ハイスクールD×D ~赤と紅と緋~   作:フレイムドラゴン

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第28話 エクスカリバーを許さない!

 雨が降りしきる中、僕は傘も刺さずに歩いていた。熱の上がった頭にはちょうどいいぐらいだと思う。

 

 ──俺たち、仲間だろ!

 

 脳内にイッセーくんの言葉が響き渡る。

 ・・・・・・すまない。僕は本来、仲間と楽しく過ごしちゃいけないんだ。そんな資格なんか僕には・・・・・・。

 恩がある部長にもあんな態度をとってしまった。・・・・・・『騎士(ナイト)』失格だね。

 

 バシャバシャ。

 

 雨とは違う音を僕の耳が捉える。

 

「あっ、ああっ! た、助けてぇっ!?」

「・・・・・・神父?」

 

 音がするほうを見ると、物陰から神父が出てきた。

 何かに追われているのか、必死の形相で逃げるように助けを求めながらこちらに向かって走ってきた。

 

「あああああああっ!?」

 

 神父が突然、悲鳴をあげてその場に倒れ伏した。

 見ると、背中に大きな切り傷があった。

 

「ッ!」

 

 異常な気配を察し、顔をあげて神父の後方を見る!

 

「やあやあ、ヤッホー」

 

 そこには長剣を持ち、神父服を着た白髪の少年がいた! そして、僕はその少年神父を知っていた!

 

「おっひさだねー。誰かと思ったらー、クソ悪魔のクソ色男くんではあーりませんかー」

「フリード・セルゼンッ!」

 

 白髪のイカれた少年神父──フリード・セルゼン。以前、堕天使との一戦で僕たちとやりあったはぐれ神父であった。

 

「・・・・・・まだこの町に潜伏していたのか?」

「すんばらしーい再会劇に、あたしゃ、涙ちょちょ切れまくりっスよ! フッフッフー!」

 

 ・・・・・・相も変わらず下品でふざけた言動だ。

 

「・・・・・・あいにく、今日の僕は機嫌が悪くてね」

 

 ちょうどいい。この溜まりに溜まった鬱憤をはらさせてもらおう。そう思った僕は右手に魔剣を創り出す。

 

「ヒャハハハハハッ! そりゃまた都合がいいねー! ちょうどオレっちも、神父狩りに飽きたところでさー!」

 

 彼はそう言うと、手に持つ長剣を掲げてふざけたように振り回し始めた。

 

「ッ!?」

 

 彼の持つ剣を見て、僕は驚愕する。

 

「その輝き、オーラ──まさか!?」

「バッチグー! ナイスタイミーング! 以前のお返しついでに試させてくんねぇかなぁ? どっちが強いかー! おまえさんのクソ魔剣と、この聖剣エークスカーリバーとさぁッ!」

「ッ!」

 

 僕はエクスカリバーを許さない!

 

 

―○●○―

 

 

 そこはとある廃教会。先日、アーシアを巡って堕天使とグレモリー眷属たちが相対した場所だった。

 その廃教会にローブを纏った三人の少女と一人の少年と青年が訪れた。

 

「・・・・・・随分と荒れ果てたものだ」

 

 少女の一人が廃教会の惨状を見てそう漏らす。

 

「・・・・・・破棄された所とは言え、これはちょっと・・・・・・」

「つい最近、堕天使と悪魔がひと騒動したとは聞いてたけど」

 

 もともとひどいありさまではあったが、フリードとグレモリー眷属たち、堕天使レイナーレとイッセーの戦闘でよりひどい状態になっていた。

 

「・・・・・・どうでもいい。潰し合いなら勝手にやってろだ」

 

 少年が興味なさげに吐き捨てる。少年にとって堕天使と悪魔が潰し合いをしようが、その果てにどうなろうが興味のないことだった。

 

「しかし、遅いな?」

 

 最初に口を開いた少女がローブのフードを取る。前髪の一部に緑色のメッシュを入れた青髪で目つきが鋭い少女だった。

 

「待ち合わせ場所はここで合ってるのか?」

 

 少年も少女の一人に訊きながらフードを取る。黒髪で青髪の少女よりも鋭い目つきをした褐色肌の少年だった。

 

「間違うはずがないわ。ここは私が両親と過ごしたところよ。子供のころにねぇ」

 

 少女の一人がフードを取る。栗毛の髪をツインテールにした天真爛漫そうな少女だった。そして、懐から一枚の写真を取り出す。その写真はなんと、現在木場の様子を一変させた原因である幼いイッセーと明日夏、その二人と同い年ぐらいの子供が写った写真と同じものだった。そう、少女の正体はその写真にイッセーと明日夏と一緒に写っている栗毛の子供なのだった。

 

「あ、かわいい」

 

 最後の少女が写真を見て感想を言いながらフードを取る。黒髪をポニーテールにした人懐っこそうな少女だった。

 

「そっちの男の子たちは?」

「幼馴染みよ。よく一緒に遊んでたの。元気にしてるかなぁ? せっかくだからあとで顔を出しに行こうっと」

「そんなことより、先に来てる奴らは何やってるんだ? 場所がここならすでにだいぶ過ぎてるぞ」

 

 彼らがこの廃教会に訪れたのは、とある任務のための情報提供者たちとの合流場所がここだったからだった。だが、少年の言う通り、合流時間が大幅に過ぎてもに情報提供者たちがいっこうに訪れてこなかった。

 

「何かトラブルがあったと見るべきか?」

 

 最後に青年がフードを取る。白髪をオールバックにした落ち着いた雰囲気を放つ青年だった。

 

「やむを得ん。三手に別れて探索を行う。私は一人で、キミたちは二人ずつで探索に当たってくれ」

「わかった」

「はーい」

「はい」

「了解」

「二時間後にここで落ち合おう」

 

 青髪の少女と栗毛の少女、黒髪ポニーテールの少女と少年でペアとなり、少年少女たちは廃教会をあとにした。

 

「さて・・・・・・・・・・・・最悪な事態になってなければいいが」

 

 青年はほぼ確信じみた予感を覚えながら、情報提供者たちを探しに廃教会をあとにした。

 

 

―○●○―

 

 

 首に刃物を突きつけられ、ヘタに動けずにいた俺はおとなしく手を上げる。

 チラッと刃物を見てみる。形状と特徴的な刃紋から、おそらく刃物の正体は日本刀。

 

「答えろ。これをやったのは貴様か?」

 

 背後にいる日本刀の持ち主に問いかけられる。声からして、女、それも若いな。そして、そう質問するってことは、まずこの惨状を産み出した犯人じゃないということになる。

 ──この神父の仲間──シスター、いや、エクソシストか?

 

「いや。俺がここに来たときからすでにこの有り様だ。やった奴の顔が見たいもんだ──わざわざ名前を残すような奴だからな」

「何?」

 

 俺の言葉に疑問符を浮かべているであろう背後の女に顎であるものを指す。

 それは壁に血で描かれた文字だった。雨で少し溶けて垂れてはいたが、なんとか読めた。その文字はこう書かれてた──。

 

「・・・・・・・・・・・・『Bell(ベル) the() Ripper(リッパー)』・・・・・・だと」

「・・・・・・『切り裂きベル』・・・・・・『ジャック・ザ・リッパー』の真似か?」

 

 壁の文字は『ベル・ザ・リッパー』──『切り裂きベル』と書かれていた。有名な殺人鬼、「切り裂きジャック」こと「ジャック・ザ・リッパー」の真似事か?

 

「こっちも確認するが、おまえはこの神父の仲間か?」

 

 俺のほうも女の正体を探るために訊く。

 

「神父? いや、私は教会関係者ではない。それよりもなぜ、この男が神父だとわかった?」

 

 おっと、余計な疑念を与えちまったか・・・・・・。

 確かに、こんな状態じゃ、男性だとはわかっても、神父とまではわからないからな。

 俺は手に持っていた十字架を見せる。

 

「十字架?」

「元シスターのダチがいてな。そいつが持っていたものと同じ十字架だったんだよ」

「それでその男が神父だとわかったわけか」

「そういうことだ。それともうひとつ訊くが──おまえは何者だ?」

 

 少なくとも、この状況で冷静に俺を問い詰めるあたり、ただ者じゃないのは確かだ。

 

「こんな物騒なものを持ってる時点で、普通の一般人じゃないのは確実だよな?」

「そう問いかけるということは、貴様も普通の一般人ではないな? この状況でも冷静な振る舞いといい、何者だ?」

 

 ・・・・・・このままじゃ、埒があかないな。なら──。

 

「なっ!?」

 

 俺は手に持っていた十字架を背後にいる女に投げつけた。

 女の驚愕の声が聞こえると同時に首筋に当てられていた刀が首筋から離れた。

 俺はそのスキを逃さず、刀を腕で上に弾き、武装指輪(アームズ・リング)からナイフを取り出して振り向く。

 ナイフを逆手持ちで構えたまま警戒を緩めず、女の姿を確認する。

 黒の雨合羽を着ており、顔もフードで隠れていた。そして、その手にはさっきまで俺に突きつけていた日本刀があった。

 

「──明日夏?」

「──何?」

 

 女が刀を構えた瞬間、女の口から俺の名が出てきた。

 なんで俺の名前を? いや、そういえば、こいつの声、聞き覚えが・・・・・・。日本刀──まさか!

 

「──(えんじゅ)

 

 俺がその名を口にすると、女はフードを取った。

 フードの中からあらわになった女の容姿は長い黒髪をポニーテールにし、少しきつめの目つきをした少女だった。

 間違いなかった。──夜刀神槐(やとがみえんじゅ)。俺と同い年ながらも正式な賞金稼ぎ(バンティハンター)をやっている少女だった。

 

「ひさしぶりだな、明日夏」

 

 槐は刀を鞘に納めると、笑みを浮かべて言う。

 

「ああ。本当にひさしぶりだな、槐」

 

 最後に会ったのは、中学三年に上がるころだったから、ざっと二年と数ヶ月ぶりになるのか。

 

「なんでおまえがこの町に?」

 

 いや、答えはわかりきっているか。槐はハンター。その目的は賞金首。そして、賞金首は世界中のどこにでもいる。たまたま、この町に賞金首がいて、そいつを追ってこの町に来たってところだろう。

 

「おまえが考えている通りだ。この町にはある賞金首を追ってレン兄上と訪れたのだ」

「レンも来てるのか?」

 

 レンこと夜刀神蓮火(やとがみれんか)。槐の兄で、同じく賞金稼ぎ(バンティハンター)だ。

 それにしても、槐だけでなく、レンまでいるってことは──。

 

「──おまえたちが追っている奴、相当ヤバい奴なのか?」

 

 俺の問いに槐は表情を険しくする。

 槐の実力は折り紙つきだ。以前相対したはぐれ悪魔やバイザー、今日のはぐれ悪魔程度、一人で討伐するなど余裕なほどだ。その兄、レンはその槐よりもさらに実力が上だ。さらに二人の連携力もかなりのもので、その戦闘力は桁違いだ。

 そんな槐がレンと一緒に来ているのにも関わらずここまで表情を険しくするってことは、二人が追ってる奴は相当にヤバそうだな・・・・・・。

 

「これをやったのもそいつか?」

「いや、これをやった者の名前がそこに書かれている『ベル』というのなら違う者だ」

 

 つまり、槐が相当警戒するような賞金首とこの惨状を生み出したイカレ野郎という危険人物二人がこの町にいるってことかよ!

 

「クッ!」

「あ、明日夏!?」

 

 俺は槐を置いてその場から急いで駆け出す!

 槐も慌てながら俺のあとを追ってくる。

 

「一体どうしたんだ、明日夏!?」

「部活仲間が近くを彷徨いてんだよ! しかも、あんまり調子がよくない状態でな!」

「なんだと!?」

 

 雨が降りしきる中を俺は全力疾走で駆けながら木場を探す。

 クソッ! 最悪な展開にだけはなってくれるなよ!

 

 

―○●○―

 

 

「ンン、ンフフ、フフン♪ 死ねってんだ!」

「フゥッ!」

 

 ガキィィィン!

 

 僕の魔剣と彼の聖剣が激しくぶつかり合い、火花を散らした。

 

「グ、ググッ・・・・・・!」

 

 そのままつばぜり合いになり、僕は彼の聖剣に憎悪の視線をぶつけながら折る勢いで剣を握る手に力を加える!

 

「売りの端整な顔立ちがぁ、歪みまくってますぜぇ! この聖剣エクスカリバーの餌食に相応しいキャラに合わせてきたぁ?」

「ほざくな!」

「アァウッ!?」

 

 彼のふざけたような言葉が癪にさわった僕は力任せに彼を押し返す!

 

「・・・・・・イケメンとは思えない下品な口振りだ──なーんつって♪」

 

 以前、僕が彼に告げた言葉をそのまま真似る彼にさらに怒りを覚えさせられる!

 

光喰剣(ホーリー・イレイザー)ッ!」

 

 魔剣から闇が伸び、聖剣に絡みつく。

 だが、聖剣から発せられたオーラであっさりと闇は霧散してしまった。

 

「あー、それ無駄っスから。ザーンネーン♪」

 

 魔剣の力が通じなかったことに嘲笑われた僕はむしろ嬉々として不敵に笑みを浮かべた。

 

「フッ、試しただけさ。その剣が本物かどうかをね。これで心置きなく剣もろとも八つ裂きにできるわけだ!」

「オォォウッ!?」

 

 彼の持つ聖剣がエクスカリバーなのかどうか実は半信半疑だったからね。本物だとわかったのなら、遠慮なくやらさてもらう!

 僕は連続で魔剣を振るう!

 

「フッ! フッ! ハッ!」

「イタスッ! イタスッ! オォォウッ!」

 

 ズバッ!

 

「ぐわぁぁっ!?」

 

 一方的に斬り込んでいたはずだったのに、いつの間にか僕の腕のほうが斬られていた!?

 

「・・・・・・・・・・・・うっ・・・・・・」

 

 傷自体はたいして深くはないのに、傷口から煙があがり、焼かれるように激痛が走った。

 

「言ってなかったけー? この聖剣はクソ悪魔キラー用の剣なんだよー。サーセン」

 

 聖剣は悪魔を滅ぼす究極の武器。触れただけでも身を焦がす。それがエクスカリバーならたとえかすり傷でも深手になりかねない。

 

「・・・・・・知ってるよ! 忘れたこともない!」

「ああっ!?」

 

 僕の顔を覗き込んできた彼の足払って後ろに転ばせる。

 

「あんっ!? キッタネー!」

「悪魔らしいだろ! フゥッ!」

「いんよっ!」

 

 転んだところをすかさず斬りかかるが転がるようにして避けられてしまう。

 

「ッ!?」

 

 僕は再び斬りかかろうとしたけど、突然体から力が抜けてしまう!?

 これは──傷口から入った聖剣のオーラが悪魔の体である僕の体を蝕んで力を奪っているのか!

 

「アヒャヒャヒャヒャヒャッ! さっすがクソ悪魔キラーの聖剣さまだぜ!」

 

 フリードは膝を着く僕を見て嘲笑いながら手に持つ聖剣を舐める。

 こんな男が持ち主なんて、エクスカリバーも運がなかったね。同情はしないけど。

 なんとか足に力を込めて立ち上がるけど、依然として体に力が入らない・・・・・・。

 

「さーて、そろそろクソ悪魔キルを実行しましょうかねぇ!」

「クッ・・・・・・!」

 

 フリードは聖剣を振りかぶって満足に動けない僕めがけて飛びかかってきた!

 僕はなんとかその斬擊を防ごうと手に持つ魔剣を盾にする。

 

 ガキィィン!

 

「あれぇ?」

 

 だが、彼の聖剣と僕の魔剣がぶつかることはなかった。

 僕たちの間にふたつの人影が飛び込んできて、手に持つ何かで彼の聖剣を受け止めていた。

 

「無事か、木場!?」

 

 いっぽうの人影の正体は明日夏くんだった。もういっぽうは見知らぬ女性だった。

 

「「ハァッ!」」

「アァオ!」

 

 明日夏くんと女性はつばぜり合いになっていたフリードを押し返した。

 

「どこの誰かと思ったらぁ、あんときのガキじゃねぇかよ。ヤッホヤッホー、おっひさー」

「・・・・・・まさか、またてめぇに会うことになるとはな」

 

 嬉々として挨拶する彼に明日夏くんは忌々しい者を見るような視線で睨みながら言う。

 

「ちなみにそっちのお嬢さん誰かなぁ? もしかしてぇ、彼女さんですかぁ? ならぁ、キミを動けなくしたあとぉ、ゆっくり寝取ってやるよぉ! お姉さん、いい体してるしぃ♪」

「・・・・・・下衆が」

 

 体を舐め回すように見られた女性は心底嫌悪感を感じた様子で吐き捨てた。

 

「・・・・・・相変わらず、耳障りな奴だ」

「・・・・・・それよりも、明日夏──」

「・・・・・・ああ。あの剣──普通じゃねぇな?」

 

 警戒心をあらわにしてフリードの持つ聖剣を睨む二人に僕は告げる。

 

「・・・・・・あれは──エクスカリバーだよ」

「「ッ!?」」

 

 それを聞いた二人はさらに警戒心を上げてエクスカリバーを睨む。

 

「・・・・・・なんだっててめぇみたいなイカレ野郎がそんなもん持ってんだよ?」

「さーて、なんででしょうかねぇ♪」

 

 明日夏くんの問いに答えず、フリードは醜悪な笑みを浮かべて聖剣の切っ先を明日夏くんたちに向ける。

 はなっから答えなど期待していなかったのか、明日夏くんは気にすることなく手に持つ刀を逆手持ちに切り替えて彼の動向を警戒する。

 女性のほうも日本刀を構え、同様に警戒する。

 

「──下がってくれ、明日夏くん」

 

 僕は明日夏くんの肩に手を置きながら言う。

 

「──奴は僕の獲物だ」

「──そのザマで何バカ言ってるんだ?」

 

 明日夏くんの言う通り、時間が経って聖剣のオーラが弱まったのか少しはマシになっていたけど、それでも本調子とは程遠い状態だった。

 だが、そんなことは関係ない! あの剣は僕が折らなければ意味がないんだ!

 

「──どいてくれ」

 

 僕は少し殺気混じりで冷たく言い放つ。本来、仲間である彼に向けるようなものじゃないのかもしれないがこればかりは譲れなかった。

 

「やめて!? 私のために争わないで!」

 

 いきなりオネエ口調になってそんなことをのたまうフリードに明日夏くんは「黙れ」と言わんばかりに殺気を向ける。

 だが、殺気を向けられた彼はむしろ嬉々とした表情を浮かべるだけだった。

 

「安心しろよ。全員平等にキルキルしてやるからよぉ! ──って言いたいところだけどよぉ、わりぃ。お呼びがかかっちゃたわぁ。てーことで──はい、チャラバ!」

 

 カッ!

 

「「ぐっ!?」」

 

 フリードが何かを地面に叩きつけた瞬間、眩い閃光が襲い、視界が潰される!

 閃光が晴れると、そこにはもうフリードはいなかった。

 

 

―○●○―

 

 

 チッ。ただでさえ厄介な奴なのに、それに加えてエクスカリバーを持ってるだと。クソッ、フリードの野郎、さらに厄介になりやがって。

 

「・・・・・・言動はふざけているが、相当できる男のようだな」

 

 槐が刀を振りながら言う。

 よく見ると、槐の持つ刀の切っ先から血が滴っていた。おそらく、フリードの血。

 あの視界を潰された状態でも的確にフリードの奴を斬りつけたのか。いや、槐の言い分から斬り伏せるつもりだったんだろうが、フリードも対処したということなんだろう。

 

「クッ!」

「ッ! 待て、木場!?」

 

 木場がフリードを追うように駆け出そうとしたのを見て、俺は肩を掴んで木場を制止する。

 

「はなせ! 奴は! 奴はエクスカリバーを持っていたんだ!」

 

 憎悪に歪ませた形相で俺を睨みつけながら叫ぶ木場。

 

「だったらなおさらだ! あのまま戦っていれば、死んでたかもしれないんだぞ! いいかげん、頭を冷やせ!」

 

 俺は木場の胸ぐらを掴んで言い聞かせるように叫ぶ。

 

「黙れ! キミに何がわかる! 僕の何が──」

「──おい」

 

 俺の手を振りほどいて捲し立てる木場の肩に槐が手を置く。

 

「ッ──っ!?」

 

 木場が振り向いた瞬間、槐の掌底が木場の鳩尾に打ち込まれた。

 

「ぐっ・・・・・・き、貴様・・・・・・!」

「おっと」

 

 槐の一撃で意識を失って崩れ落ちた木場を慌てて支える。

 

「・・・・・・容赦ねえな」

「言っても聞きそうになかったのでな」

 

 まぁ、それはそうだな。

 とにかく、こいつをこのままにしておくわけにはいかねぇし、とりあえず、(うち)に運ぶか。

 

「おまえはどうするんだ?」

 

 木場を背負いながら槐に尋ねる。

 

「気になるところではあるが、兄上と合流するつもりだ。私もやらなければならないことがあるからな」

「わかった。じゃ、またな」

「ああ。もし、あの男やあの神父の件でのことで何かわかったら連絡する」

「ああ。助かる」

 

 そこで俺たちは別れ、俺は雨が降りしきる中を木場を背負いながら全力疾走するのだった。

 

 

―○●○―

 

 

「成果は?」

「・・・・・・一人見つけたよ」

「・・・・・・すでに殺されていたがな」

「こっちも一人見つけたが・・・・・・」

「・・・・・・二人と同じく殺されていたわ」

「・・・・・・こちらも一人見つけたが、状態はキミたちと同じだ」

「調査員は六人いたはずですよね?」

「ああ。だが、この様子ではおそらく・・・・・・。仕方あるまい。情報は改めて自分たちで集めるとして、当初の予定通り、リアス・グレモリーに接触する」

「「了解」」

「「わかりました」」

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