HANMER×HANMER   作:としを

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HANMAR×HANMAR♯16

ゴン「なんだか、すっきりしたみたいだね!」

 

バキ「あぁ、ゴン、ありがとう!」

 

刃牙は起き上がり、そして自分の身体がもの凄く軽くなっているのを感じた。それは重力のせいであったが刃牙はこの身体を纏うもやのようなものであると勘違いしていた。だがそれはさしたる問題ではない。明らかに以前より早く動く身体。身体能力の飛躍的な向上。強くなっている…!そしてこの纏うもやのようなものは自在に動かす事が出来るようだった。

 

バキ「ゴンはなんでそのハンターってのになりたいんだ?」

 

ゴン「親父がハンターをやってるって言ったよね?でもオレ、親父の記憶はほとんどなくて、だから親父が魅せられた仕事ってどんなものなのかなぁーって」

 

バキ「そうか…なんだか悪いこと聞いちまったな」

 

ゴン「いや、全然平気だよ!ミトさんっていう母親代わりの人がいてくれたし島のみんなも凄く良くしてくれてるんだ。でもハンターになったら、親父に会いに行こうって思ってる。ずっと死んだって聞かされてたんだけど今も生きてて凄いハンターなんだって。そう教えてくれた人がいたから、どんな人なのか会ってみたくて」

 

バキ「俺もまずは父親探しから始めないとな」

 

2人は顔を見合わせて笑った。偉大な父親を持つもの同士のシンパシーかゴンと刃牙は似たような匂いを感じていたのかもしれない。その状況を物陰から覗き見る人影が複数。

 

197番アモリ、198番イモリ、199番ウモリ、絶妙な連携プレイで常に好成績をあげているという噂のハンター試験常連アモリ三兄弟。

 

この3兄弟の中でゴンをターゲットに持つ者は居なかったが、たまたま焚き火の煙が見え近くまで来てみたら、2人の男が楽しそうに談笑していたところであった。とんがり頭の少年は記憶を辿るとたしか405番?だったような気がすると次男のウモリが言う。もう一人の男は3人の記憶にすらないところを鑑みるとおそらくたいした実力はないのであろう。

 

もしここで2枚のプレートを奪取出来れば、この先最悪、誰のプレートも奪えなかったとしても3兄弟の内誰か一人は次の試験まで進む事が可能となる。長男のアモリはここが勝機と判断し、フォーメーションを組むように指示を出す。

 

姿を現した3人に対して、ゴンと刃牙は警戒態勢に入る。ゴンが警戒をするのは無理もない事であったが部外者の刃牙もが警戒したのは3人のやる気満々といった雰囲気に格闘士としての本能がそうさせたのだろう

 

バキ 「何か用かい?」

 

イモリ「なぁプレートをくれねーか?おとなしくよこせば何もしない」

 

ゴン 「いやだ!!」

 

イモリの蹴りがゴンを吹き飛ばした。

 

イモリ「あーあ言わんこっちゃない。ばっちりみぞおち、ありゃ地獄だぜ」

 

バキ 「ゴン!大丈夫か!?」

 

ゴン 「うん…痛いけど平気。我慢できないほどじゃないよ。でも…これはオレの問題だがらバキは逃げて!」

 

ゴンのその言葉に優しく微笑みかけるバキはそのままお返しとばかりにイモリに対して後ろ回し蹴りをみぞおちに見舞う。イモリは吹き飛び後ろに生えた大木に身体を打ちつけ、起き上がることはなかった。

続いて舞のように美しく上空数メートルに飛び、回転しながら今度はウモリの前に着地、ウモリは当てられた拳に気がつくことさえ出来なかった。着地する前に既に回転を利用しながら裏拳を顎にヒットさせ意識を失わせていたのだ、今度はゆっくりと歩きながらアモリの前に立つ。

 

アモリは刃牙に対して落ちていた木の棒で殴り掛かるもそれを足刀で折るとその頭を優しく掴み、揺する。アモリの脳はシェイクされるように幾度も頭蓋に叩き付けられ脳震盪を起こし意識を失った。

 

キルア「ゴン!!無事か!?」

 

アモリ3兄弟同様に焚き火の煙を見たキルアもその場へ向かっていたようだ。自分の獲物が誰なのかも解らないキルアは手っ取り早く3人分のプレートを集める必要があったからだ。人が居るなら積極的な遭遇は望む所。

 

誤算があるとすればキルアがそこに着いたのはゴンが吹き飛ばされた後であった。すぐ様助けに入ろうとしたが、見知らぬ男の後ろ回し蹴り、その後の舞と見間違うような美しい動きに目を奪われていたのであった。

得体の知れない男の存在は気になったがゴンを守っていたと結論付けると悪い人間ではなさそうであった。

倒れたゴンに手を貸そうとするともう一人見慣れた顔が目の前にあった。3次試験を一緒に攻略した294番のハンゾーである。ハンゾーのターゲットは197番のアモリで試験開始からずっと気配を絶ち、チャンスをうかがっていたようだ。

 

もちろんゴンに何か危機があるのであれば助太刀に入る気でいたが、キルア同様に刃牙の美しい動きに目を奪われていた。

 

ゴン 「キルアにハンゾーも!この島で会えると思わなかったよ!」

 

半蔵 「そうだな。まぁケガが無くてよかったぜ、それより…ゴン、あいつは誰だ?」

 

ゴン 「バキだよ!たまたまこの島に流れついたんだって、オレもさっき友達になったんだ」

 

バキ 「あ、範馬刃牙です…よろしくお願いします。えっと…ゴンの友達…?」

 

急に人見知りを発揮する刃牙であった。

 

ゴン 「うん!オレたちハンター試験の最中なんだ。今はこの島でプレートを奪い合ってるの!あ、そうだ!プレートプレート」

 

ゴソゴソと3人の所持品を漁るゴンの手元には4枚のプレートが握られていた。197番、198番、199番、362番、の4枚のプレートであった。362番のプレートは既に3兄弟が誰かから奪っていたプレートであろう。その4枚のプレートをゴンは刃牙に渡した。

 

バキ 「俺に?」

 

ゴン 「うん!だってこれはバキが取ったプレートだもん。どうするかはバキが決めて!」

 

バキ 「どうするったってなぁ。俺には必要がないものだし、これが得点になるんだろ?」

 

ゴン 「そうだよ、それを奪い合うのが今回の試験なんだ」

 

バキ 「俺には必要ないからなぁ。欲しい人いる?」

 

先ほどまでバキを警戒していて口数が少なかったキルアが自分のターゲットが199番である事を明かす。続いてハンゾーも197番である事を明かすと、快くバキはそれぞれの3点分になるプレートを渡した。これでキルアとハンゾーの2人は既に6点分のプレートを手に入れたことになる。労せずに2人はプレートを手に入れてしまった為にゴンのプレート集めに協力することを提案した。

 

キルア「うーん。ただゴンのターゲットはヒソカだからそいつは難しいかもね」

 

半蔵 「げっ!そいつは運が悪いな。もう5点分はあるんだから1点分のプレートを誰かから奪おうぜ」

 

ヒソカの実力を知る2人の発想は至極当然のことであったが、ゴンはその提案になかなか応じない。

 

ゴン「まだ時間もあるし、頑張ってみるよ。試したいんだ。自分がヒソカ相手にどこまで出来るかを」

 

バキ「そのヒソカっていうのはそんなに強いのか?」

 

ゴン「うん…」

 

バキ「それはそちらの2人から見てもかい?」

 

刃牙がハンゾーとキルアに視線を送る。刃牙は佇まいから既に2人の実力を見抜いていた。特にハンゾーとは立ち会いをお願いしたいくらいであった。

 

半蔵 「お褒めに預かったみたいで光栄だな。ただあいつはヤバい!できれば金輪際近づきたくもねぇな!」

 

キルア「オレも今は勝てる気しないなぁー。あ、バキだっけ?あんたも相当やるけどね。」

 

自分を過大評価しているのかもしれなかったが、刃牙は地下闘技場のチャンピオンであるという確固たる自信もあった。既に1流と呼ばれる格闘家さえ問題にならない程の強さを手に入れているという自負もある。これ以上どうやったら強くなれるのか…それを悩んでしまう程、今の自分は力を、技術を、研ぎすませている。そんな位置にいる刃牙から見てもこの2人は相当な実力者だ。刃牙同様にかなり高い位置にいるであろう、その2人をもってしてもそう言わせる程の実力者…ヒソカ。一呼吸置いて刃牙が問いかける。

 

バキ 「そのヒソカっていう男はもしかして…これが使えるんじゃないか?」

 

バキが身体に纏っているオーラを少し強く発してみた。理論などは解らないが感覚的に身体の周囲で揺れているそれを力強く発しただけだ。オーラの感覚を掴めていない3人には目では見えていなかったが3人とも刃牙から距離をとった。ゴンとハンゾーはたじろぐ程度であったがキルアに至っては遥か後方へ下がっていた。

 

ゴン 「バキ…今何をしたの?」

 

バキ 「俺にもよく解らないんだ、ただここに来てからこれが使えるようになった。きっとこの力を使いこなせるようになったらもっと強くなれるはずなんだ」

 

キルア「それ…多分親父とか兄貴が使ってる技と一緒だ…きっとヒソカもそれを使ってると思う…何かの技だったのか…」

 

半蔵 「それはオーラってやつだな…」

 

バキ 「何か知っているのか?」

 

半蔵 「いや、詳しくは何も知らない。それも今まで忘れてた。ガキの頃に入っちゃいけないって言われてた倉があってな、入っちゃダメって言われるとよ、どうしても入りたくなっちまうんだ。それでそこに入ってた巻物にそんなような事が書いてあったようななかったような。それを使えるようになる方法みたいなのも書いてあったけど、古い記憶だからどうだかな…」

 

キルア「方法って!?どうやったらいいんだ?オレにも使えるのか?」

 

ゴン 「オレもそれを使って強くなれるんだったら使えるようになりたい!」

 

半蔵 「期待は薄いぜ?バキ、ちょっとその状態で俺を殴ってみてくれ」

 

バキ 「え!?この状態で?」

 

バキには心辺りがあった。この世界に来たからこの力が使えるようになっただけだと思っていたが、もしかしたら…。右手のビンタを軽く小突くような稚拙な力でハンゾーの頬を打った。

 

半蔵 「うぉぉぉぉーーー!!」

 

バキ 「えッッ!?」

 

軽く、敬意すら持って優しく叩いただけだ。頬を叩いただけなのにハンゾーは強く地面に叩き付けられた。ハンゾーの実力を感じていた刃牙からしたら本気で攻撃をしても自分と互角かそれ以上の実力だと計っていた。見誤ったか?とも思ったが、そんなことはないだろう。きっとこの力のせいだ…

 

キルア「おい!バキ!そんな本気で殴らなくたっていいだろ!」

 

バキ 「軽く、軽く叩いただけだッッ!きっとこの力のせい…」

 

ゴン 「ハンゾー!大丈夫!?」

 

半蔵 「………なんとか生きてる…でもやっぱりだ…間違いねぇよ。今のオレにはバキの身体を纏ってるオーラがうっすら見えてるぜ」

 

バキ 「実は俺もこれを使えるようになったのはある漢に殴られてからなんだ」

 

半蔵 「決定だな。この状態で殴られたら使えるようになるみたいだ。自分の身体を覆っているのも見えてきた」

 

ゴン 「凄いや!ねぇオレもお願いしていい?ヒソカからプレートを奪いたいんだ」

 

キルア「いや、ゴン待て、ハンゾーにお願いしよう」

 

ゴン 「え!?なんで?」

 

キルアの不安は惜しくも当たらなかった。数秒後には地面に頭から垂直に突き刺さり、地上に出ている脚だけをピンっと伸ばし意識を失っているキルアとゴンを見ながら、ハンゾーが刃牙に対して頭を掻きながら苦笑いを浮かべ、刃牙もそれに続いて笑った。

 

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