HANMER×HANMER   作:としを

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HANMER×HANMER♯1

「良いのだな‥ユージロー?」

「なぁ、ストライダムよ。俺は今楽しみでならねぇんだ」

「うむ‥武運を祈る‥」

「エフッ…エフッ…エフッ…」

 

百聞は一見にしかずッッ! 百見は一触にしかずッッ!!!!

 

葉巻を咥えた白人の大男が恐らくは最新鋭である見た事もない卵を上下に少しだけ大きくしたような球体の機械のハッチを閉める。中には見るからに尋常ならざる者の雰囲気を醸し出す、服装からすると恐らくは軍人であるこの大男。

 

軍服と勲章から判断するに米国の海軍、階級は大佐。その軍人がユージローと呼んだ人物は目を瞑り口角だけを上げ直立している。まるで上等なスープを口に含んだ時の様に‥

 

ガシャンッッ!

 

大男が胸で十字を切り、ガラスの向こうにいる白衣を着た研究者達に合図を送る

 

ストライダム「5, 4, ,3, 2,,,1」

 

1のカウントと同時にレバーが下され、その球体はまばゆい光と白い煙りだけを残し、その場から姿を消した‥

 

ストライダム「シーユーアゲイン‥ユージロー、お前の行く世界で強者と会える事を祈っている…」

 

ここは米国が秘密裏に開発している時空研究所である。

もちろんオフィシャルではないが日本に住むある高名な権力者、徳川光成氏の援助により開発はかなりの段階まで進んでいた。昨年初めて猿での時空間移動に成功ッッ‥!!

 

いや、成功と言えば聞こえは良いが戦況で言えば1勝1敗とうところか…

過去2回の実験の結果、タイマーでセットして送り込んだ最初の機体は現世に帰ってくる事は無かった。だが2度目の実験では無事帰還。到着点の座標は出資者である老人が唯一出した条件により、米国ではなく日本の東京都、徳川氏が所有する自宅の近くの土地になっている。

 

もっとも、その機体をまた米国に持ち帰り調査することになるのだが莫大な資金を提供した徳川氏がたった一つ提示した条件がそれだ。従わない訳がない。

あちらの世界のどの場所に降り立つか…座標は解らないので誤差はあるが、こちらの世界での誤差は程度が知れている。

 

広い土地を所有する徳川氏の庭程度で十分であったが、ありがたい事に東京ドーム2つ分程の土地を購入し、更地にし、新たに研究者が駐屯出来るように研究設備、宿泊施設なども用意してくださり時間が経った今ではその場でも十分な研究が出来る程の施設となっていた。

 

2度目の実験で帰還した猿は別段変わった様子もなく、身体にも異常がなかった。機体周辺に付着した植物の種子、動物の糞などからその世界の生命の存在も確認し、酸素濃度や気候などはこちらの世界と酷似していたという…‥

そしてこの世界に並ぶもののない地上最強の生物、範馬勇次郎がまだ見ぬ世界の強者に胸を躍らせることなど至極当然の事であった。

 

少し考えたら解る事であったのに、久々に出会う友との食事会でついうっかりと口を滑らしてしまった事を、ストライダムは悔いていた‥

 

涙目の理由を蒸した葉巻のせいにしながら男は再び胸で十字を切った。

 

 

範馬勇次郎、もはや説明不要の地上最強の生物。

 

その漢が今、ハンターハンターの世界くじら島に舞い降りたッッ!!!

 

「4、5、4、5(シコシコ)っと」

 

ガシャン、

 

内側から機械のロックナンバーを入力後解除し地上に降り立った。身体が軽い。

 

酸素もあるし、気温も適温だ。時空を飛び越えた事による身体への影響をゆっくりと少しずつ確認していく、指先から手首、肘、肩、首、足の指から足首、膝、股、股関節、一通りの異常のないことを確認していると後方から、勇次郎の世界ではおなじみのホッキョクグマのような生物が襲いかかってきた。

 

「邪ッッッッ!!!!」

 

一喝でその生物を怯ませた勇次郎は、自身の身体の異常な軽さを感じている。

どうやらこの世界は勇次郎が本来いた世界よりも大分重力が軽いようだ。

まるで演舞のように型を行い再度身体の動きを確認する。重力が少ないせいかいつも以上に身体が動く、先ほどまで勇次郎の一喝でガタガタと震えていた野生のキツネグマも勇次郎の動きに合わせるようにしっぽを振りながら真似事のような事を行っている。

 

一通り身体の動きを確認し終えた段階で自身が空腹であることに気がつく。

キツネグマが勇次郎を歓迎するかのように付いてこいと、しっぽを振りながら森の中の沼に連れていく、高台から辺りを見渡す限りどうやらここは海に囲まれた孤島のようだ。勇次郎の為にキツネグマが魚を捕獲してくれようとしていたが、それよりも早く勇次郎は服を脱ぎ全裸で獲物を求め沼の中に潜っていった。

 

「きた!!きたきた!きたァーーーーっ!!!」

 

対岸の岸辺で釣りをしていたとんがり頭の少年が釣り竿を上げるとそこには大の大人が5人掛りでも釣り上げるのが難しそうな大きな魚が掛かっていた。

 

と思ったがその大魚は瞬間、絶命した。

 

「えっ???あれ!?人??」

 

勇次郎の毒牙にかかった大魚を岸に上げ驚いた少年は言葉を失っていた。

 

「おじさん誰??」

 

耳抜きをしながら勇次郎が答える

 

「ほう…幼いながら中々の筋力だ」

「ちょっと何言ってるかわからないよ。俺はゴン=フリークス!おじさん名前は?」

「勇次郎…範馬勇次郎だ…」

 

この沼の中で何をしていたのか、そもそもこの筋骨隆々の全裸で中年の怪しい漢の風体をみても物怖じすらしない少年。勇次郎は興味を持ったのか聞かれた名をそのまま発した。

 

ゴン「一つ確認なんだけど、おじさんがこの沼の主を倒したのって、オレの釣り竿に掛かって水面に上げた後だよね?」

 

そんなことにどんな意味があるのか解らず、しかも名前を名乗ったにも関わらず、おじさんと呼ぶこの少年に先ほどのやりとりは意味があったのかと思いながら、キラキラとした目で確認する少年に勇次郎は答えた

 

勇次郎「あぁ、そのようだな」

ゴン 「やったぁぁぁーーーーー!!!!」

 

言葉を最後まで発する前に少年は歓喜した

喜ぶ少年に少し戸惑いを感じながら、そのペースに呑まれていく勇次郎。

 

ゴン「おじさんが証人になるから家に付いてきてよ!御馳走するよ!」

 

大魚を肩に抱え込むと少年は凄い勢いで駆け出し、野生のキツネグマが勇次郎の足下に名残惜しそうに身体を擦り付けているのを少年は横目で見ていた。この世界に何も情報のない勇次郎は唯一の接点である少年の後に続く他なかった。

 

ゴン「さぁ約束通り主を釣り上げたよ!今度はミトさんが約束を守る番だ!!」

 

 

少年がミトさんと呼ぶ女性は恐らく少年の保護者であろう。

少年が背負う大魚にも驚いたが後ろに続く身の丈190cm前後はありそうな筋骨隆々な全裸の漢の圧倒的な存在感に恐れを感じていた。どうやらこの二人の間でこの大魚を釣り上げるかどうかの何かしらのやり取りがあったと察した勇次郎は夕食を共にしながらこの世界の事、ハンターという名の職業などある程度の事を理解した。

 

ハンターという言葉を聞いた瞬間、勇次郎に殺気が走ったがそれは一瞬だけであった。

きっとあまり良い思い出がないのだろう

 

闘技場で調子に乗って暴れてたら麻酔銃を打ち込まれるとか…

 

一通り話を聞いた後にお茶を啜りながら勇次郎が疑問を投げかける。開放感からなのかいまだに全裸である。

 

勇次郎「小僧よ、俺もハンターになれるのか?」

 

話を聞く限り、この世界で身分証や金銭を持たない勇次郎にとって、宿泊施設や食事などがほとんど免除されるプロハンターという職業はとても魅力的に感じた、何よりも強者と出会う一番の近道になるとそう確信したのだ。

 

ゴン 「なれるよ!だってコンがおじさんに懐いてたもん!良いハンターっていうのは動物に好かれるんだって!」

勇次郎「よし、ゴンと言ったな?貴様もハンター試験を受けろッッ!!そして俺を試験会場まで連れていけッッ!!」

 

よく解らない勢いのままハンター試験応募カードというカードに勇次郎が指紋を押そうとしたところでゴンが遮った

 

ゴン 「それはダメだ!俺の保護者はミトさんだもん、ミトさんに認めて貰えないと受けることは出来ないよ」

勇次郎「強情な小童だ…ならば貴様が許可をしろッッッッ!!!!」

 

勇次郎の髪の毛がみるみる内に逆立っていく過程でミトさんと呼ばれる女性がプレッシャーに負けてカードへ人差し指の指紋を押した。その横に勇次郎もさりげなく自分用のハンター試験応募カードを並べる。

 

ミト 「服も着てくださいね…」

 

そのときの状況をミトさんは後に涙ながらにこう語る

 

「本当に…今ここに生きてるのが不思議なくらいです…子供のわがままですよ?

どこの家庭にもよくあるただのわがままなのに…あの人きっと私があそこで許可を出してなかったら…この家もろとも全てを壊すくらいの気迫を感じたんです…私怖くて…だって全裸ですよ?一刻も早くこの島から出て言って欲しかった…ゴンが付き添うってことを後になって思い出した程…それくらいその場をなんとしてでも丸く納めたかったんです…」

 

 

 

 

範馬勇次郎、無事ハンター試験応募完了ッッッ!!!!

 

 

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