最近前書きは挨拶以外書いてないのですが、今回は書かせていただきます。
なんと、進路が決まりました!ヤッター!
以上です!(え)
「コウキ」
「すぅ……」
「コウキ」
「んん……むにゅ……」
「もう……朝だよ、起きて」
コウキは元々、そんなに朝早くから起きられる子ではない……というのは、3年前から変わらない。
というのも、眠りにつくのが遅い代わりに、眠ったら中々起きないのだ。布団をひっくり返したりしない限り、安らかな顔で眠りこける。だからこそ、ジュンに『ネッコウキ』なんてあだ名が付けられたわけだが。閑話休題。
アイリは、コウキがしっかりと握っている人差し指を離せず、起きているのに布団から出られない状態になってしまった。なので仕方なく──と本人は言い張っている──、コウキの頬をつついて遊ぶことにした。
「もちもちで柔らかいねぇ、コウキのほっぺ……」
「んー……んみゅ……」
「おはよー、朝だよー。起きてー」
「ぅ……はょ……」
「うん、おはよ。朝ごはん出来てるって」
「んー……分かった……」
……まだ寝ぼけているらしい。首がふらふらと不安定に動いている。
「……うりゃっ」
「ふみゃ!? やっ、ちょっとっ、くすぐった……」
「起きろー、起きろー、起きるのだー」
「わ、分かっ、起きた、起きたから、あっ、やめっ、てっ……」
「うむ、よろしい。ぱぱっと着替えて、朝ごはん食べよ?」
「う……うん……じゃあ、後ろ向いてるね」
「うん。……そろそろジュンが不機嫌になりそうだし、コウキも今着替えちゃいなよ。服はここにあるし」
「え? あ、ああ、うん……」
「言っとくけど、こっち見たら罰金100万円ね?」
「わ、分かってるよ」
耳まで真っ赤にして後ろを向くコウキが思いの外可愛らしく、もう少しこうしていたかったが、痺れを切らしたジュンが「起きろー、俺もう腹ぺこだぞー」と急かしに来たのでやめた。
***
「「「ご馳走様でした!」」」
「はい、お粗末さまでした。2人はこれからどうするの?」
「えーと……1度クロガネに戻って、そこからテンガン山を抜けて……」
「ヨスガシティかな。ジムもあるし」
「だね。でも、ここはサイクリングロードだから通れないし……」
「まあ、来た道を戻るしか無いか……。って言っても、かなり長いぞ? 歩いてきたからこそ分かるだろ?」
「うん。だから、まずは……」
「自転車ね。よーし、おばさんに任せなさいっ」
「「……え?」」
「ママ……?」
そう言うと、アイリママはいそいそと誰かに電話を掛け始めた。
「あ、もしもしじんりきさん?
「もしかして……」
「い、いやいや、自転車って結構良いお値段だった筈だろ? それを奢ってくれ、なんて流石に……」
「確かこの前、最新型自転車の宣伝してくれる方探していらっしゃいましたよね? はい、ピッタリな子が見つかって……あ、いえ
がちゃり。
「……マジかよ」
「『購入』じゃなくて『宣伝』かぁ……それだったら惜しまないや……」
「ママ凄い! って、3台って事は私のも?」
「勿論。だって2人はもう行っちゃうし、ハクタイでの宣伝役が要るでしょ? 今日の午後3時頃には用意するって言ってたから、それまでこの街を観光しててね」
……そう言えば、イッシュに行ったのも完全な独断だった──と、アイリのおばあちゃんが言っていた気がする。行動力の化身とは、この人のことだろう。多分。
***
「って訳で、今日は私がハクタイを案内するね。と言っても、あんまり無いんだけど……あ、でもテンガン山にちょっとだけ入れるよ。……ちょっとだけ」
「あー、何だっけ……確か崩落か何かで今通れないんだっけ」
「うん。だから今、岩を取り除いてるらしいけど……硬くて砕けないから、まだ時間はかかるみたい」
数日前、テンガン山の数ヶ所で謎の崩落が起きたので、一部の道が通れなくなった。通れなくなった原因が、全て『大きく硬い岩が1つ、道を塞いでいる』……というものなので、『謎の』が付いているらしい。
「だよねぇ……まあ、何もしないよりは断然良いよ。涼しいだろうし」
「そだね。じゃあ目標、テンガン山!」
「「おー!」」
そうして和気あいあいと歩いている3人を、窓から眺める人物がいた。その人物は肩を落とすと、ポツリと呟いた。
「地下通路も、あるんだよー……探検キットあげるよー……」
「……オヤジ、そう肩を落とすなよ。いつか彼らも、探検キットに頼る時が来るさ」
***
「……思ってたより暗いね。カグラ、頼むよ」
「ヒコッ」
尻尾の炎を明かりに使わせてもらうと、洞窟の天井が照らされた。そこにいたズバット達が一斉に飛び立ち──
「ペンタロー、《バブルこうせん》!」
「カグラ、《ひのこ》!」
「ピクちゃん、《うたう》!」
「「えっ」」
ドドドドドドッ! という音を立てて、周辺にいたズバット達がみんな地面に落ちてきた。……今ので起きないって、結構深い眠りなんだなぁ……。
「えっ、て何よ! ピクちゃんだって技くらい覚えてるもん!」
「いや、そうじゃなくてですね。アイリさん、もしかしたら、なんですが……」
「あの時《うたう》を使っていたら、もしかしたら連れてかれることはなかったんじゃないかなぁ、と思って……」
「………あっ…………」
「……まあ、あの時僕らみんな混乱してたから仕方ないよ。あの状況で冷静になれるの、結構難しいでしょ」
「うぅー……フォローありがと……」
いや待てよ? あの時ってピクちゃんが自分から捕まりに行ったんだよな? ………ピクちゃん、もしやその時わざと使わなかった?
「ピ?」
「いや、まさかね……。じゃあ、行ける所まで行こうか」
「「おー!」」
「しーっ、ズバット達が起きちゃう」
「「………(コクッ)」」
なんて言ったが、割とすぐに『謎の岩』の辺りまで来てしまった。作業員さん達とポケモンが頑張って取り除く作業をしてるので、離れた所で見ていることに──と、作業員の1人がこちらに気付いた。「おーい!」と手を振りながら、作業を中断してこちらへ駆けてくる。作業員の知り合い……居たかなぁ……? あっ、居た!
「やっぱりキミたちだった! こんな所でどうしたんだい?」
「ヒョウタさん! お久しぶりです」
「自転車が用意出来るまで時間潰しに来たんだ。そしたらさ、ズバットがわーって……」
「ああ、ピッピの歌声が聞こえたのはそれが理由だったんだね。そちらのお嬢さんのかな?」
「あっ、はい! アイリっていいます、よろしくお願いします」
「うん、よろしく。そう言えば、もうナタネさんの所には行ったのかい?」
その質問をされた瞬間、僕とジュンは顔を見合わせ、にんまりと笑いながらバッジケースを見せた。
「おお、フォレストバッジ! おめでとう、次はどこに挑むつもりだい?」
「次は……ヨスガですかね」
「そうだな、ゴーストタイプのジムリーダーだ」
「となると……」
「いや、それだったら……」
「………(ペシッペシッ)」
「痛っ、ちょ、ごめんって。グレッグルみたいに拗ねないでよ、ほら」
両手でアイリの頬を挟むと、ぷひゅっ、という音とともに溜まった空気が吐き出された。その様子がおかしくて笑っていたが、何やら言いたいことがあるらしい。
「あの、ヒョウタさん。無理に、とは言わないんですけど……」
「うん、なんだい?」
「私に、ジムバトルを挑ませてくださいっ!」
えっ。
「「えぇぇぇぇ!?」」
進路が決まった以上、多少なりともペースを戻さないとですね。今度はあまりお待たせしたくない……