遥かな、夢の11Rを見るために   作:パトラッシュS

107 / 172
わーい

 

 さて、翌日、私はスピカの皆さんのところに居た。

 

 理由としてはテイオーちゃんに並走を頼まれたからですね。

 

 ほら、テイオーちゃんはルドルフ会長は忙しくて、なかなか構って貰えないみたいなので白羽の矢が立ったのが私というわけです。

 

 

「アフちゃん! アフちゃん! 手紙読んでくれたんだ! 嬉しいなぁ!」

「近いですよ、テイオーちゃん」

「えへへ、だって嬉しいんだもん」

 

 

 そう言いながら、私の頬に顔を擦り擦りしてくるテイオーちゃん。

 

 可愛いし、なんかいい匂いがしますね。こうみるとやっぱり天使なんやなって思いました。

 

 テイオーちゃんの背後にはあのルドルフ会長がいるんで変なことはできません。私はこんな純粋で可愛いウマ娘を汚す事なんてできないッ! 

 

 

「もう……。読みましたけど手紙には主語をつけてくださいテイオーちゃん」

「えーなんでぇ? 僕の率直な気持ちを純粋に書いただけだよ?」

「何というか、読んでたらやばいメンヘラの人の文章読んでるみたいでしたからね、人によっては恐怖しますから」

「メンヘラ? ラーメンのペラペラしたやつのこと?」

「違います」

 

 

 そんなキラキラした眼差しで私を見ないで、溶けちゃうから。

 

 それから、えへへと言いながら私にやたらと甘えるように胸元に顔を埋めてくるテイオーちゃん。

 

 あれ? 私の記憶が間違っていなければ、テイオーちゃんって私より先輩じゃありませんでしたかね? 

 

 

「アフちゃんの胸元気持ちいいなぁ、フワフワしてるみたい」

「そうですか?」

「うん! ずぅーとギュッてしてられるよ」

 

 

 満面の笑みでそう告げてくるテイオーちゃん。

 

 やばい、可愛すぎる。私はそんな彼女の頭を思わず撫で撫でしてあげていました。

 

 これが天使か、天使って本当に居たんですね、私の母性がやばい、というか、母性とかあったんですね私に。

 

 おいこら、そこ、ママと呼ぶんじゃない。

 

 

「お! お前ら今から並走するんか? ウチも混ぜてーや!」

「おっ?」

 

 

 そんな時、私達に声をかけてくるウマ娘さんが居ました。

 

 白くて同じく私くらいの身長のウマ娘ちゃんです。この小ささと白さを見れば私はすぐに誰だかわかりました。

 

 タマモクロスさんです。オグオグさんと同期の芦毛のウマ娘ちゃんです。

 

 

「せやかて工藤」

「誰が工藤やねん! ちゃうわ! むしろウチは関西やろ! あと、あんな関西弁はむしろエセやで」

「ホンマか工藤」

「だからタマモクロスいうとるやろ!」

 

 

 スパンッと私の頭にどこから出したのかタマモクロスちゃんのハリセンが直撃する。

 

 流石、本場のナニワ魂、私の場合はな◯J魂なので全然違いますけどね。

 

 いやぁ、やっぱりヒシアマ姉さん以外に突っ込む人がいるとなんだか嬉しいですね。最近は私が突っ込む事が多かったので。

 

 

「いやー、良いツッコミしてますねぇ、姉さん。是非是非、一緒に走りましょう」

「はぁー……。はぁー……。初対面からこれかいな、ホンマキツイで」

「じゃあ、テイオーちゃんもそれで良いですかね?」

「うん! むしろ僕は大人数で走る方が好きだから大歓迎だよ!」

 

 

 そう言いながら私にギュッと抱きついてくるテイオーちゃん。

 

 可愛いすぎて鼻血出そう、こんな可愛いウマ娘のバックにあのルドルフ会長がいるのが信じられませんよ。

 

 あの人、いっつも私にゲンコツ落とすんですよ、全くもっと私を大切にすべきですね。

 

 お詫びにパンツよこしたら許してやる。

 

 私の下着が海外遠征の際、また紛失してしまいましたからね、サイズは教えてやるから買ってきて欲しいものです。

 

 

「とりあえず走ろうか、重しは何キロ付けます?」

「いや、付けへんでええやろ」

「ちなみに最高で180kとかありますけど」

「アホかっ! 足がもげてまうわ!」

 

 

 地面が凹むんですよね、凄くない? 

 

 誰でしょうね、こんなアホな重りつけて走るウマ娘って、あぁ、私ならこれくらいの重りしょっちゅうつけてますよ、つまりアホです。

 

 流石に最近はしてませんけどね、タマモクロスちゃんやテイオーちゃんにこれを付けろとは言えません。

 

 付けない理由は身体にかなり負担が掛かるし故障したら大変だからです。当たり前だよなぁ? 

 

 

「しっかし、すごい身体しとるやん。どないしたらそんな綺麗な身体になるんやろなぁ」

「……えっち」

「なっ……! ちゃ、ちゃうわ! 変な意味や無いっちゅうねん! この淫ウマ娘!」

「んなぁ⁉︎ だ、誰が万年発情淫乱ウマ娘ですか! 言い過ぎですよ!」

「そこまで言うてへんわっ! ぼけ!」

 

 

 顔を真っ赤にしながら身体を隠す私に同じく顔を赤くしながら声を上げるタマモクロスちゃん。

 

 髪の毛見てください、私、青色なんですよ、誰が淫乱ピンクですか、全く失礼な。

 

 確かにたまにヒシアマ姉さんとかにセクハラしたりはしますけどね、どちらかというと淫ウマ娘は私の周りにいるウマ娘だと思います。

 

 私は淫ウマ娘製造機みたいですので、あれ? なんか自分で言ってて悲しくなってきた。 

 

 

「さて、それじゃいきますよー」

「あー待ってよアフちゃん!」

「あ、待てい! いきなりスタートは卑怯や!」

 

 

 こうして、私は終日、テイオーちゃんとタマモクロスちゃんとで並走をしました。

 

 たまにはこんな風に走るのも悪く無いですね、身体もスッキリしますし、何より楽しいですから。

 

 それから、私は色々と挨拶回りに行く事に、ほら、エリモジョージさんとカブトシローさんとかにもお世話になりましたからね。

 

 

「おー! アフ! おめでとうっ! 凱旋門よくやったな!」

「欧州三冠かっ! 大したもんじゃねぇかよ!」

「あはは、頑張りました、えへん」

 

 

 そう言いながら私の背中をポンポンと叩くカブトシローさん。

 

 二人とも自分の事のように喜んでくれました。

 

 まあ、お二人のアドバイスのおかげでキングジョージは勝てましたしね、あれが無ければ私もやられっぱなしだったかもしれませんし。

 

 

「お前、また胸おっきくなったか? おい」

「お、大きくなってませんよ! あ……んっ……! ちょっと、揉まないでっ」

「これはやべーな、気持ちいい」

 

 

 私の胸を片方ずつ興味深そうに揉んでくるお二人。

 

 いや、大きさは変わりませんよ、いつも通りです。メイショウドトウさんの方があると思いますしね。

 

 私はヒシアマ姉さんといい勝負です。あと、エロさなら日焼けしているヒシアマ姉さんの方が上だと思います。

 

 だからこそ私は思う、私じゃなくてもっとヒシアマ姉さんの本を出した方が売れるんやぞ。

 

 そんな事はどうでもいいんですけどね。

 

 

「うん? それで今日は何を聞きにきたんだ?」

「それなんですけどね、実は……菊花賞についてなんですけど」

「へぇ、菊花か。懐かしいな、3000mだったろ確か」

「はい」

 

 

 そう、本題は菊花賞についてお二人に聞きたいことがあったのである。

 

 菊花賞、日本の三冠クラシックレースの最後のレース。これは距離が3000mという結構な長い距離を走らなくてはならないレースだ。

 

 そのレースでは真の実力が試されると言っても過言では無い。

 

 話によると私の同期であるネオユニヴァース、ネオちゃんとゼンノロブロイ、ゼンちゃんの二人が海外から帰ってくるのだそうで。

 

 しかも、何と二人とも三冠ひっさげて帰ってくるというから驚きだ。

 

 

「なるほどな、フランスとアイルランドの三冠を取って帰ってくると」

「そうなんですよッ! 次の菊花賞でその三冠取った二人とやり合わないといけなくなりまして」

「そりゃやべーな、今年どんなレベルのレースになってんだ菊花賞」

 

 

 私の言葉に思わず顔を引きつらせるエリモジョージ先輩とカブトシロー先輩。

 

 いや、本当ですよ、かつて、こんな出来事が日本で起きた事があったでしょうか? 

 

 フランスとアイルランドの三冠ウマ娘、そして、欧州の三冠を取った私との対決という馬鹿げた出来事なんてね、普通あり得ませんよ。

 

 

「こりゃ、凱旋門で浮かれてる場合じゃ無いな」

「調整、手伝ってやるよ。多少だがな」

「⁉︎……本当ですか! 助かります!」

 

 

 こうして、私はお二人の力を借りて多少なり菊花賞の走り方や戦い方をレクチャーしていただく事になりました。

 

 菊花賞って距離は長いですから持久力を念入りに付けなくてはいけませんからね。

 

 あ、そうだ、持久力といえば一人いましたね、ウチのチームに最強のステイヤーの先輩が。

 

 あの方にも長い距離の戦い方について教えてもらった方が良さそうな気がしてきました。

 

 こうして、私は既に菊花賞に向けて動き出しています。

 

 力をつけてきた同期との対決。

 

 私の同期の娘達って基本的に皆、良い娘達ばかりなんですけどね。

 

 中にはカチンと来る娘も居ますけど、そういうのは大抵雑魚なんで相手にしてません。

 

 大体、裏でこそこ言ってたり、負け犬の遠吠えみたいな事をする連中ほど大したウマ娘では無いんでね。

 

 喧嘩売るなら買いますけどね、もちろん私は抵抗するで! 拳で! (イキリ)。

 

 

「アフちゃん先輩、一人で何やってるんですか?」

「ん? あぁ、ほら、ポージング的な?」

「お風呂上がりに鏡の前でそんな下着姿だと風邪引きますよ?」

 

 

 尻尾をフリフリしながら、鏡の前で拳を突き合わせていた私に苦笑いを浮かべながら告げてくるドゥラちゃん。

 

 いやん、下着姿でこんなところ見られるなんて恥ずかしい。私の肉体美をまた後輩の目に晒してしまいましたか、何という罪深いウマ娘なんでしょうね私。

 

 いかん、なんか今、自分で言っててナルシストっぽかったですね、多分、録音して聞き直してみたらめっちゃ気持ち悪いやつのそれだぞこれ。

 

 私はコホンと咳払いすると顔を少し赤くしながら恥ずかしさを誤魔化すべく、ドゥラちゃんにこう話し出す。

 

 

「良いですか? ドゥラちゃん。これはパドックの練習です、皆さんの前でどれだけカッコいいポージングを決めるかというのを意識してやっていたのですよ」

「なんか、ボディビルダーみたいでしたよ」

「キレてるよキレてるよって言ってれば良いんです。とりあえず」

「ボディビルダーですよねそれ」

 

 

 私の言葉に冷静にツッコミを入れてくるドゥラちゃん。

 

 まあ、見た感じキレてないんですけどね、私の太ももとかむしろ肉付きが良いですし、胸とかお尻とかもボンキュボンなんで。

 

 腹筋もスラってしてるんでバキバキ割れてるってわけでも無いからね、私はどちらかというとグラビアモデルみたいな体型なんです。

 

 どうしてあの鍛え方でこうなったのか、教えてほしい。奇しくも姉弟子も同じような体型なんでなんとも言えないんですけども。

 

 こんな感じで日本に帰ってきた私の菊花賞に向けた戦いは始まるのでした。




アンケート開始しました。
とりあえずこの中にはいねぇ!(ドンッ! という方にはリクエストという形で感想の方で希望のウマ娘ちゃんを挙げてくだされば助かります(五人しか入れれなかった)。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。