彼は愉快な仲間たちと共に、魔王を倒しにゆく。
いろいろな作品を混成させています。
出会い系酒場のルイーダ。
アリアハンにあるお店だ。
あの日、たまたま聖剣を抜いた僕は勇者に認定された。
それからは、虎の穴での過酷な特訓の日々が始まった。
魔王を倒すんだ、お前は虎になるんだ、魔王を倒すんだ、お前は虎になるんだ、と教官たちにささやかれながら。
僕はいつか虎になるのかもしれない。
この酒場で仲間を募り、悪の魔王バラモスを倒して世界に平和をもたらすんだ。
そのための第一歩なんだ。
どんな人たちがいるのか。
仲よく出来たらいいなあ。
…………よし。
扉を開ける。
中には何人もの人がいた。
戦士僧侶魔法使い遊び人の動きが止まる。
武闘家商人盗賊たちが僕へ視線を向けた。
何人もの人が僕を見ている。
値踏みされているみたいだ。
「よく来たな、雑種。で、誰を仲魔にする?」
金ぴかの鎧を着た人が僕に話しかけてきた。
なんだかとても頼り甲斐があって強そうだ。
王様や騎士たちよりも強そうにさえ見える。
でも、なんで僕を雑種と呼ぶのかな?
僕はこれでも一応、勇者なんだけど。
「あの、王様からは戦士、僧侶、魔法使いの組み合わせがお奨めだと聞きました。」
「ふん、あやつめ、我が王位に据えてやったのに分かっておらぬな。おい、雑種。」
「はい。」
「我のお奨めは戦士、盗賊、僧侶、魔法使いⅠ、魔法使いⅡだ。司教も一名用意しておくと、鑑定要員として役立つだろう。それと、都市開発要員として一名の商人を確保しておけ。お人好し過ぎず、悪党過ぎない奴をな。」
「はい? あの、パーティーは四人までですから、あと三人しか組めません。」
「ちっ、システムの弊害か。」
「システム? 弊害? え?」
「で、戒律はどうするのだ?」
「戒律、ですか? ええと?」
「『法』か『中立』か『混沌』か、ということよ。或いは、『善』『中立』『悪』だな。」
「すみません、よくわかりません。」
「勇者だから、おそらくライト=ロウか。メギドラオン持ちのピクシーでも付けてやろう。行け。」
「よーし、やらまいか! はじめまして! あなたが選ばれし勇者様ね! あたし、ピクシー! 今後ともよろしく!」
ぶっとい針を装備した妖精が現れた。
とってもとっても可愛い子だと思う。
「は、はい、こちらこそ。……あの、ルイーダさん。」
「我は、ルイーダではない。」
「え? あれ? でも、ここはルイーダの酒場ですよね?」
「ここはギルガメッシュの酒場だ。ルイーダはいろいろとやり過ぎてな。今は謹慎中の免停中だ。我を駆り出すとは、王め、あとでたんまりふんだくってくれるわ。」
「えっ?」
「そのピクシーはシステム環境適用外の員数外だから、あと三人だな。ふん、網の目を突くのも、案外他愛ないものだ。我のお奨めはランサー、セイバー、キャスターだな。移動を考えるとライダーもいい。金銭面を考えると、闇商人のフクゾーや個人輸入雑貨業者のゴローも悪くない選択肢だ。奴らは敵の所持品の目利きや拾い物が得意だから、財政難になりにくいのが初期には有りがたいと思える筈だ。斥候としては、マタギのゲンジローも悪くない。アレは少々どじっ子だが、地力は高いし勘働きもいい。奴なら、長きに渡る冒険の供にも向いているだろう。」
「すみません、よくわかりません。おすすめの方を教えてください。」
「ふむ、女ばかりに囲まれることを望むなら、『先代』や『先々代』の如くに即刻この場で成敗するつもりだった。どうやら、八人目のお前は比較的まともなようだな。」
「はい? あの、それはどういう……。」
「よかろう、では隠しキャラのメレブを連れてゆくがよい。」
「メレブ……さん?」
「うむ、奴はスイーツ、チョヒャド、チョイメラ、チョイキルト、ゲラ、カオパスなどのちょいと変わった魔法が使える魔法使いよ。特にトラウムはおそろしい呪文だ。極めて知性的な魔物には特に痛撃を与えようぞ。それに、フタメガンテはどんな相手でも倒せる驚異的魔法だ。コレの取り扱いに最大限注意せよ、いいな。おい、メレブ。」
キノコみたいな髪型の人が現れた。
自信満々な感じで、どことなくギルガメッシュさんに似ている気がする。
「うむ。呼んだか、ギルガメッシュ。偉大なるバビロンの王よ。」
「我を昔の名で呼ぶな。この雑種に付き従い魔王を倒してこい。」
「よかろう、勇者ヨシヒコよ。このメレブが付いている限り、安心するがいい。」
「はい、ありがとうございます。ええと、僕の名前はヨシヒコじゃありません。」
「すまんすまん。じゃあ、ロト? てゆうかさあ、ロトシックス? もしかして、アルス?」
「ロトでもアルスでも ありません。ヘラクレスが僕の名前です。」
「なんだか女神から、何度でも試練を与えられそうな名前だな。」
「メレブよ、以前のような真似をしたらただでは置かんからな。」
「はいはい、わかっていますって。」
「イシドロ。こそこそ隠れてこちらを見ているのは、我には既にお見通しだ。お前もこやつらについてゆくがよい。」
やんちゃな感じの男の子が現れた。
僕と同じくらいの年に見えるけど。
くりくりした目でせわしない感じ。
「へっ、ギルガメッシュさんにはかなわねえな。よう、勇者。オレはイシドロ。偉大な剣士を目指す男だ。覚えておけ。」
「うん、よろしくね。」
「そこから勇者をちらちらと覗いているアケギヌ、お前もこやつらに付いてゆけ。」
シュタっと、天井からキレイなお姉さんが降りてきた。
見事な着地。
カッコいい。
おっぱいが揺れたぞ。
黒い髪の美人さんだ。
東方にあるという、ジパングの人かな?
「はっ、委細承知つかまつりました。」
「あの、メレブさん。こちらのキレイなお姉さんはなにを得意とされるんですか?」
「うむ、ヨシヒコ……じゃなくてヘラクレス、よくぞ聞いた。このアケギヌはコーガのクノーイ。伝説のニンジャの一人だ。おそるべき業(わざ)を使う、美しき戦闘機械なのだ。斥候も得意で、情報収集能力はアリアハン随一と言っていいだろう。」
「それは素晴らしいですね。あの、僕、勇者のヘラクレスです。アケギヌさん、よろしくお願いいたします。」
「ええ、こちらこそよろしくね、勇者様。」
「アケギヌ、たっぷりと可愛がってやれ。」
「それはとてもいい提案かと思われます。」
アケギヌさんが笑った。
僕はドキドキしちゃう。
「勇者見習い一名、たまねぎ剣士一名、口だけ魔法使い一名、練達のニンジャ一名、それと特製妖精一体か。まあ、よかろう。では勇者一行よ、行ってこい。ほれ、ひのきの棒+8だ。これなら、竜でさえも討ち取れるかも知れん。運がよければ、だが。ヘラクレス、お前に餞別(せんべつ)としてこれをくれてやろう。存分に暴れるがいい。では、達者でな。」
そして、僕たちは旅に出る。
一体、なにが待ち受けているのだろう?
少し、こわい。
でも、僕はガイア、オルテガ、マッシュの三教官の激しい特訓をあんなにも受けたんだ。
ヤるしかない。
ヤるしかないんだ。
アリアハンの郊外。
スライムに苦戦する、僕とイシドロとメレブさん。
アケギヌさんがあっさりとスライムを倒してゆく。
なんて頼もしい背中なんだろう。
どうやったらスライムの首をはねることが出来るのか、僕にはよくわからないけど。
夕方、レーベの村に着いた。
初めて、よその村に着いた。
途中で狩った猪を村長に提供したら、大変喜ばれる。
皆に分けようと大喜びだ。
血抜きは既に済んでいた。
アケギヌさんが村の広場で解体を始める。
見事な技術だと、村の狩人に褒められた。
喜んで猪の肉を持ち帰ってゆく村人たち。
僕はとてもうれしくなった。
あのひのきの棒がなかなか役に立つこともわかった。
これからの打撃戦にも、充分有効活用出来るだろう。
おまけに、七日間の宿の滞在費を無料にして貰えた。
これもうれしい。
宿を拠点にして稼いでいこう。
部屋は二つ提供してもらえた。
メレブさんとイシドロとが同じ部屋になった。
特に誰からも反対は無かったので、このやり方で大丈夫みたいだ。
その夜、僕はアケギヌさんに抱っこされながら眠った。
なにも着ていないのでちょっと恥ずかしかったけれど、アケギヌさんが問題ないって言ってたから大丈夫なんだろう。
おっぱいをちゅーちゅーしていいのよ、とアケギヌさんに耳元でささやかれてぞくぞくしながら明日のことを考える。
もっともっと強くならなきゃ。
きっときっと魔王を倒すんだと、ウルトラの星に誓った。
アケギヌさんのおっぱいは、とてもやさしい香りがした。
作者が最初に組んだパーティーは、勇者武闘家僧侶商人でした。
『ドラゴンクエストⅡ』だと、サマルトリアの王子が好きです。