ダンジョンで情報を探るのは間違っているだろうか 作:怠惰ご都合
半年近く待ってて頂いて申し訳ないです。
「・・・・・・で、来てはみたものの、人が多すぎやしない?正直言って、この数は想定外だよ」
翌日、ミレアと共に
因みにあの後、ミレアは工房に泊まった。
その際にベッドを奪われ、床で寝るはめになったのだが、・・・・今は置いておくとしよう。
「・・・・そうね。さすがにこの数は予想外だったわ」
ミレアも同意見のようだ。
まぁ自分から誘った手前もあるから、今更辞める気はないのだが。
「・・・・あ、ヘスティア様じゃんか」
人混みの中で、ミレアとはぐれないようにペースを落としていたルミトは、ジャガ丸くんの屋台でヘスティアの姿を確認した。
因みに『ジャガ丸くん』とは、芋を潰して揚げた料理・・・・らしい。
オラリオに来てから何度も見る事はあったが、よく考えれば食べた事は一度もなかった。
これを機に挑戦してみるとしよう。
「ゴメン、ちょっと待ってて」
ミレアに一言伝えて、僕は屋台へと近づく。
「やぁ、いらっしゃい!・・・・・・ってこの前いたヘファイストスのところの子じゃないか」
「や~、どうもです。それで、あれからいいのはできました?」
「ああ!バッチリさ!さて何にするんだい?」
「うーん、実は初めて食べるからどれがいいのかわかんないんですよね。ヘスティア様にお任せします。あ、二つで」
「そうかい初めてか!ならボクのオススメを用意しよう!」
そう言いながら調理を始めていく。
あまりにも慣れた手つきで行うものだから、思わずこの
「・・・・・・それで、今日は彼女とデートかい?」
突然の一言に、思わず噎せた。
「・・・・・えっ、なんで」
動揺を隠せず真顔になり、声もさっきより低くなってしまった。
「なーに、失礼な事を考えてた気がしたから、ちょっとからかってみただけさ!」
どうやら鎌をかけられたようだ。
・・・・・・一部ではこの
「む、また失礼な事を考えている気がするぞ。はい二つで60ヴィリスね」
「アハハ・・・・、はい」
「うん、丁度だね」
「・・・特徴さえ教えて頂ければ僕が武器を渡してきますよ?」
「いや!せっかくだけど気持ちだけで十分さ!何よりボクからちゃんと渡したいからね‼」
「そうですね、ジャガ丸くんありがとうございます。それじゃ」
「・・・・キミも楽しむんだよ~!」
ジャガ丸くんを受け取って、ミレアのところに戻る。
「・・・・何を話してたのよ?」
「デート楽しめってさ」
その瞬間、さっきまでの不機嫌な顔が一瞬で赤くなった。
「・・・・ッ!?」
「・・・照れてんの?」
「・・・そんな事・・・・ないわよ」
赤くなった顔を隠すように、ミレアは勢いよくジャガ丸くんを受け取って食べ始める。
相手の前で素直にならないのは、彼女の昔からの癖だ。
久しぶりに見れたその反応が、嬉しかった。
そんな事を考えながら一口かじると、ミレアから視線を感じた。
「・・・・アンタも変わってないのね」
「・・・ん?」
「なんでもないわよ!」
嬉しそうに笑いながら、ミレアはそう答えた。
そんな彼女の横顔をこっそり見て、僕は思った。
自分も昔と変わっていないのかもしれない、と。
始めて見た
観客の数もさることながら迫力が予想外だった。
・・・・とまぁ、感動のしすぎから語彙力のなさが伝わってしまうが、今は許してほしい。
やがて、楽しい時間は騒ぎへと変貌する。
どうやら、【ガネーシャ・ファミリア】が捕まえていたモンスターが街に脱走したらしい。
既にガネーシャ様が他の【ファミリア】へモンスターの討伐を要請したようだが、それでも時間はかかるだろう。
ルミトは外の様子を見に行こうと考え、ゆっくりと立ち上がる。
しかし、ミレアに袖を掴まれてしまった。
「外に行こう・・・・なんて考えてないでしょうね」
「・・・どうしてわかっちゃうのかなぁ」
「バカな行動して神様たちに注目されるわよ?」
「ヘルメス様・・・・・みたいな?」
「・・・・否定はしないわ」
・・・・ヘルメス様、信用されてないんですね。
一柱の男神の扱いに苦笑してしまう。
「・・・アンタ一人でなんて行かせないから」
「・・・・・」
思いがけない一言に思考が停止してしまった。
てっきり止められるとばかり思っていた。だが、彼女は『連れていけ』と確かにそう言ったのだ。
そして、彼女の意志が固いのは瞳を見ればわかる。
「なんていうか、頑固だねぇ」
「何を今更言ってんのよ、お互い様でしょ」
そんな風に軽口を叩きながら二人は闘技場を出た。
出口の付近ではギルドの職員があらゆる対応に追われていた。
市民との問答や他の【ファミリア】への協力要請、避難誘導とやることは多いだろう。
ふと、人溜まりの中でよく知る人を見つけた。
窓口受付嬢のエイナもどうやら例外ではなく、他の職員と同様に対応している。
普段、落ち着いて受付をやっている彼女の慌てている姿は、少し意外だった。
「・・・・どうかしたの?」
後ろからミレアの声が聞こえる。
「ううん、なんでも・・・・」
なんでもない、そう口にしようとした瞬間、物凄い速度で“何か“が真横を通り過ぎた。
「・・・っ‼」
「・・・・くっ!?」
突風が襲う中で、ルミトははっきりと目にした。
二人の真横を通り過ぎたのは、Lv.5【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタイン。
ここオラリオで二大勢力として、【フレイヤ・ファミリア】と共に冒険者の最前線に立っている【ロキ・ファミリア】の中核を担う人物。
彼女がモンスターを倒していく度に市民が安堵の表情を浮かべる。
彼女が4体目を倒すと、現在地とは反対方向で建物が崩れる音が聞こえ、同時に巨大な蛇のようなものが現れた。
遠目でよく判らないが、淡い黄緑色だと思う。
アイズの様子を見て、ルミトは驚いた。
あのアイズが、先程までの落ち着きを忘れ、どこか慌てているような表情をしているのだ。
そして、彼女は蛇のようなものへと向かった。
追いかけようとしたが、目の前を白髪の少年がヘスティア横に抱き抱えたまま走り去った。
何処か兎を彷彿とさせる印象だった。
そしてシルバーバックが白髪の少年を追って走っていく。
あの方向は『ダイダロス通り』。
オラリオに存在する迷宮。
幾重にも行われた区画整理の果てに、入り組んだ広域住宅街。
どう見ても危機的状況なのに、ヘスティアは嬉しそうにしていたのは、まぁ気のせいだと思って・・・・
「ヘスティア様、嬉しそうだったわね。ひょっとしたらあの子に惚れたりしてね?」
どうやら、全然気のせいじゃなかったようだ。
「・・・・あぁ、だよね」
「少し羨ましい・・・・とか?」
「まっさか~。ミレアがいるのに、そんな事考えてたら罰が当たるって」
「・・・・・あっそ」
「【ロキ・ファミリア】も確かに気になるけど、まぁヘスティア様の方を見に行こうか」
照れているミレアにそう言って、ルミトはシルバーバックが向かった先へ走る。
やっと追い付いたと思ったら少年がシルバーバックに
何の捻りもない基本的な技。
ただ魔石を壊すだけのシンプルな技。
しかし、見たところあの少年はLv.1。
到達階層は5階層といったところだろう。
それでも、自分の倍近くの大きさもあるモンスターに立ち向かうのはなかなかできる事ではない。
普通なら躊躇うものだが、あの少年はやってのけた。
シルバーバックが灰へと還り、風に乗って何処かへ飛ばされていく。
カランと、残った漆黒のナイフが石畳の上を転がり、歓喜の声が響き渡る。
「頼り無いけど、ちゃんと冒険者してるのね」
横からミレアの落ち着いた声が聞こえてくる。
「・・・・・そうだね。まだ拙いけど、ちゃんと立ち向かってる」
まだ汚れを知らない、純粋な少年に僕は何処か懐かしさを思い出す。
そして、少年のナイフには見慣れた【ヘファイストス】のロゴが刻まれている。
あの時、ヘスティアがヘファイストスに頼んでいた代物だろう。
誰のイタズラかは判らないが、結果としてあの少年の存在はオラリオに知れ渡る事になる。
いずれ、名前を知る機会があるだろう。
「じゃあ、帰ろっかミレア」
「・・・・えぇ」
ミレアにそう伝え、僕は工房へと向かうべくダイダロス通りを後にする。
しかし、工房に戻っても一人ではいられなかった。
そう、ミレアまでついてきてしまったのだ。
あんな立ち去り方をすれば、流石に別れるだろうと思っていたが、そうはならなかった。
結局、今日も泊める事になってしまうのだろうと諦めてしまう。
・・・・・結論として、ベッドをもう一台用意する必要があるかもしれない。
やはり床で寝るのは少しきついのだと、自分に言い聞かせ、ルミトは瞼は閉じたのだった。
次回はいつになるか判りませんが、私自身は早めに投稿するつもりです。
それではまた次回。