ダンジョンで情報を探るのは間違っているだろうか   作:怠惰ご都合

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前の投稿から半年以上が経過していますが、忘れてた訳ではありませんと念のため。
お待たせして申し訳ありませんでした。


経験と確信

何故だ。

何故こんな事になった。

若い鍛冶師(スミス)が憂いてる理由は、現状にあった。

 

 「ミレアさんミレアさん、僕何か悪い事しましたっけ?全く身に覚えがないですが」

 

そう、僕ことルミト・ラネッサは只今、【ギルティ・バインド】にて絶賛氷漬けなのである。

 

 「・・・・安心しなさい、今ならまだ許してあげるわ?もう一度聞くから、次は正直に説明するのよ?」

 

何度弁明しようと、ミレアは解放してくれない。

仕方ない。

今度こそ素直に伝えよう。

 

 「ふっ、全くしょうがないなぁミレアは。そう、事の顛末は・・・・」

 

 「早くしなさい、氷刃撃つわよ?」

 

 「アッハイ」

 

なんか最近、ミレアが冷たい目をする気がする。

こんなんだったかなぁ、なんて考えながら、覚えている限りの事を説明する。

 

 「・・・・・・つまり、勝手にベッドに入って来たのはあなた・・・・じゃなくて私だと?」

 

 「うん」

 

 「それで、抜けようにも攻防が激しくて、それすらも不可能だった、と」

 

 「うんうん」

 

 「成る程、あなたの言いたい事はよ~く解ったわ」

 

どうやらやっと伝わったみたいだ。

これで解放してもら・・・・

 

 「・・・・・・・・どうせならもっと上手い嘘を用意しなさいよ」

 

・・・・えませんでした。

 

 「まぁまぁ」

 

 「・・・・・こんな状況で、何落ち着いてんのよ?」

 

 「本当は嬉しくて自分から来たんでしょ。でも恥ずかしいから素直に言えない、とか。違う?」

 

 「・・・・・・まぁいいわ。今回の事は無かった事にしてあげる」

 

 「・・・・・・あ、なんか許された」

 

 「その代わり、今日1日私に付き合いなさい」

 

・・・・そう言っても、いつも付き合わされてるんですけど。こっちの都合は無視だと言いたいのか。

 

 「早く用意しないと鍛冶炉、凍らせるわよ?」

 

 「すぐに行くから、貴重な商売道具を虐めないで!?」

 

結局、今日も付き合わされることになるようだ。

諦めながら、ルミトは工房を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気付けば中央広場(セントラルパーク)まで来ていた。

 

 「え、何。ひょっとして今日もダンジョンに潜るの?」

 

 「ひょっとしなくても潜るわよ。昨日、あなた自身が言ってた事じゃない?」

 

おかしいな。質問の答えが疑問系で返って来た気がする。聞き直すのも面倒だから、ここは気のせいという事にしておこう。

 

 「確かに言ったけど、それは一人で・・・・」

 

 「あれ?あそこにいるのって、ベルじゃない?」

 

 「・・・・本当だ」

 

反論を受け付けて貰えず、最近は諦める事にしていた。

そして、ベルを見つけた。

ただ、誰かと話しているようだった。

身長およそ100C(セルチ)。クリーム色のゆったりとしたローブを着ていて性別は判らないが、特に目立つのはその小さな体で背負っているバックパック。背負っている本人よりも明らかに大きい。

 

 「あのサポーター、パルゥムじゃないかしら?」

 

 「え~、獣人じゃない?」

 

 「じゃあ合ってた方が、相手を一日手伝わせる・・・・という賭けをしましょ?」

 

 「・・・・・・まぁいいけど。でも、あのサポーターどこの《ファミリア》なのかな?」

 

そんな事を言いながら、僕はミレアの後に続いてダンジョンへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・で?」

 

ダンジョンに潜ってしばらく経過した後に、ミレアが口を開いた。

 

「ん、どうかしたの?」

 

「今日の獲物は?」

 

「特にないけど?普通に探索だけど?」

 

「・・・・・・」

 

答えただけで、急に冷めた目をされてしまった。

おかしいな、解答は間違ってないんだけど。

 

「な、何さ?昨日言ったじゃん。欲しい素材はないって」

 

「・・・・・・つまんなーい」

 

「そんなもんでしょ」

 

「・・・・・・面白くなーい」

 

「ダンジョンは娯楽じゃないもんねぇ」

 

「・・・・・・可愛いくなーい」

 

「それは・・・・・・なんかゴメン」

 

うん、最後のは僕の所為じゃないね絶対。

完全なとばっちりだよ。

そんな風にじゃれ合ってる間にも、周囲には灰の山が量産されていく。

そう、僕たちは下らない掛け合いをしながらもモンスターを狩っていたのだ。

その数は10や20では足りないだろう。

 

「いやいや、ここまで狩れば満足でしょ」

 

現在は10階層の中程まで来ている。

魔石も『ドロップアイテム』も結構な数を回収している。

 

「・・・・・・ふーん」

 

「・・・・『もう少し粘ればレアモンスター出るのに』とかなんとか考えてるんでしょう」

 

「・・・・・・当たり、よ」

 

やっぱりだったか。

どうせそんな事だろうと思った。

 

「今日のところは勘弁してよね」

 

「・・・・仕方ないわねぇ」

 

納得してもらえたようで何より。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで探索を終え、換金も済ませた帰り道。

 

「ねぇミレア、本当にこの道で合ってるの?」

 

「勿論よ。だって、ルルネさんがよく使ってるのよ?」

 

・・・それは答えになってないのではないだろうか。

しかし、この場は任せるしかない。

僕は基本的に大通りしか使わないし、何より、自慢気な彼女に反論しても、ろくな目に合わないのは過去に何度も経験済みだから。

・・・・別に面倒くさいとかそんなんじゃないよ?

 

「・・・・・・ん?」

 

「・・・・あら」

 

突如、目の前を小柄な女の子が駆けていく。

その後を、紙袋を抱えたエルフの女性が追いかける。

 

「ちょっと、リュー?」

 

また一人、今度はヒューマンの女性が、これまた紙袋を抱えて走っていく。

 

何か嫌な予感がする。

隣にいるエルフの幼馴染に話しかける。

 

「・・・・・・ねぇ」

 

「少し黙ってなさい」

 

即答でした。

解ってる解ってる、見に行くんだね。

・・・・嫌な予感って良く当たるよね。

 

見に行った先にいたのは、さっきの三人とベル。

どうやら、ベルのナイフがなくなって、盗んだ犯人に良く似た女の子を追いかけたら、人違いだったとか。

なくしたナイフは、女の子が管理してくれてたみたい。

 

「・・・・それで、そこの二人は何の用です?」

 

「リュー?」

 

覗いてたのがエルフの女性にバレた。

割り本気でと気配を消してたのに。

 

「・・・・えーと」

 

「どうも、いつもヘルメス様がお世話になってます《ヘルメス・ファミリア》団員のミレアです」

 

「いえいえ、こちらこそヘルメス様には売り上げに貢献してもら・・・・よくしていただいてます。シルです」

 

今の会話に黒いものを感じた気がするが、聞かなかった事にしよう。

その方が身のためだからね、うん。

 

「私は、リュー。シルと一緒に『豊穣の女主人』で働いている者です。あなたは?」

 

「えっと、ルミトです。【ヘファイストス・ファミリア】所属鍛冶師(スミス)やってます」

 

お二人は酒場の従業員でした。

会話の内容から察するに、普通の人じゃないと思うけど。

 

「ルミトさん、ミレアさん!」

 

「やぁベル」

 

「お知り合い・・・・ですか」

 

「は、はい」

 

「そうですか。それでは私たちはこれで」

 

「あ、はい。またお店に行きますね」

 

軽く挨拶を交わしただけで、リューさんとシルさんは歩いていった。

 

そんな中で、女の子を後ろに庇っているベルを見てミレアが口を開いた。

 

「ベル、ヘスティア様を悩ませないでね。ふふ」

 

うわぁ、悪い顔。

他の人には見せられないね。

 

「あ、あはは」

 

「じゃ、またねベル」

 

「あ、待ってよルミト」

 

「はい、また」

 

ミレアの素晴らしい笑顔(悪い顔)が見れたところで、僕たちは別れた。

これ以上、ベルを怖がらせる訳にはいかない。

ベルの為にも、ミレアの為にも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

工房への帰り道にて、ミレアがこんな事を言ってきた。

 

「ねぇ、ルミト」

 

「・・・・・・な、何さ」

 

「ベルってさ、結構天然のアレ(・・)よね」

 

「あー、無意識で人に優しくしちゃうからね」

 

「そうそう・・・・・・・・あんたみたいな」

 

最後に不本意な事を聞いた気がする。

 

「ごめん、それについては小一時間ほど時間かけて弁明したいんだけど」

 

「帰るわよ。ほら、さっさとしなさい」

 

「・・・・」

 

ミレアは構わず歩いていく。

仕方ないから黙って後に続く事にする。

そんな風に歩いていると、自分の工房に着いた。

予想よりも早かった。

 

「ねぇミレア、早くない?」

 

「別に、いつもと同じよ?むしろ、いつもよりも少し遅いくらい」

 

ミレアはいつも(・・・)と言った。

だから毎回、来るのが早いのか。

結論、彼女は常習犯だった。

 

 

 

 

 

 




お待たせした割に文字数が少ないですが、ご容赦頂けたら幸いです。
それでは、また次回。
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