HANMER×HANMER   作:としを

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HANMER×HANMER♯3

うす暗い地下道のようなドーム型の空間に人数にして400人くらいであろうか。

この段階でかなりの倍率を勝ち抜いてきた者達だけに皆、特有の雰囲気を持つ者達が集まっている。

あの定食屋からエレベーターで100階程降りたところにここまで広い空間があることに驚きを隠せない3人。

 

豆の様な不思議な体型をした係の人間から番号札を渡される。

先ほどから受験者たちが胸元につけている丸いプレートに番号だけが書いてあるシンプルなものだ。長い道のりであったがこれでやっとハンター試験を受ける為の会場へたどりつけたという事に安堵するゴン達一行。

 

「よっ!俺はトンパ よろしく」

 

16番の番号札をした小柄で小太りな男がゴンたちに気さくに話しかけてきた。

なんでもこの男は10歳からもう35回もテストを受けているらしく、同じく常連の者たちを簡単に紹介してくれた。そして要注意人物として、受験番号44番のヒソカというピエロのような仮装をした奇術師の男には近づくなと…

 

「ぎゃあぁ~~~~~~っ」

 

ヒソカ「アーーラ不思議♥ 腕が消えちゃった♠」

 

トンパがヒソカという男の危険性を説明しているところに、早速惨劇が起きていた。

床に跪き絶叫をしている受験者の肘より上の部分のが鋭利な刃物で切断されたかのように消えてなくなっている

 

ヒソカ「気をつけようね♦人にぶつかったらあやまらなくちゃ♣」

 

数秒前に人の腕を切り落としたはずのヒソカはどこ吹く風でその場を去って行った。

回りの受験者は明らかにドン引きしている、トンパによると去年合格確実と言われながら気に入らない試験官を半殺しにして失格させられたようだ。

 

試験官の他にも20人もの受験者を再起不能にしているようだ。

それともう一人、315番の男にも同様に注意しろ。理由は見たら解ると。それだけを言い終えると、おっと、そうだ。と今気がついたかのようにおもむろにポケットをゴソゴソとまさぐるトンパ

 

トンパ(そうだった…もうないんだったな…)

 

あからさまに落胆するトンパに疑問を感じたゴンであったが最初からハンター試験で恐らくは一番のベテランであるトンパから情報を聞けたことは幸運な事であった。ただのいい人になってしまったトンパはまぁ頑張ってくれよ…と肩を落としトホホ顔で立ち去って行った。

 

ゴン  「いい人だったね!」

レオリオ「あぁ、ベテランっていうとそれだけ受かってないってことだからなんとも言えないがいい奴だったな」

クラピカ「要注意と言った二名には極力近づかぬようにしなければな」

 

クラピカの提案でトンパが言う要注意人物として挙げた2名の内の1人、44番のヒソカはもう確認することが出来たが315番の男の姿形くらいは早めに確認しておくべきということになり3人はなるべく自然に受験者達の中から315番のプレートをした男を探し出すことにした。

 

(いい人?とんでもねぇ、自分が一番タチが悪いくせによ、”新人つぶし”のトンパ)

 

どこかの受験者が小さな声で呟いていた。

それもそのはずだった、3人の中では既にいい人としての認識のトンパであったが、35回も試験に挑戦して本試験においても成績が上位なはずなのに中々合格出来ないのは別の目的に気をとれてすぎているからだ。

プロハンターへの夢や希望を持って試験に挑戦する新人が夢破れ絶望する様を見ること、それを何よりの生きがいとしている歪んだ人間である。先ほどポケットをまさぐっていたのも、試験開始前にトンパ特製の超強力な下剤入りのジュースを配ろうとしていた為であった。

そのジュースは一口飲めば3日はウンコが土石流のように止まらなくなり、5本も飲めば脱水して死んでもおかしくないような代物。それを今回は試験会場にやってくるルーキーに配りビチグソまみれになる新人を笑おうと会場に2ケースも持ち込んでいた。

 

だが。。。。

 

トンパ(あのくそったれ!!さっきのズッコケ3人組だってなんの不信も持ってなかった…ジュースがあればゲリピーで3人そろって苦悶の表情をみせてくれるはずだったのに!!!あの野郎のせいで…)

 

視線の遠く先には壁際に脂汗を浮かべ、目は真っ赤に充血し顔中の全ての筋肉をミキィィィィっと硬直させ血管を浮き上がらせている男が静かに立っていた。

胸につけたプレートは315番。お決まりの黒い道着に身を包みそっと静かに立っている。

男の回りにはトンパ特製の缶ジュースが2ケース、48本もの空き缶が転がっていた……

 

 

範馬勇次郎、試験開始前に絶体絶命ッッッッッッ!!!!

 




古い洋館と呼ぶには生活感がないその部屋に男は居た。
入り口付近にあるコートハンガーには背中に逆十字を背負った黒いコートが無造作に掛けられている。
アンティーク調の深い紅色の4人掛け程のソファーに横たわりながら、額に十字の入れ墨をした男が手元のランプのみで本を片手に寝そべっていた。

もう数ページで読み終わろうという所だろうか。男の表情を見ると目から涙を流しているのが解る。
最後のページをめくり読むと、男はそっと本を閉じ、ソファーの前のローテーブルにそっと置いた。
余韻に浸っているのかその姿勢のまま両手を上に掲げ、そしてその後、そっと祈るように目を瞑った。

男の名前はクロロ=ルシルフル

この世界では史上最凶と悪名高い盗賊団、「幻影旅団」の団長である
この部屋で安らかに寝そべる男が起こしたとは到底思えないような残虐な行為に手を染めており、世界中のマフィアから恐れられるA級首の犯罪者集団。その幻影旅団の事を良く知る者は彼らの事を「蜘蛛」と呼ぶ。団長を蜘蛛の頭、団員を12本の蜘蛛の足に見立てた13人で構成され団員は身体のどこかに自分の団員ナンバー入りの蜘蛛の入れ墨を入れている事もその名の由来だ。活動は主に盗みと殺し、稀に慈善活動も……

prprprprpr……

クロロのズボンのポケットに入っていた携帯が鳴った。
画面も見ずに通話ボタンを押す

「もしもし、団長?」
「珍しいな、シャルか、お前の方から俺に連絡してくるなんて、仕事か?」
「いや、ちょっと団長が好きそうな物が手に入ったものでね」
「好きそうなもの?」
「あぁ、団長もライセンス持ってたよね?ハンター専用サイトとかって最近見たりしたかな?」
「いや、やけに勿体ぶるな。話せ」
「実は数年程前になるんだけど、ある少数部族住む森に光とともに不思議な乗り物に乗って新種の猿が現れたってニュースがあったんだ。ハンターサイトでもその取り扱いは、ほんの少し。ちょっと茶目っ気のあるニュースだったからね。」
「物好きなやつだな」
「それはお褒めの言葉として頂いておくね!光とともに現れたからってその猿はその部族から神格化されているみたいだよ。嘘か本当かは解らないけどまぁハンターサイトの情報だから信憑性は高いよね、さすがのオレもそれを見に行く程物好きではないからね」

先ほどのお返しとばかりにクロロがシャルと呼んだ男が憎まれ口を叩く

「それで、わざわざ猿の話をする為に俺に電話してきた訳ではないのだろう?」
「まさか!本題はこっち。その猿がどこから来たのか?っていう話なんだけど…」
「まさか人類の歴史の話をここで議論したいか?」
「いや、遠慮しとく。その手の話は団長とすると長くなりそうだからね」
「あぁ、助かる」

ここで一息、クロロが深めに息を吐いた。

「それで、それは今ホームにあるのか?」
「さっすが団長話が早い!どれくらいでこっちまで来れそう?」
「2日程だ、また何かあれば連絡をくれ」
「は~い!ではではお楽しみに!」

pu---pu---pu---


クロロは電話を置いた。しばらくの思考の後、シャワールームに入りシャワーを浴び身支度を整えた。
先ほどまで、下ろしていた前髪をオールバックにするとずいぶんと印象が変わる。
入り口付近に掛けていた逆十字のコートを羽織ると、その部屋を後にした。

クロロが話していた男の名前はシャルナーク。
クロロと同じく旅団員でありながらハンターライセンスを所持する数少ない団員。
活動は主に補佐や情報処理に回る事が多い。頭の回転も早く、さまざまな分野の知識にも精通している為、クロロからの信頼も厚い団員の一人だ。シャルナークが自分の懇意にしいる情報屋からその機体がブラックマーケットに流れたと聞き、一度見てみたいと思い、その場に居たコルトピとノブナガを誘い暇つぶしに盗みにいった訳だった。
その機体は確かに見た事もないような形をしていたがシャルナークは自身でなんとか出来るという自信があった。
だが残念ながら扉は外側から破壊されており、システムにも異常があるようで操作も出来ないようだ。
その部族がその光を見たときに中から音がするのを聞いて、人が入っていると思った彼らは急いで外側から扉を破壊し、中を覗いた所、小さな新種の猿が入っていたというのが事の顛末である。後はクロロが来るまでに修理を終え、仕組みを理解する事に興じれば良い訳であったが…

「コレを作った人は天才だな…うぁ~~やばい!団長呼んじゃったのにこれじゃあ無駄足になっちゃうよ…」

勇次郎の世界から実験で最初にこの世界に飛んだ機体、帰還することが出来ずに失敗に終わった1号機の実験は成功していた。タイマーで帰還するように入力していたのであったが、扉を壊した際にメインのシステムにも障害が発生したようだ。そして、元の世界に帰ることなく今は幻影旅団の手に渡ってしまったのであった…
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