春に芽吹く梅の花   作:プロッター

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紫鬱金香(ムラサキチューリップ)

 かれこれ3回は自分の姿を鏡の前でチェックした気がする。服の色調やバランスは、自分で言うのもなんだが己のイメージと合致しているし、特に違和感はないように見受けられる。

 鞄の中にはもちろん貴重品、そして今日のために作った“ある物”。これだけは絶対に忘れてはならない。

 学校に行く時でさえこうして部屋を出る前に持ち物の確認なんてしないのに、今日と言う日に限って何度もするのは、それだけこれから始まるイベントに対する意気込みが他とは全く違うという事だ。

 よし、と気合を入れてドアを開き、空を見ると、少し雲が広がっているが晴れ間も見えている。

 普段よりも軽やかな足取りで待ち合わせ場所へ向かう織部。途中で顔見知りの誰かと会うことはなかったが、もし会っていたとすればその人は間違いなく、織部の事を変な奴と思うだろう。

 そしてものの数分で待ち合わせの交差点に着くと、既にその人は待っていた。

 その人は、手にはブラウンのキャンバストートバッグ。そしてその身には白のブラウスにオレンジのパネル・スカートを着ていた。パネル・スカートの下地はオレンジだが、その上から縫われている同色の布は編み目が大きく少し透けていて、膝上数センチほどが透けて見える。

 

「おはようございます、春貴さん」

 

 その人、赤星小梅は織部の姿を見ると笑って手を振ってくれた。織部も手を振り、近づく。

 

「ごめん、待たせちゃった」

「いえいえ、今来たところです」

 

 定番ともいえるやり取り。お互いに吹き出して、閑話休題。

 今日こそが、小梅との初めてのデートの日だ。織部の人生での経験トップ5に入る重大な出来事だ。

 今日行く場所は、一応事前に候補に挙げた上で小梅に聞き、ちゃんと小梅も大丈夫だという許可も貰っている。

 後は、織部の持ってきた“アレ”を小梅が気に入ってくれるかどうかだ。それ以外の憂いは何もない。

 学園艦は夜のうちに既に寄港している。もうすぐそこには陸が広がっているはずだ。

 挨拶もそれなりに切り上げて、織部と小梅は、学園艦と陸地を結ぶタラップが接続された階層へと降りようとする。

 と、そこで小梅が織部に向けて手を差し出してきた。織部はその意図をすぐに理解して、手をつなぐ。小梅の手の温もりが織部に伝わり、また織部の温かさを小梅も感じる。

 お互い、相手が傍にいる事を強く感じながら、歩き出す。

 小梅も全国大会で気を引き締めていたから、戦車道の訓練が少しの間無かったからと言って疲れていないとも限らない。

 だから今日は、お互い2人で楽しむ事と、小梅の疲れを癒す事も忘れずに過ごそうと、織部は誓う。

 

 

 

「「「・・・・・・・・・」」」

 

 そう誓ってからおよそ5分後、タラップの前で織部と小梅は、私服のエリカと出会った。出会ってしまった。出鼻をくじかれるとはこう言う事なのだろうな、と織部はぽやんと考えた。

 エリカは、普段は伸ばしたままの艶やかな銀髪をポニーテールに纏めていて、服はフリルのついた白いワンピースに、頭に白いつば広のキャペリンと言う帽子を被っている。そして肩には薄いクリーム色のショルダーバッグを提げている。意外にも、エリカの好きな色は白系らしい。

 そしてその全体の雰囲気から、エリカの育ちの良さが窺える。ツンツンしている普段のエリカとはまた違う感じのイメージがギャップを引き出していた。

 だが、知られざるエリカの一面を見れた事については一先ず置いておき、織部と小梅の状況がバレてしまった事がマズい。

 気まずくて織部も小梅も何も言葉を発せられない。エリカも、イメージとはかけ離れた服装をしていることがバレてしまって恥ずかしいのか、こちらと目線を合わせようとはしない。

 

「・・・エリカさんも、出かけるんですね・・・」

 

 気まずさに耐えられなくなり、小梅がエリカとは目を合わせようとはせずに話しかける。エリカも同様に、視線を逸らしながら答える。

 

「・・・ちょっと、プレゼントを買いにね」

「プレゼント?」

 

 織部が気になって聞き返すと、エリカもようやく気まずさから脱したのか織部の顔を見て頷く。

 

「・・・この前聞いたんだけど、7月1日、もうすぐ西住隊長の誕生日なのよね」

「あ、そうだったんだ」

「だから副隊長として、何かプレゼントしないと、と思ったのよ。学園艦はそんなプレゼントになりそうなものなんて売ってないし、売っていたとしても『あれか』って言われやすい。だから、こうして寄港した時に買おうと思ったのよ」

「なるほどね」

 

 織部も小さく頷いた。エリカもそれで話しは終わりとばかりにそそくさと歩き出して、港町を目指す。

 そして、織部たちの方を振り向かずに歩きながら言った。

 

「あんたたちも、デートも別にいいけどプレゼントの1つくらいは用意した方がいいんじゃないかしら?」

 

 その言葉に、織部も小梅も少し考える。

 織部は確かに、正式な隊員ではなく、所属するのも半年だけとはいえ、世話になっているから何もしないというわけにはいかない。

 小梅も、自分の力を認めてくれて戦車にまた乗せてくれて、その上実力を全国大会に必要だと判断して決勝戦にまで参加させてくれた。

 2人とも、まほに対しては恩を抱いている。だから、エリカの言葉の通り何かプレゼントを贈って感謝の気持ちを伝えなければと、自然に思っていた。

 だが、織部と小梅はお互いに手を繋いでいることを思い出す。そして2人は、今日はデートをするのだということを再認識する。

 まほへのプレゼントも大事だが、まずはお互いに今日と言う日を楽しむことが大事だと思い至って、2人は歩き出した。

 

 

 港町でショッピングも魅力的だと思ったが、織部が小梅を誘ったのは自然公園だ。この自然公園は規模が結構広く、大きな池や遊歩道が整備されていて、休憩できる東屋もいくつか点在している。

 寄港地が決まってから、その近くのデートに向いていそうなスポットをリサーチしてここを見つけて、念のために大丈夫かを小梅に聞いて、小梅も賛成してくれたのでここに行くことにしたのだ。

 港町から十数分ほどバスに乗って、バスを降りてから少し坂を上ったところにその公園の入り口はあった。空には少し、雲が広がっている。

 そして園内に入ると、緑と言う落ち着いた色も相まって少し涼しく感じる。そして、心が少し落ち着くような感じがした。

 園内のマップを目にすると、中央に大きな池があり、その池の周りに遊歩道が敷かれて、東屋は一定間隔で設置されている。そして、織部たちが入ってきた入口の反対側には、海を見渡せるような見晴らし台があるようだ。

 織部と小梅は、時計回りで池の周りの遊歩道を歩く事にした。

 2人で並んで遊歩道を歩きながら、織部と小梅は自然の音に耳を傾ける。風に揺られて木の葉が揺らぐ音や、鳥のさえずり、池の水の音・・・普段はあまり意識を向けて聞けるようなものではない音を聞いて、心が安らぐ。

 

「・・・のどかだね」

「・・・そうですね」

 

 織部がなんとなく呟き、小梅も答える。小梅も穏やかな表情を浮かべ、自然の音を楽しんでいるようだ。

 しばしの間、自然の音に心安らぐのを感じながら歩くと、網で仕切られたスペースの横に差し掛かる。そこには一匹のレトリーバーが飼い主であり夫婦でもあるような男性と女性と一緒にフリスビーで遊んでいる。

 そこで織部は、小梅がそのドッグラン―――と言うよりレトリーバーをじっと見ているのに気づいた。

 

「・・・やっぱり、犬が好き?」

「・・・はい。とっても、可愛いですから」

「・・・そうだね」

 

 まだ織部が、小梅の事が好きだという事に気付いておらず、小梅が織部の事を好きだという事に気付いた日。根津たちと一緒に寄港先のショッピングモールのペットショップに入った時だ。

 『いつか飼ってみたい』と小梅は言っていたし、その時小梅は『ちゃんと育てられるかが心配』とも言っていた。

 

「小梅さん、いつか犬を飼ってみたい、って言ってたよね。前に」

「・・・・・・はい」

 

 織部は前を向いて歩きながら、話しかける。小梅も、ドッグランから目を逸らして、織部と同じように前を向き答える。

 そして織部は、少し視線を上にあげ、少し雲が多くなってきた空を見上げながら、気恥ずかし気に告げる。

 

「・・・・・・将来、飼おうか」

「・・・・・・・・・え?」

 

 織部の方を見ると、織部は耳まで顔を赤くしていて、小梅と目を合わせようとはしない。

 小梅は最初、織部の言った言葉の意図が伝わらなかったが、次第にその意味を理解していき、遂には小梅の顔も赤くなった。

 将来とは、結ばれた後のことだと。

 そのことを匂わせるような話は全くと言っていいほど今までしていなかったし、そして将来結ばれることをお互い願い告げたのは、2人が告白をした日で、それは小梅の方からだった。

 だから小梅は、織部の口からそんな言葉を聞けたことが驚きだったし、何よりも嬉しかった。

 織部はちゃんと、考えていてくれたのだ。あの時の流れで言ってしまったのではなく、本当にそうなりたいと願い考えてくれていたのだ。

 それがなおのこと嬉しくて、小梅は織部とつなぐ手に力を籠める。そして、織部との距離を気持ち少し近づける。

 2人は、池の周りをゆっくりと歩いて行った。

 

 

 それから少し歩いたところで、“見晴台”という看板が立てられたスペースにやってきた。その名の通り、そこは見晴らしがよくて、港町が一望できる場所だ。巨大な黒森峰学園艦も見える。

 

「学園艦ってホントに大きいね」

「ホントですね・・・黒森峰は特に大きいって言われてますから・・・」

 

 街を見渡せるようなこの場所にあるベンチに2人は腰かけた。時間はお昼時より少し前だが、2人はここでお昼ごはんにする事にした。

 織部と小梅は、互いにそれぞれのバッグから何かを取り出す。織部は、青い布の袋を、小梅は白い布に包まれた箱を取り出して、それぞれ相手に渡す。

 中身は弁当だ。

 前日、織部が前に何度か小梅に弁当を作ってきてもらった事のお礼がしたくて、今日と言う日だけは自分が弁当を作りたいと申し出たのだ。しかし小梅もただでは退かず、最終的にお互い相手の分の弁当を作ってくるという事に落ち着いた。

 そして今、お互いに相手の作ってきてくれた弁当を膝の上に乗せて包装を解いていく。その段階で織部が小梅に話しかけた。

 

「先に言っておきたいんだけど・・・・・・」

「はい?」

 

 小梅が袋の口を開くために紐を引こうとするが、その手を止めて織部の方を見る。

 

「・・・弁当なんて作ったことはなかったし、小梅さんみたいに手の込んだものも作れなかったから・・・。ちょっとがっかりさせちゃうかもしれないけど・・・」

「そんな事はないです」

「え?」

 

 小梅は、織部の顔を見据えたまま微笑む。

 

「春貴さんが昨日、私のためにお弁当を作りたいと言ってくれただけで、私は嬉しかったですから。だから、がっかりなんてしません」

 

 織部が小梅の言葉に感涙しそうになるが、その横で小梅は袋のひもを引き、袋から中身を取り出す。

 中に入っていたのは。

 

「おにぎり・・・ですか?」

 

 袋の中には手のひらより少し小さいサイズのおにぎりが2つと、小さな箱が入っていた。そしてその箱の蓋を開くと、ウィンナーとポテトサラダ、そして少し形がいびつな玉子焼きが入っていた。

 玉子焼きの形が少しだけ歪んでいるのを見て、小梅は織部に尋ねる。

 

「もしかして、手作りですか?」

「・・・・・・・・・初めてなんだけど、ね。形が悪くてゴメン」

 

 視線を合わせるのが恥ずかしいのか、それとも綺麗に作れなかったことが申し訳ないのか、織部は小梅の方を見ないで謝る。

 だが、その程度で謝る事なんて無かったのに、むしろ小梅からすれば嬉しい事なのに。初めて作ったという事は、多分織部は小梅のために慣れないことに挑戦して、少しでも喜ばせようとしたのだろう。

 その心遣いを小梅は、素直に嬉しく思う。

 

「・・・ありがとう」

 

 一方で織部も、小梅の持ってきた弁当箱の蓋を開ける。左半分には白いご飯。そして目を引くような、目玉焼きの乗ったハンバーグ。そしてミニトマトと、茹でたブロッコリー。そして、前と同じく小さく切られたリンゴ。いつもながら、どれも美味しそうだった。

 やっぱり自分とは違うんだな、と織部はしみじみと思った。自炊しているから簡単な料理も多少できるとは言え、ハンバーグなんて凝った料理はほとんど作らない。

 だから少しだけ、小梅の事が羨ましかった。

 

「・・・どうかしたんですか?」

 

 気づけば織部は、自然と小梅の方を見ていた。そして小梅はそれに気づいて、織部に問いかける。

 

「・・・いや、こうして手の込んだ料理を作れる小梅さんが、羨ましいなって思って」

 

 素直に自分がどう思っていたのかを告げると、小梅は苦笑した。

 

「私だって、最初は料理はそう得意じゃなかったんですよ?自分なりに頑張って・・・ここまでこれましたから」

 

 やはり元から料理が上手と言うわけではなかったのだろう。前に小梅の母から教わって、さらに学園艦での一人暮らしで磨きがかかったと言っていたから、小梅も努力を重ねてきたという事か。

 

「僕も・・・もうちょっと料理のスキル上げようかな・・・」

 

 料理のスキルは別に持っていて無駄にはならない。織部も、こうして身近に料理上手な人がいるから、少しでも腕を上げたいと思い始めるようになった。

 そこで小梅がある提案をした。

 

「よかったら今度、教えましょうか?」

「え、いいの?」

「はい、もちろんです」

 

 小梅が本当に厚意でそう言ってくれたことに、織部はもちろん気付いている。

 そして織部と小梅は、この程度の事で気遣い遠慮するような関係ではない。だから織部はそれを断らず、その恩恵に素直に預かる事にした。

 

「・・・そうだね。よければ・・・教えてくれるかな?」

「はいっ」

 

 そこで2人は、手を合わせていただきますをし、それぞれ相手が作ってくれたお弁当を食べる。

 織部はまず、ハンバーグ。箸で小さく切り、一口食べてみると。

 

「・・・やっぱり、美味しい」

「ありがとうございます」

 

 素直な気持ちを告げると、小梅は笑って頷いてくれた。

 そして小梅は、ラップをはがして織部の作ってきたおにぎりを一口食べる。

 

「・・・美味しいです」

「え、そうかな・・・。ただのおにぎりなんだけど・・・」

 

 織部はそう謙遜するが、少し塩が利いていて、そして具の鮭フレークが味に彩りを加えていて飽きさせない。

 おにぎりを1つ食べ終えたところで、小梅が織部に尋ねた。

 

「ところで、どうしておにぎりなんですか?」

「あ、嫌だった?」

 

 小梅の質問に、織部は少し申し訳なさそうな顔をする。だがこれは質問の仕方が悪かったっとすぐに気づき、慌てて謝る。

 

「あ、そうじゃなくて、ごめんなさい・・・。ただ、私のみたいに普通にごはんにするんじゃなくて、どうしてなのかなって・・・」

「ああ、そう言う事・・・」

 

 織部が安心したように息を吐き、『えーっとね』と迷うようにつぶやいてから答える。

 

「僕の作った弁当は、ちょっとおかずが少なめだから。おにぎりにして、少しでもお腹いっぱいに近づけるようにしようと思ったんだ」

 

 確かに、ただ白米を盛り付けるよりも、おにぎりにした方が量が同じであっても普通に盛り付けたのに比べると食べた気になる。

 今、小梅の膝の上にある箱の中だけのおかずと合わせて、白米を同じ量にすると、少し物足りない感じになってしまうだろう。そこでご飯をおにぎりにすれば、多少食べた気になれる、と織部は考えたようだ。

 ちゃんと、小梅の事を考えてくれた織部は、優しいのだと再認識する。

 そして2人は、目の前に広がる景色を見ながら、お互いに自らの恋人が自分のために作ってくれた弁当を堪能した。

 

 

 ものの2、30分ほどで2人は弁当を食べ終えて、そしてまた池の周りの遊歩道を歩く。

 ところが、歩いている最中で織部の肩に一滴の水が落ちる。さらに頭や腕にまで水が落ちてきて、空を見上げてみれば雲が広がっている。そして見上げた顔にも水は落ちてきた。

 ここまで来れば、雨だという事が馬鹿にでもわかる。

 そして最悪な事に、今2人は傘を持ち合わせてはいない。

 

「ちょっと、屋根のあるとこまで走ろう」

「あ、はいっ」

 

 織部が小梅の手を引いて一緒に走り出す。だが、すぐに雨の勢いが増していき、服がじわじわと湿っていく。

 そんな服の湿気の気持ち悪さと水分を吸った服の重さに耐えながらも、織部と小梅は少し走り、やがて屋根のある東屋へやってきた。

 ベンチに座り、一息つく織部と小梅。雨の音は強く、東屋の屋根を雨が叩く音が大きく聞こえる。しかし、少し離れた場所には晴れ間が広がっているので、ただの通り雨のようだ。

 スマートフォンで天気を確認しても、雨雲はそれほど広くはない。少し待てば止むだろう。

 

「通り雨みたいだし、ここで―――」

 

 少し休もう、と言おうとしたところで織部が小梅を見ると、織部は首を勢いよく回して小梅から視線を逸らす。

 小梅がその織部の行動を不審に思ったところで、小梅は気付いた。

 先ほど雨の中を走り、決して少なくない量の雨水に晒された小梅の服は、水を吸って小梅の肌にぴったりとくっついている。そして、小梅の白のブラウスも雨で透けてしまっていて、小梅のつけている水色の下着まで薄っすらと見えてしまっていた。

 

「ッ!!」

 

 慌てて自分の身体を抱くように腕で隠すが、時すでに遅し。織部の反応からして多分、見られてしまった。

 

「・・・本当に、本当に・・・ゴメン」

 

 織部が視線を合わせようとはせずに、ハンカチを差し出して来る。小梅はそれを受け取り、自分のハンカチと一緒に身体を拭くが、気休め程度にしかならない。これは本格的に、乾くのを待たねばならないだろう。

 今話をするのは気まずすぎる。だから織部も小梅も何も言うことができない。雨の音が一層大きく聞こえて、2人の間に妙な距離感が生まれるような気がする。

 

「・・・春貴さん」

 

 そこで小梅が、話しかけてきた。織部はちらっと、小梅の方を見る。まだ服は完全には乾ききっていないようで、見られたくない部分は右腕で隠し、もう片方の手を織部に借りたハンカチを返すために伸ばしていた。

 織部は、極力小梅の方を見ないようにしてそのハンカチを受け取る。水を吸って少し湿ってしまっていた。

 

「・・・乾くまで、少し待とうか」

「そう、ですね・・・」

 

 先ほど言えなかったことを改めて言うが、小梅は恥ずかしそうに答えるだけだ。それは無理もない。

 何とかこの状況を変えたかったが、何一つとして打開策が見つからない。頭をこれでもかと言うほど回転させても、何も思い浮かばない。

 そこで小梅が、ボソッと話しかけてきた。

 

「・・・・・・見苦しいものを、お見せしました・・・」

 

 何を思ったのかそんなことを言ってきた。

 それに対して織部は即座に『そんな事はない』と反論したかったが、そこで一瞬迷う。

 もしそう言ってしまえば、織部が逆に小梅の身体に興味があるという事になってしまう(全くないわけではないが)。それは考え方次第では、織部が小梅の事を『そういう目』で見ていると捉われかねない。

 だからと言って『そうだね』なんて返してしまえば、小梅は自分に自信を無くしてしまうだろう。それに織部は見苦しいとは思ってもいない。

 素直に答えれば織部の評価は落ちる。かといって否定すれば小梅の評価が落ちる。

 世間一般で言う“詰み”状態だ。

 だが、そこで織部は1つの解をはじき出した。

 

「・・・まあ、仕方ないよ。急な通り雨だもの、予報にもなかったし・・・」

 

 こうして自然と天気の話に流れを変えて、答えを誤魔化す。我ながらにいい発想だと、織部は思っていた。

 だが、そうはならなかった。

 

「・・・・・・春貴さん」

「何?」

 

 織部が、ようやっと話題が変わったと思い返事をしたら。

 

「・・・・・・否定はしないんですか」

 

 少し哀しさを帯びるその言葉を受けて、ビシリという音が織部の心の中で聞こえた。

 全然話題を変えられていなかった。むしろ答えなかった事で、小梅の気分を害してしまったのかもしれない。

 

「あー・・・そうじゃなくて、えっと・・・・・・」

 

 正直に答えなければ、恐らく小梅は落ち込む。だが答えたら答えたでどう思われるか分からない。

 何とか答えようとするが、『自分が小梅の事をいかがわしい目で見ていると思われたくない』という考えと『小梅の不安や恐れを晴らしたい』と言う考えがせめぎ合い、どう答えればいいのか分からなくなる。

 だが織部が悩む時間が延びると、小梅は一層自信を持てなくなってしまうだろう。だから早いところ答えるべきだった。

 そして、小梅が悲しむより自分の尊厳が傷つけられた方が幾分マシだと思い至った織部は、観念して告げる事にした。

 

「・・・・・・引かないでね?」

「・・・・・・・・・・・・」

 

 あらかじめそう前置きしたのは、せめてもの抵抗だった。

 

「・・・見苦しいなんて思わなかったよ。全然」

 

 だめだ、やっぱり自分の価値が貶められたのは否定できない。もしこの事が黒森峰と織部の元居た学校の連中にバレたら、間違いなく晒上げにされる。何を言われるか分かったものではないし、女の敵と認定されても抵抗できない、受け入れざるを得ない。

 何より小梅からの好感度は絶対に下がったと断言できる。

 もう終わりだ、そう思ったところで。

 

「・・・・・・ふふっ」

 

 小梅が小さく笑った。

 それにどういう意図があるのか分からなかったが、織部は余計不安に襲われる。何で笑うのか、分からない。

 

「・・・大丈夫ですよ、春貴さん。私はそれぐらいで引いたりも嫌ったりもしませんから」

「・・・・・・本当に?」

 

 そんな織部の心配を見越してなのか、小梅がそうフォローしてくれる。けれど、まだ織部の不安はぬぐい切れていない。

 そこで小梅は、少し横にずれて織部との距離を近づける。肩に少し、しっとりとした感覚を覚えて、小梅の服はまだ完全に乾ききっていないのだという事に気付く。そして何より、今小梅の方に目を向けてはならないと織部は思う。

 だから、首が棒で固定されているかのように、織部は小梅の方は見ず正面、あるいは少し斜め向こう側を見る。

 

「・・・本当ですよ」

 

 安心感を抱かせるような小梅のゆったりとした声。織部も、小梅がそう言ってくれているのだからあまり邪推するのはよそうと思い、織部も小さく息を吐いて目を閉じ、雨の音に意識を向けた。

 小梅も、織部の肩に顔を寄せて目を閉じ、織部と同じように雨の音を楽しむことにしたようだ。

 やがて数十分ほど経ち、雨の音は聞こえなくなり、雨も止んでいた。織部が立ち上がり、空を見上げると晴れ間が見える。雲もそれほど目立っていない。

 そして、ゆっくりと小梅の方を見ると、服は完全に乾いているようで下着も透けてない。そのことに内心安心して、手を差し出す。

 

「じゃあ、行こうか」

「はい」

 

 小梅が織部の手を取り、立ち上がって公園の散策を再開した。

 

 

 午後3時過ぎに、織部と小梅は港町へ戻ってきた。そして今は2人並んで、通りに面する店を見て回っている。

 それは小梅が『少し店を見て回りたい』と言ったのもあるし、今朝エリカに言われたまほへの誕生日プレゼントを探すというのもある。

 織部も小梅も、まほに対して少なからず恩義を感じている。だからそう言う日に贈り物をして少しでも、恩を返さないとならないという考えが2人の中に芽生えていた。

 だから織部と小梅は、プレゼントによさげなものが揃った店に入っては商品を見て、まほへの贈り物に合うかどうかを調べる。

 学園艦は明日までここに寄港しているので明日改めて買いに来ても別にいいのだが、二度手間になってしまうので今日の内に済ませようと、2人は結論を出したのだ。

 

「小梅さんは、何を贈るの?」

 

 小梅がまほにプレゼントをする事は知っている。それで何を贈るのかを、聞いておきたかった。

 

「そうですね・・・・・・何か実用的な・・・万年筆みたいなものでしょうか」

「なるほど・・・・・・」

 

 織部はそれを聞いたから、自分も同じものを買うというわけではない。むしろその逆だ。

 他人へのプレゼントが小梅と被ってしまったら相当気まずいものだ。先に小梅に何を贈るのかを決めてもらい、その上で織部はそれを避けて贈り物を選ぶことにした。

 今織部たちがいるお店は、女性向けのアクセサリーや小物等を販売する店。ここには万年筆は売っておらず、小梅の目当てのものはない。織部も、この手のアクセサリーはまほとはアンバランスだと思い買わないでおく。

 しかし小梅本人は、こういうものにも少し興味はあるようで、心なしか表情が生き生きとしている気がする。

 小梅が見ているのは、髪飾り。小梅の髪は少し癖があるから、少し気になってしまうところがあるのかもしれない。

 

「何か欲しかったりするの?」

 

 小梅に近寄り、尋ねる織部。小梅は、アクセサリーを見たまま、小さく頷いた。

 

「少しくせのある髪が、ちょっと邪魔かなって思うところがあるんです・・・」

 

 自分の前髪を指先でいじる小梅。

 

「その癖のある髪も、僕は可愛いと思うけどね」

 

 嘘偽りない感想を口にすると、小梅が頬を赤くして俯いてしまう。流石に少しストレート過ぎたか、と織部は反省するが嘘を言ってはいないしお世辞でもないので撤回する気はない。

 そこで織部は、ふと1つの髪飾りが目に入った。

 

「これとかどうだろう?」

「・・・え?」

 

 織部が手に取ったのは、薄いピンク色の5枚の花弁と、黄色い雄蕊が特徴の髪飾りだ。そしてこの花が何かは、小梅も知っている。

 梅の花だ。

 

「・・・・・・小梅さんに似合うんじゃないかな」

 

 織部は、気まぐれや直感でこれを選んだとは到底思えない。小梅が目で、『どうして』と問いかけると、織部は『んー・・・』と考えるように小さく唸ってから、ぽつぽつと答えだす。

 

「・・・・・・小梅さんの名前にも入っている花だし、それにこの花・・・可愛らしくて、それでいて綺麗で・・・小梅さんに似てる気がしたから」

 

 織部も、柄にもないことを言ってしまったという自覚があるようで、少し顔が赤くなっている。

 だが、小梅はその織部の言葉が全て伊達や酔狂ではないという事は分かっている。だから、織部が自分の事を考えてこの髪飾りを選んでくれたことを嬉しく思い。

 

「・・・では、春貴さんの言葉を信じで、これを買いますね」

 

 小梅は織部が選んでくれた髪飾りを手に会計をしようとする。それを織部は見逃さず、小梅に手を差し出した。

 

「それ、ちょっと貸してくれる?」

「?はい」

 

 小梅は織部の意図が掴めず、とりあえずそれを織部に渡す。そして織部はそれを、レジに持って行って会計を済ませてしまった。

 

「・・・・・・あ」

 

 そして、白い紙袋を小梅に差し出す。

 

「はい、どうぞ」

 

 小梅は成すがままにその紙袋を受け取るが、少しだけ、本当に少しだけ拗ねたような表情で織部の事を見る。

 

「・・・春貴さん」

「なに?」

 

 その小梅の表情に気付いているのか気付いていないのか、微笑みながら小梅の事を見る織部。意地悪でやったつもりではないのは小梅も分かっているのだが、それでも少し織部の悪戯っぽい行動が少しだけ、ズルいと思った。

 

「・・・後で、お返しを楽しみにしてくださいね」

 

 小梅もまた、少し悪戯っぽく言うと織部は苦笑した。

 

「・・・楽しみにしてるよ」

 

 織部からすれば、自分の行動について反省も後悔もしていない。それに、先ほどの悪戯っぽく笑う小梅もまた可愛らしかったので、それが見れた事についても良しとしておこう。

 そう思っていると、店員の初老の女性から温かい目で見られているのに気付き、織部と小梅はそそくさと店を出る事にした。

 店を出て少し歩くと、文具屋が目に入った。小梅の買いたいものである万年筆も文房具の一種だから、売っているかもしれない。

 そう思って織部と小梅は文具屋に入る。本屋とはまた少し違う落ち着いた感じがし、陳列されている品も普通のチェーン店とはまた少し違う。その店の一角に万年筆は置かれており、分かっていたが桁がそこらの文房具とはまるで違う。いいものでは5桁もしていた。

 小梅の財布事情は織部の知るところではないが、恐らくは安いものは買わないだろうと、織部は予想する。安価なものだと逆に壊れやすかったり寿命が短かったりして、あまり使う人の役に立たない。少しでも値が張るものの方が丈夫で長持ちする。

 やがて小梅は、深緑色に塗られ金の意匠が施された万年筆を手に取った。ちらっと値段を見ると5桁には及ばないがそこそこ高いものだ。

 そして小梅は、織部にとられないように用心深く持ちながら会計に進む。

 織部も、ここでは払わないでいるつもりだった。と言うのも、小梅はまほに恩義を抱いているから、そのお礼の品も自分自身の手で買い求めて、そして手渡ししたいだろう。優しい小梅だからこそだ。

 だからここでは、織部はあえて何もしなかった。

 店長のおじさんにラッピングをしてもらい、それをバッグに入れて小梅は、織部に店を出ようと促した。

 店を出ると、太陽は少し傾き始め、空も茜色に染まっている。織部も自分の分のまほへのプレゼントを買うはずだったのだが、これまでいろいろな店を回ってきてもいまいちどれもピンと来ていない。

 文具店を出て、小梅と共にしばしウィンドウショッピングを楽しんで、あと少しで学園艦にたどり着いてしまう。明日に持ち越しかなぁ、と織部が思ったところで一軒の店が目に入った。

 それは、時計店だ。

 

「・・・・・・ねえ、小梅さん」

「はい?」

 

 一応念のために、小梅に聞いてみる。

 

「西住隊長って・・・時計とか持ってるかな。試合中」

「え?ええと・・・・・・持っていない、ような気がします・・・」

 

 小梅の記憶している限り、まほは戦車に乗っている際に時計を見ない。そして腕時計などをしているのも見た事がない。平時ならともかく、試合中に携帯で時刻を確認するなどという事はしない。

そこで小梅は気付いた。どうやら織部は、時計をプレゼントするつもりのようだ。

 織部と小梅は時計店に入る。その店はデジタル時計ではなく、文字盤と針のアナログタイプの時計を主に販売していて、壁に掛けられている時計はチクタクと心地よい音を奏でており、振り子の揺れる様子も見ていて気持ちがいい。

 だが、このような据え置くタイプの時計は、まほが持っている可能性が高く、その場合は完全に無駄となってしまうので選択肢からは外す。

 となると、自然と選択肢は携帯型の時計へと絞られていく。そして、目についたのは懐中時計だ。金属製特有の煌めきと、精巧なデザインは惹かれるところがある。

 まほが懐中時計を首に提げる情景をイメージしても、違和感はない。むしろ合う。

 値札を見ると、やはり良い物は5桁が当たり前だ。先ほどの文具店で見た万年筆よりもはるかに高く、戦慄しそうになる。中には6桁に届きそうなものまであった。

 だが、中には小梅が先ほど買った万年筆より少し高い程度のものがあったので、それにする事にした。色もデザインも悪くないし、店主のおじいさんに聞けば『他よりは安いけど、それでも十分いいものだ』と言っていたので、その言葉を信じて買った。

 決して安くはない出費だが、感謝の気持ちを示すには十分だろう。

 これで、2人とも贈り物は買うことができた。

後は、帰るだけだ。

 

 

 

「ごちそうさまでした」

「お粗末様でした」

 

 その日の2人の夕飯は、小梅の部屋で2人で作り、2人で食べた。どうも、日中ずっと2人で過ごしていたものだから、夕食だけ別々というのも少し割り切れないので、小梅の提案で2人で小梅の部屋に向かった。

 最初、小梅は織部にゆっくりするように言ったのだが、織部はそれを良しとせずに手伝う事を申し出た。小梅も、織部がそう言うだろうと思っていたのか、引き下がらずに手伝いを承諾した。そして、小梅からも少し料理をレクチャーしてもらったので学ぶべきところの多く、何一つ無駄のない時間を過ごせた。

 そして2人で協力して夕食を作り、一緒に食べて、後片付けをして今は緑茶(冷たいの)を飲んで一息ついているところだ。

 

「今日は楽しかったです・・・ありがとうございます・・・」

「いやいや、お礼なんて。僕も楽しかったよ」

 

 ハプニングと言えば、雨のせいで自然公園で立ち往生を喰らい、男がやすやすと見てはいけないようなものを見てしまった事ぐらいだが、他には別に問題はない。2人でお互いの手作り弁当を食べられたし、小梅にプレゼントを買ってあげる事もできた。懸案事項だったまほへのプレゼントも問題なく買えたので、何も案ずることはない。

 少ししたら織部もお暇し、それで今日のデートは全て終わる。

 だが、小梅は緑茶を一口飲んだところで、じっと織部の事を見つめる。それに織部は気付いて、お茶のカップを置いて小梅に顔を向ける。

 

「どうかした?」

「・・・・・・」

 

 そこで織部は気付く。小梅が少しだけだが、笑っていることに。だが、その笑みは安心感ではなく、それとは別のものを予感させるような意味ありげなものだった。

 そう認識した途端、織部に緊張が走る。何か粗相をしてしまったのかと思い込み、今までのデートでの流れを思い出す。

 だが、やはり失敗というような粗相というような出来事はやはり、ブラウス越しで不可抗力とはいえ小梅の下着を見てしまった事しか思い当たらない。あの時は気にしていないと言っていたが、やはり気に病んでいるのかもしれない。まあ、見られたくないものを見られたのだから当然とも言えるだろう。

 

「・・・・・あの、小梅さん。さっきは・・・・・・」

「春貴さん」

 

 先んじて謝ろうとするが、それを小梅が遮る。そして小梅は、おもむろに紙袋を取り出した。それは、織部がアクセサリー店で小梅に買ったものと同じだ。

 

「これを・・・・・・」

 

 まさか、気に入らなかったのだろうか。それとも、代金を織部が払った事が気に食わなかったのか。

 不安と疑問が頭の中で渦巻くが、そんな織部をよそに小梅は袋を開けて、梅を象った髪飾りを取り出す。

 

「・・・お返しを楽しみにしていてください、って言いましたよね?」

「・・・・・・あ、うん」

 

 気に入らなかった、と言うわけではないらしい。だが、その髪飾りを織部に差し出してきた。

 

「・・・・・・そのお返しの前に、これを私の髪につけてもらってもいいですか?」

「・・・それぐらいなら・・・いいけど・・・」

 

 小梅の意図が掴めないまま、織部は髪飾りを手に取る。そして一度立ち上がり、テーブルを回って小梅の傍に座る。テーブル越しでやるのは少し難しいからだ。

 

「どこにつければいい?」

「・・・・・・このあたりで」

 

 小梅が、左目にかかる前髪を指差す。そして小梅は目を閉じた。

 織部は、髪が乱れないように慎重に髪飾りをつける。その過程で小梅の髪に触れざるを得なかったのだが、小梅の髪はとても肌触りが良くて、男の自分なんかとはまるで違うと織部は思う。触れていてとても心地良いものだったが、あまり長いと逆に小梅を不安にさせかねないので、早々に終わらせる。

 つけ終えると、小梅の前髪少し横に払われて、髪飾りがアクセントになって美術的センスに自信のない織部も『いい感じ』だと見える。

 

「終わったよ」

 

 織部が告げると、小梅は目を開いた。

 そして今、織部は小梅に髪飾りをつけるために座っていたから、小梅との距離は近い。

 つまり。

 

「・・・・・・んっ」

「!」

 

 小梅が織部の不意を突き、織部の唇を奪うには十分の距離だった。

 突然の出来事に織部も動揺を隠せない。不意打ち気味のキスはこれで二度目だけれども前兆が無かったから心の準備もできていない。

 けれどその焦りや動揺すらも、こうして唇を重ねるだけで薄れていってしまい、他の事が考えられなくなってしまう。

 やがて、唇を離した小梅はいつか見た悪戯っぽい笑みでこう告げた。

 

「・・・お返しです」

 

 不意打ちなのも含めて、だろう。一本取られた、とばかりに織部が小さく笑うと、小梅も同じように笑う。

 

 こうして、2人にとって初めてのデートは、幕を閉じた。

 




チューリップ
科・属名:ユリ科チューリップ属
学名:Tulipa spp.
和名:鬱金草
別名:ウッコンソウ
原産地:中央アジア、北アフリカ
花言葉:不滅の愛(紫)
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