HANMER×HANMER   作:としを

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HANMER×HANMER♯4

冷たい風が吹き荒れる、体感以上にその風を冷たく感じさせるのはクロロが降り立ったその場所の環境のせいであろう。そこは流星街と呼ばれ、この世の何を捨てても許される場所。

ある独裁者の人種隔離政策に始まり、1500年以上も前から廃棄物の処理場になっている地域だ。

政治的空白地帯で公式には無人とされているが実際には多数の住人が暮らしている、人口は推定で800万人。

捨て子や犯罪者、住処を失った民族などが集まることで多人種のるつぼとなっている。幻影旅団のメンバーの大半がこの街の出身者である。クロロもまたその一人。

 

シズク「団長!早かったね!」

 

廃棄物に溢れたこの街に似つかわしくない明るい声で、もの寂しい空気がガラッと変わった。クロロに声を掛けたのは眼鏡を掛けた、黒髪ボブでジーンズを履いた女の子、幼い顔立ちに似つかしくない女性らしい体系を黒ニットのセーターがよりいっそう際立てていた。

 

マチ 「私たちの他にも何人か集まってるよ」

クロロ「お前達も来ていたのか」

マチ 「私はちょっと前に来たところよ」

 

先ほどのシズクのふわふわした雰囲気とは一点し、声の発声の仕方から僅かだが気の強そうな面を感じる猫のように可愛らしい顔立ちをしたもう一人の女の子。前髪と顔回りには髪の毛を残し、ポニーテールのように後髪をまとめ上半身だけ半袖の白い道着を着ていて、腰の辺りで締めた帯の余りをヒラヒラと靡かせていた。

柔道着のようなもので、下は道着ではなく膝より上のスパッツであろうか?恐らくは動き易いという理由でそうなっているのだと思うが太ももは丸出しだ。

 

久しぶりの再会に近況などを話しながらシャルナークのいるアジトへ向かう。

そう、見た目からは想像できないがこの2人も悪名高い幻影旅団の団員であった。

 

アジトについたクロロを見ると、少しバツの悪そうな顔をしたシャルナークと小柄で長髪のコルトピ。

それともの凄く肥大した筋肉をこれでもかというくらいアピールした上半身裸のウボォーギンの3人がトランプをしていた。キレてるキレてる。

 

ウボー「うぉぉーーー!団長じゃねぇか!元気だったか?」

団長 「1年前にも会っただろう」

シズク「団長、1年って一般の感覚からしたら結構空いていると思います」

マチ 「そう?私はそう思わないけど…」

ウボー「めでたいな!酒でも盗ってくるか!」

団長 「ありがたい話だが、お前に付き合うと終わりが見えないので今回は遠慮する。それよりも…」

 

視線の先には、卵のような形をした機械がある。なるほど。確かに今までに見た事のないようなものであった。

扉があったであろう部分は強引に捻りおられたような跡があり、その他の部分も傷やへこみが見て取れた。機体の周辺に散らばる様々な工具、おそらくシャルのお手製であろうなくなってしまった扉の代用品のようなものが転がっている所をみると、色々と試行錯誤していた様が想像できた。

 

シャルナーク「団長…あの凄く言いにくいんだけど、ちょっとオレの手には終えなかった…」

 

バツの悪そうな表情の理由はそこにあった。わざわざ呼び出してしまった責任を感じているシャルナークを尻目にクロロは機体に触れてみる。

 

シズク「ねぇそれなんなの??」

ウボー「うぉっ!なんだそれ!?」

マチ 「あんたまさか今まで気がついてなかったの?」

コル 「…………」(同じく今気がついた)

 

先立ってシャルナークから聞いていた情報によると突然光につつまれて出現したというこの機体。

実際にこの眼で確認する前には何かしらの念能力による干渉を第一に、考慮にいれていた。

むしろ、この世界ではそちらの方が可能性が高い、念能力はその人物の特性や資質に由来するものが大きくもし仮に物質移動の能力者がいるのであればそれは貴重で重宝する能力だ。クロロ自身も実際にこの目で見る前はそれを疑っていたし何かしらの手がかりでだけであっても、その能力は今後の盗賊としての活動にも多いに役立つ。是非自身のコレクションにも加えたいとも思っていた。

 

これだけの物体を瞬間的にある程度の距離を移動するとなると相当な能力者だ。そもそも可能なのか?重い誓約を掛けたらあるいわ…

 

だが、中に猿が入っていたという事を踏まえると疑問も残る。猿を移動させることが目的ならば猿のみを移動させた方が明らかにたやすい。この機体を使わねば発生しないような何かしらの誓約か?あるいは中に猿を入れることでしか発動しない契約?前者の場合は、それならそれが他者の手に渡って良い訳がない。これほどの機体を一機作るのに掛かるであろう途方もない時間と手間を思うとその線は薄い。ましてや使い捨てではあるまいし、それが今ここにあっては本末転倒だ。

 

後者の場合は…いや、馬鹿馬鹿しい…猿を入れる事で発動する?なんの意味がある。大体能力の一部に猿人類を組み込むなんてそんな人物がいるなら、是非一度顔を見てみたいものだ。

 

神字などで能力の補正を行っているかは第一に疑って機体の側面などを「凝」で視たがそれも確認出来なかった。

念能力の事は一先ず、切り捨てて考えよう。それにこの複雑な機体を見ると、機体自体が何かしらの移動手段を持っていると考えるのが妥当であろう。

 

触れると少し冷たく、初めて触れる鉱物で覆われていたそれ。

拳で軽くトントンと叩いてみる。強度は申し分なく音の跳ね返りから密度や比重などを予測する。

機体を一瞥し、一周すると破られた扉のあった場所から中へ入ってみる。ディスプレイにボタンが2つ。そしてテンキーのようなものもの。下の方には配線のはみ出している部分やコードが飛び出した箇所もあった。

 

爪や歯で引っ掻いたような傷があり、猿が中に居たのは確かなのであろう…外れたパネルの裏にはロゴのようなものが刻まれていた。暗号か?とも思ったが他の部分にも同様に同じロゴがあることからメーカーか何かのロゴなのであろうと推測する。

 

だがこれほどまでに水準の高いものを作っているのに、全く見た事も聞いたこともない。外れたパネルを手にとった際に違和感を感じた…

 

そしてその違和感の正体は各辺にあるネジ穴のスクリュー。

 

逆なのだ…ネジの規格はこの世界では世界各統一されているはずだった。

異なる文明を持つ国であっても輸入、輸出などの為に統一されているネジのスクリューをあえて逆にして作るメリットはない。思考が一巡し、導きだした答えは

 

クロロ「この世界のものではないのか…?」

 

飛躍しすぎたか…声に出したつもりはなかったのだが、気がつくと思考が言葉となって外に出てしまう程熱中していた。解らないことだらけだ。見落としたことはないかもう一度外に出て隅々まで確認しようと機体を降りた所で

 

シャルナーク「正解!ビンゴだよ団長!」

 

少ない情報からよくぞ気がつきました、さすが我らの団長ですというような笑顔をしている。

他の団員は明らかに置いてけぼりとなっている。キョトン顔のマチがとっても可愛いがそれはひとまず置いておきクロロとシャルナークが話を続ける。

 

シャル「オレもね、この世界のモノだったら機械に詳しい知り合いもいるし、協力したらなんとかなるかなぁ~って思ったんだけどね。」

クロロ「なにやら確信があるようだが、まだそこまで言い切れる段階ではないのではないか?」

シャル「いや、もう裏はとってあるんだ」

 

 

コツ…コツ…コツ……

 

 

アジトの入り口からハイヒールが床をコツコツと叩く音がする。一定のリズムで聞こえるそれは、この足音の持ち主の身体能力や肉体のバランスの良さを物語る。女性にしてはかなり大柄、胸元を大きく開けたスーツを素肌に着ている。鷲鼻と長い睫毛が印象的な一見するとモデルのようなスタイルをしたグラマーな女性だ。

 

その名をパクノダ。彼女もまた幻影旅団の団員だ。

 

パク 「久しぶりね、みんな元気だったかしら?」

ウボー「パク、お前も来てたのか?」

パク 「ええ、少し所用で出かけていたけどあなたより先に来ていたのよ。シャルとコルトピにはもう昨日会ったし、ノブナガにもね。」

シャル「ノブナガは今朝早くに出かけちゃったけどね、実はオレ、団長に連絡するより前にパクには声を掛けてたんだよ」

 

なるほどな。シャルが確信を持ってそう言える意味を理解したクロロだった。

 

今回は全員に招集を掛けた訳ではなく団長とパクノダ以外の団員はもともとここに居た者、たまたま連絡がとれた者、近くで暇を持て余していた者、クロロに逢いたかった者や、お祭りと勘違いした者など理由はそれぞれであった。ノブナガというこの場にはいない団員の名を聞いてウボォーギンの表情が少しだけ変わったようだったが。パクノダが話を進める

 

パク 「今回集まることが出来るのはこれで全員かしら?」

シャル「うん!早く見せて欲しいな」

パク 「良かった丁度6人ね、ええ、きっとみんな驚くわ」

 

そう言うと、パクノダの手には先ほどまでなかった筈のリボルバー式の拳銃が握られていた。

撃鉄を起こすとなんの躊躇いもなく団員達に向かって引き金をひく。

 

パクノダ「記憶弾(メモリーボム)

 

放たれた弾丸は6発、美しい軌道を描きながらその場に居るパクノダを除く旅団員の額を打ち抜いた。

 

パクノダは特質系の能力者。

人や物体に触れることでそこに残る「記憶」を読み取る接触感応能力(サイコメトリー)

対象に触れながら質問することで、知りたい情報も入手できるという大変便利な能力であった。全員が念能力者で構成されている幻影旅団の中でもその能力はシズクと共に「レア」とされており緊急時にはその生存を優先されるのは暗黙の了解となっている。最も戦闘員ではないにしても実力で旅団員に勝てる念能力者など世界でも数えるくらいとなるのでその心配は無用であるが…そしてたった今使用した能力「記憶弾(メモリーボム)」は具現化した弾丸に記憶を込め(自分の物でも引き出した記憶でも可能)それを拳銃に詰めて撃つ事で撃たれた相手はその記憶を得ることが出来る。

 

記憶を撃ち込まれた、クロロ、シャルナーク、コルトピ、シズク、マチ、ウボォーギンは言葉を失っている。

 

事前に会っていたシャルナークだけは口頭でパクノダから話のみ聞いていたが、記憶を撃ち込まれるのはクロロが来てからがいいということでこの日を待っていた。どれくらい時間が経過しただろうか?この人数の顔見知りが集まっているのにも関わらず、誰も口火を切らない。お祭り男のウボォーギンでさえも、頭の整理を行っている。

 

最初に沈黙を破ったのはやはりこの男

 

クロロ「面白い…行くか…」

 

異世界に行くというのに、まるで自宅の庭先に出るかのように簡単に言う、それだけクロロにとって日常は日常ではない生活を送っているのだろう。

 

シズク 「下調べなしに行動するのは危険なのでは?」

ウボー 「俺は団長に付いていくぜ!!」

マチ  「私もちょっと興味あるな」

コル  「………」

パク  「それが命令なら従うわ、きっとこの世界にないものだってあるし、お金になるんじゃないかしら?」

クロロ 「個人的な戯れになるかと思ったが今後、この案件は旅団としての活動にシフトする、シズク、コル、いいな?」

シズク 「うん!命令っていうなら」

コル  「………(コクリ)」

 

否定的だったシズクと、無言のコルトピに一応確認をクロロがとった。

 

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