劇場版とある魔術の禁書目録 プロジェクトエンデュミオン~その奇跡は誰がために~   作:桐生 乱桐(アジフライ)

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相変わらずですぜ

ちょっとずつ書いていきます


プロローグ

三年ほど前の出来事である

 

学園都市の航空事業系企業、オービットポータル社は、世界初のスペースプレーンでの宇宙旅行を実現した企業である

その開業記念試験飛行の際には、オリオン号による宇宙旅行を敢行、それは大いに盛り上がり、帰還を目前としたその時であった

 

帰還するその直前、オリオン号が宙空を漂うスペースデブリに接触してしまい、エンジンブロックに損傷を受けて、大きく燃え上がってしまった

当然ながら機内は不安に満ちて、誰しもが恐怖に支配されていく

 

それはコクピットでも変わらなかった

 

「左翼エンジン脱落…! も、もう駄目です! 機長ッ!」

「諦めるな…! まだやれることはあるはずだ…!」

 

そう言って機長は自分の付近にある機械を操作していく

副機長は絶望に駆られているが、機長はまだ希望を信じていた

オリオン号は左の翼を燃やしたまま飛行を続け、不安定ながらもバランスを保っていた

 

◇◇◇

 

オリオン号はどうにかその身を不時着させることに成功した

不時着したその機体の様子は酷いものであり、ほとんどが半壊し、翼は完全に破損していた

 

レポーターは渡された資料に目を通しながら、淡々と告げていく

 

「学園都市、第二十三学区に〝スペースプレーン〟オリオン号が不時着。オリオン号は帰還する直前に成層圏にてデブリと接触、エンジンのトラブルに至って、不時着した模様です。幸い乗っていた乗客、乗員八十八名は、全員の無事が確認されました。繰り返します、全員の無事が確認されました―――」

 

この事故により、学園都市はスペースプレーン計画を凍結、オービットポータル社は航空事業から撤退を余儀なくされた

しかしこのあまりにも大きな事件に反し、死傷者はゼロという事から人はこの事件を奇跡と呼び、このオリオン号が不時着した第二十三学区には、〝奇跡の慰霊碑〟が建てられた

 

この事件は後に、〝八十八の奇跡〟と呼ばれて語り継がれていくことになる

 

◇◇◇

 

そしてその三年後、ある研究所が壊滅した

報告による情報によると突如として出現した怪人に、蹂躙されたというのだ

 

立花眞人―――仮面ライダーG3が救援要請を受け急いで駆け付けたが、間に合わず、到着したときはすでに皆が虫の息だった

 

「…、」

 

悔しさを噛みしめながらG3はスコーピオンを構え、その怪人がいないか確認していく

仮に外に逃げ出したとしても影山さんと矢車さんが対応してくれるハズだ

G3は己が持つ感覚をフル動員させながら、右手に装着したデストロイヤーの調子を確かめつつ、G3は歩を進める

 

と、その時ガラスを突き破ってG3に強襲してくる人影があった

真っ黒い人影に、頭には触覚…あれは、アリか?

いずれにしても戦うことに変わりはない

G3は左手に持ったスコーピオンをアリの怪人に狙いを定めて引き金を引いた

 

 

そんな戦いを眺めていた一人の人影がいた

それは警備をしていた警備員の女性であった

怪人が現れた時、当然ながら彼女も挑んだが、全く歯が立たずあっけなく倒された

しかしたまたま彼女の上に仲間の亡骸が被さってきたため、殺されずに済んだのだ

 

「…情けない」

 

付近では仮面ライダーと呼ばれる人物が先ほどの化け物と戦っている

ライダーから放たれる銃撃音を聞きながら女性は考えた

結局、生きるために戦っても意味なんてないのではないか、と

むしろ、逆に考えてみよう

死を意識するから、人は恐怖を振り払いより多くの力を発揮できるのではなかろうか

死を背負うから、人間は誰よりも強くなれるのではないか

そう思い浮かべてふと視界がぼやけていく

疲労がピークに達したのか、女性の意識はそこで途絶えた

 

 

九月某日

大覇星祭も近づきつつあるこの時期、アラタは美琴と二人で出かけていた

別段特にデートとかそう甘ったるい話でなく、ただ何となく二人で歩き回っているだけで何かを買おうという訳ではない

世に言うウィンドウショッピングという奴だ

 

ただ気になった商品にガラス越しに見てにべもない会話を繰り広げてたまにボケて突っ込んで

そんなありふれた日常を久しく満喫していたところなのだ

ここの所いろいろありすぎてゆっくり休めるような時間が取れなかったのだ

だから、こういう時間は正直有難かった

 

「んー…ちょっと喉渇いたわねー…アラタ、アンタは?」

「そうだな…何か買うか」

 

二人はコンビニで適当に何か購入しようと周囲をきょろきょろと見回す

しかし視界に入ってきたのはコンビニではなく、人混みだった

美琴とアラタは顔を見合わせてその人混みが何のかを確かめるべく駆け寄っていく

 

その人混みの先にいたのは女の子だった

特に目を引くのが毛先を結んだ鴇色の長髪と、鳥のエンブレムがついた水色の鳥打帽子だ

舞うように彼女は一言一言を歌にしていく

 

「ストリートライブかー…結構上手いじゃない」

「あぁ。パッと見、俺と同年代かな? それであそこまで歌えるってすげぇなぁ…」

 

きっと某笑顔動画とかで歌ってみたとか投稿したら大層人気がでるだろう

二人して喉の渇きを忘れて彼女の詩に聞き惚れていると、その歌声が途絶えた

何事だろうと視線を向けるとストリートライブをしていた女の子にスキルアウトのゴロツキが群がっていたのだ

 

「困るんだよねぇ…勝手に歌われちゃうとさぁ、ん? 場所代って知ってる? 古雑誌売るのだって大変なのよねぇ? ん」

 

しかもしゃべり方なんか気持ち悪い

オネエかアイツは

 

「あ…あの…」

「あぁ!?」

「ひっ…」

 

スキルアウトの一人に凄まれて女の子は怯えてしまう

そしてやはり、こういう時に限って誰も関わろうとはしないのだ

治安維持として風紀委員に属してはいるが、やっぱりこういったものは減らない一方である

 

「…学園都市ってホント、名前負けしてるわよね…」

「言ってくれるな。…て、おい!?」

 

アラタが制止する間もなく、美琴は飛び出していく

 

「とりあえず向こうでマネーの話をしよっか? 個人情報もマネーになるから―――」

「やめなさいよ。アンタたち」

 

割って入るように美琴が女の子の前に立つ

唐突に乱入してきた美琴にスキルアウトは苛立ちながら顔を凄ませる

 

「…なんだてめぇ?」

「黙って消えるならとくに何もしないわ。けど向かってくるなら―――」

「ストップストップ…美琴、そういうのは風紀委員の仕事だと何度言ったら―――」

「あぁんっ!? てめ何黙ってきてんだよぉ!?」

 

どういう訳だか男である俺には喋る権利もないのか

まぁ二人とも可愛いし、もしかしたら自主規制なこととかそう言うの期待してる口なのかもしれない

そんなものは幻想だが

 

「…もう、アラタのせいで結局向かってくる気にはなっちゃったじゃない」

「それも俺のせいなの!?」

 

とばっちりである

しかもそんな会話がさらにスキルアウトを苛立たせてしまったようで

 

「イチャついてんじゃねぇぞコラァァァッ!」

「っせぇなチクショウがァァァッ!」

 

やり場のない怒りをとりあえずスキルアウトにブチ込みました

 

~数分後~

 

「さ、サーセンしたぁっ!!」

『したぁっ!』

 

「おうよ! テメェらもな、ナンパとかするくらいならテメェ磨けやぁッ!!」

 

『うすっ!!』

 

わけの分からん番長みたいな台詞を口にしながらアラタは走り去っていくスキルアウトの背中を見送った

…なんでこんな事してるんだ自分は

 

「…大丈夫? ごめんね、結局あんた一人が戦う羽目に…」

「気にするな。結果オーライだ」

 

美琴の頭をポンポンと叩きながら二人は改めて女の子に向き直った

 

「その…貴女も怪我はない?」

「は、はい。…ありがとうございます」

 

そう言って女の子は笑顔を振りまく

…結構近くで見ると美琴よりちょっと背が低いみたいだ

そして美琴に負けず劣らず可愛い

 

「すごいなぁ…私も高校生になったし、貴方たちみたいなカンロクをつけたいなぁ」

「か、カンロクって。俺はまだしも、こっちはまだ中学生だぜ?」

 

そう聞くと女の子は美琴を見て「あ…」と気づいたように

 

「確かに、胸は年相応かも…」

「しっ、失礼なっ!?」

「―――っ」

 

思わず吹き出してしまった

そしてばっちり、美琴に見られてた

 

「ちょ、何笑ってんのよ…!」

「痛い、ちょ、つねらないでって…!」

 

そんな二人を見て女の子は思わず笑ってしまった

 

―――本当に仲良いんだなぁ

 

「あの―――」

「すみません、道を開けてください!」

 

女の子が声を出そうとしたとき、野太い男の声が聞こえた

人混みを分けてくるのは警備員だ

 

「うえ、やべ警備員だ!」

「ホント!? ごめん、事情聴取とか勘弁だから私たち行くね!」

 

走ろうとしたとき、美琴は思い出したように懐から紙を取り出した

 

「あ、ペンある!?」

「え? あるけど…」

 

アラタからペンを受け取ると美琴はサラサラと急ぎつつ、それでいてちゃんと読み取れる文字で何かを書いていく

 

「はいこれ! 私たちの番号書いたメモ! 今回はアレだったけど…また何かあったら力になるわよ? ね」

 

そう言って美琴はアラタに顔を向ける

 

「まぁね…、ほら行くぞ…っと、じゃあな、嬢ちゃん!」

「またどこかで会いましょう!」

 

「あ、あのっ!」

 

女の子の声に二人は手を挙げて応えるとどこかに走り去ってしまった

女の子はそんな二人の背中を見送って呟く

 

「行っちゃった…」

 

女の子―――鳴護アリサは受け取った紙を見て誰にともなく微笑んだ

 

「また―――会えるかな」

 

 

 

 

歌と、奇跡

魔術と、科学

そして…生と死

 

それぞれがそれぞれの思惑を携えて、―――物語が始まる

 

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