HANMER×HANMER   作:としを

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HANMER×HANMER♯2

「船長!船底から浸水です!!」

「チィッ!客席で転がってる役立たずのアナルでもつめとけ」

「取り舵一杯!!飛ぶぞつかまれ!」

 

今年のハンター試験開場があるといわれているザバン市への向かう船は嵐の中を航海していた。

多くの受験者が船長のこれから2時間半後にさっきの倍近い嵐の中を航行するというアナウンスを聞き、救命ボートで近くの島まで引き返してゆく。

船員を除く残った乗客は4名

先ほどの嵐の中もハンモックで安らかに眠っていた独特のマントのような民族衣装に身を包んだ金髪で線の細い美形の青年。勇次郎の世界であればコンビニでビニールに包まれ販売している通称ビニ本、と言われる本を片手にニヤニヤとしている、身長は190以上だろうか?丸いレンズのサングラスを掛けた黒髪で黒スーツの青年。

 

そしてゴンと勇次郎

船長が志望動機と名を聞いた。

 

ゴン「俺は父親が魅せられた仕事がどんなものかやってみたくなったんだ!」

 

元気よく答えるゴンであった。

 

金髪の少年は名をクラピカといい、賞金首ハンター志望。志望の動機は2つ。

一つは自身の同胞、クルタ族という部族を皆殺しにした盗賊グループ、幻影旅団を捕らえる為。

クルタ族が狙われた理由はその瞳にある。感情が昂ると瞳が燃えるような深い緋色になるという特異体質を持っていて、この状態で死ぬと緋色は褪せずにそのまま残る。

緋色が刻まれた眼球は「緋の眼」と呼ばれ、その色は「世界七大美色」の一つと評され、闇市場にて高額で取引されているという。奪われた同胞の緋の眼を集めることも二つ目の動機だ。

ハンターでなければ入れない場所、聞けない情報、出来ない行動というものがあるらしく、勇次郎はその青年の話をハンモックで眼を閉じながら聞いていた。

 

もう一人のスーツの青年の名はレオリオ

志望動機は金。クラピカの動機を聞いた後ではその答えは至極シンプルに聞こえた。

正義感の強いクラピカはレオリオに突っかかるが、どうやら金と言いながらもその背景には過去に医療費が払えずに大切な友を亡くしており、悔しい思いをしたレオリアがシンプルに考えた結果、自分が医者になり多くの人を救うという暖かい理由があった。医者になる為にはさらに莫大な金がいる。その為にハンターを志した。

それを聞いたクラピカは素直に非礼を詫び、またその真摯な態度や信念をレオリオも心地よく感じ、勇次郎が眠っている間にゴン、レオリオ、クラピカは様々な話をしながら航海を楽しんだ。

 

レオリオ「なぁゴン、お前の連れは…その、親父さんとかじゃないよな…?」

クラピカ「私もそれは気になっていた、あの者の動作や雰囲気は明らかに異質、あちら側の人間なのでは…?」

ゴン  「二人とも何言ってるの?おじさんは俺が釣り上げた人で、オレがハンター試験を受けるようにミトさんを一緒に説得してくれたとってもいい人だよ!」

クラピカ「…何もいうまい…」

レオリオ「ゴン、仲良くしてくれよな…」

 

ゴンへ投げかけた質問への回答は、勇次郎に対する謎をさらに深めただけに終わった

既に服は着ているがやはりそれでもその存在感は異質だったようだ。

 

実際にクラピカが幻影旅団の話を打ち明けた際に誰よりもこちらの話に耳を傾けていたのは、他でもない勇次郎であった。あの曲がったことの嫌いそうな船長でさえ勇次郎に対しては腫れ物を扱うように名前は愚か志望動機さえ確認しなかったのは意外であった。

 

目を瞑りながら、勇次郎が呟く

 

「A級首の盗賊…幻影旅団か…」

 

案の定、口元はニヤけている、この世界にやって来て早くも強者の存在を認識できた事。

その事でハンター試験への期待、そしてこの世界のまだ見ぬ強者への期待に胸を震わせながら今はただただ眠った。

 

◆ドーレ港◆

 

ゴン「船長いろいろありがとう!!元気で」

船長「うむ達者でな、最後にわしからアドバイスだ、あの山の一本杉を目指せそれが試験会場にたどりつく近道だ」

ゴン「わかった、ありがとう」

 

ゴン達一行が会場があるザバン地区とは反対方向の山の一本杉に向かうと聞いて勇次郎が言った。

 

勇次郎「小僧、ここでお別れだ」

ゴン 「?? おじさんは一緒に行かないの?」

勇次郎「あぁ、港に近づくにつれて匂いが濃くなってきやがった。俺の好きな香りだ…」

ゴン 「ちょっと何言ってるかわかんないや、でも大丈夫ならオレは船長さんの言う通りに一本杉に向かうね。」

ゴン 「おじさん、またねーー!絶対ハンターになろうね!」

 

ゴンが言葉を言い終えるより先に勇次郎は一本杉とは反対のザバン地区の方へ向かっていった。

ハンター試験の会場まではゴンと行動を共にするつもりであった勇次郎であったが当初の目的を忘れてしまったのか。

野生の本能が強者の存在を示す、その実力をその肌で感じていた。

食事より、睡眠より、性欲よりも闘争を求める勇次郎にとって、それは仕方のないことであった。

最高級の食材の香りに引き寄せられるように闘争を求めた勇次郎は、ゴンの元を離れたのであった。

勇次郎と離れることができた、クラピカとレオリオはどこか安心したような表情をしていたのはうまでもない。

 

 

◆ザバン市◆

 

「いらっしぇーい!!ご注文は?」

「ステーキ定食」

「焼き方は?」

「弱火でじっくり」

「あいよー、お客さん奥の部屋どうぞ」

 

ここは食い物屋、ごはんというお店だ。

 

勇次郎と別れた後のゴン達一行は船長に言われた通り一本杉を目指し歩みを進めた。

道中にも試験のようなもので篩いにかけられたりもしたが、無事にパスし、一本杉に住むナビゲーターのお眼鏡に適い試験会場まで連れて行ってもらう事になったのである。ナビゲーターと主人の先ほどのやりとりが何かしらの暗号だったようだ。

 

「1万人に一人、ここにたどり着くまでの倍率さ お前たち新人にしちゃ上出来だ。それじゃがんばりな、ルーキーさん達。お前たちなら来年も案内してやるぜ」

 

まるで今年は受からないみたいな言い方をされたレオリオがステーキを頬張りながらむっとする。

どうやらこの個室はエレベーターのようになっていてこのまま試験会場へたどりつけるようだ。

数百万人が毎年受けるハンター試験の試験会場へ行くためのルートがまさかこのような小さな定食屋となっているとは誰しも考えはしないであろう。

 

ゴン「あれ??でもこの床変だね。なんかテーブルの下に穴が空いてるよ?」

 

クラピカとレオリオは顔を見合わせた。

 

 

ーーーー数時間前ーーーー

 

◆ザバン市◆

 

「いらっしぇーい!!ご注文は?」

 

勇次郎「ここだ…俺の好きな香りだ…いるんだろう?」

 

【強い男には匂いがある】その訳の分からない理論を持っている範馬勇次郎は匂いだけでドーレ港からここザバン市の定食屋までたどり着いたのであった。その匂いはこの場から特に強く感じられる…それも残り香のようにこの場で途切れている…

 

「あの…ご注文は…?」

 

勇次郎「もういい加減によぉ 実力見せてくれよォォォ!!!」

 

「…お客さん奥の部屋どうぞ」

 

一応ハンター協会から篩い掛けを命じられている身として、問答のやりとりをしたが…

漢の醸し出す威圧感や風体からガタガタと震えてしまい、見た目に似合わず何故か媚びてくるこの気持ちの悪い中年を前にそう邪険には出来ず、個室に通し試験会場行きのエレベーターの操作をした。

 

勇次郎「ヌゥンッッ!!!」

 

ドゴォォォーーン!!!!!

 

巨大な音に驚いた亭主は急いでエレベーターを緊急停止し個室を覗いたが床には大きな大穴が空いており

そこに漢の姿は既になかった…

 

その時の光景を後に食い物屋「ごはん」の亭主は後にこう語る

 

いやぁね…私も職業柄ね…いろんな人間を見てきてるんですよ…

こう見えてもね、若い頃は腕っ節も強かったし、ヤンチャもしましたよ?でも料理で飯食ってこうって思ってから店も構えて…こうして今年はハンター協会から栄誉ある試験会場への手引きまでさせて貰ったんです…

え?肉ですか?もう焦げまくっててただの黒い塊になってました。

だってそうでしょ?店に入ってきた瞬間から解りましたよ…あぁこの人普通じゃないなって。

怒らないのかって?普通ならそうですよね。頑張って建てた自分の店の個室に穴開けられてるんですから。

でもねぇ…不思議と腹が立たないんです。多分理解出来ないかもしれないですけど…

あの人がどうやってあの一瞬で穴を空けたのか解らないですけど…なんていうか憧れてしまったんですよ…私は…

 

 

地上最強の生物、範馬勇次郎、無事ハンター試験会場に降り立ったぁッッッッ!!!

 

 

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