マチ 「シズク、あんたは何か欲しいものあるの?」
シズク「ん~。書物関係は団長に任せるとして、あっちに無いものとかなら欲しいかな」
マチ 「なら、一緒にデパートでも行きましょうよ」
シズク「いいね!付き合うよ」
マチ 「ウボーあんたはどこに行くの?」
ウボー「俺はちょっと気になるところがあってな、そこ行ってから珍しいもんでも食うかな」
コル 「………」
ウボー「お前も行くとこないなら俺に付き合えよ」
コル 「………(コクリ)」
マチ 「くれぐれも面倒事は起こさないでよね」
ウボー「あぁ!」
クロロが入って行った書店の前でしばしの談笑を終えた4人の団員は2手に分かれてその場を離れた。
ウボォーギンが目指す場は決まっていた。機体が降りたった場から離れ、団員達と街をしばし徘徊している時にそこにあったのだ。
先ほど自身の蹴りを念能力者でもないものに華麗に捌かれた。その捌いた本人の顔を見つけてしまった。
神心会館総本部。門下生の数は延べ100万人と言われている。その本部ビルには「虎殺し」と呼ばれる愚地独歩が虎に手刀を見舞う瞬間の看板がビルの壁にデカデカと掲げられていたのであった。ただ者じゃねぇーとは思ったがまさかこれほどとはな…。
クロロが居るときにはさすが自粛したが、自由行動となるともはや我慢の必要はない。
さらなる強者がいるのではと淡い期待をもちながら、入り口に佇む。ウボォーギン、その後ろにコルトピであった。
「なんだお前ら、でけぇな。入会希望者か?見学か?」
入り口に佇む2人に後ろから声を掛けて来た男は、およそ空手家と呼ぶにはふさわしくない、派手な柄のセットアップの上下を身にまとった、加藤清澄と名乗る男。
ウボー「お前もここの技使えるのか?」
加藤 「俺が使うのはスポーツ空手とはちょっと違うがまぁここでは3段だな」
ウボー「あいつより強いやつはいるか?」
愚地独歩の看板を指差しながらウボーが聞く
加藤 「あ?実戦で館長より強い人間なんてこの地球上にいねぇよ、克己さんなら可能性はあるがまだ若いからな。そうなるとまず俺が…」
ウボー「他はクズばっかってことか、暇つぶしにもならねぇんじゃ仕方ねぇな」
加藤 「なんだてめぇ…まぁ一般人をケガさせたくねぇしもっと勉強してから出直すんだな」
おもむろにウボォーギンの肩に手を乗せた瞬間に加藤は戦慄する…数多の強者と対峙した経験を持つ加藤は触れた瞬間に、その計りきれない戦力差を感じた…だが神心会のデンジャラス・ライオンとの異名を持つ加藤清澄の野生は、勝てないと理解しながらもその本能を抑えることが出来なかった。
ウボォーギンの左肩に置いた右手に力を込め、そのまま後ろに引くと同時に右足の蹴りをウボォーギンの左膝の裏に見舞う。ウボォーギンの身長は258㎝もあるためまずは身体の末端から体勢を崩させようとしたのだった。
微動だにしない…
加藤清澄が今まで積み上げて来たものが…音を立てて崩れだす…
正攻法では勝負にすらならない、そう感じた加藤は裏社会で磨きに磨いた急所攻撃。その一端の目つきを敢行しようとウボォーギンの正面に回り目つきを見舞う。
加藤 「キャァララァァッッッ!!!」
加藤 「ぎゃぁぁぁぁあぁああ!!!」
目つきを敢行しようとしたその時に加藤の頭部はウボォーギンに片手で掴まれていた。
そのままゴミをゴミ箱に投げ捨てるかのように加藤を道路に放った。
入り口に入るなり、大声で叫ぶ
ウボー「頼もぉぉぅ!!!」
ウボォーギンの大声に窓ガラスが揺れ、上の階で臨時講師として来ていた、鎬昂昇、渋川剛気の二名。そして組手をしていた、烈海王と愚地克己は幻影旅団がこの地に降り立った時から静かに禅を組んでいた。
渋川「まさか、むこうの方から来てくれるとわな、ワシが行きますか」
昂昇「お近くで勉強させて頂きます」
渋川「やめといたほうがええよ、ワシじゃ勝てん」
昂昇「たかが道場破りに達人、渋川剛気が負けるなど日本の武道史をゆるがす大事件です、それはそれで拝見させて頂きたい」
渋川「ほほっ、言うようになったの」
渋川剛気の目の前に立ちはだかる、幻影の巨大な門。
合気道の道に身を捧げ、ついには真の護身を完成させた渋川剛気が危機へ立ち向かう際に目の前に現れるものだ。
真の護身を身につけたなら、技は無用。
真の護身が完成したのなら、
危うきには出逢えぬ。
己の危機に気付くまでもなくーー
危機へ辿りつけぬのじゃよ。
渋川「さて、行きますか」
師の言葉が耳に木霊するが、それさえも吹っ切るように、歩みを進めた。
バキ「いったい何がどうなってるんだ……?」
ストライダムと共に範馬刃牙は日本の徳川邸の近くにある研究所、つまり幻影旅団が降り立った場所へ来ていた。
目の前で倒れる、護衛2人、そして…花山薫、愚地独歩、
バキ「この2人を相手にして勝てる人間なんて…」
刃牙の頭にまず、浮かんだ人間は父である範間勇次郎ただ一人であった…
ストライダム「ユージローではない…」
勇次郎の帰還の日は1年後に設定してある。だから勇次郎である筈はないのだ。
バキ「ジッちゃん!!おい!しっかりしろ!何があったんだよ!」
膝をつき泣きじゃくる光成の肩を揺り動かすが放心状態にあり、とても言葉を話せるような状況ではなかった。
仕方なく救急車を手配し、花山薫と愚地独歩が搬送されるのを見届けると刃牙は光成に付き添い徳川邸へ向かうのであった。その時、神心会では渋川剛気とウボォーギンが対峙していた。
ウボー「おい、あんた強ぇな。さっきの眼帯野郎と同等かそれ以上だ。」
渋川 「ほっほ、これでも達人って言われとるからの。眼帯野郎?まぁええ、一応聞くがこのまま帰ってくれる気はないかのぉ?」
ウボー「ああ、ねぇな」
渋川 「じゃと思ったわい。ここじゃなんだから道場まで付き合って貰って構わんか?」
ウボー「あぁ、案内してもらおうじゃねぇか。あんた良いオーラしてるぜ」
渋川 「??」
渋川と昂昇のあとに、ウボォーギンとコルトピが続く。昂昇がウボォーギンの言った眼帯野郎というのはもしや…と独歩の事を深慮したが今はそれどころではない。己の気を引き締めいつでも行動に移せるよう細心の注意を払いながら2人をエレベーターに乗せた。
既に肌にはヒリヒリとするくらいの圧力を感じている。これは渋川剛気の物ではなく、獣の毛皮を纏ったこの大男からであろう。神心会本部にある、最上階の一番大きな道場。そこに通すと中心には既に座禅を組んでいる烈海王と愚地克己。両端の壁際には黒帯を締めた、猛者達もズラッと並んでいた。
本日は烈海王を臨時講師として選り抜きの猛者達と空手のさらに高みを目指すため中国拳法を学び、神心会空手に取り込もうとしていたのであった。克己から渋川には以前、ドイルという死刑囚が訪れた際に苦渋を飲まされた為、あらかじめ有事の際には自身の元へ連れてくるように伝えてあった。受付からの電話で既に状況を理解していた克己は渋川がこの道場破りを連れてくるということは想定していたのであった。
ウボー「うぉ!大歓迎みたいじゃねぇか」
コル 「………」
克己 「なんだお前?看板でも欲しいのか?」
ウボー「いや、いらねぇ。ちょっと強い奴探しててよ。眼帯野郎より強い奴はいねぇか?」
克己 「眼帯野郎…?お義父のことか?お前…まさかっ?!」
昂昇 「恐らくは…既に…」
ウボー「ちょっと遊んでやっただけだ、トドメをさしたのはマチのやつだけどな」
渋川 「克己さんよ、もう感じておるじゃろ?こやつの力量は…まぁ先にやらして貰ってええかの?」
ウボー「全員いっぺんでもいいぜ!」
烈海王「私は一向に構わんッッ!!」
ウボー「なんだかおもしれぇ奴がたくさん居るようだな」
道場の入り口の横にちょこんと座ったコルトピを合図に一斉に仕掛けた。毛皮を脱ぐと肥大した筋肉が露出する。
まずは1番近くに居た鎬昂昇による斬撃拳。
それを全く問題にせずに、仕掛けられたその腕の上から拳を叩き込むウボォーギン、昂昇の右腕は関節の稼働域を無視した曲がり方をした、続いて烈海王によるは寸頸(通称1インチパンチ)対象の身体に文字通り1インチにも満たない程、拳を近づけた状態から放つ発頸である
烈海王「フンッ!」
この発頸により少し後ろに蹌踉けたウボォーギン。
渋川 「まったくワシが先だと言ったのに…」
渋川剛気が見逃さず、その反動で柔を使いウボォーギンの手首を掴み、状態を屈ませた所に先ほど腕を折られ怒り心頭の昂昇が喉仏に足刀を放つ、ウボォーギンはその場で天井を眺めることになったが、後ろでこのやり取りを見ていた愚地克己だけは気がついていた…
攻撃を食らう時もする時も、常人なら絶命していても可笑しくない程のダメージを受けている筈なのに…その顔は嗤っていた…
克己(化け物め…ッッ!!)