のんびり巡ろうシンオウ地方(仮)   作:ユキノス

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こんにちは、ユキノスです。
本編に関係ありませんが、皆さんは博士の話を聞いていた時、「ここにモンスターボールがある!ちょっとボールの真ん中のボタンを押してみてくれい!」と言われるまでボタンをガチャガチャ押してて、「そのボタンじゃない!」と言われた事はありませんか?俺はしょっちゅうあります。もうアレ普通に飛ばしたい……
ではどうぞ。


マサゴタウンのコワモテ博士

靴のつま先で床を叩き、ガーディとサルのモンスターボールがベルトに付いている事を確認する。冒険ノートが入った鞄は持った、帽子も被った、あとは……特に何も無かった。

「うん、行ってきまーす!」

「行ってらっしゃい、気をつけるのよー」

ドアが閉じる寸前、そんな声が聞こえた。

「あ、おばさん!ジュンって居ますか?」

「ああ、ジュンなら今2階に居るよ。あの子も()()()に似て向こう見ずと言うか無鉄砲と言うか……」

「……?むこーみず?」

「あらごめんなさい、もうちょっとだけ早かったかな?…ジュンー!コウキ君来たわよー!」

2階から「今行くー!」と聞こえたので、階段の陰に隠れて驚かせてみる事にする。

「わっ!」

「どぉわぁああ!……こんのやろー、おどかすなよ!」

「あはは、ごめんごめん!お邪魔しましたー!」

「行ってくる!」

走りながら振り向いて見ると、おばさんが手を振っていた。それを笑顔で振り返してから、201番道路のT字路に来た――ところで急ブレーキをかけた。

「……お前、先行けよ。なんつーか、その……俺、もう少しこのポケモン(こいつ)と一緒に居たい」

「それは僕もだよ。ガーディも居るけど、このサルも中々に気に入ってくれてるみたいだし……そうだ!」

「んお?」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

「……お前…………」

僕の意見を聞いたジュンは、しばらくぽかんと口を開けていた。我ながら良いと思ったんだけど、これは駄目だったかな……と思い始めたその矢先、みるみる内に笑顔に変わっていくのを見て、ほっと安心。

「それだ!それだよ!なんでもっと早く気づかなかったんだ!?」

「いやー、希望が見えたね!」

なんてやいのやいのと話していると、等のナカカマド……じゃない、ナナマカド……でもない、ナナカマド博士が、草むらの向こうから現れた。

「「……あっ」」

今の会話を聞かれていたとなると、かなりまずい。何せ、許してもらえるという前提で話を進めていたのだ。今のを見て許さないと言われたら、その時はもう諦めよう。そう2人して決心した。

「……キミ達かね、ポケモンを使ったのは」

「「は、はいっ」」

「名前を、聞かせてもらえるかな」

「お、俺はジュン。こっちは……」

「コウキです。ナナカマド博士、大事なポケモンを使ってしまっ……」

博士に手で制され、言葉が中断される。続いて、博士はその灰色とも白とも言えない髭を触りながら、名前の復唱をした。

「……なるほど、ポケモンを使った理由は何かね」

「俺達は鞄を届けようとしたんだ。だけど、突然ムックルが襲ってきて……どうしようってなった時に、『鞄の中に、何か使える物は無いか』と思って……」

「モンスターボールを使い、ムックルを撃退したと」

「そういう事」

「では、最後に1つ聞こう」

博士の顔つきが変わり、怒らせたかもと思ったので、ちらりとジュンの方を見る。ジュンの方も「俺はホントの事を言っただけだ!」と強く(目で)訴えていたので、まあ確かに合ってるか、と納得。

「キミ達にポケモンを渡したとして、キミ達は何をしたいのかね」

「……それは、将来の夢的なアレですか?」

「『アレ』が何を指すのかは分からないが、つまりはそうだ。そのポケモンと共に、何がしたい」

「俺は……」

「僕は……」

「「いつか凄いトレーナーになって、シンジ湖の守り神に会いに行く!」」

この答えには、流石のナナカマド博士も驚いた様だった。僅かに目を見開き、次いで薄く微笑むと――

「合格だ。キミ達にそのポケモンを与えよう。――着いてきなさい」

そう言ってUターンして去っていくナナカマド博士を追わないという選択肢は、微塵も無かった。

「「やっ……たぁー!」」

同時に跳び上がり、乾いた音を立ててハイタッチをする。それを見ていた博士は、先程よりも大きな笑みを浮かべていた。

 

―*―*―*―*―*―*―*

 

「おぉ……ここが研究所……」

「あれ、意外に人が少ない……」

「…………」

研究所の中に入った途端、いきなり黙り込んでしまった博士の後を小走りで追いつつ、ジュンがこそっと耳打ちしてきた。

「良かったな、ポケモン貰えて」

「うん、ほんとに。……でも、なんで研究所まで来たんだろ」

「俺に聞かれても分からない」

「……さて、ジュン、コウキ」

「は、はいっ」

「うん?」

博士は、机の上に置いてある赤い板の様な物を2つ持って、僕達の目の前に差し出した。

「これは『ポケモン図鑑』、出会ったポケモンが順次記録されていくというハイテクな機械だ」

「は、はあ……」

「でもよぉじーさん、それ見たとこ新品だろ?俺達にどうしろってんだ?」

かなり失礼にも思えるジュンの言動にも、博士は右眉を上げただけだった。エヘンと1つ咳払いをすると、僕達にポケモン図鑑(コレ)を渡す理由を詳しく説明してくれた。

「そう、新品だ。そしてこれは、シンオウ地方のポケモンの総数である150匹分が記録出来る」

「……?」

()()()()()()()()()()()()()()。となると、ガーディの様な普通シンオウ地方に居ないポケモンはどうなるのだろうか。

「博士、ちょっと良いですか?」

「む、何だ?分かりづらかったか?」

「いえ、そういう事ではなく……ちょっとコイツを見てください」

そう言ってガーディを出すと、ナナカマド博士は「ほう」と呟いた。どうやら、僕が言わんとしている事を察したらしい。

「このガーディは、本来ジョウト地方のポケモンです。その場合、図鑑に登録はされないんでしょうか?」

「うむ、良い質問だ。まず、ガーディはシンオウ地方に居ない為、シンオウ図鑑()()登録されない。だが……」

博士は、ポケットから小さいチップを取り出した。

「これは、図鑑をアップグレードさせる為の物だ。このチップには、シンオウ地方だけでなく、ホウエン地方、カントー地方、ジョウト地方のポケモン全てを記録出来る程のデータが詰まっている」

「4つの地方……」

「全部の……!」

「ん?でもじーさん、そんなスゲーもんがあるなら、何で今入れねーんだ?」

「それは簡単だ。最初から400匹以上を記録させるとなると、まだお前達には酷だろう」

「よ……!」

「よん、ひゃく!?そんなに居るのか!?」

「だからこそ、まずは小さな目標を課する事にした。それが達成出来た時、この『全国図鑑』のチップを渡そう」

「……だってよ、ジュン」

「おーうおうおう、分かったぜじーさん!ささっと埋めて、必ず全国図鑑まで達成してやらー!」

「僕も、全部のポケモンに会いたいです!だから、その時までチップは取っといてくださいね?」

「ああ、約束しよう。さて、そうなれば……ヒカリ!こちらに来てくれないか」

「はーい博士、今行きますね」

「あっ、あの時の!」

「あれ、キミ達だったんだ。まあ半分ぐらい予想はしてたけど……コホン。ヒカリです、博士の研究助手してます」

「ヒカリにトレーナーとしての基本を教えてもらうのだ。更に詳しく学びたいなら、コトブキシティにあるトレーナーズスクールへ行くと良い」

「わっかりましたー」

「最後に、ポケモン図鑑とわざマシンだ。『おんがえし』という技が入っている」

「あ、はいっ」

図鑑を手に乗せられて思ったけど、図鑑って意外と軽い。軽量化出来てるのかな?その内『勝手に動く図鑑』とか出来そう。

「よーしコウキ!早速競走だ!どっちが先に図鑑を埋めるか!」

「臨むところだ!負けないぞ!」

「……ところで、お前達。ここが研究所だという事を忘れてはいないだろうな?」

「「ゔっ……」」

「完っ全に忘れてた顔だね……」

「次からは気をつける様に。私からは以上だ」

「あ、ありがとうございました!」

何だかこれ以上あれこれ騒ぎ立てるのは悪いと思ったので、お礼を行って足早に研究所を出る。最後に博士が何か言っていたみたいだが、よく聞き取れなかった。

 

 

「あー、なんか気まずかった……」

「なんかあのじーさん、怒らすと絶対怖いだろ……」

「怒らせる様な事をしたらね。そうでない時は優しいんだよ?」

「へーそうなん……!?」

「?」

先程、博士の助手だと言われていた女の子―確かヒカリと言っていた―がすぐ側に居たとなれば、怖くはなくとも多少身を引くぐらいの事はしても怒られないと思う。

「ななななっ、なんで居るんだよ!?」

「なんでも何も、博士から言われてたでしょ?貴方達に、トレーナーとしての基礎をレクチャーしてくれって頼まれたからよ」

「あ、そう言えばそんな事言ってたかも……」

「はい、それじゃこっちに着いてきてくださーい」

「……何これ?」

「少なくとも、なんか馬鹿にされてるのは分かった」

「それは僕も思った……」

本人は上機嫌だが、それでもこっちは納得いかなかった。5歳児じゃあるまいし……ねえ?

「とりあえず行こうぜ」

「だねー」

オレンジ色の屋根の建物の前で止まっているヒカリを歩いて追い、近くに来た所で解説が入った。

「これがポケモンセンター。ポケモンを回復してくれたり、パソコンが使えたりするの」

「パソコン?それぐらいウチにだってあるぜ?」

「ノンノン、ここのパソコンはね……7匹以上のポケモンを捕まえた時、自動でボールが送られるの!」

「「へーっ!」」

仕組みなぞ分かる筈も無いが、それでも凄いシステムだと思う。逆に、6匹までしか連れて行けないなんて言われたら泣くしかない。

「良かったね、ジュン」

「おう!コウキも、ガーディと別れないで済むぜ?」

「そもそも別れないから、心配要らないよ」

「分かってる。……んで、あっちの青い屋根は?」

「あれはフレンドリィショップ。モンスターボールやキズぐすりなんかを売ってくれるの。ジムバッジが多い程、品揃えが豪華になっていくわ」

「ふむふむ……ジムバッジ……」

「となれば、ジムリーダーと戦う事になるんだろ!?くぅーっ、遂に俺にもそんな時が来たかぁ!」

「燃えてるねー、僕はのんびり行こうかな」

「おう、お前がのんびり行ってる間に、俺がシンオウ地方を制覇してやるぜ!」

「むっ、それは聞き捨てならない。僕がシンオウ地方で1番強くなるんだ!」

「いーや俺だね!」

「ぐぬぬ……」

「ぐぬぬぬぬ……」

「はーいやめー!……全く、仲が良いのは結構だけど、話が進まないから後で」

「「……はい」」

ノーマルに怒られた。でもいつも競い合ってたからなあ……『いつか凄いトレーナーになる!』って。だからそこまでいつもと変わらない事なんだ。

「さて、次はいよいよポケモンの捕まえ方……だけど、その前に。2人とも、親御さんに『トレーナーになった』って事言って来たら?何も言わずに行ったら心配されちゃうでしょ?」

「あ、確かに……」

「う……コウキ、1回帰ろうぜ」

「そだねー、なんか今日だけで行ったり来たりしてる気がするよ。それじゃ、また後で、っだ!」

笑顔で手を振るヒカリに手を振り返していたら、なんと石ころにつまづいてしまった。後ろ向きに走っていた為空を仰ぐ形になり、そこには色々なポケモンが飛んでいた。

「……よーし、いつか捕まえてやるぞー!」

意気込み、足を振り上げて立ち上がると同時に、ジュンに追いつく為にスピードを上げた。




お知らせ:コウキの手持ちポケモン、実はまだ完全には決まってません。なので、「こいつ好きだったから出して!」みたいな意見があれば、感想にてお教えください。実際に出るかも……?

ではまた次回。
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