チートオリ主による、蒼かな太平記 作:テカサナ
…退屈な授業を終え、やっと放課後になった。いつもなら、嬉しいはずなのだが、今日はちっとも嬉しくない。むしろ、辛く感じてしまう。
「センパイ、帰りましょう!」
今日も真白は律儀に迎えに来てくれた。しかし気のせいだろうか、クラス殆どの男子が俺を睨みつけているような気がする……いや、気のせいではないだろう。真白は胸こそないが、それを差し引いても十分美少女だ。そんな美少女が、俺なんかを迎えに来たら、そりゃ睨まれるわな……。
「真白、悪いが、先に行ってくれ。今日はちょっと、先生に呼び出されたんだ」
「大丈夫です、待ちます!」
「……好きにしろ」
俺は一足先に職員室に向かった。別に、奴と一緒に来いとは言われてないからだ……。
……今思うと、これが俺の災難の日々の始りだったのかもしれない。もしって可能なら、過去に戻って言ってやりたい、『逃げろ!』っと………。
真白side……
みんなが、黒板に板書したことをノートに書いている中、私はある人の似顔絵を書いていた。その人は私の尊敬する人であり……大好きな人だ。
その人のことを思うだけで、胸が張り裂けそうなくらいにいたくなる。でも、もっともっとその人を知りたい、と思ってしまう。
授業中はその人のことを思って、ついついにやけてしまった。先生からそのことを指摘され、漸く気付いた時には、クラスの笑い者になってしまった……
……授業が終わると、いつものようにセンパイの所に行った。センパイに会えると思っただけで、、胸がドキドキしてくてくる。
先輩のクラスに行くと、先輩はいつもの様に、眠そうにしていた。私から見れば、その姿も素敵である!
一緒に帰ろうとしたが、どうやらセンパイは先生に呼び出されたらしい。センパイは先に帰れと言われたが、待つことにした。それで、センパイの教室の前で待っていると…
「あれ、有坂か?」
「あっ、日向先輩」
日向センパイという、顔馴染のセンパイが声をかけてきた。特に接点はないのだが、十六夜センパイと同じクラスということもあり、ちょっくちょっく話をする。
「なんだ、今日も司馬を迎えにきたのか?」
後、この先輩はとても気が利く。私が十六夜センパイを訪ねてきた時は、たびたびセンパイの所に案内してくれる。
「はい!でも、先輩は呼び出されたらしいので、ここで待ってるんです!」
「そうか、頑張れよ!」
「はい!」
こんな風に、このセンパイは優しい。多分、特定の人とかじゃなくて、全員に優しいタイプなんだろう。十六夜センパイとは、違った魅力の持主だ……あっ!もちろん、十六夜センパイのほうが、1億倍かっこいい!
「あれ、真白じゃん?なにあんた、またあいつのこと待ってるの?」
「はい、みさきセンパイ」
この女性はみさきセンパイ。中学が同じだったので、偶に話す。上級生に知りあいが少ない、私としては貴重な存在だ。
「よく飽きないわね~………ねぇ、なんでそんなにあいつに夢中なの?別にかっこいいわけでもないし、むしろ皆から、気味悪がられてるじゃない!」
「それは、みんなが十六夜センパイの凄さを知らないからです………!って、実は私も偉そうなこと言えないんですけどね……。実は、センパイに助けられたからです。それから、先輩の偉大さを知ったんです。それからは、十六夜センパイ一筋縄になった訳です!」
「助けられた?へぇーあいつそんなことするだ!ねぇねぇ、あいつどんなことしたの!」
「そっそれは、私と十六夜センパイとの秘密です!」
「な~んだ、つまんないのー!」
なんて言われたっていい。この想い出は、私の大切な宝物なんだから……
「まぁーいいや!それで、肝心の司馬は?」
「はい、職員室に呼ばれたと仰有ったので、ここで待ってるです!」
「ん?たしか昌也も呼び出されてたっけ……これは、におうわ!行くわよ、真白!」
「へっ………?
十六夜side…
先生の机の所に行くと、先生は嬉しそうな顔をした。
「感心、感心。ちゃんと来たようだな。内心、無視されるんじゃないかと、心配していたぞ」
「それがお好みだったら、今すぐにでも、この場からいなくなりますが」
そう言って、逃げる素振りを見せると、先生は「まぁー待て!」と慌てて止めた。
「それで、何の用ですか?」
「そういきりたつな!実はな、お前の他に昌也を呼び出している。話しは、奴が来てからにしょう…………
数分後、遅れて日向がやって来た。俺が居ることに、少し驚いた様子だった。
「さぁ、来たことですし、本題を聞かせて下さい」
「うむ、実は………
聞いた話しを要約すると、転校生の「倉科明日香」にグラッシュの指導してほしい、とのことだ。もちろん俺は免許など持ってないので、これはこいつの用事だろう……
「……先生、そろそろ俺の用事を話してくれませんか?」
「あぁー、十六夜、お前も指導に参加しろ。もちろん教えろって言っている訳じゃない。初心に帰った気持ちで、転校生と一緒に昌也の講義をうけてほしいんだ」
「…すいません、仰ってる意味がよくわかりません。なぜ、今さらそんなことを教わらなければならないのですか?既に、基本知識は抑えてますよ?」
「良い薬だと思ってな、既に知ってることを、再び教わること程退屈なことはない。これにお前は耐えられるかな?っといても、拒否権はないが……」
(……この先生、絶対男出来たことないな。いや、出来たとしても、捨てられるタイプだ……)
断りたい所だが、ここで断った場合、この人はまた無理難題を押し付けられるに違いない。だったら、これで妥協するのが吉である。
「どうやら、決まったようだな。昌也もそれでいいな?」
「はい」
こうして俺は、転校生と一緒に講義を受ける羽目になってしまった訳だ……