ダンジョンで情報を探るのは間違っているだろうか   作:怠惰ご都合

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きっかり一ヶ月での投稿に前回とは比べようがない程驚いてますのは、何を隠そうこの私です。
今の投稿間隔に『ぶり返し』がいつ来るのかビクビクしてますが、それは一旦放置です。
それでは、どうぞ!


悪戯と君の顔

 「・・・・くぁ」

 

 結局アレ以降は寝ることができず、考えることしかできなかった。

 うわ、すんごい眠いってのに目が冴えてるとか何コレ。

 

 「んしょ・・・っと」

 

 未だに寝ているミレアを起こさないように、静かに体勢を変える。正確にはミレアに向き合う。

 村にいた頃はお互いに遊んでるだけで十分楽しかった。

 近所の大人に悪戯して、一緒に怒られた。

 かくれんぼをしてて、木の上に隠れたはいいが降りられなくて泣いてるミレアを見つけた。

 こっそり後ろから近づいてミレアをびっくりさせようとしたら、逆に驚かされた。

 “冒険だ”なんて言って二人で洞窟に向かったのに、風の音が怖いからって入り口のところで引き換えした。

 走って転んで泣いたときには、変にお姉さん振られて慰められた。

 

 「・・・・ふむ」

 

 そっとミレアの頭に手を置いて、静かに撫でる。

 確かに、撫でるのも悪くない。

 こう、満たされる感じが・・・・そんなことを考えていると、くすぐったいのかミレアがちょっと動く。

 もう一回撫でるとまた動く。

 これ、面白いな。

 このまま起きるまで続けてみようか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・・・マズイ」

 

 反応が面白くて暫く続けているとマズイ事になった。

 ミレアが起きた訳じゃない。

 では何がマズイのか。

 ミレアは丸くなっていた。

 しかも、頭が僕のお腹より少し上の位置まで迫っていた。

 ・・・・起きたら氷漬けにされる事、間違いないな。

 では、ここで変えてみよう。

 頭を撫でると動くようだが、頬をつつくとどうなるのだろう。

 後が怖いなぁ・・・・まぁ止めないけどね。

 

 

 「・・・・つんつんってね」

 

 2回ぐらいやってみると、すっとミレアの手が動いた。

 

 「ほれほれ」

 

 更に2回つつくとミレアの両手が、僕の手を掴んだ(・・・)

 

 「・・・・おや?」

 

 包んだ、ではなく掴んだ。

 おかしい・・・・さっきまでと反応が違う。

 

 「うりうり」

 

 それでも続けると段々力が込められていき、ミシミシと軋んでいく。

 

 「・・・っ!?」

 

 痛みのあまり顔を顰めてしまう。

 いくら力加減が利かないからってこれはおかしい。

 ほ、本当にエルフかこの子。

 とにかくこのままだとエリクサーのお世話になること間違いない・・・・・こうなったら!

 

 「こ・・・のっ!」

 

 撫でる事にする。

 考えはこうだ。

 撫でるのを止めてつついた事でこんなに痛い目に遭っている。ということは再び撫でる事でこの痛みは消えるだろう。

 そう思っていた・・・・・のに。

 

 「イタタタタタタッ!」

 

 僕の考えた通りにはいかず、寧ろ悪化している。

 そしてこの時、気づいた。

 いくらなんでもこの力は故意でなければ納得いかない。

 つまり・・・・・

 

 「・・・・・おはよ」

 

 「おはよう!」

 

 ミレアは起きている、ということだ。

 しかもご機嫌。

 まぁ返事の速いこと速いこと。

 

 「よく眠れた?」

 

 「えぇ、お陰様で目覚めスッキリよ。なんだったら《魔法》撃ち込んだって外さない自信あるわ!」

 

 「できれば、僕以外を狙ってくれると助かるなぁ。さっ、起きよっ・・・・・ぐぇ」

 

 「起きるのはいいけどね、その前にこの状況を説明するのが先じゃない?」

 

 く、首が。

 体を起こそうとしたら服の襟を掴まれて、すんごい苦しい。

 

 「・・・・・」

 

 「話さないって言うなら、ずっとこのままだから。寧ろどんどん引き込んで行くから」

 

 どうする。

 無理に逃げようとすれば【ギルティ・バインド】で拘束されて終わりだ。

 かといって“反応が面白いから”と正直に伝えても同じ道を辿るだろう。

 

 「大人しく白状したほうが・・・・・」

 

 抵抗は諦めよう。抵抗は諦めよう。

 このままミレアの気が済むまで大人しくしていよう。

 ばふっ、とベッドから音がなる。

 そして隣では口を開けたままミレアがこっちを見ている。

 仕掛けるならここしかない。

 

 「な・・・・・何よ?」

 

 「かわいかった、から」

 

 「・・・・ぇ?」

 

 「くすぐったそうにしてる姿が、かわいかったから。本当は撫でてたんだけどね、つつかれてる方がいじらしくて」

 

 「ふえぇ・・・」

 

 ミレアの顔が段々赤くなっていく。

 

 「な、いきなり何てこと言うのよ。別に、嬉しくなんて・・・・で、でもぉあなたがどうしてもって言うなら、私は・・・そんなぁ」

 

 と思ったら今度は自分の世界に旅立ってしまった。

 なんか、昨日あたりから変だよね。

 そんなにいいことあったのかな。

 誰か知ってたら教えてね。

 まぁそれはともかく、抜け出すなら今のうちだ。

 幸いにも、彼女は両手で顔を覆ってゴロゴロしているから楽に出られるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・・さてと」

 

 実は昨日、正確には首飾りに取り組んでいる時考えていた事がある。

 今の自分には魔剣が打てるのか。

 何度試せば成功に至るのか。

 仮に完成したとしてどのくらいの威力があるのか。

 ひょっとしたらできないかもしれない。

 結局完成しなくて心が折れるかもしれない。

 

 「まぁ、物は試してからってね」

 

 等分の間ミレアはあのままだろうから、実行するなら今しかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 素材を熱して槌で叩いて伸ばす。

 形が変わるまで何度でも。

 少し伸びたらまた叩いて伸ばす。

 ただひたすらこれの繰り返しだ。

 

 「・・・・あっつ」

 

 甲高い音が鳴り響き、叩いたところは微かに平らになる。

 形は決まっている。

 持ち運びしやすいナイフ。

 切っ先鋭く、邪魔にならない大きさ。

 

 「・・・・っ!」

 

 願うのは今も扉の先で喜んでいるであろうミレアの手助け。

 2種の魔法で攻める彼女だが、止めは得物によるものが多い。

 つまるところ、彼女の魔法は“攻撃手段の1つ”でしかない。

 故に圧倒的な力で『決める』大型魔法を持っていない彼女は手数で戦うしかない。

 かと言って“今すぐ習得して”というのは無理な話だ。

 だから、彼女の手数を増やすためのこの行動は「パーティーメンバー」として最適と思えるのだ。

 

 正直、無謀なこの行動は所詮一時しのぎでしかない。

 しかも、『魔剣』とは魔法を撃てるとはいえ、威力はオリジナルたる『魔法』に及ばないし、使用頻度が多ければ限界を迎え砕け散る。

 

 「余計なお世話・・・・ってまた、言われるのか、なっと!」

 

 実は『魔剣』を打とうとしたのはこれが初めてではない。

 今までにも何度も打とうとしたのだが、その都度ミレアに見つかり、却下されてきた。

 

 “私が力不足だって言いたいの?”

 “アンタがソレ作ったとしても、マトモに使える前に砕けるのがせいぜいよ”

 “アンタがいればそれで私は十分だっての”

 

 ちなみにこれらが今までに言われてきた内容。

 前の2つは傷つくし、最後のはよくわからんな。

 僕、大して強くないのにそんなに当てにされても困るんだけど。

 

 「ま・・・・それでもやるんだけど、ねっ!」

 

 ここで、属性について少し考える。

 全てを薙ぎ倒す風か、悉くを燃やし尽くす程の炎か、跡形もなく流しさる水か。

 彼女が完全な後衛ならそれでもいいだろう。

 しかし、場合によっては前衛も行う彼女に合わせるならどれも違う気がする。

 

 「だったら、決まりっと!」

 

 常に先手を取れる程に速く、時に目眩ましで怯ませ隙を作る。

 その2つが可能なソレは雷。

 前衛後衛のどちらにしろ、攻守ともに役立つ属性。それも、彼女の戦闘(バトル)(スタイル)と相性のいいものを。

 

 「じゃあ・・・・・もうひと踏ん張り、っ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よしっ・・・じゃあ休憩、ふう」

 

 一区切りついたところで少し部屋を出る。

 流石にずっと立て籠もっていても集中力はそんなに続かない。

 それにミレアの様子が気になる。

 今までの経験上、何かしら理由づけて侵入してきた彼女だが、今回に至ってはそれがない。

 流石に心配になるというものだ。

 

 「ミレア〜やけに静かになったけど、ひょっとして寝て・・・」

 

 ちらっと覗いてみたが、その姿がどこにも見当たらない。

 扉の陰で待ち構えているのか、ベッドの下に隠れているのか、棚の陰に潜んでいるのか、このどれかかと思ったのだが、どこも違う。

 

 「一体どこに・・・・・あっ」

 

 この工房唯一の出入り口たる扉が空いている。

 それが示すのは来客か、ミレアが出ていったかの2つはなのだが、来客の予定など今までにも数えるほどしかなかったから、恐らく・・・・というか絶対後者だコレ。

 行き先は恐らくヘファイストス様だろう。

 以前にも楽しげに談笑しているのを見かけた事がある。

 その時の話のネタは僕だった気がするから、今回もそうだろう。

 そんなに自慢したくなる内容なんて最近は・・・・・思いっきりある。

 

 「っ!」

 

 急げ、ミレアが全てを話す前に。

 間に合え、話を聞き終えたヘファイストス様がニヤニヤする前に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヘファイストス様の部屋が見えてきた。

 しかしミレアの姿は見当たらないからどうにか防げただろう。

 後はヘファイストス様にミレアを追い返すように伝えて・・・・

 

 『それでですね、聞いて下さいよヘファイストス様ぁ。ルミトってば、寝てる私に悪戯しようとして、バレないように必死に隠すんですよぉ!かわいいじゃあないですかぁ』

 

 『あら、あの子がそんな事するなんてちょっと意外ね。でもどうして知ってるの?』

 

 『それはもう、寝たフリだからに決まってるじゃあないですか!私がルミトよりも遅くに起きるなんてありえませんよ。仮にそんなことしようものなら、ルミトのかわいい寝顔が見れないじゃないですかぁ!』

 

 扉を開けようと伸ばした右手を過去最速で引き止めて、脇の壁に立つ。

 ・・・・防げてないじゃん!

 しかも間に合う以前に手遅れだし!

 終わった。

 悟った今なら予想できる。

 当分の間いじられて何かと質問される。

 すんごい恥ずかしいから困る。

 

 「・・・・あ〜時に主神様よ、手前はいつまでここにいるのが正解だ?」

 

 ・・・・・予想したよりも人が多いな。

 今の声は聞き間違えようもない。

 名を椿・コルブランド。種族は『ハーフドワーフ』でLv.5。

 【単眼の巨師(キュクロプス)】のニつ名と、最上級鍛冶師(マスター・スミス)の称号を冠する【ヘファイストス・ファミリア】の団長。

 自作の試し切りという体で迷宮(ダンジョン)に潜り続けて第一級冒険者に上り詰めたおかしい女性(変わり者)

 ヘファイストス様とは反対の目に眼帯をしている。

 一見不真面目に見えるが作品に対する熱意と実力はオラリオ屈指だ。

  ・・・・・付け加えるなら、僕をからかう想像力はヘファイストス様にも引けを取らない。

 普段はとても楽しそうにミレアの話を聞く団長が“もう行っていいか?”と言い出すということは全て筒抜けになっているのだろう。

 つまり今ヘファイストス様の部屋では、ヘファイストス様・団長・ミレアが話し込んでいる事になる。

 あれ、コレひょっとしなくても詰んでます?

 どうしよ・・・どうする、正直ダンジョンいるほうが遥かにマシな位だ。

 ここはいっそのこと何も知らない振りして工房に戻るべきか。そうだそうしようそれがいい。ウン、何も聞いてないし何も知らない。さぁ戻ろう。見つかる前に早く・・・・・

 

 「なぁ、お前もそう思うだろうルー吉よ?」

 

 「ぴぃ!?」

 

 ガチャッと扉の音が聞こえるよりも先に団長の腕が僕の首に絡んだ。

 

 「何をそんなに驚く?ルー吉の事だ、主神様の部屋に入ろうとしていたのだろう。だったら手前と共に入れ。というかお前がおらんとからかい甲斐がない」

 

 「だっ団長!?僕はそんなつもりじゃなくて、えとえと、たまたま通りかかっただけで・・・・」

 

 「ふっふっ何を誤魔化す?どうせ入る機会を伺っていたのだろう?手前が手伝ってやるからさっさと来い」

 

 「ぴゅいっ!?」

 

 逃げようとしたのだが、ミレアにも力で敵わない僕がLv.5の力に逆らえるはずもない。

 くそっ、ホントに振り解けないな・・・ぐぇ。

 

 「安心しろ。お前が手前に力で勝てないことなど、とっくに承知しておる」

 

 抵抗虚しくずるずると引きずられ、部屋に入ることになってしまった。

 

 




さぁ前回から格好良くなりつつあり、その上今回は悪戯もしたルミトよ、飴の次は鞭と相場が決まっているのだよ(何様)。
・・・・・まぁ、それ考えんの私なんですけどね(遠い目)。
それでは、また次回!
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