FAIRY TAIL ~ハンターの物語~   作:ペラペラ

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ギルドでの日々

ギルでの宴が終わり、レクトは久しぶりに自宅へと帰っていた。自宅と言っても旅に出る前に、夜寝るためだけに使っていたため、立派な外見に反して中は質素なものだった。

大したものは置いていなかったため、鍵すらかけずに出ていた。数年経っているので、かなり埃もたまっているだろうな等と考えながら家に入る。しかし、想像と違って、中はきれいで清潔感を保たれていた。

どうしてだろうと思いつつも、疲れもたまっていたためシャワーを浴びてからすぐに寝るのであった。

 

翌日、いつも通り早起きしてギルドに行こうとしたが、久しぶりに家に帰ったことだしゆっくりするのもありかと思い、ベッドに座る。改めて部屋を見渡すと、物の少なさを実感した。

今後の事も考えて多少は家具も揃えた方が便利だと思い、今日1日買い物をすることにした。

 

 

 

ギルドにて・・・

 

「レクトさんがまだ来ないなんて何かあったのか?」

 

そう呟いたのは、ミラである。レクトが朝は早起きなことを知っていたため、自分も早めにギルドに来て久しぶりに勝負してもらおうと思っていたのだ。そして同じ考えのものが数人。エルザ、カグラ、ウルティアそしてカナだった。5人が待っていると、

 

「レクトさんの家に行ってみないか?」

 

突如エルザが言い出した。5人の中でレクトの家を知っているのはエルザだけである。因みにエルザはレクトに勝手に家を使っていいと言われていたため、こまめに掃除を行っていた。

4人はレクトの家に行きたかったため、この提案にすぐ賛成し5人で家に向かうのだった。

 

 

 

「大きい!!」

 

レクトの家を見た4人は、そう言って驚いていた。

それもそのはず、レクトの家は二階建て、レンガ造りの一軒家で、1人で生活するには大き過ぎるものだった。

そんな家に驚きつつも早速レクトを呼ぼうと思ったところ、玄関のドアが開き中からレクトが出てくる。

 

「ん、どうした?こんなに大勢で」

 

そう言うレクトは、いつもの防具類や動きやすい服装ではなく、私服姿でこれから出かける様子であった。それを見て少女たちは、いつもと違ったレクトの雰囲気に見惚れていた。

 

「私たちレクトさんに指導してもらおうと思って、ギルドに行ったら居なかったから家に行ってみようって話になって」

 

最も早く正気に戻ったウルティアが代表して言う。

 

「そうなのか、それは悪かったな。今日は家の家具類を買おうと思ってな。指導については明日でも大丈夫か?」

 

「そうなんだ、じゃあ私もついて行っていいかな?」

 

「買い物をするだけだが、来たいならついて来てもいいぞ」

 

そうしてウルティアが一緒について行くことになると、

 

「私も行く!」「私も!」

 

すぐにほかの4人も賛同し、結局全員で買い物に行くことになった。レクトは少女たちがどうしてついてきたがるのか疑問に思うが、たまには戦いから離れたくなるのかと一人で納得する。そして、娘がいるとこんな感じなのか・・・などと考えており、少女たちの思いがレクトには一切伝わっていないのであった。

 

町にある家具屋を回りながら買い物をしていたのだが、少女たちのアドバイスが役に立った。武器や防具、戦いに必要な道具などには関心のあるレクトだが、インテリアの知識がほとんどなかったため、少女たちに言われるままに購入していった。

10年クエストをいくつも受けていたため、お金はかなりたまっていたので、値段は気にせずに質の良いものを選んでいった。ソファーやタンス、テーブルに椅子など様々なものを買って、かなりの量になったため家に直接届けてもらうことにした。

そうして、会話を楽しみながら買い物をしていくうちに、日が傾いていった。買い物も終わり、辺りも暗くなってきた頃、レクトが言う。

 

「今日は助かったよ。お礼に俺の家で夕食を食べていかないか?」

 

それに対して、

 

「行く!!」と即答するのであった。

 

 

 

 

レクトの家にて、少女たちは楽しみに待っていた。買ってすぐに届いた机やいすを並べ、それぞれ席について、キッチンで料理を作っているレクトを待っている。そして

 

「さあ出来たぞ。口に合うかわからないが好きなだけ食べてくれ」

 

そう言って、様々な料理を並べた。見るからに美味しそうな食べ物の数々に驚きながら、

 

「いただきます」と言って料理に手を付ける。すると

 

「おいしい~!!」と満面の笑みで少女たちは言う。肉に魚、野菜にデザートとどれも店以上の出来であった。レクトは昔、アイルーと呼ばれる猫に料理を教えてもらったことがあり、大抵の料理は作れるようになっていた。習っておいてよかったなと、少女たちの笑顔を見ながら思うレクトであった。

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

ギルドにレクトは声を掛けられていた。

声をかけたのはラクサス。雷を使う魔導士であり、まだ若いが実力はギルドでもトップクラスである。そして、マカロフの孫でもある。

 

「俺と勝負してくれ」

 

そう言ってくるラクサスだが、その顔は何かに悩んでいるような表情であった。それを察したレクトは、

 

「あぁ、良いだろう。人のいない場所でやろうか」

 

と、2人きりで戦うことを提案し、ギルドを出ていく。

 

 

 

2人はギルドから離れた人気のない広場で向かい合っていた。バチバチと体から雷を迸らせるラクサスと、巨大な剣を背負ったレクトである。

 

「ラクサス、先に言っておくが俺と戦う時に俺に勝つこと以外考えるな。悩みなんて勝負の邪魔にしかならない。全力で俺を倒しに来るんだ」

 

そう言ってすぐに動ける姿勢になるレクト。ラクサスはレクトの言葉を聞いて、自分が悩んでいたことを見抜いていたことに驚くが、すぐに獰猛な笑みを浮かべてに飛び掛かっていった。

 

ラクサスはその身に纏った雷の威力を存分に活かして戦う。目で追うのが難しい程のスピードに加えて、腕を振ると雷が落ちたかのような破壊力を生み出す。凄まじい攻撃を繰り返すが、レクトには一切傷がついていなかった。攻撃が来る場所が分かっていたかのように避け、時に巨大な剣を盾にラクサスの拳を受け止める。

 

「いい攻撃だ。これまで積み重ねてきた努力が伝わってくる。だが、まだ隠しているものがあるんじゃないか?」

 

そう言ってくるレクトに対して、ラクサスは自分が勘違いしていたことに気づく。ラクサスはレクトがギルダーツを圧倒するところを見ており、レクトの力が自分よりも格上であることを理解していたはずだった。だが、ここ最近負けることはおろか、傷つけられることすら少なかったラクサスは、自分の力を過信していた。マカロフの孫だと自分を見てもらえないことによる苛立ちから、力で相手をねじ伏せることを繰り返していたことも関係しているのかもしれない。

だが、現実は違った。先程から拮抗しているようだが、レクトは一切攻撃をしていない。いい攻撃だと言いながらも、一度たりとも食らうことはなく、さらにはラクサスを観察して力を隠していることにも気づく。

 

まだまだ余裕のあるレクトを見て、ラクサスの気持ちに変化があった。なぜ自分は勘違いしていたのだろうか、自分は今挑戦者ではないか、と。

 

マカロフの孫ではなく、一人の男として向かい合ってくれるレクトに対して感謝しながら、隠していた力を使う。

 

「雷竜の咆哮!!」

 

ラクサスは口からとてつもない魔力の込められた雷のブレスを放つ。竜を倒すための魔法、滅竜魔法の威力は先ほどまでとは比べ物にならない程のものであった。

それに対して、レクトは大剣を振り下ろす。大きく振るわれたそれは、ラクサスのブレスを軽々と切り裂き、地面に大きな地割れを起こす。ラクサスは驚愕した。今のブレスは全力で放ったものであったが、たやすく切り伏せられ、さらには地面の傷を見て、レクトの実力に圧倒されていた。

 

「そろそろ俺からも行かせてもらうぞ」

 

そう言ってレクトは走り出す。ラクサスはそれを見て、

 

「おもしれえ、やれるだけやってやる!」

 

そう言って自分を鼓舞し、ラクサスもまたレクトに向かって駆け出した。

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

地面に仰向けで倒れているラクサス。その向かいには無傷で立っているレクト。この状態を見ればわかる通り、結果はレクトの圧勝であった。傷すらつけることが出来なかったラクサスであるが、その心はすっきりとした状態であった。

 

「クソッ、ここまで圧倒されると悔しいを通り越して清々しさすら感じるな」

 

「確かに俺の勝ちだがなかなか楽しませてもらったよ」

 

レクトもまた、ラクサスとの勝負は楽しかったようでその顔には笑みを浮かべている。そこでラクサスはずっと悩んでいたことを聞いた。

 

「俺がじじいの孫だってことは知ってるだろう。俺のことどう思う?」

 

そう聞いてくるラクサス。聖十大魔道であるマカロフの孫としか見てもらえず、実力も全て才能のおかげだとされてきたことを気にしていた。それに対して、

 

「ラクサス、お前はお前だ。周りが何を言っても気にすることない。お前の努力は分かる人にはわかる」

 

と言い、それにと続けて

 

「マカロフの孫であっても、俺に傷一つつけられないようじゃまだまだだがな」

 

そう言ってにやりと笑うレクト。それを見てラクサスは今まで悩んでいたことも馬鹿らしく感じた。レクトに比べると自分は小さい存在だと、マカロフの孫であることなど些細なことだと。

 

「いつか絶対に倒す!そして偉いジジイの孫なんかじゃなく、一人の男として世界に認めさせてやる!」

 

「その意気だ。もっと強くなれ。いつでも俺はお前の目標となってやる」

 

そうレクトに言うラクサスとそれに応えるレクト。

こうして、ラクサスはさらに力をつけようと、レクトはラクサスの目標として恥じないようにと、男2人は誓いあうのだった。

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

広場でFAIRY TAILのメンバー数名を、指導も含めて皆成長したな等と考えながら、ギルドに入っていくとウルに声を掛けられた。

 

「お疲れ様。時間があれば今日の夕食うちで食べない?助けてもらったお礼も含めて、私が料理を振る舞うからさ」

 

突然ウルに誘われて驚くレクト。普段は男勝りな印象を受けるウルだが、この時は少し恥ずかしそうにしており、いつもとは違った雰囲気であった。

レクトはわざわざお礼をしたいというのに対して断るのは失礼だと思い、

 

「そういうことならお言葉に甘えて、今日はお邪魔させてもらおうかな」

 

そう言うとウルは嬉しそうな表情をして、レクトに家の場所を伝えると「じゃあ待ってるから!」と言って帰っていった。

 

 

 

***************

 

 

 

その日の夕方頃、レクトはウルの住む家に来ていた。早速お邪魔しようかと玄関に行くと、ウルティアが出て来て

 

「いらっしゃいレクトさん、今日はゆっくりしていってね」

 

と言って家の中へ案内される。ウルとウルティアは2人で暮らしているため、ウルが今日はレクトが家に来ると言うと、ウルティアも大喜びであった。もちろん他の少女達には伝えていない。

 

台所へ行くと、ウルが料理を作っているところだった。部屋着にエプロンを付けて、手際良く調理をしてる所を見て、普段とのギャップにドキッとしていると

 

「先に座って待ってて、もうすぐ出来るから」

 

そう言われて、ウルティアと料理が出来るのを待っていた。それから少しして、「出来たよ!」というウルの声が聞こえ、いくつか料理を出される。どれも美味しそうな出来上がりであり、「いただきます」と言ってから、それを口に入れる。

 

「美味しい」

 

一口食べてレクトが言うと、ウルはほっとした表情になり、そして笑顔で喜んでいた。ウルティアからレクトは料理が上手と聞いていたため、満足してもらえるものが作れるか不安に思っていたウルだったが、レクトの言葉を聞いて安心すると同時に心から嬉しいと感じていた。

 

それから3人で会話を楽しみながら、料理を食べていく。仲良く食事をする光景はまるで家族のようであった。そしてすべて食べ終わり、そろそろ帰ろうと玄関に行きそこで、

 

「今日はありがとな。本当に美味しい料理だった。また一緒に食事をしよう。今度は俺が振る舞うよ」

 

そう言うレクトに対して、ウルが

 

「えぇ、こちらこそ楽しい夕食になったよ。レクトの料理楽しみにしとくよ」

 

と言った後

 

「これはもう一つのお礼ね!」

 

と言い、レクトにキスをした。

驚きや恥ずかしさで固まるレクトであるが、その背をウルに押されて家の外に出され、扉が閉まる。「お母さん!?」と言う声が聞こえてきたが、レクトはそれどころではなかった。狩りばかりで女性に対する免疫があまりないため、先ほどの事にドキドキしながらも家に帰っていくのだった。ウルはキス程度では何ともないはずなのだが、レクトに対しては思った以上に緊張してしまい外に押し出した後の顔は赤く、恋する乙女のようであった。

こうして今日も平和な一日が過ぎていった。

 

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