FAIRY TAIL ~ハンターの物語~   作:ペラペラ

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ハンターと黒竜

ドカアァァァァァン

 

広大な大地に響く轟音。それと同時に地面が大きく抉れ、美しかった光景は見る影もない。攻撃の度にとてつもない魔力が放出されることで天候が崩れ、この一帯のみ嵐の中にいるかのように荒れていた。

 

その中でアクノロギアとレクトは互いに1歩も譲らない戦いを繰り広げていた。

 

「オラァァァァァァァァァ」

 

「ゴアァァァァァァァァァ」

 

普段は冷静なレクトだが闘争心をむき出しにして切りかかり、アクノロギアもそれに応えるように咆哮して襲い掛かる。

 

 

アクノロギアが勢いよく腕を振り下ろし、地面に巨大なクレーターが出来る。そんな攻撃を回避し太刀で切りかかる。レクトに直撃することはなく、有利に戦いを進めているように感じる。

しかし、とてつもない硬さの体に攻撃を加えることで何度か武器を振るうとすぐに切れ味が落ち、硬い鱗にはじかれてしまい、また攻撃の余波だけでもダメージ溜まっていく。やはり戦いは互角であった。

 

ある程度太刀による攻撃を行ったところで、レクトは武器をハンマーに変える。危険は伴うが顔を狙って武器を振るう。狙いは部位破壊。 叩きつけるように振り下ろしそして振り上げる。

全力で振るうその攻撃は、大地を揺らす程で強固なアクノロギアの鱗の上から衝撃を与えていく。動き回り、強力な攻撃を繰り返していたアクノロギアだったが、何度も頭に打撃を受けるうちに一際大きくひるむ。そこに、

 

「食らえええぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

する気迫のこもった声とに合わせて、力を溜めた一撃を叩き込む。すると、

バカァァァァァァンという音とともに、アクノロギアの頭部の鱗がはじけ飛び、大きな傷跡がついた。これにはアクノロギアも大きく怯み、かなりダメージを受けたようであった。

 

さらにレクトは武器を変え、手に持つのはランス。戦い後半に差し掛かってきており、ここからは相手の体力を確実に削ってこうとな考えた。

高い防御力を誇る盾でアクノロギアの攻撃を防ぎながら、鋭い矛で攻撃を加えていく。しかしアクノロギアの耐久力は今までのモンスターとは格が違う。頭部を破壊されたことで怒りもあり全くひるまずに、その巨体から生み出される力で盾ごと突き破らんと猛攻を繰り返す。

 

何度目かわからないアクノロギアの攻撃を盾で防いだ時、キイイィィィンと今までとは違う音が響く。防御するたびに後ろに大きく後退しながらも、すべての攻撃を防いできた盾に大きなヒビが入ったのだ。しかし、武器を変える暇も距離を取る余裕も無い程の連続攻撃に押され続け、盾はバキィィィィィィンという音とともに砕け散る。そこにアクノロギアの黒い拳が迫り、レクトの体を捉え吹き飛ばす。

 

「ぐはっっ!」とうめき声をあげ、口から大量の血を吐きながらレクトは大きく吹き飛ばされていく。戦いの中で巨大なクレーターや斬撃の痕のついた広場から離れることとなる。遠く離れた大地まで飛ばされる中でも勢いが落ちる様子がなく、矛を地面に突き刺してどうにか止まる。そこにアクノロギアも飛んで追いかけ来ており近くに降り立つ。

攻撃1つ1つがS級魔導士ですら即死レベルで地形を変える程の一撃をまともにくらったレクトは、すぐに秘薬を飲むことでどうにか立ち上がる。

 

秘薬により傷はかなり回復しているが、それでもこれまで積み重なっていた疲労や傷によりフラフラの状態である。防具もボロボロだが、新しい防具に変えることすらなく、全ては剣の攻撃に費やすべく、武器のみ大剣に変えアクノロギアと向かい合う。

アクノロギアも体中の傷から攻撃の度に血が流れ、かなり体力を消耗した状態である。頭部の部位破壊による傷も大きく、かなり苦しそうである。

お互い満身創痍だが、一切気にすることなく決着をつけるべく戦いを再開した。

 

 

 

 

 

 

 

「黒竜だと!?」

 

報告を聞いた老人は思わず声を出して驚いている。周りにいた者達も同様に驚愕しているようだった。

とてつもない魔力を感知し、すぐに近くにいる評議員に調査へ行かせた。そこで評議員が目にしたものは、吹き飛ばされてきた男とそれを追いかけてきた黒竜。男は見るからにボロボロだが巨大な剣を背に黒竜に向かっていき、黒竜もまた疲弊しているようだが男を正面から迎え撃つ。

離れた位置から望遠鏡で見ていた評議員は、その男を近頃話題の魔導士であることに気づき、それらも含めて上へと報告したのだった。

 

「手負いの黒竜をしとめる機会等今回を逃せば一生ないぞ」

 

「しかし報告ではFAIRY TAILの魔導士、レクト・ロールスが互角に戦っているそうではないか」

 

「あの黒竜に勝てるものか。足止めしてくれているのなら好都合ではないか。報告によれば周囲に人はいない。FAIRY TAILの魔導士には本当に申し訳ないが今しかない」

 

今評議員では議論が行われていた。内容は衛星魔法陣からのエーテリオン攻撃により戦っているレクトもろとも黒竜を消し去るというものだ。

 

「黒竜を確認することすら難しい。そんな存在が今攻撃できる位置にいるのだぞ。おまけに弱っているとなると絶好の機会ではないか」

 

そう言う老人。それに対して

 

「1人の青年の命を奪うのだぞ。まだまだ先のある人生をワスらが奪い、青年の家族や友人にどれだけ悲しい思いをさせてしまうか。そこまで考えているのか!」

 

そう怒りをあらわにして反対するヤジマ。だが、黒竜という人類では抗うことすらできないと言われる存在、それを倒せる機会を前にして、評議員たちは一人の命よりも黒竜を殺すことに気持ちが傾いていた。レクトの命を奪ってしまうことにより、大陸中の人々からの批判の声や、評議会の評価の低下、そしてFAIRY TAILの敵対など様々なことが考えられるが、皆目先のチャンスに引かれていた。

 

そして多数決により、エーテリオンによる攻撃が行われることとなった。

 

「すまん、マー坊。ワスでは止められんかった...」

 

皆が急いで攻撃の準備をし騒がしくなっている光景を見ながら、ヤジマはぽつりとつぶやいた。

 

 

 

 

 

 

 

吹き飛ばされたことにより、場所が変わってからも激闘は続いていた。

お互いに疲労を感じさせない動きで攻撃を繰り返していた。レクトはアクノロギアの尻尾に攻撃を集中していた。アクノロギアは動きも早く狙った場所を攻撃するだけでも難しいが、攻撃の嵐をかいくぐり大剣を振り下ろす。そして、アクノロギアが大きく腕を振るい攻撃をした時、地面が大きく陥没し爆風が巻き起こるが、それに耐えながら力を溜めて勢いよく振り下ろした。

 

『ズバンッ』という音とともにアクノロギアの尻尾は切断された。

 

「グアアアアオオオオオオオオオオ」

 

アクノロギアは痛みで苦しそうなうめき声をあげる。しかし苦し紛れに腕を振るい、攻撃後で隙が出来ていたレクトは避けきれず脇腹辺りを大きくえぐる。

 

「ぐあああああああぁぁぁぁぁぁぁ」

 

レクトもまた激痛に苦しむが、尚も攻撃を仕掛けようとしてくるアクノロギアを見て立ち上がる。今は魔導士だが、芯にあるハンターとしての誇りが2度も負けることなど許せなかった。

 

脇腹から大量の血を流しながらも立ち向かうレクト、体中の切り傷に加え、尻尾からも血を流し続けながらも翼を大きく広げ迎え撃つアクノロギア。お互い力もほとんど残っておらず、決着をつけようとした時、眩い光に包まれた。

 

 

 

 

 

その日大陸の一部が地図から消えた。黒き竜と、1人のハンターとともに・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レクト・ロールスは勇敢な魔導士であった。その数々の栄誉、そして黒竜討伐の偉業を讃え聖十大魔道の称号を永久に与えることとする」

 

大陸中に届いたニュース。それは世界中の人々に衝撃を与えた。FAIRY TAILの世界最強魔導士とも言われつつあったレクトの死。天災ともいわれる黒竜の討伐。そして、互角に戦っていたレクトも含めてエーテリオンで攻撃したということ。

 

評議会には批判の声が殺到していた。レクトによって救われた人々やレクトの活躍を楽しみにしていたファンの者達。評議会はとにかく謝罪し、「人類の悲願のため」と伝えた。評議会の印象は悪くなる中で、同時に伝説とも言える竜の討伐に喜ぶ者もおり、良くも悪くも世界中が注目することとなった。

 

 

そして、FAIRY TAIL・・・

皆が悲しみに明け暮れていた。この話を聞いても、黒竜と戦うということを聞いていなかったギルドのメンバーは一切信じなかった。しかしマカロフの口からレクトの思いを聞き、それが事実だと知る。

評議会がエーテリオンによる攻撃で、レクトを利用して黒竜を倒したという話を聞いて、メンバー全員が憤慨した。だが、評議員が直接ギルドまで足を運び、土下座をして謝ったことで怒りのやり場を無くし、悲しみが残っていた。評議員はすべてが終わってから、自分達がどれだけのことをしたのかに気づき、ただただ謝罪をするばかりだった。

ナツが評議員に対して「お前らは俺達の家族を殺したんだぞ」と言って飛びかかろうとするが、周りの者に止められる。その目から涙が溢れており、止めた者達もまた涙をながしていた。

 

ウルとウルティアは家で声を上げて泣きながら抱きしめあっていた。帰ってきたら2人で食事を作って振舞おうと話していたが、それも叶わぬものとなり、もう会えないと思うと悲しみが溢れていた。

 

エルザとミラ、カグラとカナもまた悲しんでいた。ショックはあまりにも大きく、ミラは魔導士として生きていくのが難しい程の状態となり、ギルドのウェイターとなり、性格も変わった。

エルザとカグラはより力を求めるようになった。いつか会えるのではないかと淡い希望を心に秘めて、その時は隣で戦えるようにと。

 

ラクサスは目標でありな最も尊敬していたレクトの死により、初めて悲しいという思いをもつ。そして、エルザたちと同様、力を求めるようになる。どこか危うさを感じさせる程に追い詰められたような様子で、『弱いやつはいらねぇ』と小さく呟く。

 

グレイやリオン、ジェラールは命の恩人であり、憧れであったレクトがいなくなったことにショックを受けていたが、レクトの代わりにみんなを守ると決意し、それぞれが今まで以上に仕事や修行を行うようになっていった。

 

マカロフは止めなかった自分の行動を悔やんでいた。あの時どうにかしてやめさせていれば、そんな思いがぐるぐると頭の中でまわっている。しかし、過去は変えられない、ならば自分がすべきことは何かと考え、もう2度とギルドの家族は失わないように、守っていこうと決意したのだった。

 

 

 

 

 

死んだと思われた青年、レクトとFAIRY TAILのメンバーが再会を果たすのはまだ少し先になる。その時メンバーは何を思い、どんな行動をするのか、今はまだ分からない。

再会を果たすのはまだ少し先になる。その時メンバーは何を思い、どんな行動をするのか、今はまだ分からない。

 

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