現在、黄昏ステージでユウスケ──もとい《クリスタル・スパロウ》のレクチャーがあらかた終わった頃。
「なぁ......」
「ん?なんだい?」
「いや、レベル確認したらやっぱレベル1になってたからさ......」
「そう落ち込むな、キミならまたあの高みへと到達できると私は信じている。ゆっくり時間をかけてやっていこう。」
「そう......だな。じゃあ今日の放課後あたりに対戦しに行くか。俺も対戦はすげえ久し振りだからまずは感覚を取り戻さないとな。」
「あぁ。さて、そろそろ終わりそうだな。」
黒雪姫の言葉通り残り時間は1800から0となり、対戦はドローとなり加速も終了した。
現実のラウンジに戻ると黒雪姫は直結ケーブルを引き抜いた。
「さて、まだ昼休み中だからおしゃべりでもしようか。」
「あ......あぁ」
ユウスケは苦笑いしながら答えた。周りのラウンジの生徒の99%がユウスケを非難の目で見ているからだ。
無理もない。梅郷中で1番と言っていいほどの美貌をもつ黒雪姫と直結し、彼女が笑顔で話しかけてくるのだ。妬まれて当然だろう。
すると、ふわふわした髪型の2年の生徒会役員の女子が2人のところに近づいて話しかけてきた。
「初めまして、私は若宮恵。キミは?」
「俺は桐嶋遊佑。昨日転校してきたばっかだ。」
「へぇ、桐嶋君かぁ。よろしくね。」
ふと、黒雪姫の顔を見るとジト目でこちらを見ていた。
──俺なんかしたっけ......?
「ところで姫。そろそろ教えてくれないかしら?この人とあなたはどういう関係なのかしら?」
「ふむ。」
黒雪姫はティーカップを持ち上げて少し考える様子を見せると、とんでもない爆弾を投下した。
「彼とは昔からの馴染みでな。私は告白したが、彼にフラれたのだ。」
ラウンジが一瞬静まり返って、直後に悲鳴と驚愕の声が響いたのは言うまでもない。
時は流れて放課後
「......おい、聞いているのか?ユウスケ君。」
「聞いてるよ、わかんないけど。」
「何か落ち込むようなことでもあったのかい?」
「何かじゃねえよ。数時間前にあったこと以上に俺を落ち込ませることなんか世界にねえよ。」
「それはいい経験だったな。ならばキミは今後、これ以上の落胆を味あわないということではないか。」
「いい意味で捉えようとするな..........ったく、あんた何考えてんだ?明日からまともに学校生活送れねえぞ。」
「何を言う。満更でもなかったように見えたぞ。あぁ、それからな」
「?」
「..........コホン、その、“あんた”と呼ぶのは止めてくれないかな......なんだか余所余所しい気がするから。」
「別の呼び方か?ええと......副会長さんとか?」
「......」
「黒雪姫さん?」
「......姫でいい。」
「ん、それでいいのか?」
少し不機嫌そうに言っているが、なんでだろ?
そうこうしている内に校門に着いた。
「さて、んじゃ行ってくるけど姫はどうする?観戦......するのか?」
「ああ、キミの勇姿を見させて貰いたいからな。」
「......はいはい。」
再度苦笑い、なんか調子狂う......
カッ
ユウスケは校門を一歩踏み出した。それと同時に学内ローカルネットからは切断され、グローバルネットに接続される。
「バースト・リンク」
ユウスケは周りに聞こえない程度に呟いて、初期加速空間に入りマッチングリストを開く。
「えーっと......誰にしようか」
適当にレベル1、2の奴でいいかと思い視界に入ったのは
「《アッシュ・ローラー》......こいつでいいか。」
すぐさまデュエルを挑むと、身体がデュエルアバター、《クリスタル・スパロウ》へと再構成されていった。
バトル入れると確か前回の後書きとかに書いたと思うのですが、すいません無理でした。流石に次回は書きます。よろしくお願いします。