劇場版とある魔術の禁書目録 プロジェクトエンデュミオン~その奇跡は誰がために~   作:桐生 乱桐(アジフライ)

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エピローグ

―――ある教会にて

 

椅子に座りながら渡された紙を見つつ、最大主教(アークビショップ)、ローラ・スチュアートはテーブルに置いてあるパソコンに視線を向けた

 

「…結局、あの女子はなんだったんでありけるか?」

<そうだね…>

 

彼女の問いに答えるのはアレイスター・クロウリーと呼ばれる男

学園都市の最大権力者にして、学園都市総括理事長

 

<例えるなら、〝願い〟と言ったところだろう>

「…願い?」

<あぁ。…能力者でなくとも、人の願いは主観を歪める。複数の願いが同じ思考を与えられれば、それは因果律にすら干渉する力となるだろう。結果、それは一人の少女を分け―――多くの人の運命を変えた>

 

ぱさり、とローラは目の前の男に紙を手渡した

 

「…そして二人が歌った歌の歪曲が、また奇跡を起こした、と」

<レディリーは興味深いことをしてくれた。けれど、死ねないというのも不幸だね>

 

 

「…あの女子たちは一つには戻らなかったりけるね?」

「そうみたいだなぁ。恐らく、それもまた何かの奇跡か…付近にいた古代の少年の身に宿す霊石が、彼女たちの歌に共鳴を起こし、二人をそれぞれ独立した存在として定着させたのか…そればっかりはわかんないね」

 

そう言って青年は紙を折りたたみ、す、と自分の前に手を翳し呟く

 

「コネクト」

 

そう呟くと彼の手の先に赤い魔方陣のようなものが現れ、青年はそれに紙を持った手を突っ込んだ

魔方陣から手を引き抜くともうその手に紙が握られていなかった

代わりに握られていたのはドーナツの袋だ

 

「あ、ずるーいソウマ。一人だけおやつタイムとは許し難し」

「うっさい。オレのスイートタイムだこいつは」

 

がさがさと袋に手を突っ込んで彼はドーナツを取り出す

シンプルな輪っかに、シュガーを振りまいたプレーンシュガーという奴だ

 

「一つだけ…一つだけで良しとするから!」

「やだよ。なんで店長が丹精込めて作ってくれた至高の一品をやらねばならん」

 

バッサリ言うとローラが分かり易く嘘泣きをしてよよよ、と手で口元を抑えた

そんなローラを完全に無視し、もくもくとソウマはドーナツを食べ進める

 

(学園都市…か)

 

一つ目のプレーンシュガーを胃にいれたソウマはそう独白する

シュガーのついた指を舐めながら

 

(何も起きなきゃいいけどな)

 

適当に思考を切り捨てて、ソウマ・マギーアは二つ目のプレーンシュガーに手を付けた

 

◇◇◇

 

大覇星祭が翌日と迫った学校

上条当麻は席に座って、ぼんやりと窓の外の景色を眺めていた

昨日はいろいろあった

しかし出席日数がやばい当麻にとっては欠席をするわけにもいかない

地球に戻ってきてから、アリサとシャットアウラは一度蒼崎橙子の元に預けられた

 

そして朝、アラタは別の用事があると言って午前中欠席するとのことだった

出かける際にアラタが言った「ちょっとしたサプライズがあんぜ」との一言が気になるがそれを考える余裕はない

 

「よっす、かみやん聞いたか? なんだか今日、転入生が来るねんって!」

 

傍らでテンションの高い青髪の声に当麻はゆっくりと彼の方を見て

 

「…転入生? この大覇星祭前日にか?」

「そうや! しかも二人もっ!」

「二人ぃ?」

 

初耳だ

それ以前に先ほども口にしたが本日は大覇星祭の前日

タイミング的にあり得ないと思うのだが

 

「かみやんの言うとおり、本格的に通うのは大覇星祭が終わった後だにゃー。と言っても、その情報を知ったのはついさっきだけどにゃー」

 

そんな声を発するは土御門元春

彼はグラサンをくい、とかけ直しつつ

 

「おまけにいろいろな手続きは大覇星祭中にするみたいだぜぇい。よっぽど急な話みたいだにゃー」

 

土御門から話を聞いてふーん、となっているとふと、そこでアラタの言葉を思い出した

サプライズ

 

(・・・いやいやまさか)

 

仮にその話があり得るとして流石に急すぎる

そう首を振っていると教室に月詠小萌が入ってきた

 

「はいはーい。皆さん席に着くのですー。まず出席を―――えっと…鏡祢ちゃんは午前欠席ーと」

 

どうやらすでに連絡をしていたようだ

その後で小萌先生は一人一人出席を取っていき、本題というように彼女は言った

 

「皆さーん、大覇星祭が明日に迫った時期ですけど…、今日はなんと転校生と転入生がいます! ちなみの二人とも女の子なのですー」

 

そのカミングアウトに何人かの男子はおぉ! と歓声が沸く

 

「と、いっても時期が時期なので本格的に皆さんと通うのは大覇星祭が終わった後になりますね。ではでは、入ってきてくださーい」

 

小萌がそう言うと扉がガラガラと開け放たれた

―――が、一向に入ってくる気配は見られない

それでも何だかその扉の外でなんだか言っているような声が聞こえる

 

「―――ほら、恥ずかしがる必要ないってば」

「わ、分かっている! しかしだ、私はこう言った人付き合いには―――わ、腕を引っ張るな―――!?」

 

そして教室に入ってくる二人の人影

クラス全員が息を呑んだ

当然である

 

たった今この教室に転校生として入ってきたのは鳴護アリサで―――その彼女に引っ張られるように入ってきたのがシャットアウラ・セクウェンツィアだったからだ

 

アリサの視線が当麻を見る

その視線が、語る

 

―――よろしくね、当麻くん

 

◇◇◇

 

鳴護アリサとシャットアウラ

二人が独立するという奇跡の代償として、アリサの歌に宿っていた力は消え、シャットアウラの能力も消失してしまったらしい

それの代わりかは分からないが、アリサは普通の人間として、シャットアウラは脳の障害も治っており普通に音楽も認識できるようだ

 

そしてその力を失ったと判定された彼女は霧が丘を追い出され、橙子の手引きで当麻やアラタの通う高校に転校という形で移動したらしい

そしてシャットアウラは―――

 

「…高校…ですか?」

 

黒鴉の訓練施設

そこで名護に言われた言葉をシャットアウラは聞き返す

 

「あぁ。キミはこれまでにいろいろと失い、得てきた。そんな君に、ちょっと長めの休暇を与えたいんだ。そこで卒業してきなさい」

「で、ですがその間この黒鴉はどうなるんですか。リーダーは―――」

「コーチはいる。君が帰ってくるまでは、俺がコーチとなり黒鴉を纏めよう」

 

どうでもいいが名護はよくコーチという言葉に拘っている

…コーチという立場が好きなのだろうか

 

「しかし…私はそう言った触れ合いには慣れてません。それに…今更学校には」

「そこまで深く考えることはない。その高校は、キミの知り合いもいる高校だ」

「…知り合い?」

 

そう考えてふと頭に一人の男が浮かんだ

いつの間にか自分をアウラと呼んでいたあの男

 

「…、」

 

いや、なんで真っ先にあの男を思い浮かべた

ともかく、考えるのは後にしよう

 

「…分かりました。言われたからには、果たしてきます」

 

そんな訳でシャットアウラもその高校へと通う運びとなった

ちなみの件のアラタは、シャットアウラが来ることを、知らない

 

◇◇◇

 

学園都市第二十三学区

唯一国際空港が建設されているその場所に、二人の男がいた

一人は本郷猛

もう一人は鏡祢アラタ

 

「わざわざすまないね。見送りに来てもらって」

「気にしないでください。その…いろいろお手を煩わせてしまったみたいで」

 

そうアラタが言うとははは、と本郷は笑う

 

「それこそ気にする必要はない。手伝ったのは私の意思だ。それに―――」

 

本郷はポン、とアラタの肩にその手を置いた

 

「キミみたいな後輩が、この都市にたくさんいると思うと安心して任せられる」

 

肩に置かれたその手は、大きくて暖かいものだった

それでいて、どこか寂しさを漂わせているような気がした

 

「アラタくん」

「は、はい」

 

「―――この都市は、キミとその仲間たちに託す。そしていつか、また会ったら―――その時は共に戦おう」

 

そう言って本郷の姿が少しだけ変わる

仮面ライダー1号へ

 

「―――はい」

 

頷いて、同じようにアラタの姿も変わる

仮面ライダークウガへ

 

どちらともなく差し出したお互いのその手をしっかりと握り、固い握手を交わす

ふと二人の姿は戻っており、本郷も改めて荷物を持ち直し

 

「では、また会おう」

「えぇ、ありがとうございました」

 

そう短く挨拶して歩いていく本郷の背中を、アラタは礼をして見送る

やがて彼は顔をあげて、大きく背伸びをした

先生に午前は休むと言ったし、あとは急いで学校に戻るだけだ

当麻はサプライズに驚いてくれただろうか

アリサの転校は橙子から教えられて一足早く知っていたのだが

 

「さて、と。そろそろ行くか」

 

携帯を見て時間を確認しつつアラタは歩き出した

託された想いを胸に、明日に向かって歩いていく―――

 

 

 

 

ある偉大な方が残した言葉が、ここにある

 

時代が望むとき―――仮面ライダーは必ず蘇る―――と




これにて劇場版完結

展開から察する通りアリサとアウラは今後本編にも出てきます
―――まぁ今は出てこないけどね! もっと先だね

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