いや、まだ少年と言うべき年頃の男の子。

細く鍛え上げられた肉体を緑と白を基調とした服が纏い。

炎の如き赤い髪を持ち、整った顔で楽しげに笑う少年の名はキア。

齢18歳にして冒険者の最高ランクSS級冒険者の1人に名を連ねる天才だ。

 

「もうキアったら」

 

そう言ってキアに続いて入ってきた少女の名はソフィー。

雪のように白い髪を揺らしながら、呆れた表情を浮かべるその顔は芸術品のように整っている。

蒼い鎧を所々に装着し、青と白を基調とした服を下に着込んでいる。

彼女も同じく齢17歳にしてSS級冒険者である。

 

大陸でも数える程しかいないSS級冒険者2人の登場に、しかし驚く者はほとんど居ない。

 

「おう、キア!久しぶりだな!仕事は片付いたのか?」

「おうともよ。最強の俺らにかかれば隣国で出たS級モンスターの1匹軽いもんだぜ」

「キア〜、実はまた嫁に家出されたんだよ〜、助けてくれ〜」

「またかてめぇは!仕事ばかりになるなって何度言ったら分かりやがる!」

「キア!いいところに!実は今金欠なんだ!金貸してくれ!」

「いい大人がガキにたかるな!」

 

本来なら恐れられ嫌煙されるSS級冒険者だが、彼らの人徳故か距離がだいぶ近い。

たちまち彼らの周囲に人だかりが出来て軽口を叩き合う。

 

「よっしゃぁ!今日は俺の奢りだ!野郎共飲みまくるぞ!」

「「「うぉぉおおおおお!!!」」」

 

拳を突き上げてキアが言い放った言葉に周囲の冒険者達は歓声を上げた。

大きな仕事をこなすたびにこのように太っ腹に奢ることも彼らと冒険者達の距離を縮める一因だろう。

 

「ダメ」

 

さらに騒がしくなったギルド内にピシャリとソフィーの声が響く。

その声にギルド内はシーンと静まり返る。

 

「え?ソフィーなんで?」

「あのねぇ……仕事先でも依頼達成祝いだぁって言ってそっちの冒険者達と散々飲んだでしょ?別に奢るのはいいけどキアはお酒飲んじゃダメ」

「そ、そんなぁ……」

 

その言葉に両手を着いて絶望に暮れるキアを周囲の冒険者達は笑いながら叩く。

 

「ハハハッ!さすがの業火の覇者様も嫁には弱いらしいな」

「立派に尻に敷かれてるじゃないか」

「るせぇ!てめぇら奢るのやめるぞ!」

「「すいませんでした!」」

「……恥ずかしくないのか?」

 

即座に綺麗な土下座を披露した2人の大人に怒りを引っ込め呆れて言った言葉に周囲はドッと笑う。

 

業火の覇者とはキアの二つ名だ。

腰に提げた魔道具の剣は爆炎剣。

持ち主の魔力によって業火を吐く魔道具だ。

 

キアと同じくソフィーにも二つ名はある。

その名も氷雪の戦姫。

持ち主の魔力によって冷気を放つ魔道具——氷雪剣とその美しい見た目からそう呼ばれる。

 

ちなみにどちらも付けられた二つ名を気に入っていない。

特にソフィーは目の前で言えば笑顔でキレる。

 

ガヤガヤと騒がしく周囲の冒険者達と話をしながらしょうがないのでキアは酒を諦め、ソフィーと食事だけすることにした。

 

「あ、そういえばキア知ってるか?この街に今勇者様が来てるんだぜ?」

「なにぃ?」

 

相変わらず見事な味のギルドの食事に舌鼓を打つキアは冒険者の1人が言った言葉に不愉快そうに眉を顰めた。

いや、キアだけではない、隣に座っているソフィーも一緒に眉を顰めた。

 

「あのクソ野郎まだ懲りてねぇのか。今度こそ灰にしてやろうか」

 

低い声で殺気すら纏ってキアは言う。

 

勇者とは伝説の聖剣に選ばれし者の名称だ。

同じ存在として聖女がいる。

現在はとある出来事のせいで聖女は不在だが。

本来なら勇者は教会に属するが今代の勇者は元々冒険者でありゴタゴタしていて今はまだ冒険者ギルド所属である。

ランクはキア達と同じくSS級だ。

 

今代の勇者は中々の女たらしで色んな女に手を出している。

顔がいいのと勇者という肩書きのため問題になることが少ない。

しかし、彼はかつてこの街を訪れた時にソフィーに手を出そうとした。

それを見たキアはニッコリとそれはもういい笑顔を浮かべた。

その一時間後、ボロ雑巾になって見上げる勇者をキアはゴミでも見るかのような目で奪った聖剣を手で弄びながら見下ろしていた。

 

キアとソフィーは若いが夫婦である。

しかもかなり熱々の。

ソフィーが嫌悪を浮かべる前に同じSS級冒険者でありながら圧倒したキアは倒れる勇者の眼前に聖剣を勢いよく突き刺すと一言。

 

『次はないぞ』

 

その時の勇者の目には怒りも屈辱もなくただ恐怖だけがあった。

 

にもかかわらず再び自分達の下に現れた勇者に今度こそ塵にしてやると息巻くキアを見て、冷や汗を垂らしながら冒険者は言う。

 

「いや、お前らに会うために来たんじゃなさそうだったぜ?なんかビクビクしてたし。まぁ、お前らがいないと知ったら横暴な態度取り出したけど」

「あ〜そうなの?んじゃどうでもいいか」

 

冒険者の言葉に即座に興味を失った様子のキアは食事を再開する。

 

「どうでもよくねぇよあいつSS級冒険者だからって好き勝手してるんだぜ?何とかしてくれよ」

「つっても俺らが帰ってきたって知ったら大人しくなるだろ。そもそも何しに来たんだか」

「貴族関係だったらめんどくさいよねぇ」

「教会もな。勇者だから教会の可能性が高そうだが」

「お前ら勇者に興味無さすぎじゃね?」

 

どうでも良さげに話す夫婦に冒険者は呆れた。




ヒッドイ毎日更新やなぁ……
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