劇場版とある魔術の禁書目録 プロジェクトエンデュミオン~その奇跡は誰がために~ 作:桐生 乱桐(アジフライ)
そして相変わらず
※本編に登場していないキャラが先行登場しています
・天道ひより
・霧島斎堵(仮面ライダーオーズ)
これらのキャラは後に本編にも登場します
ではどうぞ
それと誤字脱字ありましたら報告ください
場所は再び移り変わる
そこはアラタおすすめのレストラン〝AGITO〟店内
その一角に四人はいた
山のように注文をし、それらがテーブルに並びインデックスが嬉々としてそれらを口に入れていく
そんな彼女の豪快過ぎる食いっぷりをアリサは驚いた顔で、当麻とアラタは苦笑い全開でそれを見ていた
「…とりあえず俺たちもなんか食べようぜ」
アラタの提案に頷きながら当麻もメニューを開きながらインデックスをチラ見していく
そんな当麻を尻目にインデックスはさらに追加注文をしていた
◇
「オーディションって、あのエンデュミオンに関係するものだったのか?」
うん、とアリサは目の前に出されたパスタを口に入れながら彼女は頷いた
ゴクリ、とパスタを嚥下させ、彼女は続けた
「うん。キャンペーンに使われるイメージソングに私の歌が選ばれたの」
「へぇ、すごいな。やっぱり、宇宙で歌うのか?」
「それはまだ分かんないけど…」
因みにインデックスはさらに勢いを増して追加注文をしていく
そんな彼らを翔一は軽く引いた状態で見ていた
開店して以来の出来事だこんなの
白いシスターは全く変わらぬペースで注文してくるし、バイトの子たちも間に合わなくなってきている
思わず翔一は携帯を取り出し、ある番号に電話をかけた
<もしもし、立神さんじゃないですか。一体どうしまし―――>
「あ、天道くん! 悪いけど、ヘルプ入ってくれないかな!?」
<? 何か緊急事態なんですか?>
「似たような感じ! あ、出来ればひよりちゃんにも声かけてくれると嬉しいかな…」
そんな報告を受けて数十分後
その数十分の間にもインデックスは注文をやめなかった
最中、当麻の顔は流石に引きつっていた気もする
天道はAGITOに入って衝撃の映像を見た
白い修道服を着こんだシスターが凄まじい勢いで料理を口に運んでいく光景を
「…兄さんの友達は破天荒だな」
「いや、なんとなく予想はついてたんだが」
彼の隣で妹のひよりも頭を掻いた
◇
天道とひよりも店内に来訪しインデックスの注文を捌いていく
が、あまりにも増えすぎた伝票を見て当麻がその伝票の束を握りしめ、力の限り叫ぶ
「もう勘弁してくださいっ!!」
もう当麻の財布はゼロだった
◇
「はっふー」
すっかり満腹になったお腹をインデックスが叩きながら笑顔になる
そして当麻はぐったりと倒れていた
恐らくしばらくはいろいろ悲惨になってしまうだろう、経済的に
「アリサの想いが神様に届いたんだね」
先ほどサービスでひよりから出されたアイスティーを口に運びながら、インデックスにアリサを答えていく
「うん。…私ね、運がいいんだ」
ふと気になる言い方になった彼女に、当麻は身を起こす
一方インデックスの隣に座っていたアラタもアリサへ視線を移した
「運がいいって?」
「うん。今度の話も、ホント運がいいって―――」
「それは違うぞ」
「―――え?」
アリサの言葉を遮ったのはちょうど厨房から出てきた天道だった
彼はいつもの天に指を向けるポーズをしつつ、口を開く
「おばあちゃんが言っていた。実力で掴みとった成功を運とは言わない、てな」
その後にことり、と一人ずつにパフェを置いていく
その行動に疑問符を抱いたアラタは天道に向かって
「え? 天道、俺たち頼んでないぞ?」
「俺からのサービスだ。お代はいらないぞ?」
「おーっ! さすがそうじ…太っ腹なんだよ」
そんな事を言う頃にもうインデックスは食べていた
先ほどあんなに食べていたのに
「つうか、あんだけ食ってまだ食えるのかインデックス!」
「っちっち。甘いものは別腹なんだよ、とうま」
いつそんな知識を覚えたのか、ふふん、と彼女は胸を張る
そんなインデックスを見て当麻はハァ、と息を吐きながら出されたパフェを突っつき始めた
「…でもさ」
と当麻はクリームを口に入れながらアリサに向かって口を開いた
「お前は天道の言ってた通り、実力で選ばれたんだ。それは誇ってイイと思うぜ」
「そうそう。それを運って言葉だけで片付けるのはもったいないよ」
彼女の歌声は本物だ
きっとそれは、並大抵の努力ではないはずだ
そう言葉を聞いた彼女は僅かに笑みを浮かべて
「二人とも…」
どんな些細な事であれ、認められるのは嬉しいことだ
笑みを浮かべた彼女は天道から差し出されたパフェを食べていくことにする
スプーンを手にしたとき、ふと一人の女の子からの視線を感じた
その女の子はショートカットの髪形でエプロンがよく似合う
女の子はおずおずとした感じで聞いてきた
「…あの、アリサ…さんなんだよね?」
「え? う、うん」
彼女は持っていたトレイを抱くように持つと僅かに顔を赤く染めながら
「…その、ボク君のファンなんだ。ARISAの歌はボクに元気をくれるから…その…頑張って…な」
ちらりとトレイの隙間から除く黒い目が可愛らしい
その後ハッとして思い出した様子で彼女は
「あ、ご、ごめん。名前を言ってなかった。ボクは天道ひより…ヨロシク」
恥ずかしがり屋さんなのか、やっぱりトレイを抱いたままちらりとアリサを覗く
そんな彼女に応えたくてアリサも同様に笑顔を浮かべて
「うん! よろしくね、ひよりちゃん!」
「ひ、ひよりちゃん!? こ、ここ、こちらこそ」
「…どうしたひより。顔が赤いぜ」
「う、うっさい! アラタは黙ってろっ!」
思わずトレイを投げそうになるがすんでの所でとどまった
彼女ははふぅ、と息を吐きながら厨房へと戻って行く
気のせいだろうか、彼と話していた時顔の紅潮が深くなった気がする
何となく気になったからアラタへと視線を移してみる
「…うん? どうしたアリサ」
特に何ら変わらなかった
やっぱり気のせいだったのだろうか
◇
夕闇の映えるどこかの屋上
そこに三人の魔女がいた
実際には魔女ではないのかもしれない、しかし見た目は完全に魔女のソレであった
彼女たちはある一人の女性を監視している
その少女の名前は―――鳴護アリサ
今も魔女たちの見ている四角いディスプレイには楽しげに談笑している彼女が表示されている
今現在、彼女たちは天道たちのシフトが終わるのを待ち、そのまま遊びに行こうと話をしている
その行動を魔女たちはただ見据えていた
風が吹きすさぶ学園都市の夕闇に彼女たち魔女の髪がたなびいている
◇
いつしか時間は夜へ移り変わり、街灯もぽつぽつと点灯し始めてきた
「こんなに楽しかったの始めて。…ありがと、付き合ってくれて」
彼女を挟んで座ってるインデックスとひよりにアリサは感謝を口にする
その視線にインデックスとひよりは笑顔で頷いた
そんな三人の耳にドサリ、と大きな荷物を置いたような音が聞こえた
それは上条当麻がアリサの楽曲道具を地面に下ろした音だった
因みに先に男子連中がじゃんけんして、負けたものが持っていく、というルールの下、どういう訳か当麻が連敗したのだ
故に男三人の中で疲れているのは当麻のみで、天道とアラタは普通に彼の隣に立っている
「お、俺も
そう当麻に真っ向から言われアリサは顔を赤くする
「…当麻くん…」
「そうなんだよ! 明日に向かって頑張るのを見ると、元気になるよねっ!」
「うん。その勇気が…ボクには羨ましいよ」
そう言ってひよりは僅かに視線をアラタに向けて呟いた
当のアラタは天道と談笑しており、その視線には気づいていない
「はは、これはインデックスさんも頑張んないとな」
「むむ! それは失礼なんだよ! 私はすでに立派にシスターという職についてるんだよ!」
そんな言葉と皮切りに当麻とインデックスがちょっとした口論みたいなことに発生していく
しかしそんなのはいつもの事なのでひよりもアラタも天道も笑ってそれを流していた
そんな光景を見て、ふとアリサは立ち上がり少し歩く
そこで彼女は、らら、と歌を紡ぎ始めた
歌はらら、と分かり易いものであったが、彼女の歌声はそれだけでも十分に心に響くものだった
いつしか当麻とインデックスも口論をやめ、アラタとひより、天道も彼女の歌声に惹かれていった
優雅に歩きながら歌を紡ぐ彼女の後を五人はついていく
因みにアリサの荷物はさっきまで持ってなかった天道とアラタがそれぞれ一個づつ持っている
彼女の後を歩いてると、青い光が幻想的な池へとたどり着いた
その池はとても広く、その気になれば泳げそうになる勢いである
池の前に立ち、そこで歌を止める
「…素敵な旋律だね」
「うん。心が和むような感じがする」
最後まで聞いた、インデックスとひよりが感想を述べた
まだそれは作っている途中なのか歌詞はらら、だけだったがそれだけでも耳に残るような曲調だ
「これはね、今作ってるところなの。…皆、今日は本当にありがとう。…デビューライブが決まったら、絶対知らせるから」
そうアリサは笑顔になる
彼女の笑顔に皆それぞれ笑顔を浮かべて言葉を紡ぐ
「あぁ、楽しみしてるぜ。なぁ、インデックス」
「うんっ! 絶対聞きにいくんだよ!」
「そうだな。たまには音楽に浸るのも悪くはない」
「兄さんも音楽を嗜むんだな。ちょっと意外だ」
「失礼だな。その気になれば俺は楽曲も提供できるぞ」
「マジでか! 初耳だぞおい!」
そんな会話を耳に、アリサは思わずまた笑顔になる
一息ついたところで、アラタと天道が荷物をアリサに返し、今日はお開き―――そんな時だった
池の中央―――唐突に渦が巻き起こり、その中から一人の金髪の魔女が現れ出でる
彼女はほうきを翳し、詠唱をした
「―――ウンディーネ」
彼女がそう呟くと猫を模ったモノが光を帯びていく
「―――逆月の象徴により―――万物から抽出されしものよ―――」
「…っ!?」
彼女が言葉を紡ぐことで、足元の水の渦巻きが徐々に強くなっていく
その魔力の流れを感じ取ったのか、インデックスがそれに気づいた
しかし、振り向いた時、その水はついに竜巻のように巻き起こり始めた
ビョウ! と風が巻き起こりその場を支配せんと動くその風から守るように当麻はアリサを、アラタはひよりを庇い、天道はインデックスの前に出る
「当麻、これって…!」
「あぁ、間違いない…!」
魔術だ
それ水を使った術式
「なるほど。…これが魔術か」
しかしそんな空気の中でも天道は余裕を崩さない
また、三人の視界の外―――土を使った術式を用いて現れた茶色の小柄な魔女もいる
しかし、当麻とアラタは目の前に現れた魔女に視線を集中しており、それに気づいてはいない
当麻が右手を構え、アラタも構える
「ひより、アリサとインデックスを連れて隠れてろ!」
「う、うんっ!」
その時、また一人別の人影の気配がした
唐突に巻き起こった突風が当麻と天道、アラタを襲う
それこそ痛みを伴うほどでもないが存在を示すには十分だ
ちらり、とその方向へ視線を送る
そこにいたのは緑色の長い髪を持つ、少々きわどい恰好の魔女だった
完全にこちらを敵と見なしてる
「マリーベート! 足止めお願い!!」
水のしぶきを槍状態にし、目の前の金髪の魔女が水槍を三人に向けて放ってきた
無数に放たれたその槍をなんとか掻い潜り、接近しようと当麻は走るが、唐突にその動きは止まった
それは当麻だけではない、アラタも、天道もどういう訳か足が動かないのだ
思わず自分の足元に視線をやってみる
「―――これは、土か!」
「なるほど、考えたな!」
「ジェーンッ!!」
天道とアラタが驚く中、その土を操る魔術師が名前を叫ぶ
ジェーンと呼ばれた魔女は扇子を振りかざす
その都度、強風が吹きすさび、先ほど回避してどこかに飛んで行ったはずの水槍が戻ってきていた
本能的に二人は叫んだ
「変身!」「変身っ!」
水槍は二人のいた場所へ突撃し、その周囲を煙がつつんだ
同様に当麻の所にもその水槍が襲ってきたが、彼は手慣れた様子で右手で打消し、二人の安否を確かめに走り出す
「無事か! 二人とも!」
煙の中から現れたのは天道とアラタではなく
ヒヒイロカネの鎧に身を包んだカブトマスクドと、赤い姿のクウガマイティが立っていた
「流石に今のは危なかったな」
「あぁ、ちょっとビビったぜ」
二人の安否を確かめた当麻は一度安堵の息をついて後、改めて魔女たちを見据える
「何もんだお前ら…どういうつもりだっ!」
「事と次第によっちゃ、容赦しねぇぞ」
当麻とクウガの言葉に耳を貸さず、ゆっくりとクウガとカブト、当麻へとほうきを突きつける
が、唐突にバランスを崩した様子で金髪の魔女は仰向けに倒れた
それに驚いた風を操る魔女―――ジェーンはある人物に視線を向けた
「
その人物はインデックスである
ノタリコンという暗号を用いて術式を操る敵の頭に割り込みを掛け、
暴走や発動のキャンセルなどの誤作動を起こさせるという魔力を必要としない魔術で、それは順番に数を数えている人のそばで出鱈目な数を言って混乱させるような物で全く魔力を用いない術式だ
これは好機か、と踏んだアラタとクウガは頷きながら接近しようと―――したとき、目の前に炎が吹き荒れる
その炎を、二人は知っていた
「これって―――」
その炎の出所を探るべく、クウガは視線を向けた
そんなクウガに釣られてマスクドカブトと当麻もその方向へ視線を向けた
そこにいたのは、やっぱりあの男だったのだ
先ほど水に落ちそうになった魔女はステイルに救助されており、その傍らに茶髪の女の子を連れた男性が立っていた
「し、師匠…」
「斎堵さんも…」
「なぜ勝手に動いた。僕か斎堵の命令を待てと言ったはずだ」
何やらよくわからない会話がされているが、今はそれどころではない
どうしてこんなことをするのか、ステイルに聞き出せねばいけない
「おいステイル! どういうつもりだ!」
そう当麻が叫ぶが、ステイルは答えない
ステイルはゆっくりと立ち上がりつつ、傍らの男に合図を送った
それに頷いた斎堵と呼ばれる男は徐にドライバーを取り出す
それは三枚のメダルを入れるベルト―――
「―――もしかして」
クウガは戦慄する
どういう事だろうか、この後の相手の行動が読めるような
男は腰にベルト巻きつけて、右側のスキャナーを取った
それに応えるように、ステイルも一枚のルーンカードを取り出す
すでにベルトには三枚のメダルが装填されているようで、流れるようにスキャンして―――
「変身ッ!!」
「Fortis931っ!!」
<タカ! トラ! バッタッ! タ ト バ! タトバ タ ト バ!!>
そのような奇妙な歌と共に、ステイルはそのカードをベースに炎を顕現させていく
「魔法名!?」
「完全にやる気かよ…! 当麻、お前はステイルを! 俺たちはライダーを何とかする!」
喋りながら当麻たちのいた場所へステイルの炎剣が襲い掛かった
すかさず三人は後方へ回避し、それぞれの相手を見据え、身構えた
そのままステイルは当麻へと接近し、オーズはゆっくりとクウガとカブトマスクドに歩いてくる
そしてトラクローを展開し、一気に攻撃を仕掛けてきた
「計らせてもらうぜ、古代の戦士!」
繰り出される炎剣を当麻が避けていく傍ら、振るわれた虎の爪が二人を襲う
クウガは徒手空拳で何とか受けきっているが、マスクドでは流石に速度はオーズの方が上回っていた
刹那、トラクローの一撃がカブトマスクドを吹き飛ばす
「っく!」
態勢を整えながら、カブトマスクドはゼクターのホーンを起こした
動かされたことにより、彼を包んでいるヒヒイロカネの鎧が浮き上がり、
「キャストオフ」
言葉と共にマスクドはゼクターホーンをさらに右側に倒す
<Cast off>
そのような電子音声と共に、彼が纏っていたマスクドアーマーが吹き飛んだ
角が顎のローテールを基点に顔に収まったとき、水色の複眼が一時的に発光する
<Change Beetle>
ライダーフォームへと変えたカブトはクナイガンをクナイモードの切り替えてそれを逆手に持ち、オーズに接近していく
しかし、力量はまだ相手の方が上なのか
二対一という状況にもかかわらず、オーズは二人の攻撃をトラクローだけで捌ききっているのだ
かつて戦った意思のない人形のようなオーズとは大違いだ
そんな激闘を繰り広げている傍ら、当麻の相手をしているステイルが不意に叫んだ
「何を惚けている! 確保するんだ!」
ステイルの叫びに三人の魔女はハッとした様子で動き始める
その一方でひより、インデックスと共に隠れていたアリサが今目の前で起きている現状を目の当たりにした
燃え盛る炎を、最初に見た
瞳に映り込む、無尽に動く赤いソレを―――
その炎はどんどんと強くなっていく
いつしかそれは当麻はおろか、その周辺にある灯台のようなものにまで燃え移る
「君の右手じゃ―――質量までは消せないだろう」
上条当麻の持つ、幻想殺しの弱点
それは異能で発生した災害は防げない、という事だ
異能で生み出された風は打ち消せるが、その風で倒れてくる木は防げない、といった具合に
「とうまっ!」
インデックスの声が届く
それに釣られてクウガとカブトも視線をやろうとするが。目の前のオーズが許してくれない
捌くのに手いっぱいだ
燃え盛る炎はやがて、柱の一部を溶解させ―――当麻の頭上へと落ちていく
―――いやだ
あの人が―――いなくなるのは嫌だ―――
「やめて―――」
思わず、アリサは声に出して叫んでいた
「やめてぇぇぇぇぇっ!!」
咆哮は轟く
彼女の声はどういう訳か、今まで柱を燃やしていた魔術の炎を残らず消し飛ばした
◇
「―――見つけた」
保護対象、鳴護アリサ
黒鴉の仲間は全て配置についたハズ
あとは、自分たちだけ
「行きましょう。名護さん」
「了解だ。私は君に従おう」
言って二人はとあるベルトを巻きつける
そして取り出したイクサナックルを二人は掌に押し付けて
<レ・ディ・イ>
シャットアウラは前方に
名護慶介は右横にナックルを突き出し
「変身」「…イクサ、顕現」
同時にベルトに装着する
<フィ・スト・オン>
電子音声が響き両者の目の前に何かの影が現れ、ひきこまれるように名護とシャットアウラに合わさり、その姿を形作る
黒いイクサとなったシャットアウラはふと、自分の後ろを見やった
「…貴女も準備はいいですか。マリアさん」
「えぇ、援護程度でよければ助力いたしますわ」
そう言って彼女はバックのようなものに腕を突っ込みそれを胸に持っていく
やがてそれは彼女を包んでいき、姿を変えていき―――闇に水色の複眼が発光した
「G4システム。感度良好…ですね」
◇
誰もが眼の前で起きたことに驚いていた
アリサの叫びが、魔術をかき消したのだ
「あ、ありさっ!」
叫びを終えた彼女は不意に、その場で倒れ込む
その身体をひよりが支え、インデックスが声をかけた
思わず当麻と、変身を解いた天道とアラタが駆け寄って彼女のそばに立つ
戦いを切り上げたオーズがステイルの付近へと走ってくる
ステイルはアリサをちらりと見やると苛立たしげに舌を打った
その時、ふと誰かの視線を感じ取った
ステイルはバッとその視線の主に視線を向ける
それは柱の上に立っていた
基本の色は黒で、十字架を模った仮面が特に目を引く
その人影はゆっくりと銃のようなものを取り出し―――ステイルとオーズに向かって引き金を引いた
すかさずオーズはステイルの前に出てその弾丸をトラクローで弾いて防いでいく
「斎堵、なんだあれは」
「パッと見仮面ライダーに見えるが―――っと、他にもお客が来たぜ」
彼の声を皮切りに、散っていた魔女が二人の下に集結する
その時、どこからか高速で動き回る起動兵器が疾走してくる
周囲に散った起動兵器は五人に向かってディスクのようなものを射出していく
それを確認した黒い仮面ライダー―――ブラックイクサがそのディスクに向かって引き金を引く
「散れ!!」
オーズの言葉を皮切りに、五人は一斉に散っていく
直後、放たれた弾丸はディスクにぶち当たり―――大爆発を巻き起こした
その爆発の規模は大きく、当麻たちも巻き込んでしまいかねない程だ
しかし、ステイル達はそれを気にしている暇はない
そうでなければ、自分たちが潰される
ブラックイクサは部下が放ったディスク―――レアアースパレットを次々と狙い撃ち、爆発させていく
今度のは先ほどみたいに大規模な爆発ではないがそれでも直撃でもすれば命に関わるやもしれない
地面を転がりながらステイルは放たれたパレットを焼き尽くすように炎を繰り出した
放たれた炎は地面を這い、パレットを燃やして消す
直後、再びステイルの下に、魔女たちをオーズが集まり、目の前の敵を見据えていく
階段付近でその戦いを見ているしかなかった当麻たちの付近に黒いイクサが歩いてきて、止まる
その隣に、どこからか来たのか赤い複眼の今度は白いイクサが現れ、その隣にまた黒いライダーが降り立った
「…こいつらは?」
「わかんない。…恐らく治安維持部隊かもしれないけど―――」
当麻とアラタのやり取りに応えるようにブラックイクサが声をあげた
「我々は、学園都市から認可を得た、民事解決用干渉部隊だ。これより、介入を開始する」
バッ! とブラックイクサが手を挙げた
それを合図に周囲に散っていた起動兵器が駆け抜ける
黒いライダー―――G4はハンドガンをオーズに向かって構えながら引き金を引いた
「シャチ!」
オーズはトラクロ―でその銃撃をけん制しつつ、メダルを形成し、タカのメダルを入れ替えて再びスキャンする
<シャチ! トラ! バッタ!>
シャチヘッドへと切り替えたオーズは頭上へと水を吹き出し、金髪の魔女―――メアリエに指示する
「使え!」
「はいっ!!」
彼女はほうきを振りかざし、吹き出された水を刃へと変えて起動兵器へと放った
しかし思いのほか起動兵器は早く、その刃は掠りもしない
その素早い動きを捉えるべく土を操る魔女―――マリーベートが土を操作し、一体の動きを止める―――がその他の起動兵器がその足を捉えた土を破壊してしまい、すぐに拘束は無意味と化していく
その動きに気を囚われ、周囲にレアアースパレットが展開され、ブラックイクサの眼はそれを捉え射抜いた
(マズイ!)
このままでは巻き添えだ
そう判断したオーズは魔女たち三人を抱きかかえ跳躍し、ステイルは反対方向へと突き進む
直後、先ほど自分たちがいた場所が爆炎に包まれた
その煙を背にステイルは一直線に走り続ける
その両隣を起動兵器が駆け抜け、先を越していく
起動兵器に向かってステイルは炎を繰り出す、があまり効果はなかった
「ちぃっ!」
その炎を掻い潜り、白いイクサが目前に迫っていた
ここまで接近を許すと、流石にステイルでは対応しきれない
マズイ、と思ったその時、何体も現れた紅いトリのようなものがイクサの接近を遮った
「ステイル!」
唐突に聞こえた声にステイルは建物の屋上を見た
その視線の先に、彼が見知っている人物たちがいた
名前は神裂火織、そして隣に響鬼もいたのだ
「少年、これ以上はまずいよ、撤収撤収」
響鬼に言われステイルはちっと舌を打つ
そして彼は魔女たちの名を呼んだ
「マリーべート! メアリエ! ジェーン!」
『はい!』
オーズと共に戦っていた三人の魔女たちがステイルに応える
その彼女たちを追うように、オーズもステイルの下へと急いだ
集結する彼らを見ながら神裂は隣の響鬼へと視線をやり、言葉を発した
「この状況、貴方はどう見ますか」
「どう見ますかっつわれてもなぁ。俺はこういう客観的な物言いって苦手なんだよなぁ」
頭を掻きながらそう言う響鬼に対し、神裂はハァ、とため息を零す
ふと、そんな二人の目の前に起動兵器の助力を借りて飛んできた二人のイクサが二人にイクサカリバーで強襲をかける
その刹那、神裂の七天七刀と、響鬼の音撃棒烈火が交差した
結果は引き分け
二人のイクサは神裂と響鬼の背後に降り立っていた
「…やりますね」
「そうだねぇ。俺も負けてらんないな」
そのまま後ろを見ずに二人はその場から飛び降りる
地面へと着地し、ふとステイル達を見る
彼らはすでに撤退準備に入っており道を走っている最中だった
「…そろそろ私たちも撤退しましょうか」
「だね。面倒事は嫌だし」
そう言うと踵を返し、その場を二人は後にした
「おい、なんでアリサを狙うんだ!!」
「説明していけ! いろいろありすぎて訳がわかんねぇよ!」
彼らを追いかけてきていた当麻とアラタが走って行くステイルの背中に叫ぶ
ステイルと変身を解いたオーズ―――霧島斎堵が彼らに向かって振り返る
数秒待って彼らが口にした言葉は、当麻とアラタの想像を越えたものだった
「彼女が、魔術サイドと科学サイドの間で、戦争を引き起こしかねない存在ってことさ」
戦争―――だと?
あまりにも規模の大きい話に当麻とアラタは固まった
聞き慣れないその言葉に、戦慄を覚えるしかなかった
思わず、アリサ達がいる方向を振り返る
今その場では天道とインデックス、そしてひよりが彼女を介抱しているはずだ
「…まぁ、君たちなら問題ないと思うけど」
そんな斎堵の声に振り向いた時には、もうそこには誰もいなかった
魔術を使用したのか、人の気配は微塵もなかった
「逃げられた、のか」
「たぶん―――な」
残された謎が多すぎる
そしてその一つが鳴護アリサが戦争を起こしかねない、という事だ
彼女は一般人のはずだ
必死に夢を追っている、努力家な女の子のハズなんだ
「おい」
二人して思考に没頭していると、声をかけられる
その声の方向に視線を向けると黒イクサに白イクサ、そしてG4こちらに向かい歩いてきていた
黒いイクサは二人の前に立つとベルトのナックル部分を取り外し、変身を解除する
現れたのは長い黒髪が魅力的な、それでいて風紀委員長でもやっていそうな女の子だった
向けられる視線は、まだ何の感情もない
「…なんだ、アンタたち」
先にアラタが口を開いた
「我々は、学園都市の治安維持のため、特殊活動に従事している」
全く答えになっていなかった
なんだ、と言われ活動内容を言われても誰か全く分からないではないか
「そんなんじゃわかんねえよ! アリサの敵なのか! 味方なのか!」
当麻の声に、女の子は無機質に答えていく
「先の戦闘は任務の一環だ」
「全然答えになってねぇよ!」
「つうか、答える気ないと思うぞ。…こういうやつは」
そんなアラタの声に一瞬不機嫌じみた表情を浮かべるが、すぐに顔を戻し、
「警告する。これ以上あの女に関わるな。中途半端に関われば―――」
ギリ、と女は二人を睨む
睨まれた双眸は、当麻とアラタを射抜いた
「―――お前たちは死ぬこととなる」
その日、運命は動き出す
科学と魔術が奪い合う、一人の少女が
幻想殺しと、クウガに出会ったことによって
天道ひより
天道総司の妹
スキルアウトに絡まれたとこをアラタに助けられたことがきっかけでアラタに明確な好意を抱いている唯一の人物
霧島斎堵(きりしまさいど)
仮面ライダーオーズ
ステイルらの同僚であるが、アラタや当麻たちには友好的
余談だが彼が使用しているオーズドライバーはレプリカモデルである