この小説は、懐かしきダイパプラチナの、言うなればSS小説になります。久々にポケスペ見てたら、「すげぇ……こんな話が書けるのか……」と感激しまして。書いてみる事にしました、ええ。
という訳で、いつかはチャレンジしたかったポケモン小説。その中でも1番大好きで、今でもやっているダイパプラチナの話を選びました。個人的に「こうしてみたいな」と思った事を書いていますので、「ここ原作とちげーじゃん!」みたいな意見は御遠慮ください。
初っ端からくっそ長い前書きですが、楽しんでいただければ幸いです。
ではどうぞ。
「おーい、コウキー!」
外から僕を呼ぶ声がした。寝ぼけ眼をこじ開け、窓も開けると、もうかれこれ8年来の付き合いになる幼馴染――ジュンが、笑顔で手を振っている。
「ふわ……おはよジュン、どうしたの?」
「どうしたもこうしたもねーよ、テレビ点けろテレビ!『赤いギャラドスを追え!』やってんぞー!」
「えっ、嘘!?ありがとう、すぐ見る…どわあ!」
慌てすぎてベッドから落ちてしまい、ジュンの「大丈夫かー?」という声が聞こえる。
窓口から親指を立てているのを見せ、リモコンのスイッチを入れる。すると丁度そのチャンネルだった様で、赤いギャラドスについての調査と、その結果が映し出されていた。
「なぁんだぁ………見付からなかったんだ、残念」
「コウキ、朝から何をドタバタやってるの?ジュン君と一緒なら分かるけど、貴方今1人よね?」
「……あ、お母さん。おはよ」
「はいおはよう。朝ご飯出来てるから、着替えて食べちゃいなさい」
「はーい」
タンスから服を取り出し、パジャマを脱いで着替え、そのパジャマをお母さんに投げ渡す。ややしかめっ面をされたが、そこはご愛嬌という事で。
「……よしっ」
「家の中で帽子は被らない。何度も言ってるでしょう」
「いつものクセで……」
「ニャー」
小突かれたと同時に、お母さんの足元をするりと抜けて来たニャルマーが、僕の足に頬を寄せた。このニャルマーはお母さんのポケモンで、このニャルマーと一緒にコンテストを総ナメにしていたんだとか。今は訳あって居ないが、お父さんに「これはとっても凄い事だぞ」と何度も聞かされた。
「よしよし、おはようニャルマー」
「ニャーン」
喉元を掻いてやると、ゴロゴロと喉を鳴らして喜んでいる。因みに関係無いけど、僕はガーディの方が好きだったりする。そのお陰か、ニャルマー以外にもガーディが居る。数年前、お父さんが「ジョウト地方にたまたま居たから捕まえて来たぞ!」と言って、モンスターボールと共に渡してくれた時の興奮と言ったら凄かった。
「ガーディは下?」
「ええ。散歩に連れて行ってくれるのを、うずうずしながら待ってるわよ」
「わあ、それは早く行かないと」
踏み外さない様に、でも最大限急ぎながら下に降りると、ちぎれんばかりに尻尾を振ったガーディが飛びついてきた。
「キャンキャン!」
「おおっ、と。よしよし、ちょっと待ってな」
ガーディを一旦鎮め、朝ご飯を大急ぎで食べる。陽気なガーディだが、僕の言うことはしっかりと聞いてくれるから、信頼されているのだろう。ちょっと鼻が高い。
「ご馳走様。よーしガーディ、待たせてごめんな。行こう!」
「キャウーン♪」
ドアを開け、ダッシュし始めた途端、ジュンの声が聞こえた。
「おーいコウキ!湖の方行ってみようぜ!」
「うん、分かった!ガーディ、良いかい?」
小首を傾げ、それから大きく頷いたガーディの賢さに改めて凄いと思いながら、ジュンが勢いよく出てきたのにぶつかった。実はよくある事だったりする。
「いっ、たたた……ジュン、ダッシュは距離を考えて……」
「いちち……悪い悪い、201番道路集合な!遅れたら罰金100万円だ!」
「んな無茶な!……行っちゃった」
でもよくよく考えれば、時間を指定されていない訳で。つまり、遅刻というのは実質有り得ない訳だ。
「……やっぱり根は優しいんだなぁ……っといけない、走ろう!」
「ワンッ!」
「遅ーい!」
「ええ!?」
ここまでワンセット。ジュンの方が圧倒的に足が早いので、大抵こうなってしまうのだ。
「まあいいや、赤いギャラドスって湖に居たよな?」
「へっ?」
話題がかなりすっ飛んでいるので、思わず素っ頓狂な声を出してしまう。……コホン、確かあれは『怒りの湖』という名前の湖だった様な……まあ兎に角、湖である事は事実。
「うん、居たね」
「でさ、シンジ湖も何か居るらしーんだ。スゲーポケモンが!」
「ああ、確かにお婆ちゃんが言ってた!なんか、シンオウ地方の守り神とか何とか……」
「それだ!そいつを今から捕まえに行くぞ!」
「ええ!?」
何ともまあ、罰当たりな事を考えたものだ。しかしジュンが無茶を言うのは初めてではないので。最早慣れてしまっているのも事実。
「で、でもモンスターボール無いし……」
「うっ……仕方無い、会いに行くぞ!」
「おー!」
「キャーン!」
―*―*―*―*―*―*―*
「そう言えばさ」
「うん?」
「シンオウ地方の守り神って、どんな見た目なんだろうね?」
「そーだなー……なんか、カッコイイ見た目じゃないか?」
「おおー、楽しみだなあ……ってあれ、誰?」
女の子とお爺さんが、何やら変わった変わってないと話しているみたいだけど、よく聞こえない。何せ木の陰から聞いているのだ。
「わっ、こっちに来た!」
「いやいや、流石に何もしてこないって……」
「失礼、通してもらおう」
「ごめんなさい……ちょっと通りますね」
2人が去っていくのを見送り、向き直った瞬間、ジュンと同時に「あっ!」と声をあげた。
「あのお爺さん……鞄忘れちゃってるよ……」
「でも草むらの中だぞ?危険だから入るなって……あ、でも、お前のガーディが居るから大丈夫じゃないか?」
「うーん……でもどうだろう……ガーディ、戦える?」
「クゥーン……」
「自信無いって。どうする?」
「……ええい、バッと行ってバッと帰って来よう。行くぞ!」
「う、うん!」
互いに目配せして、「せーの!」の掛け声と共にダッシュで鞄の所に向かい、鞄を回収――する直前、2匹のムックルが襲い掛かってきた。
「うわわっ!?」
「くそっ、あっち行け!……そ、そうだ鞄!鞄の中に何か無いか!?」
「えーとえーと……も、モンスターボールが3つ!」
「よし、それ使わせてもらおう!」
迷わずボールを掴んだジュンが、そのボールを投げると――
「ポチャー!」
青くてちっちゃい、ペンギンみたいなポケモンが。
「……これだ、行けっ!」
「ヒッコ!」
僕が投げたものからは、茶色っぽくてお尻から火が出ているサルみたいなポケモンが出てきた。
「ガーディ、こっちに来て!……えーと、『ひっかく』!」
「コァァァッ!」
サル(名前が分からないので、申し訳無いがそう呼ばせてもらう)がムックルの顔を引っ掻き、驚いたムックルが距離を取った。
「よし!とりあえず――」
――いや、『たいあたり』だ!
「避けろ!」
「ヒコッ!」
姿に違わず、俊敏な動作で横っ飛びしたサルは、ムックルの事を凝視している。……いや、睨んでいる?
サルの顔を見たムックルが、少し怯えた様子で突っ込んで来る。やっぱり、あれは『にらみつける』だ。
「凄いな、こいつ……狙って狙って……今だ、下から『ひっかく』!」
かつてP―1グランプリで見たエビワラーのアッパーの様に、下から掬い上げる様に引っ掻かれたムックルは、か弱く鳴きながら逃げていった。
「……ふぅー……」
いきなりどっと疲れが出て、その場に座り込む。
「終わった……か?」
「みたい……お疲れジュン……」
「クゥーン……」
何も出来なかった事を申し訳無さそうに擦り寄ってくるガーディを撫でながら、サルをモンスターボールに戻す。ジュンも同じ様に戻して座り込み、手を後ろについて空を仰いだ。
「なんか……ポケモントレーナーってすげえんだな……」
「うん……こんな事を何度もしてるんだもんね……」
疲れ切った状態で、2人揃って微妙な顔で笑った。
だがそんな顔も、一瞬にして凍りついた。
「あっ、あったあった!良かったー、博士に怒られる所……だっ、た……?」
女の子が漏らした安堵の声が、段々とフェードアウトしていくのは、この状況を見たからだろう。
開いている上、3つのボールの内2つが無い鞄。疲れ切った顔で、草むらに座っている、ムックルの羽根が所々に付いている2人組。その手には、鞄にあった筈のモンスターボール。
これを見て、女の子も何があったかを察したのだろう。
「え、えっ?もしかして貴方達……ポケモン使っちゃった!?」
ジュンと顔を見合わせ、ガーディも同時に頷く。それを見た女の子は、何かを恐れる様な顔になった。……ごめんなさい。
「どうしよう……博士怒るかな……と、とりあえず鞄は持って行くね」
最早泣きそうな女の子が、鞄を持って足早に戻っていくのを見た僕達は、何だかいたたまれない気持ちになった。
「……とりあえず、俺達も戻ろうぜ」
「そうだね……ごめんねガーディ、家に帰ろう」
「クゥーン……」
「……このポケモン達、返さなきゃだよね……」
「でも、どうやって返すんだ?俺達、あのじーさんの住んでる場所知らないぜ?」
「確かに……仕方無い、また今度考えよう」
――キュウウーン!
「「!!」」
バッ、と立ち上がったジュンが、湖の縁に立ち、辺りをキョロキョロと見回した。
「……今の、聞こえたか!?」
「うん、聞こえた!今の声……守り神だよ!」
「ああ!……でも、どこにも居ないな……」
「きっと、僕達がまだまだ、って事なんじゃないかな?」
「そうか……よっしゃ、もっともっと強くなって、凄いトレーナーになったらまた来るからな!待ってろよー守り神!」
「それまで僕達を見守ってて!絶対にまた来るから!そして……」
「「いつか、捕まえてみせる!」」
高らかに宣言したその声に、守り神はもう一度鳴いて答えてくれた。まるで、待ってる、と言わんばかりに。
―*―*―*―*―*―*―*
「ただいまー」
「あらお帰り。……あら?そのボールは……」
「うん、実は……」
事情を説明した後、「人のものを勝手に使うんじゃありません!」と怒られる事を予想した僕は身を縮めたが、お母さんは僕の頭に手を置いただけだった。
「コウキ、その人は恐らくナナカマド博士よ。ここからすぐ近くのマサゴタウンに研究所があるわ」
「マサゴタウン……」
草むらを挟むが、それでも歩いて30分掛からない。……これで「キッサキシティに研究所がある」なんて言われていたら、その時は諦める所だった。良かった良かった。
「そう。だから、返しに行くならそこへ行きなさい」
「うん、分かった」
「ほら、貴方の帽子と鞄。それからこれ、ランニングシューズ」
「わあ……お母さん、これ買ってくれてたんだ!」
「ええ、思いっきり走ってきなさい。お昼ご飯を食べて、食休みをしたらね」
「うん!」
因みにガーディは、『かみつく』『ひのこ』『にらみつける』が使えるらしい。それとさっきのアレ、自信無いんじゃなくて単にめんどくさかっただけみたい。こいつ、上手なサボり方を知ってる……。
1話目から4000字オーバーとか書いた事無かったです()
今まで書いたのは平均2000字ぐらいだったので、この小説では1話を長めに書きたいなと思っとります。
ではまた次回。