HANMER×HANMER   作:としを

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HANMER×HANMER♯5

シャル「みんなの期待を裏切るようで悪いけど、それは無理だよ…」

 

会話に参加せずにいたシャルナークが言い難そうに伝える

この世界の物であったのなら修復も可能であろう。だがこの世界にはない理論や部品、鉱物を使用して作られたこの機体は修理が不可能であった。目の前に異世界に向かう為の乗り物があるのにやるせない、お預けを食らってしまった子犬のような表情をしながら、皆を説く。

 

一番残念なのは彼なのかもしれない。

異世界が実在するって確信が持てたし、これからも何かが送られて来てチャンスがあるかもしれない。だからそれまで待とう。期待を捨ててはいけない。もちろん個人的には今まで以上にアンテナを張っておくつもりだ。パクノダには機体が現れた島に行って貰い一度、乗っていたという猿に触れてきて貰えないか?とお願いすると、もう時間も経過しているみたいだし、言葉を話せないお猿さんの原記憶を呼び起こすことは出来ないから無駄足よ。と言い放たれた。

 

シズク 「残念…せっかく乗り気になったところなのに…」

ウボー 「シャル、お前絶対なんとかしろよ!!」

マチ  「まぁそんなに落ち込む程のことではないわよ」

 

一同、落胆は隠せないが場の空気はもう方法ではなく、結果の話題になりそうだったところで背を向けていた機体にクロロが再び向き合った。右手に先ほどまで持っていなかった本を具現化しパラパラとページが捲られる。

 

おなじみのクロロの念能力「盗賊の極意(スキルハンター)」を発動させていた。

自身は特質系という特殊な系統に属している。具現化した本に他人の能力を封じ込め、自在に引き出し使える。また盗まれた者はその能力を使う事が出来なくなる。盗む為には様々な誓約があるが盗賊団の団長というにはまさにぴったりの能力である。

 

取り出した短冊にスラスラと筆を走らせ、一言

 

クロロ「”オレ様が 殴ったものは 元通り”」

 

そう書いた短冊を握った手にオーラを込めて機体を殴る。

 

流離の大俳人(グレートハイカー)」(詠み記した俳句は実現する能力)

 

すると見る見るうちに、機体の傷やヘコミがなくなり、存在すらしてなかったはずの扉までついていた。

 

クロロ「シャル、何か問題はあるか?」

 

完全に諦めムードになっていたシャルナークに笑顔が戻る。

一同が初めて見る能力だったので恐らく最近盗った能力だろう。でも詠み記した文句が実現するって反則的な能力です…というシズクに利便性はあるが実戦での応用は難しく色々と誓約が多い。話をしていると面白い男だったので気に入ってしまい。使う事はないと思いながらも思い出として一応盗ませて貰ったんだと、その男を思い出すように遠くへ視線を馳せるクロロ。使わないのに想い出として能力を盗むなんて盗まれた方はたまったものではない…。

 

ここ数日、苦労して修復を試みたシャルが苦笑いをしている。

 

ウボー 「それで一体だれが最初に行くんだ?オレが行ってもいいぜ!」

マチ  「あんたが行っても喧嘩しに行くだけでしょ?団長かシャルが行くべきよ」

団長  「パクノダ、欠損した破片や一緒に飛んできた部品などがあるかもしれない、やはり一度島へ行って確認を頼む」

パク  「わかったわ、ついでにお猿さんにもご挨拶をしてくるわね」

シャル 「パクの能力はレアだから安全が確認出来るまでその方がいいね」

団長  「現地に向かうのは、ウボー、マチ、シズク、コルトピ、俺を含めて5人だ」

団長  「コルトピ、念のため5つはいけるか?」

コル  「50は平気」

団長  「いや、5つでいい」

 

個性の強い変わり者が多い幻影旅団の中で、普段から無口な性格のため自分を主張する機会の少ないコルトピだが、その能力はユニークかつ強力だ。自身の能力を披露する絶好の機会に恵まれて張り切ったが5つだけと聞いて、長い髪の毛で顔が隠れていて表情は読めないが少し残念そうだった。

 

神の左手悪魔の右手(ギャラリーフェイク)

 

左手で触った物体の複製を右手で具現化する能力で、機体の複製があっという間に5つ出現した。コピーした贋作は作成から24時間後に消滅するのでここからは時間との戦いになる。クロロが簡潔に指示を飛ばしながら機体に乗り込むように先ほど命じた5人に促す。

 

団長  「シャル、俺に何かあれば今後の事を頼む」

シャル 「あーーはいはい、そんな事だと思ったけど次は絶対オレも行くからね!」

団長  「ああ、ウボーとマチはシズクとコルトピの護衛だ、慎重にな」

マチ  「ええ、わかったわ」

ウボー 「任せとけ!!!」

団長  「今回の目的は主に偵察と情報の入手、その過程で珍しいものがあれば集めておけ、最後にシズクがまとめて回収の後、撤退」

マチ  「極力、戦闘は避けるってこと?」

団長  「俺が許す、殺せ。邪魔するやつは残らずな」

 

扉のハッチを閉めながらクロロが言った。その言葉を聞きウボォーギンが歓喜している。扉は既に閉められたが喜び叫ぶ大声がに外まで聞こえていた。マチとシズクは静かに目を閉じて扉を閉める。コルトピは既に乗り込んでいた。

一斉にボタンを押す、パクノダのメモリーボムのおかげで内側からの操作はとても簡単に理解出来た。

 

操作に関してはボタン1つで行き帰り出来るという簡素なものだった。いや、これだけ簡素に作れるということは、それだけの文明があると評価をすべきだ。もっとも最初に猿を送った研究者達は猿に操作させるともいかないのでタイマーでシステムに帰還設定をしていたようだ。

 

今回に限りはそれがいい。いくら研究したところでもこのシステムを理解するのは骨が折れそうだ。それこそ無限に異なる時空の世界が存在しているのだろう。だがシステムは理解できない。で、あるならばそうやって最初からその他の世界を切り捨てて考える方が楽で良かった。この世界とこの機体がやってきた世界。二つを行き来出来る。それだけで素晴らしい。オリジナルがある限りコルトピさえいれば何度でも行き来が可能となる。

 

光と共に団員5名を乗せた機体がその場から消えていった。

残されたのはオリジナルの機体が1体。

そして、パクノダとシャルナークだけであった。

 

シャルナークが携帯で時刻を確認すると、AM 4時44分

縁起が良いねっとはにかんで笑いながら今回顔を出していない団員の一人フランクリンに電話を掛けた。

この機体の重要さが解ったのだ、他に自分たち以上に情報を掴んでいる人間がいるとは思えないが何かあったときに自分一人では心もとない。用心に越したことはないだろう。

 

電話をすると、ちょうど団員のフェイタン、フィンクスと居るようなので一緒に来て貰うようにお願いした。大仕事になるような予感がしていたからだ。ノブナガという団員は一緒に機体を盗んだ後、どうしても外せない用があると言っていた。

パクノダと顔を合わせた後、もう少ししたらウボォーも来るのに…と伝えたが団長命令以外ではアイツと顔を合わせたくないと笑いながらアジトを後にした。最後にまぁ久しぶりにアイツのマヌケ面でも拝んでやるかと言っていたので用を済ませたら帰って来てくれるだろう。パクノダは私はお猿さんに挨拶ね。と、やれやれ顔で出口に向かう。フランクリンはともかく、残りの団員に言葉で説明するのは骨が折れそうだと思ったのでパクノダには残って貰いたかったシャルナークであったが団長命令なので仕方がない。

距離的にはそう離れている場所ではなく飛行船で数時間、文明の浅い部族しかいない森の中と聞いているが、念のため誰か付ける?とパクノダに聞くと、

 

一瞬考えるように間が空いて、首を横に振った。名前の出ていない残りの団員の事を考えたのだろう。察した。

 

一人でハイキングを満喫するわ、と後ろ手で手を振りコツコツとハイヒールの音を真っ暗な通路に響かせ、姿が見えなくなり、やがてその音も聞こえなくなった。

 

 

 

幻影旅団ッッッ!!!!!!ついにバキワールドに殴り込みィィィッ!???




時はゴン達が315番の漢を発見したその少し前…
香りが濃くなって来やがった…そう言いながら地下への100階分の距離をどこかの死刑囚の外国人がマンホールから地下基地へ降りるときのように壁に指を馳せ、ブレーキを掛けるように降りてゆく勇次郎。
重力が少なく、身体能力は以前より明らかに飛躍している事。
それと同時に勇次郎を満足させるに足りる実力を持った猛者の香りが徐々に強くなっているのを感じていた。
お決まりのポーズで着地をした勇次郎に度肝を抜かれる係員…何も言わずにその姿勢のまま佇む勇次郎に対し焦って間を埋めるように係員がハンター試験の受験者ですよね…?という言葉を投げかける。
奇しくも自身が求めた場がハンター試験の会場であった事を理解する。

勇次郎「フフフ…どうしても俺をハンターにしたい何かがあるようだ。甘んじて受けようッッ!!」

係員がその漢の言葉を聞くと震える手で番号入りのプレートを渡す。

「どーぞ…」

勇次郎は渡された315と書かれたナンバープレートを不思議そうに眺めていた
訝しげに疑問を抱くその漢に、係員は何か失態を犯してしまったかと恐怖を抱いていたが、

「郷に入っては郷に従えか…」

そうぼそっと呟くと、他の受験生同様に胸に付けた。それもそのはずであった。勇次郎の居た世界ではナンバーで認識などとんでもない。

範馬勇次郎は範馬勇次郎なのだ。曰く、「オーガ」、曰く、「地上最強の生物」異名の数は数知れず、一様にして、そのままの存在自体が自身の証明になった。
だがこの世界に対する勇次郎の期待値はクジラ島での年端もいかぬゴンの跳躍を見た時から既に高まっている。ましてやこの場に感じ取る事が出来る2名の強者。ハンターになれば強者と出会える確率がグンッと上がることは船上でのクラピカの話を聞いて確認済みである、それを思えばここでの識別の為のプレートを付けるという行為などなんでもなかった。

胸にナンバープレートを付けると一人の小太りな男が声を掛けてきた、対面したいのお前ではない…

トンパ「よ!あんたルーキーだな!お近づきのしるしに…」

ジュースを片手に近づいた男から匂いの主と戦う前に喉でも潤そうかと強引に奪いとる勇次郎。

勇次郎「ふ、笑わせるッッ!!この程度で俺様の喉を潤せると思うかッッ…?」

トンパはただの中年のルーキと思い、なんの策もなく近づいた事を酷く後悔していた。
目の前に立つ漢にヒソカと同等、もしくはそれ以上の危険性を感じ取ったのだ、言われるがままにトンパが持って来ていた超強力下剤入りのジュースのケースを置いてある場所に案内した。
なぁに、どんなに危険な漢であってもこの下剤入りジュースさえ飲ませてしまえば…この場以外でもう出会うことはないだろうとの計算であった。ダンボールケースが二つ並べてある場所に胡座を掻くと勇次郎は最初にトンパから奪い取った1缶を一息で飲み干しその場に転がし、ダンボールをまるで半紙でも破るかのように指でビリビリと破き、もの凄い勢いで全ての缶を飲み干しその場に転がすという一連の流れを繰り返す。

ヒソカ「0点…♦2点…♦3点…♦0点…♦」

まるで受験生を吟味するかのように、点数を付けながら勇次郎の前をヒソカが横切った。

勇次郎が最後の1缶を飲み干し床に転がしたその刹那、時間が止まった。

ヒソカ「………………!!!!!!!♥」

お互いの実力を本能で感じ合った二人、見つめ合う、船がドーレ港に着いた時から恋い焦れていた香りの正体がそこにあった。この世界に来て対面する初めての実力者。それもそうそう出会える事がない程の最高級の相手だ。実力はもちろんのことなのだが、それ以上に勇次郎はヒソカから奇妙な雰囲気を感じていた…

好敵手を見定めた2人は視線交錯するその空間の中でニヤリッと微笑み合っていた。

トンパ「でわ、失礼致しますっ!!」

もの凄い早さでトンパがその場を離れていった。

それを合図にするかのように立ち上がる勇次郎、既に臨戦態勢に入っている2人。
その時であった…ニヤリッと微笑む勇次郎の表情がみるみる内に硬直してゆく、先ほどまで発していた殺気が瞬間ゆるんだ。だがヒソカはそれでも警戒を怠らない。

なぜなら勇次郎を既に強者として認めていたからだ。だが…様子は違ったようだ。先ほどの緊迫感が嘘のように薄れて行く様をみて、勇次郎が既に別のモノと戦っていると理解した。

ヒソカ「残念…♥また今度だね…♦」

言い残し去ってしまった。
だがそれどころではない…人として、大人として…最も危険な緊急事態だ。
最も勇次郎にとってそういった概念があるかどうかは甚だ疑問ではあるが、バキの世界では圧倒的な力で地上最強の生物として君臨しているこの漢が大便を漏らすという事は死活問題であった。
偉そうに息子に恋愛や食事のマナーについて話した所で、「でもお前ウンコ漏らしてんじゃん!」その一言で全てを否定される。
偉そうに自身の闘争に関する心構えや思想を説いた所で、「でもお前ウンコ漏らしたんでしょ?」その一言で全てを否定される。

強烈な下痢、その状態を年に一度は体験する、ある高名な人物を著者は知る
本人の希望により名前は伏せるが、その人物曰く、本当に強烈な下痢対しての対策は一切ないと断言出来る。
そう語尾を荒げてはっきりと言う。近くに便所がない場合はもうその時点で全てが終わっていると。襲い来る強烈な腹痛、ノックの音を響かせ、いつ扉を開けるとも解らぬその悪魔に素手で太刀打ちするのは不可能であると…
勇次郎は戦っていた。大人だから、大人だから、自分は大人だから、そんな事を思考しているかどうかは定かではないが直立し、顔の筋肉は硬直して血管を浮かび上がらせている。溢れでる脂汗、ノーガード状態で連打されるボディーブロー、それを全て気をつけの姿勢で耐えている。

先ほどまで目の前に居た極上の獲物の事などもはや考えることすら出来ずに生唾を飲み込む

そして…残酷にも時は来た…この日一番のノックの音が体内で響いたのであった…
勝負ありッッ!!!誰もが終わったと、そう思える状況

だがッッ!!!!大惨事は起こらなかったーーーァァッッ!!

否ッッッ!!

起こさなかったッッ!!

トンパ曰く、1口も飲めば3日は土石流みたくうんこが止まらない。
大切な事なのでもう一度言おう、1口も飲めば3日は土石流みたくうんこが止まらない。それをこの漢は48本も飲んだのだ。地上最強の生物としてのプライド、息子への威厳、様々な事を考えたかどうかは定かではないが、この地上最強の生物は己の持つ一番信頼出来る武器。
肉体という最強の武器に裏切られるということが許せなかった。そしてその裏切りに打ち勝つ術は肉体でしかない。

肛門の括約筋に己が持てる最大の筋力と神経を注ぎ、力を込めた。

ダムの決壊を己が絶対的に信頼出来るその筋力で塞き止めているのであった。

ゴン「あぁ!!おじさ~~ん!良かった!おじさんも会場に着けたんだね!」

勇次郎の胸元に着けられた315番のプレートを確認したクラピカとレオリオは、ゴンを強引に連れ戻し、愛想笑いをしながら後ずさりをした。勇次郎の状態を理解した訳ではないが空間が歪む程の異常な殺気に今は関わるべきではないと判断したのだった。

勇次郎にゴンの声は届いてなかった。今はただただ括約筋に全ての神経を注ぎ耐えるのみである。


ジリリリリリリリリリリリリリリリリ

けたたましい音でベルが鳴り、ベルの持ち主の鼻下にダリのようなユニークなヒゲを蓄えた紳士的な初老の男性が話を始めた。

「ただ今をもって、受付時間を終了いたします」
「ではこれよりハンター試験を開始致します」

名をサトツという一次試験担当官。もちろん、ライセンスを持つプロのハンターだ。
一次試験は二次試験会場までこのサトツに付いて行くこと。場所や到着時刻は伝えられず、ただただサトツについて行くというものだった。ペースがグングンとあがっている。
さしずめマラソンのような状況だ。持久力はもちろんのこと、どこまで走ればいいのか解らない心理的負担、精神力も試されるような試験だった。それプラス、いつになったら収まるのか解らない最強の敵である便意、常に括約筋に全力で力を入れている勇次郎は一言ぼやいた


「おもしれぇ…」


大丈夫なのか勇次郎ッッッッ!??下痢のままハンター試験開始ッッッッ!!!
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