FAIRY TAIL ~ハンターの物語~   作:ペラペラ

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過去と未来

「あの光は何だったんだ・・・」

 

戦いが終わり、張っていた緊張の糸が切れたことで気を失っていたレクトが、起きて最初に思い出すのは最後に見た光景。

それは決着をつけようとした時に上空に現れたものであり、レクトも何なのか理解出来なかった。だが、ボロボロの状態で受けるのは流石にまずいと感じたレクトは、咄嗟にモドリ玉を使った。原理は不明だが、一瞬で拠点まで移動できるそれを使うことで避けよと考えたのだ。

 

しかし、

 

「ここはどこだ?」

 

そう言って辺りを見回す。

木々に囲まれたその風景を見て、この世界に来た時のことを思い出しつつも、自分の今の状況を考える。防具はボロボロで先ほどまでの戦いの激しさを物語っているが、体の傷は一切ない。寝たら回復するというハンターの異常な特性ですでに元気である。

初めは自分がこの世界に来たときの森かと思ったが、やはり違うと判断する。ハンターとしての勘が、ここは何かがおかしいと告げている。まるで今までとは別の時代にいるかのように・・・

 

とりあえず防具を脱いで楽な格好になると、そこから歩き出した。周囲を見渡しながら、心の中で新種のモンスターいないかな等と考えながら歩いていると、おかしな光景を目にした。

 

「木々が枯れている?」

 

先程れくとはいっさいきにすることなくまで生い茂る木々に囲まれていたのだが、ある範囲から命を吸い取られたかのように木が枯れ果てており、だれが見ても異常であることが分かる。しかし、レクトは一切気にすることなく、この場所の手掛かりが見つかるかもしれない期待と不思議な現象に対する好奇心で進んでいく。そこには黒い服装で黒髪の青年が頭を抱えていた。

 

「それ以上近づかないでくれ!僕はだれも殺したくないんだ!!」

 

そう言って近づかれることを拒み、苦しんだ様子を見せる。レクトは体調でも悪いのかと思い、何らかの処置をしようとさらに近づいた所で、

 

「うあああああぁぁぁぁぁ」

 

と頭を抱えたまま青年が声を上げる。合わせて黒い魔力のようなものが青年の体から出てくる。それによってわずかに残っていた草も残らず散っていき、レクトは正面から受けてしまう。命を奪う波動をもろに食らったレクトは、

 

「ちょっと不快だな」

 

と言って1つの実を取り出すと、それを食べる。体の状態異常を治すウチケシの実を食べて「お、不快感もなくなったな」等と言っているレクトを見て青年、ゼレフは驚愕する。自分の魔力を受けてまず不快だなで済んでいることがおかしいのだ。それどころか、どこからともなく取り出した見た目ただの雑草を口に含むとすでに元通りである。

 

 

「君は一体・・・」

 

呆然とするゼレフにレクトは近づくと、肩に手を置き

 

「なんだ病気じゃなさそうだな。いろいろと聞きたいことがあるんだが」

 

そう言って黒魔導士ゼレフとレクトは話し出した。

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

ゼレフにとっては自分の魔法が一切効かなかった相手、レクトにとっては自分の今後の行動を左右する相手と言うことで、お互い関心があるためすぐに打ち解けていった。自己紹介を済ませたのちに、レクトはゼレフに対してこの場所はどこなのか聞き、ゼレフはレクトにどうして魔法が効かなかったのか、そして何者なのかと聞いた。

 

レクトはゼレフの話を聞いて驚く。聞くところによると、今いる世界は少し前までいた時代よりも100年程前の世界で魔導士という存在もあまりいないことが分かった。流石のレクトも、モドリ玉で時代まで戻るというとんでもない現象に驚く。

 

またゼレフのなぜ魔法が効かなかったのかという問いに対して、

「あの程度でやられる程俺は弱くない。魔導士だがハンターでもあるからな」

と言うレクト。それを聞いたゼレフも驚いていた。あらゆるものの命を奪う自分の魔法をあの程度ですましたことを。さらに、

 

「ハンターか。こんなに人間離れしたハンターは初めて見たよ」

 

「俺なんてまだまださ。少し前にもリベンジに失敗したばっかりだしな」

 

そうして2人が会話を続けていると、レクトがゼレフに1つ聞いた。

 

「ゼレフはいろいろと詳しそうだから聞くが、未来に行く方法は分かるか?」

 

それを聞いたゼレフは大きく目を見開く。突然未来へ行くにはどうすればいいかと聞かれて答えられる者等普通居ないだろう。レクトの雰囲気から冗談で言っているのではないことが分かるが、ゼレフは

 

「すまないが僕にはわからない」

 

そう言って謝る。レクトとしても特に焦りは感じておらず、のんびりと帰る方法を探そう位の気持ちだったため、気にすることはなかった。話していくうちにゼレフから「僕の魔法が効かず、さらには未来に行くという君に興味がわいた。しばらく一緒に研究しないか?」と提案され、レクトはそれを受け入れた。そうして黒魔導士ゼレフと魔導士のハンターレクトという不思議なコンビは様々な研究を行っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

*************

 

 

 

 

 

 

「わあぁ!!大きい!!」

 

そう言ってFAIRY TAILのギルドを見上げるのは金髪の少女ルーシィだ。

 

「中入るぞ」「あい」

 

ナツとハッピーに促され、ルーシィは憧れのギルドへ足を踏み入れる。そこには多くの魔導士が集まり、会話をする者や食事をする者等、皆が楽しそうに過ごしていた。

 

「ここであの人も・・・」

 

とルーシィがぽつりと呟いたが、ナツの怒声にかき消される。サラマンダーの情報が嘘であったと提供者を蹴り飛ばしたことで、ギルド内が荒れ次第に大乱闘が始まってしまう。

 

 

「な、なによこれ・・まともな人がいないじゃない」

 

そう言ってショックを受けているルーシィに対して銀髪の美女、ミラが声をかけた。

 

「あら、新入りさん?ごめんねこんなに騒がしくて。このギルド元気な人ばかりだから。あの人がいてくれたら鎮めてくれるんだけどね」

 

少し暗い顔をしたミラがそう言っているとき、乱闘を起こしていた者達は、喧嘩にとうとう魔法まで使いだそうとしていた。その時、

 

「やめんかバカタレ!!」

 

という怒鳴り声とともに、巨人が現れ喧嘩を止める。巨人、マスターマカロフはルーシィに挨拶すると、2階に上がり評議会から届いた書類を読み始めた。それはFAIRY TAILの魔導士がそれぞれの仕事先で起こした問題の数々だった。それを一通り読み上げた後

 

「上から覗いている目ばかり気にしていたら魔道は進めん。自分の信じた道を進んでいく。それがFAIRY TAILの魔導士じゃ」

 

そう言った後にじゃが、と言葉を続ける。

 

「おぬしらの行動でレクトが積み重ねた人々からの信頼、数々の功績を汚してしまうのは嫌じゃろう。評議会もわしらに対して罪悪感があったのか厳しく言ってこなかったが、最近はレクトのことなど無かったことのように考えておる」

 

それを聞いた魔導士達は、落ち込んでいた。

 

「悔しいじゃろう。悔しかったらFAIRY TAILの魔導士としての自覚をもって、仕事にもとりかかるようにせい。あやつの功績を守りたいじゃろう」

 

そう言ったマカロフに対して、魔導士たちは、大きく盛り上がりを見せる。皆レクトにはお世話になり、レクトの功績を同じギルドとして誇りに思っていたからだ。

 

「よっしゃー、ひとつもモノ壊さず依頼達成してやる!」

 

「お前には無理だろ」

 

「何だと!?」

言い合っているナツとグレイ。そんな様子を見ながら、ルーシィはミラに話しかけた。

 

「実は昔魔導士の方に助けてもらったことがあるんです。後から聞いたらFAIRY TAILのレクトさんっていう方だって聞いて。いつかきちんとお礼をしたいと思ってたんです」

 

「そうなの」

 

「でも、レクトさんは死んでしまったって。私詳しいことは知らないんです。差し支えなければお話聞かせていただくことはできますか?」

 

ルーシィはレクトのことをほとんど知らなかった。そのため、自分を救ってくれた人のこと、そして今の状態を知っておきたいと思ったのだ。聞かれたミラは

 

「ルーシィも今日からギルドの仲間だもんね」

 

そう言って話し出した。

 

「レクトはFAIRY TAIL最強と言われていた魔導士なの。数々の偉業も成し遂げて、聖十大魔道っていう大陸トップの魔導士にも選ばれているわ」

 

「すごい!」

 

「でも、数年前に黒竜との戦いの最中に、評議会からの魔法による攻撃で姿を消したの」

 

「評議会!?」

 

「黒竜を仕留める機会はそうあるもんじゃない。世界の為だって理由でレクトは攻撃に巻き込まれたの」

 

「そんなことが許されるの!」

 

「みんな怒って、みんな悲しんだわ。でもね、今はみんなでレクトの帰りを待っているの」

 

「え?でもレクトさんは・・・」

 

「生きてる!みんなそう信じてるわ。レクトの遺体も見つかってないし、何よりレクトの強さを1番知っているギルドのメンバーからしたら、魔法の攻撃なんかで死ぬわけないって思ったの。何らかの方法で今も生きてる。そう考えるようになったの」

 

「そうなんですね」

 

「みんなレクトに救われたり、指導してもらったりお世話になったからね。いつか帰って来た時。その時にレクトを驚かせようって思ってるのよ。成長した姿を見てもらってね」

 

「素敵ですね。私もいつかきちんとお礼を言って、指導してもらいたいな」

 

「レクトは優しいからきっと見てもらえるはずよ。ただ、これ以上ライバルはいらないかな」

 

最後の言葉にゾクッとしつつも、ルーシィはレクトのことを知ることが出来て満足そうであった。自分のこれからの目標も決まり、決意を新たに新団員ルーシィは仕事に取り組むのだった。

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

レクトとゼレフは様々な方法で、未来へ行くための研究を行っていた。レクトは自分の居るべき場所に帰るために、ゼレフは溢れる知識欲を満たすために、目的は違うが互いに協力していくうちに親しくなっていった。

 

研究を行っていく過程で、レクトは様々な経験をしていた。星霊界に転移し星霊王と決闘を行ったり、西の大陸に飛ばされそこで行ったモンスター討伐により英雄として称えられ、さらに昔の時代に飛びドラゴン達と会うなど、濃い時間を過ごしていた。

途中からゼレフが面倒を見だした少女と男3人にレクトも指導をしてやったりもしながら、それなりに充実した時間でもあった。

 

「おそらくこれで戻れるはずだよ」

 

「ゼレフが自信をもって言うなら間違いないだろう。ここまで長かったな」

 

そう言ってゼレフが手に持つ玉のようなものを見る。レクトが出せるモドリ玉はなぜかどこへ移動するか分からず、ゼレフの魔法を交えながら効果を特定させようと研究を繰り返してきた。そうして得られたデータをもとに、レクトが行きたいという時代へ移動する手段を作りだすことが出来たのだ。

 

「これでお別れだね。僕にとって君は初めての友人だった。そんな相手に頼むことではないけど、僕を殺してくれないか?君との日々での刺激は素晴らしいものでこれ以上楽しいことはもうないと思う。もう満足したんだ」

 

そう言ったゼレフを「ドカッ!!」という音とともにレクトは殴り飛ばした。そして

 

「そんなもんまだわからないだろう。この世界はまだまだ未知に溢れてる。もっと楽しいことなんていくらでもあるさ。それでも死にたいのであれば自分で方法を探せ。本当にどうしようもなくなったら未来の俺に頼め。その時は友としてなんとかしてやるさ」

 

そう言ってレクトはゼレフの手から拳大の玉をとる。そして「それじゃあな」と告げ弾を地面にたたきつけた。ボフッという音とともに煙が出てきてそれが晴れた時そこにレクトの姿はなかった。

 

殴られた頬をさすりながらゼレフは立ち上がり

 

「ほんとに君には敵わないな。僕ももう少し努力をしてみるよ。駄目だった時は頼むよ」

 

1人になった森の中でそう言うと、歩き出した。

 

 

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