とある村に一人の少年がいた。少年は村ではいつも独りぼっちであった。
村の者はその少年を良しとせずに嫌っていた。理由は彼の両親である。
彼の両親は自分達が闇ギルドの幹部である事を隠していたが、評議院にこの村で住んでいた事を見破られて捕まり、せめて我が子だけでもと両親はこの村に置いてもらう事を強く懇願した。
さすがに罪のない子供を捕まえることはできない評議院はそれを渋々了承したが村の者はそうではなかった。それもその筈、闇ギルドの幹部だった二人から生まれた子供だ。何時暴走するか……村の者は堪った物ではなかった。
そんな村の者の思いとは別に少年は純粋に成長していった。
ある日、彼はとある親子のやり取りを見て小さな夢ができた。
その夢を叶える為に村の書物をこっそりと読み、自分でも出来る物を見つけた。それは文字が掠れて読めなくなってしまったが、辛うじて読める箇所があった。
【拳で百万回殴り続ける】
ただそれだけしか解らなかったが、今の少年には充分だった。少年は急いで村の外れにある大岩まで走り、殴り始めた。
雨の日だろうと風の日だろうと少年は内に秘めた夢の為だけに一心不乱に殴り続ける。
『自分を見て欲しい』
『自分を認めて欲しい』
『自分を褒めて欲しい』
ただ、それだけの為に拳で大岩を殴り続ける。そして、ついに少年は百万回殴り続ける事ができた……だが……
『誰も壊せなかった大岩を壊(・)し(・)た(・)……ヒッ……』
『なんて……なんて恐ろしい!!』
『村の書物を勝手に読んだらしいぞ!』
『やっぱりあの両親と同じなんだ!』
『来るな化物!!』
少年が望んでた声や言葉は一切出る事なく、恐れや侮蔑の言葉しか出てこなかった。
幸か不幸か、彼が読んで実行に移したのは儀式によって得る事が出来る魔法の一文であった。少年は望まぬ力を得る結果となってしまったのだ。
それから月日は流れ、村にとある風習が行われた。その風習はこの村が何時までも安泰する為に数十年に一度行われる儀式である。
人身御供――俗に言う生け贄である。森に若い女子供をこの儀式の生け贄として送る為に長い話し合いになるのだが、今回はあっさりと決まった。
選ばれたのはあの少(・)年(・)である。
生け贄として森に送られる当日、目的地である森の前で少年は村の大人に聞いた。
『オレがそのイ(・)ケ(・)イ(・)ケ(・)になれば、皆は喜んでくれるのか?』
大人達は少年の声とこの儀式について聞かれた事に戸惑ったがそれを隠すかの様に喜び、少年に言葉を投げた。
『アリガトウ』
少年は自分が望んでたその言葉を聞き、森へと消えていった。
【FAIRY TAIL 拳の魔導士】
数年後、とあるギルドに所属する男性が依頼でこの森に入って出会いを果たす所からこの物語は幕を開ける。
某魔女結婚な少年漫画をベースに書きました。
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