ダンジョンで情報を探るのは間違っているだろうか 作:怠惰ご都合
短いとは思いますが、楽しんで頂けたら嬉しいです。
「懐かしい・・・・・・って言ってもまだ二年かぁ」
ルミトは自分で作った武器や防具を纏めながら、二年前の事を思い出していた。
あの後、何日か経ってオラリオについた二人は別々の【ファミリア】へと入団した。
ルミトは大勢の
そして現在、入団当時の回想から戻り、素材を切らして絶賛手持ち無沙汰中のルミトは何をしようか悩んでいた。
「何よ、しんみりしちゃって」
そう、毎日当たり前のようにルミトの工房へと入り、こうして声をかけてくるミレアをどうやって追い出そうか悩んでいたのだ。
「・・・別に何でもないよ」
「そ。なら、今から【ダンジョン】に行きましょ」
「嫌だね」
「じゃあ、素材も無いまま何を作るつもりなのよ?」
「・・・・・・」
「意地張ってないで行くわよ!」
「・・・はいはい」
最初の反論は意味をなさず、ルミトは結局付き合わされてしまう。
渋々、工房を出て廊下を進み、自らの主神であるヘファイストスに一言伝えようと彼女の部屋へ入ろうとした時、部屋の中から話し声が聞こえてきた。
どうやら先客がいるようだ。
「ヘスティア、教えてちょうだい。どうしてあんたがそうまでするのか」
「・・・あの子の、力になりたいんだ!」
「今あの子は目標の為に、危険な道に足を踏み入れようとしている!。なんの力にもなってやれないボクの代わりにあの子の助けになる武器が必要なんだ!」
そして、ヘファイストスが椅子から立ち上がる音が聞こえる。
その音を聞いただけでルミトは主神の行動を把握した。
「・・・・やっぱり優しいね、ヘファイストス様は。困ってる人を放って置けないんだからさ」
ルミト自身、ヘファイストスに救ってもらったからわかる。
そしてその優しさは【ファミリア】の皆も知っている。
「何してんの?早くしてよね!」
先を歩いていたミレアが戻ってきた。
ルミトはノックをしてヘファイストスの部屋へ入る事にした。
「・・・・ヘファイストス様、ルミトです。入っても?」
「ええ、いいわよ」
ガチャっという音と共にルミトはドアを開ける。
中には二人の神がいた。
右目を眼帯で隠した赤髪のヘファイストスと、ツインテールに結った髪をぴょんぴょんと跳ねさせている幼い容貌のヘスティアだ。
ルミトは何回かジャガ丸くんの売店でヘスティアを見た事があるからすぐにわかった。
「今からダンジョンに出てきます」
「あら、ルミト。珍しいわね、あなたが出掛けるなんて。一体どんな風の吹き回しなの?」
「・・・・・別に。切らした素材を集めに行くだけですよ」
「そう。気をつけてね」
「それじゃ、行ってきます。ヘスティア様、失礼しました」
挨拶をして扉を開けようとするが、ルミトはその前に足を止め一言付け加える。
「ああ、それとヘファイストス様、優しすぎですよ。部屋に入らずともわかります」
後ろで口をぱくぱくさせる主神も構わず、ルミトは部屋を出た。
扉の前ではミレアが壁に寄りかかり立っていた。
「じゃ、行きましょ!」
「はいはい」
そして二人はダンジョンへと向かった。
「ああ、もう!全然切りが無いじゃない!」
「愚痴はいいから手を動かしてよ!先に進めないじゃないか!」
ダンジョンへと進んだ二人を待っていたのはキラーアントの群れだった。
数は五匹前後。
わしゃわしゃと群れた姿からはおぞましさすら感じる。
そして厄介なことに、キラーアントは瀕死の状態に陥ると特別なフェロモンを発散し、仲間を呼びよせてしまう。
だから、早く仕留めないといけない・・・・・・のだが。
「本っ当に減らないわね、こいつら!」
瀕死の個体に止めを刺せず、数が増える一方である。
「仕方ないなぁ、もう!」
ルミトは魔法の使用を決意する。
現在二人がいるのは7階層。
今回の目的地である10階層までの道のりはもう少し。
しかしこんなところで止まっていては、いつまでたっても進めないのだ。
ルミトはやむなく『詠唱』を唱える。
「【猛り
唱え終わるとそれは淡い光となりミレアを包み込む。
これはあの日、村を発つ前に手に取った本から得た魔法。
あの本は読むだけで資質に応じた魔法が発言する「
ミレアの方も同様だ。
後に本人から聞いた。
魔法名は【スケール・ヴェール】。
効果は基本アビリティを一つだけ1段階上下させる事が出来る。
今回対象としたのはミレアの魔力。
これにより、魔法の威力が少しだが向上する。
「【嘆くは己が侵した罪。誇るは自身の開いた道】」
ミレアは足元に
詠唱を終えると突如現れた光が瀕死の個体を拘束する。
これがミレアが「
【ギルティ・バインド】。
相手を拘束し、体力を減少させるという効果を持つ。
対象を拘束したことを確認した二人は、残りのキラーアントの殲滅にかかった。
「・・・・・終わっっったーー!」
「あー疲れた。
キラーアントの群れを片付け、他のモンスターがいない事を確認した二人は休息を取っていた。
周囲には倒したモンスターの魔石が散らばっていた。
「ほらミレア、早く魔石を回収するよ」
「えー、もうちょっと休んでからでも」
「取り分の割合変えようか?」
「わかったわよ。やるわよ!」
モンスターにとって生命力の『核』である『魔石』には、魔力が込もっており、『ギルド』に持っていけば換金してくれる。
故に冒険者にとっては主な収入源となるのだ。
「ほら、早く終えて10階層に行くよ。『ドロップアイテム』が欲しいんだからさ」
「・・・・・は~い」
魔石を回収した二人は途中で何回か戦闘を挟みながらも、無事に目的地である10階層へと辿り着いていた。
「それで?お目当ての物は何なのよ?」
「今回はねぇ、『オークの皮』」
「オークって・・・・・・ホントに言ってるの?」
「そうだけど?」
二人が話し込んでいるとズズンと地響きが近づいてくる。
そして二人は三体のオークを視認した。
どの個体も
「・・・・はぁ。仕方ないわね。早く終わらせるからね」
「そう言ってもらえて助かるよ!」
ルミトは槍を、ミレアは弓を構え、それぞれオークとの戦闘を開始する。
それではまた次回。