のんびり巡ろうシンオウ地方(仮)   作:ユキノス

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前回の投稿から実に10ヶ月以上ぶりです。お待たせし過ぎにも程があるし皆話忘れてるでしょ。


あの時と同じように

「ピッピー!」

「ピクちゃーん! 良かったぁ怪我とかしてなくて……心配したよぉ……」

 

ハクタイビルから帰る時、いつの間に逃げたのか中はもぬけの殻だった。途中、ギンガ団達が書き残していたメモや研究レポートなんかを見つけたけど、よく分からない事ばかり書かれていたので見るのをやめた。

 

で、今はピクちゃん護送任務を無事遂行した所。幸いケガは無くて、ほんとにお腹が苦しかったぐらいだったそうで、元気に走って主人に抱きついているのを見ると、昔から仲良しだったのを知っている身としては目頭にくるものがある。

 

「2人とも、ほんっとにありがとうね! お礼にご馳走するから! ね、ママ」

「ええ、もちろん。3人揃うの久しぶりだわぁ、楽しみにしててね」

「アイリママ! お久しぶりです」

「おばさんも元気そうで何より。ドレディアもな!」

 

アイリのお母さんことアスカさんは、かつてイッシュ地方の『ポケモンミュージカル』で人気を博した凄いヒト。

その相棒であるドレディアとはイッシュ地方に留学していた時に会ったらしく、一目惚れでゲットした──というのはかなりの数聞いている。

しかしある時、ライバルの1人と1匹の謀略にはまり、それをキッカケに現役を引退したとか。

 

「こんにちは、ドレディア。……僕らのこと、覚えてる?」

「大丈夫、覚えてるわよ。だって、アイリがしょっちゅう……」

「わ、わーっ! お母さんおナベ焦がしちゃうよ!」

「あらいっけない、じゃあお部屋で待っててね」

 

はーい、と3人(とホムラとドレディア(2匹))が返事した後、アイリが嬉しそうに部屋へ招くので着いて行く。可愛らしい家具を揃えた部屋の中に、1つの写真立てを見つけた。

幼い頃の3人が、川の字に寝ている写真。はて、いつのだったか……と記憶を漁ろうとした所で、写真立てが奪われた。

 

「………み、見た?」

「……少しだけなら」

「〜〜〜! わ、忘れて忘れて!」

 

そう言いながらぽかぽか叩いてくるけど、別に写真1枚でそんなに恥ずかしがることないだろうに……。

 

「おっ、どうしたどうした? 写真か?」

「わーっ、見ちゃダメ!」

「え、でも」

「めっ!」

「………は、はい」

 

普段は快活なジュンも、アイリと両親には頭が上がらないのは昔から変わらない。でもアイリは僕に頭が上がらない(アイリママ談)ので、見事な三竦みが出来ているのだ。…となると、アイリはいずれくさタイプのポケモンを手に入れる?

 

「あ、そうだ! トレーナーズスクールでさ、キクノ先生いたじゃん?」

「あーいたいた! すっごい強かったよねぇ」

「そりゃそーだろ、四天王なんだから。で、この前コトブキに行った時会ってさ! コウキと2人で挑んだんだよ!」

「で、どうだったの?」

「いやぁ、それが……」

 

僕とジュンがこれまでの旅の話、アイリがハクタイに来てからの話。それぞれがいなかった空白の時間であった話をお互いにしていたら、あっという間にご飯が出来ていた。

 

3年前と同じ仲間と、同じご飯を食べる。昔は日が暮れるまで遊んで、当たり前のように寝泊まりしていたけれど、今となってはそれも難しい。『大人になる』ってこういうことなのかな……とカレーを食べながらしんみりしていると、横から伸びてきたスプーンがコウキの皿から肉を奪っていった。

 

「食わないならもーらいっ」

「あっコノヤロ! 最後にとっておいてたのに!」

「さっさと食わないからだぞ。あーむっ、んん〜うんめぇ!」

「ちぇー、昔っから変わらないんだから……さっ!」

「おっと。へへ、カグツチは速くてもお前はまだまだだな」

「ぐぬぬ……」

「2人とも、食事中だよ」

「「あっ、はい……」」

 

その光景を見ていたアイリママと、ポケモンフーズを食べていたホムラ達が楽しそうに笑い、3人も釣られて笑っていた。

その後は交代で風呂に入り(服はアイリパパのものを使わせてもらった)、アイリの「久しぶりに3人で寝よーよ!」という提案により、アイリの部屋で川の字に寝る(左から、ジュン、コウキ、アイリ)ことにした。

 

「……なんだか、変な感じ。今こうして寝てると……2人が、とってもおっきくなったんだなって」

「そんなことないよ。僕だってすぐカッとなっちゃうし、ジュンだっていつも突っ走ってるし…」

「そーそー。俺たちは変わってないぞアイリ」

「むー……変わったもん」

「「……?」」

 

ジュンと2人で顔を合わせ、首を傾げる。全く身に覚えがないので、アイリに聞いてみると、返事の代わりにぺちぺち叩かれた。

 

「2人とも、とっても強くなった。3年前だったら、ピクちゃんが取られた時点で泣いてたもん」

「それは……」

「まあ……そうだよな。ピクちゃんはあんまり戦闘向きじゃないし、俺はポケモン持ってないし……まともに戦えるの、ホムラぐらいだもんな」

「そのホムラも、当時はほとんど戦えなかったからね……。まあ、これに関してはまだ認めてくれなかったのかな、って思うけど」

「今ではとっても良いパートナーだもんね。……ね、コウキ、ジュン。──私ね、いつか……ぽけもぅ、いーうい……」

「……寝ちゃったね」

「起こさないどこうぜ。色々あったんだ、疲れてるだろ」

「そりゃ勿論。じゃ、僕らも寝よ。おやすみ」

「おやすみ」

 

今日は本当に色々あった。シロナさんと会って、アイリと再会して、ピクちゃんが取られて、ナタネさんに怒られて、ジム戦に挑んで、ハクタイビルに突入して、ピクちゃんを助けて……そうだ、ナエトルに名前付けなきゃ。でもそれは、明日で良いかな……

普段は一番寝るのが早いコウキだが、今日は逆に一番遅かった。両隣りから聞こえる穏やかな寝息が、頬をくすぐる感触は中々に心地いい。

 

(アイリ。僕とジュンは、また色んなとこに行かなきゃいけない。また会えるのは、いつかわかんないけど……また、こうして寝ようね)

 

2人の人差し指をきゅっと握り、コウキはそっと瞼を閉じた。




次回更新はいつか、と言われても、正直わかりません。ですが自身の進路も考えないとなので、ある程度は受け入れてくださると助かります。
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