FGO / ふわっと ぐだぐだな おはなし   作:萃夢想天

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唐突に始まることもあるオリジナルサーヴァント召喚講座。

新年あけましておめでとうございます。萃夢想天です。
まさか新年一発目がリハビリ兼「ぼくのかんがえたさーう゛ぁんと」系になるとは露ほども思わず…。

でも初夢で見ちゃったんだから正夢にするしかないよね是非もないよね。

いうわけで、今年も私の拙作たちをどうぞよろしく。





【英霊召喚編】虚立のハサン

既に人もまばらになる頃の人理継続保障機関カルデアの一室にて、慟哭が響き渡る。

 

感情ある生命体が放つ事ができる最大限の嘆き、と表現出来うるほど痛ましく感じられる声は、

カルデアの生命線である『英霊召喚システム』が鎮座する部屋から、カルデア中に響いた。

このシステムを使い、過去の偉人や英雄が召し上げられた最上位の使い魔たる【英霊】を召喚

できるのは、このカルデアに唯一生存しているマスター、藤丸立香という少女だけだ。

 

つまるところ、先程の聞くに堪えない残響はこのマスターたる藤丸立香によるものだった。

 

 

「嘘だ、こんなの嘘だ……私の聖晶石、あんなにあった石が」

 

 

彼女は嗚咽交じりに情けないセリフを吐く。こんなことになったのには勿論理由がある。

 

 

「今日ならいける気がしたんだよ! 胸筋腹筋バッキバキのテライケメン千子村正‼」

 

 

その口から語り紡がれるのは、後悔の理由。

数多くの英霊と契約を結ぶマスターは、召喚の為の縁を何らかの理由によって得る事があった。

 

それは任務として赴いた特異点にて出逢い共闘した英霊や、逆に敵対し討ち取った英霊などが

該当する。おまけにカルデアが採用している召喚システムは、召喚する英霊の候補を絞り難い

代わりに、どうやら窓口が広くなっているらしい。本来ならば召喚されるはずの無い異端的な

存在が、通常とは異なるクラスに押し込められて召喚されるケースは、幾つか存在している。

 

 

例えば、恩讐の監獄塔にてマスターと共闘した【救済も慈悲も彼方へと捨てた復讐鬼(巌窟王 /エドモン・ダンテス)

例えば、第六の特異点にてマスターに提唱した【この世全ての謎を解き明かす名探偵(シャーロック・ホームズ)

例えば、断片の特異点にてその存在が露見した【美しき肉食獣を名乗りし醜悪な外道(アルターエゴ・リンボ)

 

 

上記のような異端なるクラスに該当する英霊を召喚可能なカルデアの召喚システムではあるが、

この召喚が常時可能というわけではない。

 

召喚には魔力の結晶体である聖晶石が必須であり、さらに出逢った事で結ばれたはずの縁も、

何らかの理由で薄れてしまったりする場合も少なくは無い。この為、一定期間を過ぎてしまうと

召喚自体が困難、あるいは不可能になってしまう英霊も存在するのだ。

 

涙をぼろぼろと流し続けるマスターが口から漏らした「千子村正」という英霊も、縁の定着が

うまくいかない影響で一定期間中でなければ召喚ができない、期間限定タイプの英霊だった。

 

此処まで言えば、彼女が涙を流し続ける理由も察せるだろう。

 

 

「う~ん、まぁこんな事もあるだろうさ。日本の諺にもあるだろ、『勝負は時の運』ってさ」

 

「何の慰めにもなってないんだよダヴィンチちゃん!」

 

「大丈夫です先輩! 先輩の事は、このマシュ・キリエライトがお守りしますので!」

 

「ありがとうマシュ! でも何の慰めにもなってないんだ!」

 

 

召喚システムの起動や調整にも、少なからずカルデアのスタッフの手を借りる必要があり、

今回は数名のスタッフと、藤丸立香が契約する中で特に信の篤い仲間の二人がついていた。

美を追求するあまり己を史上最高の美女(モナ・リザ)へと魔改造した、倒錯系魔術師(キャスター)のダヴィンチちゃんと

藤丸立香が一番最初に契約を結んだ、英霊と人間が融合した唯一無二の盾兵(シールダー)系後輩のマシュ。

 

どちらも違うベクトルの美女と美少女であり、年頃の男子であれば常に目と心を奪われるような

女性だが、目当ての英霊を引き当てられずに轟沈したマスターたる彼女には何の意味も無い。

 

 

「ほらほら元気だしなって。そ・れ・に、まだ聖晶石隠し持ってるんだろ?」

 

「ン゛ッ⁉」

 

「万能の天才舐めないでほしーなー。そ~ら、ここまできたらいっそ出し尽くしてしまえよ。

下手に持ち越しすると逆効果だぜ? やる時は豪快に、素寒貧になる勢いで! れっつごー!」

 

「くっそ覚えててよダヴィンチちゃん! これで目当てが出なかったらなんでも一つ言う事

聞いてもらうかんね! 公共の場では表現できないすんごい事期待しちゃうからね!」

 

「先輩最低です」

 

 

後輩の薄紫色の前髪で半分隠れた瞳がスッと細くなるのをスルーし、藤丸立香は何かあった時に

隠し持っていた緊急用の聖晶石を使い潰す覚悟を決めた。大量に投じても出なかったものが、

なけなしの数個で来られても嬉しいには嬉しいがそれはそれでやるせない気分になるだろう、と

早くも押し寄せる後悔に押し潰されぬよう、英霊召喚に必要な詠唱を口早に唱え聖晶石を砕く。

 

すると、霊基パターンの観測をモニタリングしていたダヴィンチちゃんの表情が変わった。

 

 

「喜び給えマスター! エーテル体の集束を観測、これは期待できそうだ!」

 

「すり抜けは悪い文明すり抜けは悪い文明すり抜けは悪い文明すり抜けは悪い文明すり抜けは悪い文明すり抜けは悪い文明すり抜けは悪い文明すり抜けは悪い文明すり抜けは悪い文明」

 

「これは相当精神がキてるね! そんな君に朗報だ! クラスパターンの解析が終わった!」

 

「【剣士(セイバー)】⁉」

 

「うんにゃ、【暗殺者(アサシン)】だね」

 

「終わったぁぁぁぁああ‼」

 

 

彼女のお目当てである「千子村正」は七クラスの一つ【剣士】である。このクラスの英霊も

少なくは無いのだが、幾人かは縁の定着が難しいので期間限定での召喚を余儀なくされる。

 

だからこそ血涙を噴出させながら何かへの祈祷をし続けていたマスターだったが、無慈悲な宣告

によって希望は脆く打ち砕かれてしまった。得も言われぬ深い悲しみが、彼女の胸に刻まれる。

 

けれども彼女は瞬時に胸の内を切り替える。先のダヴィンチちゃんのアナウンス通りならば、

その名が表す通りに、暗殺・奇襲は言うに及ばず、諜報や情報収集に秀でた【暗殺者】クラスの

召喚ともなれば厭が応にも期待は高まる。仮に高ランクのアサシンであれば、苦手とされている

正面切っての白兵戦も三騎士に引けを取らない者もおり、絶大な力が約束されたようなものだ。

 

期待に胸が膨らむマスターは、召喚に応じたのがどのアサシンかを想像する。

 

 

「アサシンのエミヤかな? 燕青かな? 大穴で李書文かな?」

 

「どーして男性英霊の名ばかり挙がるのかは聞かないでおこう! 私は万能の天才だから!」

 

「シャラップだ4D絵画!」

 

「酒呑童子の優雅でありながらも破壊的な和装も良いけど、クレオパトラの神々しい肉体美も

捨てがたいねぇ。それともセミラミスの荘厳で凛々しい立ち振る舞い? 君は誰派なんだい?」

 

「口を閉じて微笑んでてくれ女ダヴィンチ! 外見だけで人を判断するのは良くないわ!」

 

「性別だけで判断するのも良くないって指摘するべきかなマシュ?」

 

「先輩最低です」

 

 

わちゃわちゃと騒ぎ立つ面々を無視して、着々と召喚に応じたサーヴァントが現界を始める。

 

やがて白青色の霊子を飛び散らせ、その中心点にて契約によって結ばれし存在が姿を見せた。

 

 

「……………え、誰?」

 

 

姿を見せた、のだが。そこに現れた英霊に対し、マスターは全く見覚えがなかった。

己の知見外の英雄なのかと思い至った彼女は、同じ召喚の場に居合わせていたスタッフたちや

契約を結ぶマシュやダヴィンチへと視線を向ける。しかし予想に反し、誰の目にも驚愕が映って

いるばかりで、彼女の望んでいた答えや態度を示す人物は一人もいなかった。

 

正体不明の暗殺者。字面だけを見れば誰しもが警戒を露わにするだろう異質な存在。

けれどソレを召喚したマスターたる藤丸立香だけは、警戒の色を見せず、ただ歩み寄っていく。

マシュやダヴィンチが警告を発するよりも早く、マスターは気付いていた。

 

召喚に応じた英霊である時点で、即座に明確な敵意を見せる事はない。

 

これまで関わった多くの英霊との経験から導き出した独自の答えを頼りに、召喚に応じたと

思しき存在に近付き、魔力のパスを改めて感じ取る。契約は正常に交わされているようで、

現時点を以て目前の対象はカルデア所属のアサシンのサーヴァントと正式に判じられた。

 

 

「……サーヴァント、アサシン。此処に現界を果たしました。この命、如何様にでも

お使いくださいませ」

 

「…うん。これからよろしくね、アサシン!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サーヴァント / プロフィール

 

 

・クラス【暗殺者(アサシン)

 

 

・真名 「虚立のハサン」

 

 身長/体重 : 178cm・60㎏  

 

 属性 : 中立・悪

 

 

・キャラクター詳細

 

暗殺教団の歴代教主に与えられる「山の翁(ハサン)」の称号を襲名した一人。

総勢19人いたとされる頭目は、それぞれが特別な技を修め、それを教義に活かす

暗殺のスペシャリストたちであった。

しかし、このハサンは「己に特筆すべき才覚は無し。ハサンの面汚しであります」と

否定的な発言を漏らす。その理由は、彼が用いた暗殺の技法に在るとされている。

 

 

・パラメーター

 

「筋力 / D」 「耐久 / E」 「敏捷 / B」 「魔力 / D」 「幸運 / C」 「宝具 / B++」

 

 

・スキル / 保有スキル

 

『影避けの加護 C 』…「風除けの加護」や「矢除けの加護」などの派生スキル。

 どんな雑踏や人混みの中でも他人の影を踏まず、また自らの影を踏ませることなく進む

 という独特の歩行法が昇華されたスキル。

~自身に回避(2回)付与+自身に攻撃力UP(2ターン)付与~

 

『自己浸透 A 』…「自己改造」の亜種スキル。自分という個を周囲に紛れ込ませるという

 暗殺者らしい特性を最大限に発揮する能力。ただし、周りに紛れ込む為の能力であるので、

 周囲に自分以外の生命体がいないと発動できない。環境と同化する「圏境」とは異なる。

~味方全体に回避(1ターン)付与+スター大量獲得~

 

『集団心理 A+ 』…人間が集団としてある時、一人ひとりの心の動きを緻密に読み取り、

 集団の動向や方針を意のままに操るスキル。効果としては「扇動」に類似している。

 単独での暗殺を捨て、集団で標的を追い込み孤立させて抹殺する手法を編み出した、

 虚立のハサンという暗殺教主の証明。

~味方全体攻撃力UP(1ターン)+クリティカル威力UP(1ターン)

 

 

・スキル / クラススキル

 

『気配遮断 B+』…アサシンのサーヴァントが有するクラス特性。

 自身の気配を消す効果。隠密行動に適し、完全に気配を断てば発見はほぼ不可能。

 だが、攻撃態勢に移るとランクが下がり、発見されやすくなる。

 

『空間同調 A 』…武の達人が有する「圏境」のような、気を用いて天地と合一し、その姿を

 自然に溶け込ませるといったスキルではない。効果は似ているが、虚立のハサンのスキルは

「その空間にあって当たり前の存在」程度にまで自身を希薄化させている。

 気配を遮断するのではなく、気配を己の周囲の存在に寄せ、()()()させる独特なスキル。

 このスキルの場合、気配遮断とは異なり、攻撃態勢に移ってもスキルのランクは低下しない。

 

 

・宝具

 

【 莽像独心 】 ザバーニーヤ  

 

 対人(対心)宝具 ランク B++

 

人の奥底にある猜疑心、疑心暗鬼を引きずり出し、周囲のあらゆる存在から標的のみを孤立

させる洗脳宝具。あるいは扇動宝具ともよぶべきもの。

 

聖杯戦争においてサーヴァントかマスターに対し発動させれば、互いに不信感を抱き始め、

不和を起こして関係に亀裂が入り、最終的には自滅させ合うことも可能。「自分以外は敵」と

思い込むようになり、そうした孤立無援の精神状態に無理矢理囚われてしまう。

 

敵が集団であれば、その集団の中で標的のみを攻撃させるよう仕向けることが出来る。

悪い言い方をすれば、凶悪なリンチ、イジメを想起させる宝具である。

 

 

 クイックコマンドの単体宝具

敵単体に「人の力を持つ者」特性を付与(3ターン)+ターゲット集中状態を付与(3ターン)

「味方の数が多いほど威力UPする」超強力な攻撃+強化無効付与(3ターン)

 

 

・ボイス

 

~宝具~

 

「……疑惑の(さざなみ)、暗鬼の(つぶて)、有象無象の地獄絵図。孤独こそ、心蝕む蠱毒と知れ!【 莽像独心(ザバーニーヤ) 】!!」

 

「キヒ、ヒヒヒ! 今こそ貴様は知るだろう…敵は己の内に在ると! 【 莽像独心(ザバーニーヤ) 】!」

 

「我もまたハサンの名を継ぐ者なれば。悪意と猜疑の群れを以て貴様を殺す。懐疑を刻め!【 莽像独心(ザバーニーヤ) 】!!」

 

~関連人物~

 

呪腕→虚立

「ほう…彼のように己の力のみに頼らず、あたかも一軍の将が如く集団で暗殺を為した者も

 ハサン足り得たのですな…。ふむ…」

 

虚立→呪腕

「ヒヒ…これはこれは、呪腕殿。私もまた貴方様のように秀でたる才は無いに等しく、

 ならばと見出したる異能で教諭の座位を獲得しました者にて。我ら、気が合うのでは?」

 

百貌→虚立

「我々は無数の己を作り出すことを才技としたが、アレは無数の人を操ることで対象を孤立

 させることを才技とした。実際、アレと我らは似て非なる者であるかもな…」

 

虚立→百貌

「キヒ…おや百貌殿。いつも貴方…いえ、貴方たちにはお世話になっておりまする。え?

 ああ、百貌殿の幾つかの人格である百分の一貌殿らに我が宝具のお手伝いを依頼し…え?

 止めさせろ? まぁまぁ、そう仰らず。ケチケチしないでも……ああ怒らないで!」

 

静謐→虚立

「あの方もまた、ハサンの名を賜るに相応しい暗殺術の持ち主です。少なくとも、こんな私に

 想像もつかないような方法で暗殺を成し得たあの方と同じハサンの名を頂けて、嬉しく思い

 ます。敵に回すとこれ以上になく恐ろしく手強い、味方であれば頼もしい御方ですよ」

 

静謐→虚立

「……静謐殿、ですか。己が身全てを毒へ投じて暗器と成した、実にハサンらしきハサン。

 いえ、このような感傷なぞ烏滸がましいとは重々承知しておりますが…毒の身体とはいえ、

 それも才覚の一つ。羨んでしまう自分を、否定しきれませぬ」

 

〝山の翁〟→虚立

「虚立のか。暗殺と無縁の者らを駆り立てて貴様は何を得た? 心を一つにせよと仕向けた

 人々に団結され、爪弾きにされた孤独な結末か? 軟弱者め―――首を出せ」

 

 

 





君だけのハサンを見つけ出そう!


改めて、新年あけましておめでとうございます。
私が尽力を注いでいる異聞帯作品やらifオリオンやら
ではなく、まさかこんな作品で2021年を迎えることになるとは…。

これからもSSを書き続けていく所存ですので、どうぞよろしく。

ちなみに福袋は弓王狙いで沖田さんでした。宝具2です。
あと村正ね。狂ったように回したら宝具4になりました。やったぜ。
途中でFGO四年目にして初の青王お迎えできました。エモいぜ。


それでは皆様、ごきげんよう。
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