劇場版とある魔術の禁書目録 プロジェクトエンデュミオン~その奇跡は誰がために~   作:桐生 乱桐(アジフライ)

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中途半端な所で切ってしまいましたがご容赦ください
そして相変わらずです


※今回も以下略
・如月弦太郎(仮面ライダーフォーゼ)
・乾巧巳(仮面ライダーファイズ)


誤字脱字ありましたら報告ください


チャプター4

 

ごちん、と頭を壁にぶつけて上条当麻は目覚めた

痛みに耐えながら彼はゆっくりと体を起こし、バスタブから這い出た

彼はバスタブで眠っていたのだ

 

何故か

 

それは彼のベッドは現在アリサとインデックスに独占されているからである

別にそれに対して不満なんてものはないのだが、当麻自身もそれを承諾して俺はこっちで寝るからと言ってお風呂場に行って寝たのだが

 

(…全く寝れんかった)

 

態勢は取りづらいし、頭はぶつけるし散々だ

こんな事なら素直にアラタの所から掛布団を一枚借りて大人しく床で寝ればよかった

少なくともバスタブで寝るくらいならそっちの方がよかったかもしれない

 

お風呂場から出て居間に歩いていく

そしてベッドでぐっすりと眠りにつくアリサとインデックスをちらりと見やった

気持ちよさそうに寝息を立てる二人に当麻は小さく笑みを浮かべる

 

さて、これから起きるお姫様二人に朝食を作って待とうかな

 

思わずそんなロマンチストな事を考えてしまった

 

 

一方こちらはアラタの寮部屋

 

こちらもベッドはみのりに譲っており、アラタは床で寝ている

しかし馬鹿正直に床に寝っころがり毛布をかぶるのではなく、ちゃんと敷布団と枕を買い、そこに掛布団を敷くというようにちゃんと睡眠環境は揃えてある

 

珍しくよく眠れた感覚を覚えながらアラタはぱちりと目を覚ました

むくり、と上半身を起こしつつ、ベッドで眠るゴウラム―――みのりを見やった

すやすやと寝息を立てる彼女を起こさないように彼は立ち上がり冷蔵庫に歩いていきその扉を開けた

その中でよく冷えたミネラルウォーターを取り出すと蓋を開けて一息にそれを喉に嚥下させていく

ひんやりとした冷水が心地いい

 

「アラター…」

 

どうやらみのりも起きたみたいだ

目をこしこしとこすりながらゆっくり歩いてくると彼女はアラタの手に持つミネラルウォーターを見つけると

 

「あ、アラタずるーい。私にもちょうだい」

「冷蔵庫に入ってるからそれを取りなさい」

「はーい…」

 

そう返事しながらとてとてとみのりは冷蔵庫に向かっていく

 

「…さて。朝はパンでいいか」

 

頭をポリポリと掻きつつそんな事を呟いた

 

 

それで学校へと行く時間となり、当麻はアリサとインデックスに向けて

 

「とりあえず、今日はインデックスと一緒にいろよ? またあの変な奴らが来るとも限らないからな」

「うん。ありがとうね、当麻くん」

 

とりあえずインデックスといれば多少は問題はないだろう

それにアラタの義妹のみのりもいるから大丈夫なはずだ

 

「当麻ー。そろそろ行こうぜー」

「おー。じゃあ行ってくるから!」

 

当麻はそう言うとアリサは頷き

 

「行ってらっしゃい! 当麻くん!」

 

そう真っ直ぐ言われて思わず当麻は顔を赤くする

そんなアリサにつられてインデックスもひょこっと彼女の後ろから顔を出し

 

「待ってるんだよ! とうまっ」

 

「お、…おう。行ってきます」

 

思わず顔を逸らしながらそう短く返答した

なんだろう、なんか変に緊張する

 

 

「すいませーん」

 

黒桐幹也はとあるクリーニング店に足を踏み入れていた

 

「うん? あぁ、みっきーじゃんか」

「その呼び方やめてください。いろいろと危ないので」

 

先ほどの呼び方は幹也を略した呼び方で、決してどこぞのネズミの事ではない

決してない

 

「それはそれとして巧巳さん。またクリーニング頼みたいんですけど」

「オッケー。その辺に置いといてくれ。料金は支払い台に」

 

そう呼ばれた青年―――乾巧巳は立ち上がると幹也から衣服の入った籠を受け取って

 

「…まぁ、機械に放るだけなんだが」

「それ客の前で言わないでくれます?」

 

まさかの機械頼り

まぁ学園都市は最先端な科学都市なので分からなくはないのだが

 

「つうか、珍しいね巧巳さん。この時間でも起きてるのなんて」

「あぁ、最近ARISAって子が人気らしいだろ? ちょっと便乗して俺も聞いてみたんだが…これがなかなか悪くねェ」

 

そう言って彼は〝特殊な形状〟の携帯を取り出すとそれにつけられていたイヤホン端子を抜く

するとアーティスト〝ARISA〟の歌が店内に流れ始めた

 

「あ、その歌僕も持ってますよ」

「? そうなのか?」

 

巧巳の言葉に幹也は頷いて

 

「まぁ僕もその人気が気になってダウンロードしたくらいなんですけど…、聴いてみたらすごいいい曲で。未那や式に聴かせようといろいろダウンロードしたんですよ」

 

未那は喜んでくれたが式は少し聴いて「悪くないんじゃないか?」としか言ってくれなかったが

因みに橙子に聞かせては見たが反応は式とだいたい一緒だった

鮮花はすでに知っており、「今更ですか兄さん」と逆に言われてしまったのは内緒である

 

「へぇ。こりゃ近いうちにプロデビューかね」

「そうなったら嬉しいですね」

 

そんな他愛ない言葉を交わしながら巧巳は幹也から受け取った洗濯物を選択機械に放り込んでいく

それにしてもプロ、か

CDを買ってみるのも悪くないかもしれない

 

◇◇◇

 

一方とある高校

その当麻とアラタのクラスにて

 

「ええかかみやん!! かがみんっ!!」

 

どういう訳だか級友の青髪ピアスの力説を受けていたのですが

バンっ、と机を叩きながら

 

「アイドルを応援する醍醐味ちゅうんはなっ!! 見守ることにあんねん! 特に今のこのご時世―――」

 

そう言いながら青髪はクラス内を見回した

クラスメイトは雑誌や、女子グループは携帯を見せ合いながら話している

その話題はどれもアリサのことだ

 

「このアリサちゃんみたいに突然火がついて、あっという間に広がって、メジャーになってしまうんや!!」

 

その光景にアラタは少々驚いていた

人気なのはわかってはいたが、ここまで人気だったとは思わなんだ

 

「そでござますかー…」

 

青髪の力説に当麻はそっけなく答えていく

そんな彼の行動に隣の土御門が

 

「にゃー? なんかお疲れモードだにゃー。どしたんだい、かみやん」

「…寝不足なんだよ。もう一人居候が増えてさ。寝床を奪われた」

「だから床で寝ろと言ったのに」

 

ぐったりする当麻を尻目にアラタは若干笑みを浮かべつつ、口を開く

そんな一角を一人の女生徒が見つめていた

 

「睡眠不足。まくら。…全部奪われた」

「? どうしたの?」

姫神である

彼女の後ろを歩いてきた吹寄が聞いてみる

しかしその真意は分からなかった

…一体彼女は何を想像しているのか

そんな時、前の扉からまた一人の男子生徒が入ってくる

 

「おっはよー! っと、皆情報早ぇな!」

 

如月弦太郎である

学ランに身を包んだ彼は近くの友人に挨拶しながら当麻の所へやってくる

 

「おっすアラタ! 当麻も! …って、あれ? 当麻のヤツ、どうしたんだ?」

「寝不足らしくてね。そっとしておいてあげてくれ」

 

ふぅん、と言葉を漏らしつつ弦太郎は徐に携帯を弄りつつ

 

「そだアラタ! お前は知ってるか! 今話題のアーティスト―――」

「ARISAでしょ? 知ってるよ」

「あー! やっぱ知ってたかー。すげぇよな彼女の歌! ためしに聞いてみたら、胸の奥底にあるパッションを揺さぶられたぜ」

 

その様子からすっかり弦太郎もファンのようだ

アリサの知人としてちょっぴり鼻が高い

 

「はいはーい。皆席につくですよー」

 

とてとてと歩きながら小っちゃい先生が声を出した

クラス名簿を持ちながら教卓の横に立つのはクラス担任である月詠小萌先生である

 

「授業が始まるのですよー。…むむ? 上条ちゃん顔色が何だかヒドイのです。寝不足はだめだめですよー?」

「…じゃあ寝てていいですか?」

 

そう短く返答して本当に当麻は目を閉じて寝ようとして―――

 

「そんなこと言っちゃう子は、さっそく今日から補習なのですよー」

「!? えっ!?」

 

先生は無慈悲だった

小萌先生は天使みたいな笑顔で悪魔みたいなことを宣告していく

 

「頑張りましょうね。上条ちゃんっ」

 

そう言われて当麻はがっくりと肩を落とす

いらん発言が確実に自分の首を絞めてしまった

そんな当麻を見てはぁ、と息を吐いてアラタは頬杖をついた

 

◇◇◇

 

時間は夜に突き進む

 

鏡祢アラタはとあるスーパーマーケットに足を運んでいた

アリサやインデックスたちに晩御飯を振る舞うためである

本来なら料理とかは天道とかに任せたいが生憎と今日はAGITOのバイトの担当だったことを思い出す

しかしその妹であるひよりは問題なかったので、晩御飯のメニューが何かいいかを話そうと誘ったのだが

 

「…ふ。ふふふ」

 

さっきから変な笑いを浮かべる天道の妹が怖いのです

そもそも誘った段階で変だったのだ

最初驚いた様子でフリーズし、迷惑かな? と思って引き下がったら「だ! 誰も行かないなんて言ってない!」と服を掴まれました

なんか変な食べ物でも食べたのか

 

(…二人きり。鏡祢アラタ(好きな相手)と、二人きり。…ふ、ふふふ)

 

変な五七五みたいな独白をするひよりをスルーしアラタは食材を吟味していく

恐らくインデックスはたくさん食べるだろうし、当麻も含めてワイワイしたいから今回はシチューなんかいいかもしれない

ホワイトシチュー、いい気がしてきた

そこそこ大きめに人参とかジャガイモを切って玉ねぎとかをブチ込むのだ

そしてそこにご飯を添えて―――完璧じゃなかろうか

 

「よっし。そうと決まったら善は急げだ。ひより、シチューの材料だ」

「ふ。ふふふ―――ハッ! な、なんだ!?」

「シチューだよシチュー。俺ルー探してくるから、お前は材料見繕ってくれないか」

「わ、分かった。最高のシチューを作ろう」

 

そう言ってひよりは笑顔を作る

今になっていつものひよりに戻った気がする

 

 

「あれ?」

 

ひよりと別行動でアラタはルーを探しているとき、ふと聞き慣れた声を聞いた

ふとその声を方をアラタは向いた

 

「やっほー。こんな所で何してんの?」

 

そこにいたのは御坂美琴だったのだ

彼女は片手であいさつをしつつ、アラタに歩み寄ってくる

 

「美琴こそ。どうしてこんな所にいるんだ」

「え!? わ―――私は」

 

そこでふともう片方の手に持っていたものをアラタは見た

持っていたのはゲコ太の食玩だった

それだけで何となくアラタは察し、笑みを浮かべる

それに気づかれた美琴は観念したのか顔を赤くしつつ

 

「し! 仕方ないじゃない! コンビニじゃ売ってないんだもん…これ」

「そうなんだ? 割と売ってそうな感じだけど…」

「たまに来るんだけどね。ちょっとずつ買って、あとはシークレットだけ。…もうちょっとなのよ」

 

ぐっ! と拳を握る彼女は心なしか燃えているようだった

本当に可愛いものが好きなんだな、と改めて思う

 

「で! 私が答えたんだから今度こそ私の質問に答えてよね。なんでここにいるのか」

「あぁ。それはな―――」

 

アラタは掻い摘んでここまで起こった経緯を話す

一通り話を聞いた美琴は少し驚いた顔をして

 

「そっか、あの子頑張ってるんだね」

 

夢に向かっている彼女の話を聞いて思わず彼女は笑みを零す

 

「だけど、襲われたって…。彼女はただ歌ってるだけのはずでしょ? 襲われる要因なんかないと思うんだけど」

「それは俺にもわかんねぇ。けど、やっと彼女が掴んだ夢をそんな奴らに邪魔させるわけにはいかねぇんだ」

「同感。…私の手伝いが必要なら連絡してよね。その子とも私は友達なんだから」

「サンキュ。いつになるかわかんないけどな」

 

思わずそう返すと美琴は笑った

それに釣られてアラタも笑う

そんな二人を―――ひよりは離れた場所で眺めていた

 

「…あれが、御坂美琴」

 

常盤台の超電磁砲(レールガン)、と呼ばれる女性

女である自分から見ても彼女は魅力的で、きっと自分ともすぐに接してくれるだろう

悔しいが今の自分が勝てる要素はゼロに近いかもしれない

…けど胸はちょっと勝ってるはずだ、うん

 

よし、と意を決したように彼女は歩み寄って二人に声をかける

 

「アラタ」

 

すっかり美琴と話し込んでいたアラタは同行していたひよりの声を聞き、思い出した

その声を聞いた美琴は怪訝な顔を向けて彼女を見る

 

「? この人は―――」

「紹介してなかったな。彼女は天道ひより、知人だ」

「天道? ってもしかして、あの人の―――!?」

 

どうやら目の前の女性は自分の兄を知っているようだ

流石というかなんというか、顔が広い

視線を向けられたひよりは美琴の眼を見つつ

 

「ボクはひより。…さっきも言った通り、天道総司はボクの兄だ」

「え、えぇ、知ってるわ。私は御坂美琴、よろしくね、ひよりさん」

「ひよりでいいよ、美琴。…そして、先に宣言しとく」

「へ? 宣言…?」

 

ひよりは何のことだか分からない、と言った表情をする美琴の眼を真っ直ぐ見る

そして、彼女は口に出した

 

「ボクは負けないから」

 

一瞬、何を言われたのか分からなかった

しかし直後に向けられたアラタへの視線でなんとなく、彼女は悟る

だから、美琴も言い返す

 

「―――えぇ。…私だって負けないから」

 

そんな中、間に挟まれたアラタはなんの事だかわからず、一人きょとんとしていた

…乙女心はフクザツ…という奴なんだろうか

 

 

あれから結構時間が経ってしまった

あの言葉のあと、美琴とひよりはアドレスを交換し、美琴は門限が近くなってきたとのことでその場を後にした

そして一通り材料を揃えて荷物を持ち、学生寮へと赴く

すっかり夜となってしまった空を見ながらアラタはコンコンと当麻の部屋をノックした

 

「お、おー。遅かったなアラタ」

「あぁ。ちょっと材料選びに手間取って―――…どうしたお前、誰にやられた」

「傷だらけだぞ、お前」

 

どういう訳だか出てきた当麻は傷だらけのボロボロで、顔の右側が包帯で巻かれているのだ

本気で敵に襲撃されたのかと思った矢先居間にいるインデックスとアリサに眼がいった

二人とも若干ではあるが顔が赤かった

そこまで考えてなんとなく悟った

 

「…まぁ、どんまい」

「ありがとう…」

 

そう言う当麻の顔はどこか遠い目をしていた

彼の眼を見て改めて思う

 

…もしかして彼は不幸ではなく、タイミングが悪いだけなのではないのか、と

 

 

みのりも交えた夕食も終わり、ひよりも帰宅していったその時間

台所にて当麻とアリサが食器を洗っていた

本当はアラタも手伝いたかったが当麻に「飯作ってくれたんだから大丈夫だって」と言ってやらせてくれなかった

そんな訳で現在、食器を洗っている二人の近くにアラタは立っているわけだが

 

「明日?」

 

「うん。オービットポータルの人と、契約の話とか」

 

どうやらそのオービットポータル社との話が明日にやるようになったらしい

その唐突な知らせに当麻は少し驚きつつも称賛し

 

「けど明日かぁ。明日、補習受けなくちゃなんなくてさぁ、…どう考えても間に合いそうにないな」

「余計な事言わなけりゃよかったのにな」

「真顔で傷抉るのやめてくれませんかアラタサン」

 

悪い、と言いながら当麻へ笑みを浮かべる

 

「それはそうとアラタ、悪いけど一緒に行ってやってくれないか? わかんないけど用心するに越したことはないし」

「問題ない…と言いたいが生憎明日は橙子の所にちょっと顔出さないといけないんだ。まぁすぐ終わると思うけど」

「マジでか。うーん…」

 

万事休す

当麻は補習でアラタは用事、必然的にみのりもそれに同行するだろうし、他の友人にそれを頼むのも気が引ける

ひとしきり考えた当麻は

 

「なぁ、アリサ。誰かいないか? 頼りになって一緒に行ってくれそうな人」

 

そう当麻から言葉を受けてアリサは「うーん…」と考えた

そうして彼女は一人の友人を思い出す

 

自分をアラタと一緒に救ってくれたあの常盤台の女の子の事を

 

 

途中までアリサを送り、アラタはみのりと一緒に伽藍の堂へと足を運ぶ

伽藍の堂、と自分の知人が経営している会社みたいなものである

仕事の内容は基本物作りとか、デザインとか色々

正直に言って見た目はただの廃ビルに過ぎない…というか廃ビルにしか見えない

しかし人払いの結界が張られており、基本的にここに出入りするのは一部の人間だけだ

 

階段を上がって、四階の扉に手をかける

そしてそのドアを開けて中に入った

 

「来たか、アラタ」

 

煙草を吸いながら出迎えたのは所長〝蒼崎橙子〟である

職業、魔法使い兼人形師、眼鏡をかけるか否かで性格を変える女性

ちなみにアラタは眼鏡をかけていない裸眼の橙子の方が好きだ(友人として)

そっちの方が気兼ねなく話せるし

 

「よう。遅かったじゃないか」

 

壁に背中を預けながらコーヒーカップに口をつけている両儀式

和服に革ジャンという服装をした男性口調を話す女性である

 

「ヤッホーアラタくん、遅いぞー」

 

未那と戯れているのは黒桐幹也の妹、鮮花だ

彼女はソファに座って未那に絵本を読み聞かせていたようで

 

「でもお姉様の朗読ってちょっと微妙。感情こもってないし」

「うが。…こ、子供のくせに…」

 

言い負かされてる鮮花にみのりを任して、アラタは橙子の方へ歩み寄る

橙子はアラタを確認すると灰皿に煙草をいれてその火を消す

 

「要件は?」

「今からオービットポータル社に赴く。それについてきてくれ」

「オービットポータル社? なんでまた」

 

アラタがそう聞くと橙子はあぁ、と頷きながら言葉を続けた

 

「別にそんな大した話じゃないさ。ちょっと衣装のデザインを頼まれてね、そのお礼にコンサートを見に来ませんかって誘われただけだよ。やることも今はないし、暇つぶしにちょうどいいって思ってね」

「衣装って…アリサの?」

「お、知っているのか。流石情報が早いな」

 

表の仕事内容が物作りとは知っていたがまさか服のデザインまでやっていたとは

多種多様すぎる、…いつもの事なのだが

しかし赴く場所がアリサ達と一緒なら予定より早く合流できるかもしれない

 

「ところで幹也さんは?」

 

黒桐幹也

先ほどコーヒーを飲み終えた両儀式の夫…いや、婿? まぁどっちでもいいが今回は夫としておく

普段ならよくいるハズの彼がおらず、気になって聞いてみたのだが

 

「幹也ならクリーニング店に行ってる。もうそろそろ帰ってくると思うぜ」

 

カップを置いて式はそう答えた

この近辺でクリーニング店と言えば…乾巧巳が経営しているお店だったはずだ

まぁ正直に言ってしまえばあそこは無人でも成り立つお店なのだが

 

「しかし帰ってくるまでは待ってられん。アラタ、準備しろ」

「準備しろも何も手ぶらなんだけど…まぁいいや。みのり、お前は未那とここで留守番」

「はーい。…じゃあ未那ちゃん、一緒に遊ぼっか」

 

そうみのりが呟くと元気に未那が頷いた

その後でアラタはいそいそと出かける準備している鮮花に向かって

 

「ついでに鮮花さんも残っててください。保護者的な意味で」

「うぇ!? 私一人でこの子らの面倒見ろっての!? 冗談言わないで―――」

「幹也さん帰ってくれば疑似家族的な事出来ますよ」

「引き受けたわ。任せてちょうだい」

 

正直に言うとちょっと不安だけどみのりがいるのならたぶん大丈夫だろう

そんな訳で鮮花、みのり、未那を残して橙子たちは彼女の車でオービットポータル社へと行くこととなった

 

 

時間はちょっと巻き戻る

その一方で道中までアラタに見送られたアリサも人を待っていた

内心でソワソワしながら待っているとかつて聞いたことのある声が耳に届く

 

「おっはよー」

 

声の方に振り向く

その視線の先に、御坂美琴とその友人たちであろう女の子たちがこちらに歩いてきていた

 

「ごめんね、待たせたかな?」

「ううん、そんなことないよ。ところで―――」

「うん。紹介するね、こちら、初春さんに佐天さん」

 

美琴はす、と紹介するように手を差し、言葉をつむぐ

紹介された初春と佐天は笑みを浮かべて

 

「初春飾利と言います。初めまして、鳴護アリサさん」

「佐天涙子です! 私、ファンです!!」

 

そう言って手を差し出してくる佐天の手をアリサは笑顔で握り返し、握手を交わした

 

「次にこちらが、私の後輩の黒子と、友人の神那賀さん」

 

今度は車いすに座したツインテの女の子とそれを押していたロングの女の子へと視線を向けた

 

「ご紹介に預かりました、白井黒子と申しますの。今後ともよろしく、ですの」

「神那賀雫、よろしくねアリサさんっ!」

「うん、よろしくねっ」

 

つつがなく自己紹介も終わり、六人は他愛ない話を交わしながらオービットポータル社へと足を運んでいく

なんとなしに駐車場に差し掛かった時、見覚えのある三人を美琴とアリサは見つけた

 

「…あれ? アラタ?」

 

美琴の声に気づいた様子のアラタと二人の女性はそちらを向いた

彼女たちに気づいたアラタはおぉ、と笑みを浮かべ

 

「美琴、それにアリサも。てゆうかよかった、ここまで何にもなかったか?」

「うん。美琴ちゃんたちも一緒だったし、何にもなかったよ」

 

アリサからの報告を聞いてアラタはほっと胸を撫でおろす

そんな彼の後ろからひょっこり顔を見せたのは和服に赤い革ジャンを着た美女だった

その人に思わず、というか六人が完全に眼を奪われていた

 

「両儀式。よろしくな、お嬢さん」

 

そう言って差し出すその手をアリサは握って握手を交わす

そんな彼女の後方から橙色のコートが特徴的なザ・大人な女性が顔を出す

 

「鳴護アリサ…だな。私は蒼崎橙子、君が着る予定の衣装をデザインさせてもらった」

「え? そうなんですか!?」

「あぁ。正直人が着る。それもアイドルモノをデザインするのは初めてだが私なりに頑張らせてもらった。気に入ってもらえると幸いだ」

 

そんな会話を橙子とアリサがしている初春はそそくさとアラタに近寄り

 

「あ、アラタさんっ、誰ですかあの凄い綺麗な女性!」

「そうですよ! あんな綺麗すぎる人と知り合いだなんて私女として自信なくします!」

 

まくし立てる初春と佐天に苦笑いを浮かべつつその後ろで黒子と神那賀が顔を見合わせて笑んでいる中、ふと視線が美琴と合った

 

彼女が小さく笑うのを見て、思わずアラタも釣られて笑った

 

 

「え? オービットポータルって、例のオリオン号の事件を起こした会社なの?」

 

エレベーターに乗っている傍らふと美琴が気になった疑問に初春が答えていく

 

「えぇ、謝恩をかけたスペースプレーンが墜落してしまったことでほとんど倒産の状態になっていたところを、買収されて奇跡の復活、今回のエンデュミオンに導いたんですよ」

 

そんな初春の説明に美琴はへぇ…と相槌を打った

スペースプレーン…そう言えばそんな事件もあった気がする

なんでもそんな大きな事件でも、死傷者はいなかったようで、その事件は機内にいた八十八人から数字を借りて八十八の奇跡と呼ばれているのだっけか

 

「ちなみに、今度の社長はなんと十歳くらいの女の子なんです!」

「え!? じゃあ当時は…七歳だったの!?」

 

敏腕すぎるだろうその社長

何度か街中のモニターやテレビとかで見たことはあるのだが

 

「そんなのお飾りじゃありませんの? ゴスロリ美少女社長なんて逆に胡散臭いですの」

「そんな。包帯ツインテ車いすほどではないですよ―――っは」

 

露骨過ぎる地雷

黒子の眼が線みたいになり、初春を貫いた

 

「…お前の友人はいろいろと愉快だな」

「…なぁ式、それって褒めてるのか?」

 

そんな光景を笑って見守る式の一言にアラタは呟く

…一緒にいて楽しいのは事実だが

 

 

エレベーターを降り今度は長い道を歩く

先ほどの話の続きとして今度は佐天が話をし始めた

 

「それでこれは都市伝説なんですけど、彼女は実はホログラムとか、ロボットなんじゃないかって噂もあるんです!

 

しかしそこは現実主義者(リアリスト)な黒子はバッサリとぶった切る

 

「眉唾ですわねぇ。そんな根も葉もない噂をどう信じろと」

「あながちウソじゃないかもですよ! 思いません? なんか人形みたいなってゆうか」

 

歩いているとき、一行は様々な小道具みたいなものが置かれている道に差し掛かった

その中に一つ、ぽつんと椅子に座っている金髪のツインテールの女の子の人形(?)が視界に入ってきた

そんな人形の横を通り過ぎるた時、蒼崎橙子は言いようもないナニカを肌で感じ取った

似たような気配を感じたのか、美琴もその人形へと視線を移す

 

「…どうした、美琴」

「トウコも。何か見えたのか」

 

「い…いや…」

「…なんでもない…とは思うのだが」

 

アラタと式の言葉に二人はなんか微妙な返事しか返さなかった

美琴は仕方ないにしても、あの橙子が、だ

そう思っていた矢先、橙子と美琴の視線の先にいた人形はすくっ、と立ち上がった

 

その場にいた誰もが驚愕する中、立ち上がった人形―――いや、人間はゆっくりと吟味するように視線と共に首を動かした

やがてその視線は―――鳴護アリサを捉えた

緑色の―――まるで宝石のような瞳が彼女を見据える

やがてゆっくりと笑みを浮かべると

 

「貴女の歌、好きよ。えぇ、こんなに気に入ったのなんて本当に久しぶり」

 

静寂が訪れる

彼女はふふ、ともう一度笑んで

 

「頑張ってね」

 

そう口にするとその女の子は踵を返し、歩いて去っていく

そんな女の子の背中に向かって、初春がぼそりと一言

 

「…今のです」

 

まず一瞬キョトンとした

今の、とは恐らく彼女の事を指すのだろう

先ほどの会話から察すると―――彼女の正体は

 

『えぇー!?』

 

そんな女性陣(式、橙子以外)の叫びが木霊した

そうだ、思い出した、あの女の子は何度かテレビとかで見かけたことがあるじゃないか

アラタははぁ、と苦笑いしつつ件の社長が去った通路を見据える

そんな中、気になったのか式は橙子に歩み寄って耳打ちを始める

 

(どうしたトウコ。あの女が気になるのか)

(…気づけなかった)

 

呟き返す彼女の言葉に戦慄する

 

(嘘つけ、普段から人形作ってるお前があんなの見抜けない訳―――)

 

そう言いかけて式も言葉を濁す

数分前を彼女は思い出し、自分も特に気にしていなかった

先入観から見過ごしていたのか、単に自分が気づけなかっただけなのか

 

「…何もんだ、アイツ」

「それが分かれば苦労はしないさ。…何はともあれ、警戒だけはしておこう」

 

 

そんな訳で楽屋というか舞台裏に一行は到着した

 

「アリサです、よろしくお願いしまーす!」

 

元気よく挨拶する彼女にスタッフやらはそれぞれ口々によろしくーだのこっちこそーと返してくる

そんな一行に女性のプロデューサーが一人歩み寄ってきて

 

「よろしく、アリサさん」

「お世話になります」

 

プロデューサーから差し出されたその手をアリサは握って握手を交わす

 

「それから、今日は来てくださってありがとうございます」

「いえ、そんな。こちらこそお招きいただき光栄ですわ」

 

先ほどと同じように差し出されたその手を握り握手を交わすのは〝眼鏡〟をかけた蒼崎橙子だ

こちらの眼鏡をかけた橙子は基本、温厚で女性的だとかなんとか

 

「あら? 貴女たちは―――」

 

投げかけられた問いに思わず美琴はあっと何かを言おうとするが、そんな彼女をフォローするように

 

「アリサちゃんのマネージャーです。結構彼女の助けになってるんですよ」

 

と橙子が添える

思わず美琴は内心で燈子に感謝した

そんな美琴を見てプロデューサーがきらりと目を光らせる

 

「フフ…可愛い応援団だこと。…橙子さん、ちょっと提案が」

「? …えぇ…まぁ! それはいい提案ですわ!」

 

プロデューサーから耳打ちをされ嬉しそうに手を叩く橙子

…ホント眼鏡をかけた橙子は普段とのギャップも相まってキャラの崩壊が激しい

いや、普段の裸眼橙子に慣れてしまっただけなのだが

 

ふと気づけば二人の視線が美琴を捉えていた

二人の視線に当の美琴は「へ…?」と声を出していた

 

 

立花眞人は周囲をきょろきょろと見回していた

警備員として、今回はライブを行う鳴護アリサを護衛するべくオービットポータル社に依頼されこの会場に立花眞人は赴いたのだ

 

それでいて会場に不審者がいないかどうかを確認していたわけなのだが

 

「…うん、今の所誰もいない…な」

 

ここまでそういった不審者の類はいなかった

皆これから行われる鳴護アリサのライブを心待ちにしているファンで一杯だ

眞人は歌はよくわからないが、街を見回っていてたまに見かける彼女の歌声はとてもきれいだし、応援もしている

実際、職場でも彼女の歌を聞いている同僚も結構いるのだ

そんな彼女を守るためにも、今回はG3ユニットの装着も許可されている

もちろん、状況に応じてだが

眞人としては当然、何もないほうがいい

決まってる、戦わないに越したことはないのだ

 

「失礼」

「? はい?」

 

唐突に聞こえた声に眞人は振り向いた

そこにいたのはスーツを着込んだ綺麗な女性が立っていたのだ

茶の髪を束ねて、目線は眞人をしっかりと見据えている

 

「警備員、立花眞人殿…でしょうか」

「は、はい、確かに僕は立花眞人ですが…貴女は?」

 

眞人がそう聞き返すと女性は一礼し

 

「申し遅れました。私は社長秘書を務めております、水城マリアと言います」

 

生を背負う男と、死を背負う女

これが、二人の出会いだった




如月弦太郎
仮面ライダーフォーゼ
当麻やアラタの高校に転入してくる少年
因みに本編にも姫神と同じタイミングで転入してくる予定
原典との違いは髪をリーゼントにしない事とやっぱり字が一字違う事
因みに魔術サイドである

乾巧巳
仮面ライダーファイズ
クリーニング屋を営んでいる男性
しかし機械がハイテクなので正直いるだけである
別に機械の修理等も頼めばしてくれる
原典の違いは名前が一字増えている事(読みは同じ)
やっぱり猫舌

※オートバジン
出て来てないが念のため
ぶっちゃけあんまり変わんない
唯一違う点は〝喋る〟事
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