ダンジョンで情報を探るのは間違っているだろうか   作:怠惰ご都合

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間に合ったああああぁぁぁっ、なんとか1年経過する前に投稿できまし・・・・・・えっ、もう8月中旬・・・・はえぇ?
コホン、失礼取り乱しました。ま、まぁいつもの深夜テンションだとでも思ってください。そしていつものようにお待たせしました。


直接伝えたくて

 「さっきは・・・・・ごめん」

 

 「今日は帰って、今は顔を見たくないの。ダンジョンの打ち合わせならまた明日、ちゃんとするから。だからお願い、今日は・・・・・・このまま帰って」

 

 やっと返ってきた言葉も、やっぱり変わらない。

 

 開けようと思えば簡単に開けられる簡素な扉。今までにも、気軽に何度も開けてきた扉。なのに、今回はそれが出来ない。悪いのは自分だと理解してる。それに、今の気持ちを伝えるなら言葉でないと、意味がないから。

 

 「嫌」

 

 「・・・・帰って」

 

 「嫌だ」

 

 「・・・・帰ってよ」

 

 「嫌なんだ」

 

 「・・・・・・・なんでよ、なんで帰ってくれないの。もう、嫌なの。もう傷付きたくない、裏切られたくないの。だから帰って欲しいのに、なんで・・・・・・」

 

 「やっとの想いでミレアが伝えてくれたのに、それなのに自分は気持ちを伝えてないから。ちゃんと応えてないから」

 

 「・・・・・別に無理に答えてくれなくていいわよ。ルミトの事だもの、やんわり断ろうとしてくれるたんでしょう?無理してまで・・・・・」

 

 「・・・・無理してる訳じゃないんだ」

 

 「じゃあ、どうしてよ?」

 

 「怖かったんだ。今までの関係が壊れてしまう事が。仮に違ったら、自分だけの勘違いだったら、もう二度と今までのようには接してくれないんじゃないかって・・・・・そう思ったら怖くなって言えなかったんだ」

 

 最初からそう言えたらどんなに楽だっただろう。いつでも言う機会はあったのに。今までに伝えれていれば、こんな想いをすることも無かったのに。

 

 「それに、せっかくなら直接顔を見て伝えないといけないって思ったから。・・・・・・けどまぁ、顔も見れないし、今更何言ってんのって感じだけどさ」

 

 今まで散々目を背けてきておいて身勝手なことを言っているのは解ってる。どれだけの間ミレアを悲しませてきたのか、それを忘れて都合のよい事ばかり口にしているのか。今だって、こうして答えているという事が、どれだけミレアを傷付けているのかということも。

 

 「・・・・・・相変わらず気づくのが遅いのよ」

 

 扉が静かに開いて、ミレアの姿を確認できた。泣き腫らした目に、いくつもの涙の跡。小さい頃に何度も見てきて、そしてもう見たくないと思っていた表情。

 

 「私だって、怖かったんだから」

 

 「・・・・・うん」

 

 「何度もサーちゃんに相談したし、ヘファイストス様に愚痴を聞いてもらったし、その度にヘルメス様には揶揄われるし」

 

 ・・・・・・・・えっ、そんなに?いやいや、元はと言えば全部自分の所為なんだし口を出す訳じゃないけどさ、外堀から埋めてくるなんて、君そんな感じだったっけ?一体いつの間にそんな根回ししてたんだ、今までそれでよく消されずに済んできたな・・・・・僕。

 

 「だって、あんなにわかりやすく伝えてるのに、全然気づいてくれないんだもの」

 

 ・・・・・違う、そうしないといけなかったんだ。そうしないと気づいてもらえないって、僕の態度が思わせていたんだ。っていうか、やっぱり今までのは思い過ごしなんかじゃ無かったんだね。いや・・・・そうねウン、嬉しいけど恥ずかしかったから素直に受け止められませんでした・・・・・なんて言っても怒るよね普通。

 

 「・・・・・で、正直なところどうなの?」

 

 「言わないと、ダメ?」

 

 「ダメ」

 

 やっぱりそうなるよね。でも、でもさ、即答しなくたっていいんじゃないかな。できれば直接言うのは恥ずかしいからかいひしたいのに。

 

 「・・・・・ひょっとしたらそうなんじゃないかなーって、思ったりはしましたけど」

 

 「けど、何よ。ほら早く続き言ってみなさい?怒らないから」

 

 「・・・・・・」

 

 嘘だ。だってミレアが怒らないって言って、その通りだったことなんて、今までで数える程しかないんだぞ。

 ちなみに、今までのそういう時(・・・・・)って大体の割合で・・・・・・・・無言の圧がやってくる。

 現時点ではにこやかだけどさ、本音を言えば既にこの時点で怖い。怒っても当然無事では済まないし、怒らなくても無言の圧力が待ってる・・・・・・・・あれ、ひょっとしなくても僕終わってません?

 

 「・・・・・・・・」

 

 視線を動かせば、静かに視界に入ってくる。首を動かしても、それでも追ってくる。そのまま両手で顔を固定され、無理矢理向き合わせられる。頬に触れる手が冷たいのは自分が照れてるからかもしれない。これ以上は恥ずかしい、そう思って目を瞑る。

 

 「・・・・・・・ふーん、そういうことしちゃうんだ」

 

 例え寂しそうな声であろうとなんと言われようと、今は正面から見るわけにはいかない。だって恥ずかしいから。

 

 「目を開けてくれないの?」

 

 目を開けたら正面から向き合う事になるし、そうなったら自分は照れるだろうし、何より今までの態度が申し訳ない。

 

 「お願い、目を開けて」

 

 今の状況だって傍から見れば『なにやってんだ』って言われること必至なのに、これ以上なんてとてもじゃない。

 

 「・・・・・・こっちを、見て」

 

 声が震えてる。それ以上にミレアの手から震えが伝わる。

 

 「・・・・・」

 

 「やっと、見てくれたね」

 

 久しぶりに真正面から見たミレアの顔は、真っ赤になっていた。白い肌も、背中のあたりでまとめた薄茶色の髪も、真っ直ぐに見つめてくる澄んだ瞳も、エルフの特徴として有名な長い耳も、やわらかくも芯の籠もったよく響く声も、周りにいる人を落ち着かせてくれる雰囲気も、全部が本当に久しぶりだった。それ程までに、長いこと見てなかったんだ。

 

 「・・・・・真っ赤じゃん」

 

 「今のあんたに言われたくないわよ」

 

 絶対に言われると思ったよ。だから目を合わせるの避けてたのに。

 

 「いつからかしら、気づいたらあなたの横顔を見るようになってたの」

 

 「いつからだろうね、気づいた時には君の顔を真っ直ぐ見つめる事が出来なくなってたよ」

 

 それは紛れもない本心。

 ずっと言おうと決めてたのに、臆病な僕は先延ばしにしてしまっていた。その結果がこれだ。ミレアの顔を久しぶりに見ることになってしまった。最後に見たのはいつだっただろう。こうやって向かい合って話すのはいつ以来だろう。

 

 「ホントはもっと前に伝えるつもりだったのに」

 

 「ずっと、素直に伝えようって思ってたんだけど」

 

 あの時の幼さを残しつつも綺麗だと感じるのは、贔屓目かもしれない。その理由は彼女がエルフに生まれたからなのか、それともミレアだから(・・・・・・)なのか。僕としては後者だと思っているが、詳しく知りたいと言い出したらヘファイストス様あたりには野暮だと笑われる気がする。

 

 「・・・・・・っ!?」

 

 ふと、ミレアが未だに震えてる事に気づいた。

 

 「どうしたの?」

 

 「私、随分と矛盾した事を・・・・してたな、と。ほら、あんな事言ってたのにルミトの気持ちも聞かずに帰ってさ。せっかく追いかけて来てくれたのに、ヘルメス様に頼んで追い返そうとしたし、さっきなんて話も聞かずに帰って・・・・なんて」

 

 「別に、気にしてないし」

 

 「・・・・・でも」

 

 「信じてもらえないかもしれないけど、嘘じゃないよ。だって今までに僕が、知らない間にミレアにしてきた事だから。寧ろ、やっと何分の一かってくらいじゃないかな。だからミレアの気持ちを考えたら、全然苦じゃないんだよ」

 

 「・・・・・・・・嘘」

 

 「ホントだってば」

 

 相変わらず強情だなぁ・・・・・・・・いや、それはお互い様か。少なくとも僕が言える立場じゃない。だけど困ったな、どうしたら信じてもらえるんだろう。

 

 「なら、簡単にわかるような形にして。言葉でも態度でも、なんでもいい。とにかく、1番伝わるようにして」

 

 下手に取り繕わないって、ついさっき決めたばかりなんだ。例え間違っていたとしても、今更だって笑われようとも、本心を伝えるんだ。

 

 「・・・・・・・ごめん」

 

 「欲しい言葉と違う」

 

 「うん・・・・ごめん」

 

 「だから違うって・・・・っ!?」

 

 口で言うのは恥ずかしいから、今はこれで許してもらいたい。それにこうすれば見つめられる事もないんだから。

 静かに、目の前に立つミレアを抱き寄せる。腕の中でバタバタと暴れるけど、そんなにヤワな鍛え方はしてないつもりだ。

 

 「これでも・・・・・ダメ?」

 

 「ダメじゃ、ないけどっ、なんか違う!」

 

 「?」

 

 「これは・・・・・ズルい、ょ」

 

 「確かにズルいかもしれないけど、今の気持ちをはっきり伝えるにはこれが1番なんだ。それに、これは今回が初めてだと思ったから。今までみたいのよりも遥かに印象に残りやすいだろうから」

 

 「それはそうかもだけど、えっとね今までこうなれたらいいなって思ってたのに、いざ実際にそうなったら・・・・・・恥ずかしい、なんて」

 

 「僕だってそうだよ」

 

 言葉より、これ(行動)で信じてもらう方が僕らしいと思ったから。だけど、同時に思った。今までのよりも何倍も恥ずかしいって事に。自分の顔が熱くなってるのを感じながらも悟られないように、右手でそっとミレアの頭を撫でる。昔は何かと泣く事が多くて慰められてたけど、実際にやるとこんな気持ちになるなんて、知らなかったな。

 

 「だけど・・・・・これじゃ」

 

 えっ、まだダメなの?これ以上の方法なんて思いつかないし、正直この状態を続けること自体が既に限界なんで、注文されても無理なんですけど。

 

 「ルミトの顔が見えない、ょ」

 

 あっなんだ、そんなことかぁ。恥ずかし過ぎて、自分でもどんな顔してるか想像できないから見なくていいって言うのに、全く心配性なんだから。・・・・・・そろそろ勘弁してよ、これ以上なにをどうしろっていうのさ。

 

 「・・・・・?」

 

 あの、あんまり動かないでもらっていいですかね。見上げてきたり、動こうとするとくすぐったいんで色々とキツいんですよ。ですからハイ本当に助けて下さい。別に誰がどうとか方法がどうとか、そういうの問わないんで出来れば早急に。

 

 「・・・・・・」

 

 色々と手一杯で気づくのが今更になったんだけどさ。なんか、しおらしくなったような気がする。

 

 ふと、体をぎゅっと抱きしめられる。

 

 「・・・・・えっと」

 

 「何も言わないでよ恥ずかしいんだから」

 

 今にも消え入りそうな声で遮られたら大人しく従うしかないわけで。こっそり視線を動かしてみると、耳の先まで真っ赤になってるし、ぷるぷる震えてるし、なにこのいじらしい生き物。あまりにいじらし過ぎて揶揄いたくなって・・・・・・・・いや、なんか人のこと言える立場じゃないからこれ以上は辞めておこうかな。

 

 

 

 

 




ということで、なんとか前回の作者の期待を裏切らずに済みました。関係が気不味くなることは無かったですが、気恥ずかしくなってしまったのは御愛嬌ということで、ココは一つ。まぁこのまま、もう少し続きますので何卒お待ち下さい。きっと今後の作者がいつもの深夜テンションでなんとかしてくれるでしょう、多分(・・・・・えっ)
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