劇場版とある魔術の禁書目録 プロジェクトエンデュミオン~その奇跡は誰がために~ 作:桐生 乱桐(アジフライ)
いつもの通りではありますがご容赦を
今回は少し改変があります
では―――どうぞ
※先行略
アームズモンスター
先行登場してるって割には喋りません
「はぁっ!!」
マスクをパージした眞人の攻撃は凄まじかった
直情的な攻撃で、真っ直ぐなものではあったがどういう訳だか避けることが出来なかった
(なんなんですか、これは…!)
これが生きる意志だとでもいうのか
抗う力だとでも言うのか
或いは、ただ視界が広くなったからだけなのか
分からなかった
(ですが―――タダでは負けませ―――)
彼女の思考が最後までに至る事はなかった
「―――あぐっ!?」
唐突にG4はそう言って一度頭を抱えた
何かに
それを見て、眞人は瞬時に理解した
彼女の身体が、限界なのだと
「水城さんっ!! 早く! まだ間に合います! 離脱を―――!」
そう必死に叫ぶ彼の声さえも、彼女の耳には聞こえていなかった
否、聞こえる状況ではないからだ
劈く音に耳は支配され、脳はAIからの命令で溢れんばかりの状況で聞けと言う方が難しいのだ
―――くるくると、風車が回っていく
一人の為に戦って、皆の為に戦って
思えば違いはなんなのだろうか
結局は、覚悟の違いなのだろうか
―――徐々に、徐々に。風車は遅くなる
それでも、マリアはレディリーに感謝していた
こんな自分でも、誰かのために戦えたのだ
たとえあの研究所の襲撃が、仕組まれたことであっても
―――ゆっくりと。しかし確実に、風車は回るのを遅くなっていく
そう、いつぞやの研究所襲撃―――それはレディリーが仕組んだものだったのだ
その真意はやはり己の死ぬためだという事を、マリアは知らないが
それでも彼女がレディリーを恨むことなどない
―――かたかたと。風車は動きを止めていき
あぁ、社長
私はお役に、立てたでしょうか
―――かたん、と風車は動きを止めた
◇
どさり、とG4がその場に倒れた
「…水城さん?」
その行為が意味すること
即ち、彼女が息絶えたという事だった
眞人はその場に崩れ落ちた
やり場のない悲しみが彼の胸に落ちていく
「水城さん…!」
ダン、と彼は床を拳で叩きつける
そんな時だ
ウィーン、とまるで機械のように倒れたはずのG4が起き上がったのだ
「!?」
眞人はまさか、と目を見開いた
しかしそれは、〝G4〟が彼女の遺体を〝動かして〟いるのだ
―――まだ酷使しようというのか、彼女を―――人間を
「…もういい―――」
眞人は拳を握る
彼女の戦いは、終わったんだ
これ以上―――戦わせる必要なんかないはずだ
「―――もういいだろぉぉっ!!」
渾身の力を込めて放った彼の拳はG4のバックルにぶち当たる
その一撃はバックルを破壊し、今度こそG4はその場に崩れ落ちた
人は部品と認識する悪夢のユニットは、ここに破壊されたのだ
◇◇◇
ギャレンラウザーから放たれた弾丸は黒影を確実に射抜き、ダメージを与えていく
そんな彼の後ろで調子を取り戻したレンゲルも同様にもう一体の黒影をレンゲルラウザーで斬りつけて体力を奪う
吹き飛んだ黒影を視界に入れつつ、レンゲルとギャレンは互いに背中を合わせて―――
「決めるぞ、陸姫」
「はい! 橘さん!」
頷き合ってギャレンはラウザーを展開しそこからカードを二枚取り、レンゲルも二枚のカードを取り出す
そして二人はそれぞれカードをスラッシュしていく
<ドロップ><ファイア> <バーニングスマッシュ>
<バイト><ブリザード> <ブリザードゲイル>
ラウズをし終えてまずギャレンはホルスターにギャレンラウザーを仕舞いながら拳を握って大きく跳躍した
彼の足はゴウッ! と紅蓮を纏いそのまま前宙をしながら身体を180度ひねりこみ、相手と上下逆に向き合った状態で爪先を振り下ろし黒影の頭部を2連続で蹴りつけた
スタ、と黒影を背にし彼の背後で大きな爆発が巻き起こる
そんなギャレンに続くようにレンゲルもレンゲルラウザーを地面に突き立てて同じように跳躍した
そして両足から強烈な吹雪を繰り出し、黒影を冷却、そのまま己の両足で挟み砕くように蹴りを叩きこみ打ち砕いた
「…ふぅ」
一息を付きながらレンゲルはバックルを閉じて変身を解除する
そして陸姫は同じように変身を解除している朔夜を見て
「改めてありがとうございます、橘さん」
「気にするな。ところで、夜神は現場か」
朔夜に問われ陸姫はうん、と頷いた
その後で朔夜はそうか、と短く答えると停めてあったレッドランバスの下に歩いていきランバスに跨った
「戻るぞ、陸姫」
「え? 加勢に…行かないんですか?」
「行く必要はないだろう。おそらくそこには、俺たち以外のライダーもいるはずだ。信じて待っていればいいさ、俺たちはな」
朔夜は陸姫に向かって笑みを交えて言うとランバスのエンジンを蒸かす
別に夜神一真を信じていない訳でない、むしろ信じ抜いていると自負している
少し考えて
「うん。…そうですね!」
結果、いつもの通りに信じることにした
◇◇◇
耳に聞こえる〝ノイズ〟を抑えながら、シャットアウラは道を歩いていた
壁伝いに彼女は歩き、頭を押さえる
耳に入ってくるのは醜悪なノイズばかりだ
「うるさい…!」
どこまでもこの音は耳障りだ
自分の神経をどこまでも逆なでして―――!
「この―――ノイズが、奇跡を―――!」
奇跡
そんな不確かなものなど―――
「止めてやる…!」
シャットアウラは拳を握りしめる
ギリリ、と血が滲んでしまうと、錯覚してしまうくらいに
「―――絶対に!」
◇
やがて通路を出ると大きな倒壊したステージへと到着した
同時にノイズの音が大きくなってくる
ふと視線をあげる
半壊したステージに一人、ノイズを発している人間が一人
鳴護アリサだ
彼女は、まだノイズを発している
彼女が口を開くたびに、ずきんと頭が痛くなってくる
シャットアウラの顔が苦痛に歪んだ
「―――やめろ…!」
そのノイズを断ち切るように、彼女はアリサが歌っているステージを支えている柱に向かってパレットを投げつけて―――爆発させた
「―――やめろぉぉぉぉぉっ!!」
その声にアリサが気づいたのは爆発する直前だった
声の方に振り向いて彼女を視認したときには―――彼女は宙を舞っていた
支えを失ったステージが倒壊し、宙に投げ出されたのだ
「きゃあああああっ!?」
そんな彼女に、一人の男が全力で駆け寄ってくる
一人は白い制服姿にズボンを履いたツンツン頭の高校生―――上条当麻だ
彼は一気に走り、ありさが地面に叩きつけられるより先に受け止め、衝撃を逃がすように地面を転がった
アリサを両腕で抱き、己の身体を盾にするように
「当麻!」
少し遅れて鏡祢アラタが追いついた
ここに来るまでに数体、自動人形の妨害を受けたが彼は先に当麻を行かせて自分はそれらを蹴散らしていたことで少し遅れたのだ
彼はお姫様抱っこをしつつゆっくりと立ち上がりアラタの顔を見る
「間一髪…みたいだな。当麻」
「あぁ。お前も…怪我ないみたいだな、アラタ」
軽くアラタに頷いて返事をしていると、ふとアリサが気付いた
そして久しく見た彼らの顔に心を安堵させる
「当麻くん…! アラタくんも…!」
名前を呟くアリサの顔を見て当麻とアラタは彼女の顔を見て笑顔を作る
―――しかし、不意に当麻の顔が苦痛に変わった
「! お前―――!?」
苦痛に歪めた当麻の背中
白い制服だからその朱色がよく目立っている
それは血だ
恐らく地上でアリサが誘拐された時―――爆発で受けた傷が先ほどの激しい動きで開いたのだろう
そして―――アリサがそれに気づいた
「っ!? 当麻くん…!?」
◇◇◇
エレベーターとある一室
そこは魔術の起動を制御している部屋だ
そこに、レディリーはいた
「ふふ…あと、あと少しで…!」
彼女は嗤っている
当然だ
もう少しで、自分の望みを叶えることが出来るのだ
目の前の赤い塊を眺めながら、レディリーは口角をつり上げる―――
「初めてなんだよ。こんな無茶な術式は」
声が聞こえた
「地球を壊す気?」
後ろの入り口から悠然とインデックスは歩いてきていた
その隣には―――御坂美琴
「魔力を生成する回路が乱れているって話じゃないよ」
レディリーは彼女らを視界に捉えるとまた笑みを作る
「…禁書目録。聞いたことがあるわ。―――十万三千冊を記憶させられた、人間図書館」
恐らく彼女が言っていることが美琴は理解できていない
しかし、インデックスが何かを背負ってるという事はなんとなくわかった気がした
「分かるでしょう? 貴女なら! 魔術によって呪われた人たちの気持ちを! やっと私は抜け出せるのよ! この永遠から!」
「無理だよ」
傍らの彼女は目の前の女の言葉を切り捨てる
「それをやっても貴女は死ねない。私には分かる」
その言葉に応えるように、レディリーは苛立たしげに歯を食いしばった
◇◇◇
「ガルルフィーバー!」
タツロットから発せられる言葉と共にエンペラーはガルルセイバーを振り抜いた
目の前に群がる無人ロボの大群相手に一閃しエンペラーフォームはさらに前に進んでいく
かかってくるのは無人で動く警備ロボットみたいなものだが特にこれと言った障害にはならず、さほど問題もなくぐんぐんと進んでいく
そんなエンペラーフォームの傍らには呼び出したアームズモンスターも共に戦ってくれている
そのまま障害を殲滅しつつ彼らは進んでいく
◇
「そらそらそらぁっ!!」
雄叫びと共に大橙丸を振り回し行く手を阻む警備ロボを刻みつつ足を運んでいく
場所はあの報告の後送られてきたから迷う事はない
しかしたどり着くまでが少々面倒だ
だがそんな泣き言も言ってもいられない
間に合わなかったら全てが無駄になるからだ
◇
同様に
しかし警備ロボの火力が尋常でなく、
「くっそ…! 早くしないと全部手遅れになるってのに…!」
相手の警備ロボットから放たれる弾丸を柱で耐えながら憎々しげに黄泉川は呟いた
◇
天井から何か防衛装置が起動し、そこから戦輪のようなものが射出される
それに向かって三人の少女たちが先行し、それぞれの魔術で対抗する
マリーベートは土、ジェーンは風、メアリエは水の魔術を用い、その戦輪を土で包み、風で薙ぎ、水で威力を殺す
しかしそれでも零してしまう戦輪はいくらかあるが―――
そのうち漏らしは銀の手甲、紫色の炎弾、そして紅い炎が対応する
「あっ…!」
「マリーちゃん、油断しないで」
響鬼は音撃棒を慣れた手つきで振り回し、その傍らでサゴーゾコンボとなってるオーズが歩く
その真ん中に立つステイルはルーンカードを取り出して―――
「行くぞ!」
鼓舞するように口を開いた
◇
「ライダーチョォップ!!」
横一閃
放たれた銀色の手刀は目の前の再生怪人―――クモ男を両断する
来ることを予期していたのか、はたまた単なる偶然か
本郷猛―――仮面ライダー1号の所はかつて倒した軍勢と同じなのだ
幸いにも知力がないのが救いか
しかし今となっては、それはまさしくただの障害でしかない
「構っている暇はない…さっさと行かせてもらうぞ」
改めて拳を握り直すと、1号は目の前の再生怪人の群れへと突っ込んでいく―――
◇◇◇
痛みに耐えきれなくなったのか、当麻はアリサを抱えたまま態勢で膝を付く
「当麻くん…!」
心配した様子でアリサが口を出し、自らの足で立ちあがり当麻の傍に寄り添った
無論、その気持ちはアラタも同じ気持ちだ
しかし…今は
かつ、とシャットアウラが歩き出す
視線は変わらず、アリサのままだ
そして一定距離を近寄って―――じゃきり、とハンドガンを構えた
だがそれを阻むように、彼らの前に鏡祢アラタが立ち塞がる
「…どけ! 私はその女を殺す」
「その要求は飲めない。アウラ、お前こそやめるんだ」
「その女が! レディリーの計画を生み出した! その上での犠牲も、何もかもこの女の歌が! この女の起こす奇跡が人を惑わせるんだ!」
彼女の銃口は真っ直ぐ、アリサの方へと向いた
◇◇◇
爆砕ボルト眼前
エンペラーフォームの前に光景に広がっているのはおびただしい数の警備ロボットの群れ
しかし距離的に言えば特に問題はない
ここは―――射程距離内だ
「バッシャー」
「オッケー」
エンペラーフォームの呟きにバッシャーが反応し、その姿を緑色のハンドガン、バッシャーマグナムへと変え、エンペラーフォームの手に収まった
「―――ふぅ」
一つ、エンペラーは息を吐く
そして視界を目の前の爆砕ボルトに向けた―――
◇◇◇
「ここか!」
幾多の警備ロボを斬って鎧武は爆砕ボルトのある部屋へとたどり着いた
幸いにも自分の所には特に警備ロボットもおらず、その点では鎧武は少しだけ安堵した
改めてきょろきょろとあたりを見回して誰もいないことを確認すると深く腰を落としつつ、ドライバーに手を添える―――
◇◇◇
「師匠…大丈夫ですか?」
マリーベート、メアリエ、ジェーンが心配した表情でステイルを見つめる
先ほどの戦輪で少々無理をしてステイルは軽傷ではあるが負傷してしまったのだ
「かすり傷だ。…気にすることはない」
「まぁた強がって。ほんと少年は…なんだ? あれだ、つんでれってやつだな」
「…ふざけたこと抜かすな」
響鬼に向かい思わずそんな事を言ってみる
それを見てタトバに戻った斎堵が笑いそうになるのを軽く睨んで訴える
いつしか場所は爆砕ボルトの前へとたどり着いていた
しかし、そこには一人の門番が立っていた
それはレディリーの側近である女の人形―――
「師匠、ここは私たちが―――」
「馬鹿を言うな。…頼まれた仕事は、果たす」
心配する三人を制しながらステイルはその手に炎を顕現させる
その隣で響鬼は音撃棒烈火を構え
「―――本当に素直じゃないなぁ」
そして反対側ではメダジャリバーを構えたタトバコンボが
「いつもの事だろう―――!」
それぞれの獲物を構え、三人は爆砕ボルトを見据える
◇◇◇
数分ほど走って、1号はその爆砕ボルト前へとたどり着いた
その部屋の中心には天へとそびえ立つような建設物―――これが件の爆砕ボルトとやらだろう
室内は妙に薄暗く、その爆砕ボルトは怪しく光っており、妙な美しさを醸し出している
「…む?」
ふと、己の後ろ
そこに人影を感じた
1号は振り向いてその存在を確認してみるとそれは短髪の女の子だった
恐らく彼女も内部に侵入して戦っていたのだろうか、サブマシンガンのようなものを構えている…が、こちらに敵意はない
そして呟く
「タイミングは―――こちらで言います、とミサカは貴方に言伝します」
◇◇◇
バラバラ!! と連続して放たれる警備ロボットの弾幕を柱を盾に舌を打ちながら通信機へと黄泉川は口を呟く
「…こちら黄泉川、すまない。このままではたどり着けそうにないじゃん…!」
ギリ、と黄泉川は歯を食いしばる
それでも何とか突破口を探そうとする黄泉川の耳に―――
<―――大丈夫です>
そんな無機質な声を聞いた
◇
同じく地上
その声を聞いた一同はきょとんとしていた
<構わず、5カウントで点火をお願いします、とミサカは言います>
「お姉様…!?」
ミサカ、という単語に黒子は反応を示したが、フィリップはそこで気づいた
(…あの子たちか…)
◇
ばうっ!! と大きなレーザーライフルが放たれキバエンペラーの目の前にいた警備ロボットを焼き尽くす
思わず彼はそのライフルが放たれた方向を見ると武装した短髪の女の子が立っていた
…ていうか、たまに教えている御坂美琴という生徒にそっくりな気がした
「貴方からです。5カウント、とミサカはカウントします」
◇
爆砕ボルト前―――
そこは本来は
その爆砕ボルトの前に歩み出る人影が三人ほど―――
一人は杖を突いている
「―――ったく。なンでオレがこンな所に来ないといけねェンだァ?」
その男の名は、
「だってだって! これを壊さないと地球が壊れて、なんだかどっかーん! って、皆が帰る場所がなくなっちゃうって、ミサカはミサカは正論を言ってみたり!」
二人の男の近くをくるくると回って天真爛漫な笑顔を振りまくアホ毛な女の子の名前が、
「そう言うなって。…リハビリに持って来いだろ」
そう言ってゆっくりとデッキを目の前に突き出すと彼の腰にVバックルと呼ばれるものが現れる
彼は右手を動かし、半月を描くように素早く動かして
「変身!」
そう言って青年―――浅倉涼はバックルにデッキを装填する
即座、鏡の割れるような音と共に彼の身体に幾重に重なり、姿を変えた
仮面ライダー王蛇へと
「へっ。―――違いねェ」
◇
5
「ワタル! なんだかわかんねぇけど!」
「うん! 行くよ、タツロット!」
「はい! では―――バッシャーフィーバーッ!!」
エンペラーはタツロットを操作し、緑色のマークを揃える
そしてタツロットを取り外し、バッシャーマグナムのノズル部分へと取り付ける
「ガチャ!」
エンペラーの周りには空気に宿る水分が映し出され、その水分がバッシャーマグナムへと集まっていく
そして銃口を、爆砕ボルトに狙いを定め、一気に引き金を引いた
瞬間、まるでビームキャノンのような水の銃弾が一直線に放たれ―――爆砕ボルトを貫いた
◇
4
鎧武は戦極ドライバーのブレードを一度下ろした
カキンっ! と小気味よい音が響き、そして音声が鳴る
<オレンジ スカッシュ!>
そして手に持った大橙丸に力を込めるように腰を落とす
その動作に合わせるように鎧武が持った大橙丸にエネルギーがチャージされていく
「そぉりゃあぁぁぁっ!!」
大橙丸から放たれたオレンジ色の斬撃は真っ直ぐ飛び、爆砕ボルトに直撃し―――爆発させた
◇
3
「はぁぁぁぁぁっ!」
気合と共に音撃棒に紫色の焔が灯り、大きく響鬼は振りかぶる
その隣ではタトバコンボがジャリバーにメダルを三枚挿入し、そしてスキャナーで刀身をスキャンし
<トリプル! スキャニングチャージ!>
傍らの男たちがそれぞれの構えを作る中、ステイルも己の最大の技の構えを取る
先に動いたのは―――響鬼とオーズ
「たぁぁぁぁぁっ!」「ずぇいやぁぁぁぁぁっ!!」
同時に振り下ろし空間を斬る斬撃と紫炎の焔
その一撃が女の人形を斬り裂いて、さらにその残骸を焼き尽くす
「少年!」
響鬼の叫びと同時、ステイルは動き出した
「
彼の手から生み出された炎から顕現した異形の魔人は真っ直ぐ突き進み―――爆砕ボルトは点火させた
◇
2
「らァァァっ!!」
しかし当たりが弱かったのか、それとも
そんな隙をフォローするように王蛇が一枚のカードをベントインする
<ファイナルベント>
王蛇の呼び出しに応じ、どこからか現れたベノスネーカーを背に、王蛇は跳躍する
「はぁぁぁぁぁっ!」
後方宙返りをしつつ、ベノスネーカーが吐く毒液の勢いを味方につけ、ひび割れたその爆砕ボルトのベノクラッシュを叩きこんだ
爆発するその寸前、再び爆砕ボルトを蹴りつけて王蛇はベノスネーカーの元へと帰還し、そして目の前で爆砕ボルトが爆発した
◇
1
傍らの女の子から指示が来た時、仮面ライダー1号は大きくポーズを取り、己の精神を集中させる
ライダーファイトだ
それを終え1号は爆砕ボルトを見据えた
それから少しだけ距離を取り、軽く助走をつけて―――跳躍する
そして右足を爆砕ボルトに向けて突きつけた
永劫に語り継がれる、その技の名前は―――
「ライダァァッ! キィィィックッ!!」
まるで砲弾とも思えるその一撃をいともたやすくボルトを貫き砕き、貫通してボルトの反対側へと着地する
そして1号の背で、爆砕ボルトが爆発した
◇
エンデュミオン外
ゴゴゴ! とまるで自身のような揺れに佐天は驚いた
「やったの…!?」
「あぁ、やってくれたんだ…!」
その傍らでフィリップが同意する
ガラガラとエンデュミオンのはるか上空からガラスの破片が降り注いでくる
◇◇◇
その揺れは宇宙にも伝わっていた
そしてその揺れに、レディリーが気づく
「この揺れ…! まさか、エンデュミオンを
動揺するレディリーを尻目に美琴はインデックスに言う
「…何かやるなら、今のうちじゃない?」
「うん。任せていい?」
「えぇ、しっかり守ってあげるから」
すかさず美琴はレディリーに視線を向けて、臨戦態勢を取った
◇◇◇
「…馬鹿な!」
その揺れの正体を知った時、シャットアウラは驚愕する
そんな彼女に向かって、膝を付いた当麻は言った
「分かっただろ…。できない事なんてないんだよ…!」
「やれば出来るってな。名言だぜこいつは」
当麻に付け足すような形でアラタが言う
しかしそれでも、シャットアウラが銃を下ろすことはなかった
その手は少し、震えているような気もした
彼女の口は語り始める
「…オリオン号の機長だった私の父は、あの事故で唯一犠牲になった。私を含めた乗客全員…助かったのに!」
彼女は咆哮する
「だから私は奇跡を否定する! …そんなものに頼らずとも、自分の力だけで戦った父の意思を継ぐためにもっ!!」
「キミの父は! 必死に乗客や、娘である君を守ろうとしたはずだろう。少ない可能性に賭け、戦ったんだ。だからこそ、キミやその乗客が助かったんだろうがっ!」
アラタの怒号
その時、シャットアウラは、どんな顔をしていただろうか
「キミが奇跡を否定してしまったら、その奇跡を起こしたキミの父親をもう一度殺すことになるんだぞ!」
戦慄
シャットアウラの表情が凍りついた
その場に流れる一瞬の静寂
その時、ふとシャットアウラは通信機のようなものに耳を近づけた
地上部隊から何か連絡を貰ったのか、シャットアウラはくくっ、と笑いながら徐にベルトを巻きつける
そしてナックルを手に叩きつけ
<レ・デ・ィ>
そのままベルトにナックルをセットした
<フィ・スト・オン>
彼女の前に現れた幻影は彼女に重なり、ブラックイクサとなって立ちはだかる
…当麻は負傷しているし、アリサは戦えない
この状況なら、考えるまでもなかった
アラタは二人を守るようにさらに一歩、前に出た
そして―――己の腰に翳すようにその手を当てた
すると彼の腰に―――顕現するようにアークルが現れる
アマダムの色は、まだ無色
そして右手を左斜めへ、左手をアークルの上部右側へと持っていく
そしてそれを開くように―――
「変身ッ!」
彼は叫んだ
瞬間、先ほどまでは色のなかったアマダムが赤く輝き、アラタの身体を変えていく
「―――そうか。貴様もライダーだったのか」
「あぁ。…仮面ライダークウガってんだ」
紅い複眼が、ブラックイクサを捉えた
そんなクウガに向かって、ブラックイクサは拳を握り、殴り掛かった
対して、同じようにクウガも拳を握りはしたがすぐに開き、受け止めて流すことに集中している
彼女の痛みを、受け止めるように
「やはり落ちるぞ、エンデュミオンはっ!」
「なに!?」
驚くクウガの腹部に蹴りを叩きつけて地面を転がす
そのまま踏み砕こうと足を振り上げて蹴りを繰り出したが先に地面を転がって避けられた
「はっ!! 何が八十八の奇跡だ、何が奇跡の歌だ!」
しかしブラックイクサはクウガに向かい彼が起き上がるタイミングで膝蹴りを叩きこんだ
「うぐっ!?」
そのまま仰け反って倒れそうなクウガを掴んで地面に投げ飛ばす
そしてブラックイクサはそのままクウガに乗っかり、殴り付ける
何度も、何度も
「奇跡なら! 奇跡なら今すぐ救って見せろ!! 地上に落ちるエンデュミオンから…! 全ての人達をを救って見せろよ! そこの女も、そこの男も! お前もッ!!」
ガン、と振り下ろされた彼女の拳を、ただクウガは受け止める
「奇跡を肯定し、秩序を乱すものは全て―――」
そんな時だ
ららら、と鳴護アリサの旋律がその場に流れた
音の発生源は―――鳴護アリサに支えられている上条当麻の携帯電話
着信音にでも設定していたのか、らら、と透き通った声で携帯から彼女の歌声が紡がれる
「うっ…!?」
常人ならば心が安らぐはずの歌は、彼女にとっては何物にも耐えがたい毒となる
ブラックイクサは頭を抱えるように苦しみだした
その隙をつき、クウガは彼女を横に投げつけた
痛みに魘されてはいるが、ブラックイクサは地面を転がりゆっくりと立ち上がった
「…君のやり方じゃ、秩序なんて生まれない」
立ち上がりながら、クウガはブラックイクサに向かって言い放った
その言葉に反応するように、彼女は仮面の下で歯を食いしばりクウガに向かってパレットを投げつけて、それをカリバーから放たれるワイヤーで爆発させる―――
しかし、その爆炎の中から出てきたのは無傷なクウガの姿
「キミの父親は、小さな可能性に賭けて、何かが手に入るとそう信じて…! 前に進むことを選んだんだ。君の父親は! 奇跡を起こしたんだ…! 誰よりも、あきらめなかったから!」
そんなクウガの言葉に、仮面の下でシャットアウラは目を見開く
「なぁ…シャットアウラ」
クウガの背後から、上条当麻の声が聞こえる
いつの間にか音楽は聞こえなくなっていた
彼の携帯のバッテリーが切れたからだ
「―――音楽ってさ、結構、悪くないもんだぜ…?」
小さく呟いた彼の言葉に、ブラックイクサは完全に動きを止めた
ゆっくりと顔を俯かせ、彼女はナックルを外し、変身を解除する
「…アウラ」
それを見てクウガも変身を解除する
戦意を失ってくれたのはいいが、それでもまだ問題はある
こんなとこではまだ終われない―――そう思った時だ
「―――らら」
小さく聞こえた、ある人の旋律
それは、シャットアウラから聞こえたものだった
上条当麻も、鳴護アリサも、鏡祢アラタも
皆がシャットアウラを見た
彼女の瞳からは、一滴の涙が見えた
涙を流して―――旋律を紡いでいた
◇
三年前
ごうごうと燃え壊れていくオリオン号に、子供だったシャットアウラは乗っていた
皆と同じように、彼女もまた…不安だった
場所はコクピットに移り変わる
絶望的な状況の中、オリオン号機長―――ディダロス・セクウェンツィアは諦めなかった
翼の反対側が壊れても、部下にもう駄目だと言われても、ディダロスは諦めなかった
しかし、隣の副機長は違った
「!? おい、どうした!?」
徐にシートベルトを外し、恐怖に引きつった顔で副機長は
「うわぁぁぁぁぁっ!!」
逃げるように、扉へ走って行く
副機長は、諦めたのだ
当然だ
飛行機にとって翼は命ともいえる場所、しかも地球上ならまだしも今いる場所は宇宙
こんな状況で何ができるというのだろう
だがそれでも、ディダロスは―――諦めなかった
そんな思いを知ってか知らずか、幼かったシャットアウラは一つ、願った
〝私の大事なもの、全部あげるから…皆に―――奇跡を〟
―――――あぁ、そうだ
シャットアウラはあの時願った
大切なものを捨ててでも、奇跡が欲しいと彼女は願った
そして―――
彼女の歌に導かれるように…当麻を支えていた彼女はすく…と立ってシャットアウラの下に歩いていく
いくらか当麻も楽になったのか、当麻も立ち上がって、アラタの隣に並んだ
シャットアウラと、鳴護アリサ
二人はお互いに歌い合う
佇むシャットアウラに―――鳴護アリサが手を差し伸べた
その手を―――しっかりとシャットアウラは握り返す
重なったその手が―――奇跡を生む―――
◇
~OVER~
歌が聞こえた
「…この歌」
傍らにいるインデックスを横に、美琴はなんとなく上を見る
耳に入ってきたのは、鳴護アリサの歌声だった
しかしその歌にもう一人、誰かがいたような気がしたが美琴には分からなかった
そして、彼女はレディリーに視線を向ける
「ち、違う! これは私が望んだ奇跡じゃない! これじゃ…魔方陣が…!」
そしてハッとした顔で何かを唱えているインデックスに視界を動かした
「やめろ!! 今ここでそんな大きな力を広げたら…! 崩れる…! 私の夢…! 希望…!」
「―――アンタに、夢やら希望やらを語る資格なんてないわよ」
縋るように寄ってくるレディリーに、御坂美琴は吐き捨てる
「な―――っ」
「夢を利用したアンタには―――希望なんて言葉、口にする資格なんかないって言ったのよ」
「黙れ!! これは―――! これは私のぉぉぉっ!!」
そう言いながら彼女は忍ばせていたハンドガンへと手を伸ばし―――インデックスに向ける
しかし引き金が引かれることはなかった
美琴が放った雷撃がハンドガンを吹き飛ばしたから
「諦めなさい。―――自業自得なのよ、アンタは」
◇
同様な変化も地上で起きていた
ガラガラと、エンデュミオンが崩れ去ろうとしていたのだ
内部に侵入していた人らも、それぞれ外に出ようと走る
「ワタルー! 急げ急げー!」
「分かってるって!」
エンペラーフォームは出口に向かってただ走る
アームズモンスターはてっとり早く三つとも武器形態にして持って走っている
そちらの方がなんとなく早そうだと思ったからである
「し、師匠…!?」
メアリエが不安に呟く
ていうか、この揺れでなんとなく三人は察したのだろう
「とっとと逃げるぞ少年!」
「分かっている! 斎堵!」
「おう!」
頷き合い、響鬼はマリーベート、ステイルはメアリエ、オーズはジェーンを抱えてまた一直線に走り出した
「おー! すごいすごいってミサカミサカは驚いてみたり!」
ベノスネーカーの頭の上
まさかスネーカーもこんな使用法をされるとは思ってなかっただろう
半ば道中、いろいろとぶっ壊しているが、どうせ壊れるのだ、問題ないだろう
「ったく、今回限りにしてほしィぜ、こンなのは」
「そう言うなって。っとと」
落ちそうになりながらも堪え、ベノスネーカーは三人を乗せてぐんぐんと進んでいった
「…こりゃヤバい!」
揺れから何となくだが全てを察した鎧武もまた一直線に走り出す
それでいて、ふと顔は笑っていた
成功したんだ、とその喜びを噛みしめた
「エンデュミオンが崩れる…!」
他の皆と同様に察知したのか、1号もまたそれに気づく
ふと、短髪の女の子が気にはなったがもうそこにはいなかった
恐らく、出口に向かって走り出したのだろう
ならば、もうここに長居する理由もない
彼もまた、脱出するべく駆け出した
◇
いつしか空には、太陽のような光が瞬いていた
誰もがその輝きに見惚れ、言葉を失くしている
「…あれが奇跡って奴なんですかね?」
「分からない。だがきっと…そうなんだろう」
翔一の言葉に、光太郎は頷く
「ホント、人間ってすげぇよな」
「あぁ、だからこそ、侮れない」
巧巳の言葉に応えたのは天道だ
そんな傍らで見ていた夜神も、思わず笑みを零し
「…綺麗だなぁ」
なんて、子供みたいな感想を漏らしていた
「やったか…あいつら」
「あぁ。やったな」
短く確認を取るのは、翔太郎と門矢士
翔太郎は帽子を深くかぶり直し、士はトイカメラをその光をレンズにいれ、シャッターを切った
「…凄いな、これは」
「珍しく意見が合うわね。…えぇ」
そんな事を言いながら式を鮮花は空に見えるあの光を見据える
まだ明るい時間帯ではあるのに、その明るささえも打ち消して、それは輝いていた
同じようにその光に見とれていたフィリップは気づいたように初春に聞く
「エンデュミオンは?」
「はい…落下コースから外れてます! 地上への落下は回避されました…!」
◇
やがて歌は終わり、光も収まっていく
その光に、見とれていたのはアラタも当麻も一緒だった
その光の収まった場所―――そこには二人の人影がいた
言わずもがな、アリサと―――シャットアウラだ
不思議なことが起こったのか、二人はこちらを見ると小さく笑んだ
それに応えるように、当麻とアラタは二人に向かって歩み始める
そして―――上条当麻は鳴護アリサへ
鏡祢アラタはシャットアウラへ
それぞれ手を差し伸べた
「帰ろう」
「俺たちの
差し出されたその手を、二人は握る
離さないように、強く―――アリサとシャットアウラはそれぞれの手を握った