ダンジョンで情報を探るのは間違っているだろうか 作:怠惰ご都合
ルミトはミレアが本日二回目の詠唱を唱えたのをオークと対峙している中で聞いた。
使用する魔法は【ギルティ・バインド】のようだ。
恐らく三頭目を足止めするのだろう。
そんな事を考えながら、ルミトはオークに傷を与えていく。
そして、目の前のオークが倒れたのを確認すると、すぐに次の対象へと向かった。
ミレアは詠唱を終えると、ルミトと共に二体目を倒し、拘束中である三頭目へと向かっていった。
「これで終わり・・・なのよね?」
「うん。《オークの皮》も回収できたから戻ろうか」
魔石と『ドロップアイテム』をすべて回収し、二人は地上を目指した。
7階層の中場でブルー・パピリオを見つけた。
透き通った4枚の翅を持った蝶のモンスター。
7階層の中でも絶対数の少ない
「・・・ねぇ、見たわよね」
ミレアの声が聞こえてくる。
正直なところ、続く言葉は判っている。
「『ブルーパピリオの翅』、取るわよ!」
「・・・・・」
・・・・知ってた、というか予想通りだった。
今までにも彼女とパーティを組んでそのたびに同じ事を言われてきた。
自分の《スキル》だから仕方ないとは理解しているが、彼女がここまでだったかと思うと、素直に納得しかねてしまう。
「・・・・・昔と一緒、なのかなぁ」
「早く決めてよね!」
「・・・・はいはい」
ミレアに急かされるまま僕は【スケール・ヴェール】を唱えた。
魔法で強化された彼女の【インバーテッド・ロード】がブルーパピリオに命中した。
ブルーパピリオは消え、魔石と『ドロップアイテム』だけが残った。
「さ、帰りましょ!。分け前は後で決めるわ」
上機嫌で前を歩くミレアに呆れていると、大きなカーゴを見かける。
「・・・・・?」
「・・・どうしたのよ?」
思わず足を止めているとミレアが戻ってきた。
「・・・ほら、あれ」
「あぁ、今年もやるのね」
「知ってんの?」
心当たりがあるような素振りをしているから訊いてみることにする。
「
「【ガネーシャ・ファミリア】がねぇ」
「えぇ、ああやってダンジョンから引っ張ってきたモンスターを
「へぇ~・・・・・ん?」
ミレアの説明に感心している中で、一つの疑問が湧いた。
彼女は僕と同じ日にオラリオに来て以来、【ファミリア】の用事が無い日はほぼ毎回僕に絡んでくる。
オラリオに来てから催しを見る暇もなかったはずだ。
・・・・・失礼だが、ミレアがそんな情報を知っていたとは思えない。
つまり、
「受け売り、だろ?アスフィさん辺りの」
「・・・・・・・さ、戻るわよ!早くしてよね!?」
ついさっきまで自信に満ちていた顔が一瞬で消えた。
彼女は勢いよく急旋回したかと思うと上の階層へと上がっていった。
そこで、自分も今までに催しの類を見ていない事に気付いた。
「・・・・まぁ、確かに見てみたい気はあるね」
一人だけで行くのもアレだ。
せっかく説明してくれたんだから誘ってみよう。
「ミレアー」
「・・・・・・?」
呼びかけると元気なさそうに振り向いた。
「まださ、よくわかんないからもっと教えてよ!一緒に見ながら、さ」
その一言を皮切りに、彼女の表情は変化した。
嬉しそうだったり、恥ずかしそうだったり様々だ。
それでも、あの日のような顔だけはしなかった。
楽しそうに笑うミレアと共に、僕は地上に戻る。
・・・・・ミレアは昔と同じで、何も変わってなんかいなかった。
「・・・・・・・で、ルミト。随分と珍しい事もあるのね、あなたが自分から他の【ファミリア】の子を招くなんて」
あの後、ギルドで換金を終えても、ミレアは【ヘルメス・ファミリア】には帰らなかった。
何度理由を聞いても答えは返ってこず、ただ笑っているだけだった。
諦めてホームに帰ってきた・・・・・・のだが、廊下でヘファイストスに見つかってしまい今に至る。
「・・・・え~っと、ですね」
必死に言い訳を考えようにもミレアがいるせいで思い浮かばない。
それどころか、下手を打てばずっといじられるだろう。
・・・・毎回、温かい目で見られながら。
「・・・・・・・ひょっとして、今日言った事まだ根に持ってたりします?」
「そんなことはないわよ・・・・・半分くらいは」
半分は本気だったようだ。
「まぁ、冗談はこのくらいにして。
「そう・・・ですね」
正直、どうして知られているのか判らなかった。
この
「丁度いいじゃない。行ってくるといいわ」
「・・・・」
「普段から出不精の貴方にはいい息抜きになるはずよ」
「・・・・はい」
そう言って、ヘファイストスは自室へと向かった。
作業に戻るのだろう。
「・・・・・ホント、優しいんだから」
二年前のあの時と同じ。
突然目の前に現れた子供の話を聞いてくれて、理由も聞かず【ファミリア】に受け入れてくれて、隣にいたヘルメス様にミレアの【ファミリア】入りの口添えまでしてくれた。
感謝しきれないくらいの恩がある。
あの時会っていなかったら、今頃どうなっていたかわからない。
けど、色んな意味で救ってもらえた。
ただの偶然に過ぎなかったかもしれないけど、感謝してる。
ヘファイストスの姿が見えなくなったのを確認しルミトはミレアをつれて工房に戻ったのだった。
次回はどこまで書けるか判りませんが、お楽しみに。