ハイスクールD×D ~赤と紅と緋~   作:フレイムドラゴン

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一体、誰が襲撃してくるのか? 皆さん、もしよろしければ、予想してみてください。


第34話 襲撃、されました!

 ゼノヴィアたちと共同戦線を張った夜、ゼノヴィアたちと合流するために家を出ると、アーシアが見送りに来てくれた。

 

「こんな時間にお疲れさまです」

「緊急で召喚されちまったからな。部長が帰ってきたら、よろしく言っておいて」

 

 アーシアには緊急の召喚で出かけるということで説明している。

 

「はい。お得意さまができて、よかったですね」

 

 うっ。屈託のない笑顔を向けられて、罪悪感を感じてしまう。

 とはいえ、アーシアに本当の事情を説明するわけにもいかない。ゴメンな、アーシア。

 

「じゃあ、行ってくる」

「はい。いってらっしゃい、イッセーさん」

 

 見送ってくれたアーシアが家に戻ると同時に向かいの士騎家から明日夏と千秋が出てきた。

 

「さて、行くか?」

「ああ」

「うん」

 

 ちなみに燕ちゃんは家に残ってもらってる。部長を見張ってもらうためだ。部長にバレるわけにはいかないからな。

 

「っと、その前に──」

 

 実はアーシアに言った緊急の召喚ってのは本当で、ちょうどいい建前になっていたのだ。

 もちろん、本来の目的のために、断らせていただかないといかないわけだが。

 その旨を伝えるために、依頼者のケータイに電話をかける。ちなみに、依頼者はここ最近、俺のお得意さまになった、前に酒の相手で俺を召喚したヒトだ。

 ・・・・・・依頼者のヒト、怒るかなぁ? せっかくお得意さまになってくれたのに、これで解消なんてことにならないかなぁ?

 不安を感じながらコールすると、すぐに出てくれた。

 

「あ、もしもし。兵藤です」

『よぉ、悪魔くんか。どうしたんだい?』

「すみません。今日の召喚、お休みさせてもらいたいんですけど?」

『おや、なんでだい?』

「実はどうしても外せない急な用事ができてしまいまして・・・・・・」

『なるほどねぇ。急用じゃ仕方ない』

 

 特に文句を言われることなく、あっさりと納得してくれた。

 

「本当、すみません」

『いやいや、気にしなくて結構だ。また改めて指名させてもらうよ。じゃ』

 

 向こうから切られたけど、特に怒ってるってわけでもなかった。

 

「向こうはなんて?」

「特に怒ることなく、仕方ないってあっさり納得してくれた」

 

 とにかく、改めて指名してくれるみたいだし、お得意解消なんてことにならなくて本当よかったよ。

 

「さて、改めて行くか!」

 

 俺の言葉に二人は頷き、合流場所に向けて駆け出す。

 

 

━○●○━

 

 

 今夜、イッセーを指名した依頼者は堤防で釣りの準備をしていた。今夜はここでイッセーに釣りの相手をしてもらうつもりだったのだ。

 

「はぁ、悪魔がドタキャンねぇ」

 

 本人は特に気にはしていなかったが、一人で釣りをすることに若干の寂しさはあった。

 

「よぉ」

 

 依頼者は自分以外には誰もいないはずなのにも関わらず、暗闇に向けて呼びかける。

 すると、そこにはいつの間にか、ダークカラーの銀髪をした少年が降り立っていた。そして、少年の周りには光る粒子がわずかに舞っており、粒子はすぐに消えた。

 そのことに気にすることなく、依頼者はロットを振りながら少年に語りかける。

 

「一人寂しい俺に、付き合ってくれよ」

 

 依頼者の言葉に少年は鼻で笑う。

 

「フッ。寂しがるようなタマか? あんたが?」

 

 少年の皮肉に依頼者は不敵な笑みで返した。

 

 

━○●○━

 

 

 ゼノヴィアたちとの合流場所──以前、アーシアを助けるために乗り込んだ廃教会で俺たちは一堂に会していた。

 まさか、またここに来ることになるなんてな。しかも、ご丁寧に明日夏に木場や小猫ちゃんも一緒というあのときの再現である。今回は千秋や匙、ゼノヴィアたちもいるけどな。

 

「それで、まだなのかね?」

 

 アルミヤさんが明日夏に訊く。

 まずはエクスカリバーを探す前に、明日夏の情報提供の当てをあたることにした。そしていま、俺たちはその当てであるヒトを待っているのだ。明日夏が正確に言うには、待ってるのは情報提供者ではなく、その情報提供者を仲介してくれるヒトなのだそうだ。

 で、俺たちはその仲介役のヒトを待ってるんだけど、十分近く経ってもなかなか来ないのであった。

 

「ちなみに、どんなヒトなんだ?」

 

 ちょっと気になったので、訊いてみる。

 

「・・・・・・悪戯好きだ」

 

 明日夏は少しため息を吐きながら間を置かず答えた。

 い、悪戯好きかぁ。明日夏の反応からして、だいぶやられてそうだな。見ると、千秋も似たような反応してるし。

 

「ひょっとして──」

「ああ。おまえが考えてる通り、これから会う奴は賞金稼ぎ(バウンティーハンター)だ」

 

 やっぱりか。まぁ、俺たちの事情を知っていて、明日夏の知り合いともなれば、それしか考えられないからな。

 

「ちなみに、強いのか?」

「ああ。少なくとも、俺よりは全然強い」

 

 マジかよ。俺からすれば明日夏もめちゃくちゃ強いのに、その本人が断言するほどかよ。

 

「・・・・・・で、そいつはいつ来るんだ?」

 

 若干、イライラした感じでライニーが明日夏に訊いてくる。

 明日夏はため息を吐きながら答えた。

 

「・・・・・・たぶん、待ち合わせ時間ジャストで来るつもりだろうな。緊急じゃなければ、いつもそうだからな、あいつは。まぁ、その分、ちゃんと待ち合わせ時間を守りはするが」

 

 うーん、明日夏の話を聞く限り、少し変わったヒトそうだな。

 そういえば、男のヒトなのか? それとも、女のヒト?

 ま、まさか、スッゴい美人のヒトで、明日夏の言う悪戯って、エッチな──。

 

「これから来るのは男だぞ、イッセー」

 

 邪推する俺に明日夏が肩をすくめながら言う。

 ああ、男のヒトなのね。ちょっと、残念。

 

「待ち合わせ時間まであと五分か。その間に、俺たちが知っていることだけでも教えるか?」

「そうだな。頼む」

 

 明日夏の提案にアルミヤさんが呑むと、明日夏は俺たちが現状、知っていることを話しだす。

 

「まず、奪われたエクスカリバーのうちの一本の所有者についてだが、名前はフリード・セルゼン」

 

 明日夏の言葉にゼノヴィアたちが同時に目を細める。

 アルミヤさんがフリードについて説明してくれる。

 

「フリード・セルゼン。教会のとある機関出身で、元ヴァチカン法王庁直属のエクソシスト。悪魔や魔獣を次々と滅していく功績は大きかった。だが、彼の中にあったは信仰心ではなく、異形の存在に対する敵対意識と殺意、そして異常なまでの戦闘執着のみ。それを妨げるのであれば、同胞すらも手にかけたほどの男だ。すぐに異端にかけられたが、十三歳でエクソシストになった天才といわれた実力は本物で、いまのいままで、処理班の手から逃れられていた」

 

 天才、か。確かに、あいつの強さは凄まじかった。天才と言われても納得できた。

 そんな奴がエクスカリバーを持ってるとか、悪い冗談だぜ。

 

「もう一人、エクスカリバーの使い手になってるか不明だし、本名じゃないのは確実だが、この名前に覚えはあるか?」

 

 一拍あけて、明日夏がその名を口にした。

 

「──ベル・ザ・リッパー」

「っ!?」

「ベルだと!?」

 

 明日夏が言った名にユウナとライニーが激しく反応していた。

 な、なんだ、そいつのこと、なんか知ってるのか?

 だけど、ユウナは辛そうに、ライニーは腹立たしそうに顔を背けるばかりで、二人とも何も言おうとしない。

 

「本名はベルティゴ・ノーティラス。『切り裂きベル(ベル・ザ・リッパー)』の異名を持った元エクソシストだ」

 

 そんな二人を見かねて、アルミヤさんが代わりに話してくれた。

 

「元は親に捨てられた孤児で、妹と一緒に路頭に迷っていたところをとある教会の神父が拾い、その神父が教会で兼任していた孤児院で過ごし、エクソシストになった男だ。そして・・・・・・」

 

 アルミヤさんはライニーとユウナに一瞬だけ視線を移して言う。

 

「二人もその孤児院で過ごし、エクソシストなった者たちだ」

 

 えっ。それって、つまり──。

 

「・・・・・・ベルくんと私たちは、その孤児院で他の孤児たちと家族同然に過ごしていたの」

 

 ユウナが辛そうにしながらも、ようやく話し始めた。

 

「・・・・・・私もライくんも、ベルくんと同じように親に捨てられた孤児でね。ベルくんとはほぼ同時期にその孤児院を兼任していた神父さまに拾われたの。そこで、本当の家族のように、拾われる前の辛さを忘れるぐらい、楽しく過ごしたの。そして、私たち三人は教会のためにエクソシストになった。でも・・・・・・」

「・・・・・・そのときから、奴は変わった」

 

 そこからはライニーも話し始めた。

 

「・・・・・・孤児院で過ごしてたときは、ただ悪戯好きでやんちゃな奴だった。だが、教会の戦士になってからは、その性格は過激なものに変わった。手にした武器で、敵を必要以上に切り裂き、惨殺しては悦に入っていた。その姿からいつしか、周りの連中は奴を『切り裂きベル(ベル・ザ・リッパー)』と呼ぶようになった。そして、そう呼ばれるようになって、しばらくしたあとだ。奴は俺たちを拾ってくれた神父を・・・・・・恩人に手をかけた・・・・・・!」

 

 ライニーの言葉に俺たちは驚愕してしまう。

 だって、親に捨てられて路頭に迷っていた自分を拾ってくれて育ててくれた恩人とも言えるヒトを手にかけたなんて・・・・・・。

 

「あとからわかったことだが、彼は『サイコキラー』であったのだ」

 

 アルミヤさんが追加の情報をくれる。

 それって確か、変な理由と目的で人を殺しまくる奴のことを言うんだっけ?

 

「・・・・・・彼は人を殺すこと、とりわけ切り裂いて殺すことに異常なまでの衝動を持ち、興奮を覚える男だったのだ。おそらく、戦い中に身を置いたことで、その衝動が目覚めたのだろう。そして、最初はそれを教会の敵にしか向けなかったが、徐々にそれを同胞にまで向けるようになった。その果ての結果が恩人である神父の殺害だ。・・・・・・その後、彼は妹を連れて、どこかへ姿を消し、我々もいまだに消息を掴めていない状態だった」

 

 アルミヤさんの言葉に何も言えなくなってしまう。

 いや、ライニーやユウナのショックはもっと大きいはずである。家族同然に一緒に暮らしてたのに、それが異常殺人者になっちまうんなんて・・・・・・。

 

「・・・・・・今回の事件に関わってんならちょうどいい。野郎との因縁にケリを着けてやる!」

 

 ライニーは決意を決めた表情をしていたけど、ユウナはどこか迷ってるような表情をしていた。

 

「・・・・・・悪いが、俺たちが知っているのはこれだけだ」

「・・・・・・そうか。情報提供を感謝する」

 

 二人のことを想ってなのか、明日夏とアルミヤさんが話を切った。

 そして、話題を変えようとした瞬間──。

 

「──おいおい、なんだぁ? 悪魔とエクソシストが一堂に会して仲良くおしゃべりとはなぁ」

『ッ!?』

 

 突然かけられた声に俺たちは驚き、身構えながら声がしたほうを見る。

 そこには、ドアを背にしているローブをまとい、フードをかぶった者がいた。

 フードで顔は見えないけど、声からして、たぶん男だ。

 

「何者だ?」

 

 ゼノヴィアがエクスカリバーを包んでいる布を取りながら訊く。

 ゼノヴィアの問いに男は不敵な笑みを浮かべる。

 

「敵だ、て言ったら──どうする?」

 

 そして、男はローブから何かをチラつかせる。

 それは──刀だった。

 同時にただならぬプレッシャーを感じてしまう!

 

「ッ!」

 

 次の瞬間、男を敵だと判断したライニーが銃で男を撃ち抜く!

 だけど、撃ち抜かれたのはローブだけで、男はその場にいなかった!

 ど、どこ行ったんだ!?

 

「──おせぇな」

『ッ!?』

 

 いつの間にか、俺たちの背後にその男はいた!

 

「くっ!」

 

 ゼノヴィアがすかさず振り返りながらエクスカリバーを振るうけど、男は体を少しずらしただけでゼノヴィアの斬擊を避ける!

 

「「やぁっ!」」

 

 そこへ、エクスカリバーを持ったイリナと十字架を刀に変えて手に持ったユウナが斬りかかる!

 

「だから、おせぇぜ」

 

 だけど、男が居合の構えを取った次の瞬間──。

 

「「っ!?」」

 

 男の手元が一瞬ブレたかと思ったら、激しい金属同士がぶつかり合った音が響き、イリナのエクスカリバーとユウナの刀が弾かれていた!

 なんだよいまの!? おそらく、居合でイリナとユウナの攻撃を弾いたんだろうけど、その太刀筋が全然見えないどころか、男の手の動きすら見えなかった!

 

「チッ!」

 

 ライニーが銃で撃つけど、男はそれさえも体を少しずらしただけでかわしてしまう!

 

「くっ!」

 

 木場が魔剣を手に『騎士(ナイト)』のスピードを駆使して斬りかかる。

 

「お、少しは速いな。『騎士(ナイト)』の特性か?」

 

 だけど、男は木場の速さに余裕で対応して、木場の斬擊を鞘でいなしていた。

 

「・・・・・・潰れて」

 

 小猫ちゃんがフリードのときのように長椅子を男に投げつける。

 

「よっ」

 

 けど、男は小猫ちゃんが投げまくる長椅子をなんてことのないように刀で切り裂いてしまう。

 

「ちっちぇくせに、スゲェバカ力だな。『戦車(ルーク)』か?」

「・・・・・・・・・・・・」

 

 男の言葉に小猫ちゃんが不機嫌になるけど、男はそれを見てもへらへらするだけだった。

 そして、男はアルミヤさんのほうに視線を動かした。

 次の瞬間──男はその場から消えたと思ったら、アルミヤさんに肉薄していた!

 男は刀を鞘から抜いて振るうけど、アルミヤさんは黙って見てるだけだった。

 そして、男の刀がアルミヤさんの首を跳ねようとした瞬間──刀の刃がアルミヤさんの首のところで寸止めされていた。

 

「──俺の動き、見えてたんだろ? 俺が刃を止めなかったら、首と胴体がおさらばしてただろうに、なんで避けなかった?」

 

 男の問いにアルミヤさんは肩をすくめる。

 

「──模擬戦ならともかく、相手を斬る気のない斬擊を避ける必要があるのかね?」

 

 アルミヤさんの答えを聞き、男は──。

 

「プッ!」

 

 アルミヤさんの首筋から刀を離し、男が腹を抱えて大笑いしだした。

 

「アッハッハッハッハ! さすがは『剣聖』と呼ばれるだけはあるぜ! わりとマジに刀を振ってるように見せかたつもりだったんだけどな!」

 

 な、なんだ!? どうなってるんだ、一体!?

 俺たちが困惑していると、明日夏が大笑いしている男に飛びかかっていた!

 そして、明日夏は腕を振るいあげ──。

 

 スパンッ!

 

「いてっ」

 

 手に持っていたハリセンで男の頭を叩いていた。って、ハリセン!

 

「・・・・・・なにやってんだよ──レン?」

 

 

━○●○━

 

 

「どうも、はじめまして。賞金稼ぎ(バウンティーハンター)やってる、夜刀神蓮火ってもんだ。気軽に『レン』って呼んでくれや」

 

 突如として現れた男──夜刀神蓮火(やとがみれんか)がへらへらと笑いながら自己紹介をする。

 赤みがかかった茶髪をポニーテールにしており、結構なイケメンだ。どこか不良っぽさがあって、なんか、不良のイケメンって感じだ。

 フード付きのパーカーを前を全開にして着ており、首にはヘッドホンがかけられていた。そして、腰にはさっきまで振るっていた日本刀が吊るされていた。よく見ると、鞘が機械的な見た目をしており、銃のマガジンみたいなのが付いていた。

 なんか、少し明日夏の刀に似ているな?

 その刀を見て、なんとなく、そう思った。

 そんな夜刀神蓮火の頭を明日夏がもう一回、ハリセンで叩く。

 

「いてぇな。紙でもそこそこいてぇんだぞ」

 

 頭を擦りながら夜刀神蓮火が抗議をするけど、明日夏はそれを無視してため息を吐く。

 そんなやり取りを行う明日夏と夜刀神蓮火に困惑する俺や木場、小猫ちゃん、匙。事情を知ってるみたいな千秋は明日夏と同じ反応をしていた。

 で、さっきの襲撃まがいのことをやられたゼノヴィアたちはアルミヤさんを除いて、夜刀神蓮火を警戒心全快で見ていた。

 

「えーと、明日夏。そのヒトが俺たちが待ってたヒトなのか?」

 

 少し困惑しながら訊いてみる。

 

「・・・・・・ああ。このバカがそうだ」

「どもぉ」

 

 バカと言われても特に気にする様子を見せない夜刀神蓮火はへらへらと手を振ったあと、俺のことをまじまじと見つめてくる。

 

「な、なんだよ?」

 

 男なんかにそんなふうに見つめられたくないんだけど・・・・・・。

 

「おまえがイッセーこと兵藤一誠だろ?」

「そ、そうだけど」

「おまえのことは冬夜さんや明日夏たちからよく聞いてるぜ。大層気に入られてるみたいだからな」

 

 俺のことを興味津々になって見てくる夜刀神蓮火を明日夏が肩を掴んで自分のほうにに向かせる。

 

「で? あんなことをしたわけは?」

 

 ふざけた回答をしようものならいつでも手に持つハリセンを振るえるようにしながら明日夏は訊く。

 

「へいへい、真面目に答えますよっと。かのエクスカリバーの使い手とその同行者の実力を見てみたかったのさ。一剣士の端くれとしてな」

 

 夜刀神蓮火の回答に明日夏はまたため息を吐く。

 

「だからって、あんなことを──」

「あと、これから行動を共にする身としてな」

「──何?」

 

 明日夏の言葉を遮って出た夜刀神蓮火の言葉に明日夏は困惑した表情を見せた。

 

「同行って、どういう意味だ?」

「そのまんまの意味だぜ。ちょいっと事情が変わってな」

「事情って──まさか!」

 

 何かを察した様子の明日夏。

 

「ああ。おまえが考えてる通りだぜ」

「・・・・・・そういうことか」

 

 一人納得している明日夏だったけど、こちらとしては、まったく話が見えてこなかった。

 

「お、おい。何一人だけで納得してんだよ!?」

「そうだな。我々にも事情を説明してほしいのだがね?」

 

 俺もアルミヤさんも、明日夏に説明を求める。

 見ると、他の皆も同じような反応だった。ただ、千秋だけは明日夏と同じ考えに至ってるみたいだった。

 

「レンがこの町に来たのは、ある賞金首を追ってだ。で、その賞金首が──」

「なるほど。その者が今回の事件に関わっているというわけか」

 

 明日夏のわずかな情報からすぐさまアルミヤさんが事情を察して説明してくれた。

 つまり、この夜刀神蓮火が言うには、追っていた賞金首が今回の事件、堕天使によるエクスカリバー強奪事件に関わっていると。つまり、そいつとエクスカリバーを奪った連中とグルになってるってことか。

 

「そういうこった。それぞれが狙ってる獲物が一緒にいるんだ。なら、こっちも一緒に行動しようと思ってな。で、行動を共にする連中の実力を測ろうと思ってな」

 

 さっきのはそういうことだったのか。だからって、わざわざあんなふうにやる必要あるか?

 

「普通に手合わせしてもよかったけど、あっちのほうが緊迫感があって、実力を出しやすいかと思ってな」

 

 俺の疑問を察したのか、夜刀神蓮火がそう言う。

 うーん、そんなもんなのか? 俺は驚きのほうが勝ってて、全然動けなかったのに。

 

「・・・・・・手合わせ、ねぇ。どっちかというと悪ふざけだったんじゃないのか?」

 

 明日夏の言葉に夜刀神蓮火はわざとらしく「バレたか」みたいな反応をする。

 えっ、さっきの悪ふざけだったのか!? そういえば、明日夏が悪戯好きって言ってたな、このヒトのこと。

 

「にしても、いくら不意打ちだからって、ああまで簡単に手玉に取られるってのはちょっと不甲斐ないんじゃねぇのか? もし、俺がガチで敵だったら、誰かやられてたかもしれなかったぜ?」

 

 なんかわざとらしく挑発してきた。それを聞いて、木場、小猫ちゃん、ゼノヴィア、イリナ、ライニーはあからさまに不機嫌そうになる。ユウナだけは素直に受け取って少し落ち込んでいた。全然動けなかった匙は悔しそうに歯軋りしており、俺もなんとも言えなかった。

 

「ま、それはどうでもいいとして」

「どうでもいいの!?」

 

 その言葉に思わず声をあげてツッコんでしまった。

 やっぱり、さっきのは、明日夏の言った通り、悪ふざけだったのか!?

 

「とりあえず、ここで立ち話してるのもあれだから、さっさと行こうぜ──情報をくれるところにさ」




襲撃者の正体。フリードでも、オリ敵でもなく、ただの悪ふざけをしてただけの以前登場した槐のお兄さんでした。
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