無色の加速能力者《バーストリンカー》   作:チャレンジャー

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クリスタル・スパロウ。
フォルムは細身で身長は170の後半。リアルのユウスケとほぼ同じ身長。
カラーのクリスタルはほぼ無色で、なおかつ少しだが、金属が含まれている。よって、メタルカラーの防御力を持っており、炎熱、氷雪、電撃、毒、麻痺などの特殊攻撃はほぼ無効化する。そのかわり、腐食、打撃、貫通などの耐性は低い。
武器は持っておらず、近距離の肉弾戦を得意とする。

容姿は全身が硬質のガラス質の装甲で包まれており、顔は目や口の判別はできるが、何となく角張っていて頭に2本の角のようなものが後ろに向かって短く生えている。


以上が桐嶋遊佑のデュエルアバター、《クリスタル・スパロウ》の特徴である。


Phase4

場所は世紀末ステージ。ユウスケは現れる敵を待ちかまえていた。相手のいる方向を示すガイドカーソルはほぼ微動だにしないが、大きなエンジン音だけが耳に入ってくる。

 

「!」

 

現れた。しかも速い。頭に骸骨のヘルメットを被っていて、しかもバイクに乗っている。

 

「ヒャッハハハアアアア、まっさかニュービーから対戦フッかけられるとはなぁ!!メガラッキィィィィ!!」

 

「いや、ニュービーちゃうし。」

 

思わず関西弁になったが、まあいいや。

 

「あぁ、ワケわかんねぇ奴だなぁ!!こっちから行くぜぇ!!」

 

「..........っ!!」

 

アッシュ・ローラーはバイクのハンドルをぶん回して、突進してきた。

 

右側に跳んで回避する。

 

「なかなかやんじゃねえかよYOU!!」

 

「当たり前だ!!」

 

アッシュ・ローラーの武器はあのバイク。だったら奴のポテンシャルはバイクに注ぎ込まれているはず。

 

ユウスケは旋回して再び迫ってくるアッシュに向かって叫び、後ろのビルの壁に脚の裏をつけて思い切り斜め前にジャンプする。

 

「......ぬわっ!!」

 

直後、アッシュ・ローラーの顔面に跳び蹴りが綺麗に、なおかつ強烈に決まった。

 

ユウスケはアッシュの顔面に当たった右足で反動をつけて、前に再びジャンプ。アッシュは勢い余ってバイクごと、建物にぶつかった。

 

「ふぅ、危ねえな。」

 

ユウスケは一言呟くと、体制を立て直すために一旦引いた。

 

「ここまで来れば......」

 

ユウスケは近くのビルの屋上まで来た。ふと、アッシュ・ローラーの体力ゲージを見ると3割強は減っている。

 

「このまま時間切れにすれば俺の勝ちだな。」

 

アッシュのバイクでは建物のましてや屋上へは来れないだろう。そう思ってふと屋上から下を覗くと、

 

「テメェ、コノヤロー!!いー気になってんじゃねーぞコラア!!」

 

アッシュはバイクに乗って、ビルの壁に向かって走り、前後のタイヤが壁に垂直に乗ると次の瞬間バイクが凄まじいスピードでビルの壁を登り始めた。

 

「なっ......!?」

 

ユウスケが驚いたのも束の間、巨大なバイクに乗ってアッシュは屋上に現れた。

 

「いやあ~、俺様実は今朝レベル2になってよ、壁面走行アビリティゲットしたんだよなぁ!いやいや俺様メガラッキ~~」

 

アッシュは両手をハンドルから離して2本の人差し指を向けると、

 

「んでもってオマエは、ギガアンラッキ~~!!」

 

うるせえと言う間もなくアッシュは追いかけてくる。

 

これはまずい。クリスタル・スパロウは特殊攻撃には高い防御力を発揮するが物理攻撃、とくに打撃や貫通、切断などには弱い。アッシュ・ローラーのバイクで攻撃されればダメージはそれなりにくらってしまう。ましてや障害物が多い場所でもないのでさっきのようなことをするのは難しい。

 

「ちぃっ.........」

 

ユウスケは一瞬反応が遅れ、バイクでの打撃をモロに受けた。

 

「ぐあっ!!」

 

全身を衝撃が襲い、後ろに吹き飛ばされる。頭をクラクラさせながら自分の体力ゲージを確認すると、自分のゲージが今の一撃で二割近く持って行かれたのがわかった。

 

二度目がくる。しかし、先程の衝撃でうまくかわせない。さらに連続で二回ダメージを受けて、ゲージは残り4割となっている。

 

 

やばい、あと二、三回くらえば負ける。

 

「どうしたどうしたぁ!!もう降参か!!」

 

「降参?バカ言え。」

 

「バカはテメエだコラアァ!!」

 

しかし、打開策が思いつかない。パンチやキックじゃ無理だ。スピードもリーチも違う。残り時間は80秒、もう後がない。

 

考えろ、奴のゲージを一気に減らす作戦は──

 

「そうか、だったら!!」

 

ユウスケは自分の必殺技ゲージを確認する。先程のダメージのおかげでゲージは八割も溜まっている。

 

「いける」

 

ユウスケは走り出して、屋上の縁に立った。

 

「来いよ、これで終わりだ。」

 

「ああん!?そいつは俺様のセリフだぁぁ!!」

 

アッシュはこれで何度目なわからない突進をしてきた。

 

「ヒャッハハハアアアア、終わりだぁぁぁぁ!!」

 

アッシュのバイクがユウスケに近づき前輪との距離がおよそ2メートル半になった瞬間、

 

「《スタン・トラップ》」

 

必殺技のコマンドを発声すると同時にクリスタル・スパロウの身体から強力な光線が発射された。

 

アッシュはその眩しさに驚き、少しだけ視界が戻ってから前を見ると、

 

バイクは屋上の縁を越え、空中で落下していた。

 

「テラアンラッキーだったな、アッシュ・ローラー」

 

「ぬああぁぁぁぁ!!!」

 

ユウスケの呟きとアッシュの悲痛な叫びを最後に、アッシュの体力ゲージは高所落下ダメージでゼロとなり、対戦は終了した。




ラストの技の解説です↓

クリスタル・スパロウ レベル1必殺技

《スタン・トラップ》
強力な音と光で相手の視覚、聴覚を数秒封じる。



どうも、ご無沙汰しております。今回はかなり長くなってしまいました。でも、ようやくアッシュ戦も終わり、主人公の活躍も増やせると思うととても嬉しく思います。

では、これからもよろしくお願いします。

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