HANMER×HANMER   作:としを

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HANMAR×HANMAR♯26

ドッポ対カストロの試合が終わった観客席には顔を隠すかのように包帯をグルグル巻きにした大柄の男がいた、隣には猫目の女性。

 

その大男、表情は見えないが時折鼻を啜る音をさせながら肩を震わせている。

 

「館長ォォ~~~!!!」

 

そう、末堂厚その人だ。

 

顔にベッタリと入った蜘蛛の刺青を隠す為、彼は包帯を顔に巻いていた。今回この天空闘技場に来たのは旅団として次の大仕事の為にマチと共にここ、天空闘技場に居るという男に伝言を頼まれたのと、その男への顔見せの為であった。本来であれば来なくても良かったのであったが末堂たっての希望で同行が実現した。

 

外の世界を見てみたかったのだろう。この漢がこちらに来てからというもの死ぬもの狂いで日々鍛錬を行っていた。組手の相手も暇なウボォーギンやフィンクス、フェイタンにお願いできたし、シャルナークからは動きや力の改善点を的確に教えて貰えた為、一見すると元の世界の末堂厚とは既に見違えるような戦士として成長していたのであった。

 

それに同行相手がマチとなると何かイベントが発生しないのではないかと心のどこかで淡い期待をさせていたのは言うまでもない。旅団として活動を行うことになってから最初は皆に足手まといとして嫌がられてはいたが次第にその愛すべきキャラクターや独特のワードセンスにより男性陣の信頼は勝ち取ることができた。

 

ただ肝心のマチやシズクとはなかなか打ち解けられずにいることを歯痒く思う日々を送っていた。2人はヒソカとの待ち合わせの時間まで少し時間があるということで暇つぶしに試合の観戦でもしようということになったのだ。

 

もちろんチケットはすれ違った人からマチが抜き取っていた。観戦中、驚いた顔をしたと思ったら終始泣く末堂。

 

マチ「アンタ何泣いてるの?気持ち悪い。」

 

末堂「館長ォォ~~!館長ォォ~~!こっちに来たんですね!」

 

マチ「ちょっと知り合いと思われたくないから、死んでくれない?」

 

末堂「あの人は俺の師匠なんだ、館長なんだよ館長なんだ!」

 

マチ「は?あの漢・・・あぁ思い出したわ。居たわね、最初に声掛けてきた漢だ」

 

末堂「マチ・・お願いがあるんだけどよ、あの人の腕直してやってくれねぇか?館長の拳はダイヤモンドよりーー」

 

マチ「3000万ってところかな」

 

末堂「俺の仕事のギャラと足りない分はどんな事をしてでも払う。どんな事をしてでも払う、なんでもする!この身体で払ってもいい」

 

末堂の充血した目による鬼気迫る気迫に押されたのか、マチは請け負うしかなかった。最も身体で払うという意味をどう捉えたかは別だったが、こめかみの血管を浮き上がらせて懇願するこの漢を気持ち悪いと思う以外の感情はなかったのかもしれない。ただ金を払ってくれたらそれでいい。

 

試合を終えて選手通路を通っていく独歩を後ろから末堂が手刀で意識を失わせる。

 

末堂「すまねェ・・・館長」

 

倒れた独歩を優しく抱え、マチに頼むというと右腕を持っているように言われた。そのまま目にも留まらぬ速さで右腕が縫合されていく。マチの能力「念糸縫合(ネンシホウゴウ)」だ

 

マチ「ハイ終わり!血管、骨、神経、筋肉ほぼ100%つなげたよ。お金、ちゃんと払ってよね」

 

末堂「あぁ!恩にきるぜ!たとえ足りなくても、この身体で」

 

マチ「さっさと行くわよ」

 

末堂は通路の端に独歩を手厚く座らせ、何度も振り返りながらその場を後にした。

ダイヤモンドより高価といわれた、愚地独歩の拳がこの末堂厚の機転で繋がったのであった。




張り詰めた空気が漂う、室内にいるのはヒソカ、マチ、末堂の3名。

末堂厚は既にこの世界での実力者とは面識がある。クロロを始めウボォーギンなどはかなりの実力者と言っていいだろう。だが、空間を共にするこの男の狂気は肌でヒシヒシと感じた。過去に戦った最凶死刑囚として日本に乗り込んできた内の1名ドリアン。その狂気と比べるまでもないほどの異質なオーラに息を飲む。

沈黙を破ったのはその狂気の持ち主であった。

ヒソカ「後ろにいるキミはダレだい?♣︎」

マチ 「コルトピの抜け番、新しい団員よ。団長からの伝令とアンタへの顔見せを兼ねて連れてきたの」

末堂 「スエドウだ。ヨロシクな。ヒソカ。」

ヒソカ「わざわざ来なくても良かったのに♦︎」

マチ 「団員だって知らずにアンタに殺されたら面倒だから連れてきたのよ。」

ヒソカ「大丈夫だよ♥好みじゃないから♣︎」

末堂 「・・・・・・・」

マチ 「8月30日正午までに暇な奴改め全員必ずヨークシンシティに集合!!」

ヒソカ「・・・団長も来るのかい?」

マチ 「おそらくね。今までで一番大きな仕事になるんじゃない?今度黙ってすっぽかしたら団長自ら制裁に乗り出すかもよ」

ヒソカ「それは怖い♥ところでどうだい?今夜♥一緒に食事でも・・・」

伝令という用事を済ませると、そそくさと扉を閉め部屋を後にしたマチに続く末堂。その心境は複雑であった。

末堂(おいおい・・・俺はだいぶ強くなったんじゃねぇのかよ・・正直、館長の試合見て今の俺は館長を超えてる。それは明らかに。だがよ・・ヒソカってあんな化物だったのか・・・こりゃ蟻から身を守るっていうよりもまずヒソカに殺されない強さが必要になるじゃねぇかよクソッッ・・・クラピカへの対策に忙しいってのに・・・」

ヒソカ「残念♥あれ、そういえばボク名乗ったかな?まぁいいか♠︎」

通路を歩くマチの後に続いている末堂は何を想うか無言で冷や汗を垂れ流していた。

マチ「あぁーお腹減った、アンタご飯奢りなさいよ」

末堂「ッッッッ!!!はい!!」(今日は死んだっていいッッ!!)


今はいい。この流れに身を任せていたい。そう思う末堂厚。依然、童貞のままであった。

末堂が産まれて初めて女性とのディナーに勤しんでいる間に愚地独歩が水見式を行っていた。

末堂のお陰で繋がったとも知らぬ右腕を使いグラスに手を傾ける。水がチョロチョロとグラスから溢れてきた。

ビスケ「やっぱりアンタは強化系だわさね、これで明日からの修行のメニューが決まったわ。お金を貰うからには私の能力で徹底的に強くしてあげるから覚悟することね。」

次第に暗い顔になっていくゴンとキルアと刃牙を尻目に渋川と独歩の2人は少し照れているようにも見えるがその表情はどこか嬉しそうにも見えた。
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