遥かな、夢の11Rを見るために   作:パトラッシュS

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三冠ウマ娘八番勝負編
SWDT開幕


 

 

 

 SWDT、別名、三冠ウマ娘八番勝負。

 

 日本で最強のウマ娘達が集結し、互いに鎬を削り合う一大競走。

 

 三冠ウマ娘が集結し、日本で最強のウマ娘を決めるこのレースは各ウマ娘がそれぞれ駆け、勝敗を決める。

 

 己が最強だと証明する為に来た化け物達である。

 

 

 戦場のセントライト。

 

 神馬シンザン。

 

 天衣無縫ミスターシービー。

 

 永遠なる皇帝シンボリルドルフ。

 

 シャドーロールの怪物ナリタブライアン。

 

 英雄ディープインパクト。

 

 金色の暴君オルフェーヴル。

 

 魔王アフトクラトラス。

 

 

 揃いしは、最強の三冠ウマ娘達。

 

 名だたる強敵達を捻じ伏せ、君臨した者達、そして、このウマ娘達はその最強という名を手にする為、激突せんとしていた。

 

 

 レース内容はガチンコの一対一の対決レース

 

 

 最強のウマ娘達がそれぞれ激突する。この一大イベントに日本中、いや、世界中が熱狂していた。

 

 これまで、日本最強のウマ娘が誰なのか、証明されてはいない、果たして、それは三冠を取ったウマ娘だけなのか? 

 

 否、そうではない、三冠ウマ娘でなくとも彼女達に比類する実績を積んだウマ娘は日本には存在している。

 

 だが、そうであっても、ただ一度しか得ることができない三冠というチャンスをものにしてきた彼女達にはその後も恐るべき戦果を挙げてきた者たちがいる。

 

 だからこそ、日本中はこのウマ娘達の対決に胸を躍らせないわけにはいかなかった。

 

 

「……フッ……、来年は桜花、オークス、秋華の三冠ウマ娘の対決か、考えたな」

「まあな、普通のレースとは少し趣向を変えてみたんだ」

 

 

 そう言って、ブライアンの言葉に肩を竦めるルドルフ会長。

 

 これは、アフトクラトラスが欧州で三冠を制した後に発表することにしていたレースだ。

 

 誰も取ることが叶わなかった凱旋門賞、それを日本のウマ娘が強敵達を打ち破り勝ち取ってきた。

 

 ならば、そのウマ娘に挑戦したいと、大人気なくシンボリルドルフは思い、この大会の開催に至ったわけである。

 

 そして、嬉しそうに笑顔を浮かべているブライアンを真っ直ぐに見つめてこう問いかけた。

 

 

「満足してくれたか? ブライアン」

「……あぁ……、満足もなにも血が滾って仕方ないッ」

 

 

 シャドーロールの怪物、ナリタブライアンはそう告げるとグシャリとSWDTの広告が入った紙を握りつぶした。

 

 望むは強敵との死闘、レース場にて散るならば本望とばかりの勢いだった。

 

 ずっと待ち望んでいた勝負、ただのレースなどではない、強者達と己のプライドをもって激突することができるこのレースにはそれだけの意義があった。

 

 アフトクラトラスを倒す、それは最早、日本にいるウマ娘には名誉ある唯一無二の価値がある事だ。

 

 確かに未熟な面はあるが、あの境地までよくぞ至ってくれたと凱旋門をアフトクラトラスが勝った時にブライアンは思った。

 

 彼女には自分の全てを教え込んだつもりだ。

 

 だからこそ、倒す価値がある。日本中にいるウマ娘達が今、一番闘いたいウマ娘と最高の舞台でやりあえる。

 

 

「奇遇だな、私もだよ、……シービー先輩とはもう一度戦いたいと思っていたからな」

「フッ……シンザン先輩にセントライト先輩……2人ともレースの名になるくらいに偉大な先輩方と走れるなんて光栄だな……」

 

 

 まさしく最高の祭典。

 

 それが、この三冠ウマ娘八番勝負である。

 

 レース全てが手汗握る対決、勝者の宿命を背負った者たちが日本で一番の三冠ウマ娘を決めるレースなのだ。

 

 どのウマ娘が優勝しても不思議ではない、それだけの実力を兼ね備えた者達が集まるのだから当然のことだ。

 

 そして、それは復帰してからしばらく経った私の元にもその知らせはすぐに飛んできた。

 

 

「果たし状……って……いつの時代のやり方ですかね、全く」

 

 

 果たし状と書かれた手紙を開きながらため息を吐く私。

 

 文字的にシンボリルドルフ会長なんでしょうけどね、こんな文字、あの人なら嬉々として書きそうですし。

 

 書かれていた内容は……言わずもがなです。皆さんもご存知の通り、SWDTへの招待状でした。

 

 つまり、三冠ウマ娘八番勝負のお誘いですね。

 

 

「……三冠ウマ娘の決闘形式レース……ね」

 

 

 私はその内容に目を通しながら笑みを浮かべる。

 

 なるほど、ブライアン先輩が以前から楽しそうに話していたわけだ。

 

 これに胸を躍らせないウマ娘がいようか、私とて例外ではない。

 

 凱旋門を勝ったとはいえど、まだ国内には強敵達が蠢いている。今、日本は人外魔境の聖地に変わりつつあるのだ。

 

 修羅蠢く国、それが今の日本にいるウマ娘達である。

 

 その中でも悪鬼羅刹のような強さを持つウマ娘達が一堂に集まり、命を燃やし、激闘を繰り広げる。

 

 これほど心躍る事が他にあるだろうか。

 

 

「ははっ……」

 

 

 私は自然と笑いが溢れた。

 

 そう、私もまた、その修羅の一員であり、また悪鬼羅刹の類の者だからだ。

 

 強くなるためだけにいろいろなものを犠牲にしてきた私からすれば願ってもない申し出である。

 

 まさしく、年を締めくくる一大決戦、勝つのは優勝したウマ娘のみ。

 

 選ばれし八人のウマ娘による日本を震撼させる対決。

 

 

「……これは……すごいな」

「なんつーメンツだ……、どいつもやばい奴ばかりじゃねーかよ」

 

 

 ナリタブライアンからそのチラシを受け取ったエアグルーヴとヒシアマゾンの2人は顔を青ざめさせた。

 

 セントライト、シンザン、ミスターシービー、アフトクラトラス、ディープインパクトとオルフェーヴル。

 

 どのウマ娘ももはや世界を相手どり、走れる連中ばかりだ。

 

 

「アフの奴が復帰してG1レース早速とったしな、タイミング的には良いのかもしれんが」

「というか、これタイマン勝負だろ? くっそぉ! 私も走りてぇ!」

 

 

 来年には、ティアラ三冠ウマ娘が集った八番勝負も開催予定というのだから、ヒシアマゾンからしてもこのレースに参加したくて仕方なかった。

 

 一年に一度のこの一大イベントは瞬く間に日本中や世界中に知れ渡る。

 

 もちろん、この開催には明確な意図があった。

 

 ルドルフはエアグルーヴとヒシアマゾンに向けてこう告げる。

 

 

「これはな、世界戦に向けての選抜レースだ」

「世界戦ですか?」

「そうだ、プロキオン、ミルファク、リギル、スピカ、そして、アンタレスを含めた全チームの中でも選りすぐりを選ぶためのな」

 

 

 ルドルフの言葉に顔を見合わせるエアグルーヴとヒシアマゾン。

 

 選抜レースはわかったが、なぜそんな事をする必要があるんだろうか? 

 

 ヒシアマゾンは首を傾げたままルドルフに向かいこう問いかけた。

 

 

「なんだって、そんな事を」

「……総力戦だからな、海外勢が日本に渡ってくる。シーバード、セクレタリアト、トレヴ、ダンシングブレーヴ、サンデーサイレンス、ブラックキャビア、そして、リボー」

「おい!? それって!」

「世界最強のウマ娘がこの日本に来るという事だ」

 

 

 その言葉に生徒会室に居た皆は鳥肌が立った。

 

 全世界の最強のウマ娘達が集結する。その理由は明確だ。

 

 ディープインパクトとアフトクラトラス、この二人が凱旋門を獲り、アフトクラトラスに関しては欧州の三冠を獲ったからだ。

 

 だからこそ、早急に決める必要があった。

 

 期間は四年以内、それ以内に日本にいるあらゆるチーム、あらゆるウマ娘を選抜して最強のウマ娘達を集めなければならなかったのである。

 

 

「いや……。はは、スケールがデカ過ぎて……」

「なんつーワクワクする展開だよそりゃ!」

 

 

 だからこその三冠ウマ娘八番勝負。

 

 来年は三冠ティアラ部門、そして、再来年はマイルと短距離部門。

 

 最後の年はダートと長距離部門。

 

 この四年間をかけて、選抜した日本最強のメンバーを集結させて海外勢を迎え撃つ。

 

 これが、SWDT、ウマ娘八番勝負というわけだ。

 

 厳選した実績のある者を選定するこの勝負においては、最強のウマ娘を迎え撃つだけの技量を兼ね備えていなければならない。

 

 

「まぁ、正直な話だが、三冠ウマ娘は全員、出場させるつもりなんだが、私やアフ、ディープ、ブライアン、オルフェ、シービー先輩、シンザン先輩に関しては力量を測りたいと思っていたからな、いい機会だと思ってね」

「……いやぁ、それはもうなんていうか」

「ドリームチームも良いところだぞ本当」

 

 

 最強のウマ娘を集わせて戦わせる。

 

 これほど心躍る催しはないが、それにしても規模があまりにも凄すぎて、話を聞いただけでは、スッキリしない。

 

 それから、しばらくして、ルドルフは笑みを浮かべたまま皆に周知する。

 

 

「今年の有馬記念の後、一週間後の開催だ。トレセン学園含めマスメディアへの周知を頼んだぞ」

 

 

 こうして、長い期間を設けてSWDTの開催が決定した。

 

 四年後、名だたる世界中のウマ娘が海を渡り、日本という地へやってくる。

 

 最強のウマ娘よ集えという報は瞬く間に日本中に広まっていった。

 

 

 

 そのSWDTの開幕決定から二年後。

 

 大体、私が復帰戦を終えてから二年後に本格的に開幕するという事でそのチラシがトレセン学園全体で配布された。

 

 そのチラシを目にしたキズナとドゥラメンテは目を輝かせながら、声を上げる。

 

 

「凄すぎて言葉にできませんよ!」

「アフちゃん先輩出るんですかこれ!」

 

 

 そう言って、私に迫るように問いかけてくる二人、顔が近いんですけども。

 

 私はご飯を食べながら、二人に対してある物を手渡す。

 

 それは、SWDTへの招待状、というより強制的な参加状だ。まあ、私は端から参加する気でしたからね。

 

 

「ちょうど良い機会だと思いましてね、ルドルフ会長やブライアン先輩とやりあえるんで」

「わぁ! すごい!」

「アフちゃん先輩流石です!」

 

 

 可愛い後輩二人が褒め称えてくる中、ご飯を食べてるわけなんですがめっちゃ食べづらい。

 

 周りからは羨望の眼差しで見られて来るわけですし、めちゃくちゃ面倒くさい訳ですよ、参加しますけどね、もちろん。

 

 しばらくして、私の元にあるウマ娘が一人やってくる。

 

 

「先輩、空いてます? ここ」

「なんで貴女このタイミングで来るんですか」

 

 

 そう言って、私の前に現れたのはディープインパクトです。

 

 タイミング的にも周りが騒ぎはじめた時にディープインパクトなんかが来たら、そらもう大騒ぎですよ。

 

 ただでさえ、最近、私に関してめちゃくちゃファンが増えて来たというのに。

 

 彼女は私の返答を聞かずして、ここ座りますね、と一言だけ言うと隣に座ってきた。

 

 

「ディープインパクト先輩、なんですかいきなり」

「あら、ドゥラメンテ、先日は朝日杯おめでとう」

「あ、ありがとうございます。じゃなくてぇ!?」

 

 

 ドゥラメンテはスルッと話を交わしてくるディープインパクトにツッコミを入れる。

 

 そう、先日ドゥラメンテちゃんは朝日杯を制覇、そして、キズナちゃんは去年転入して来てから、既にダービーを取ったみたいで。

 

 いやはや、優秀なウマ娘に囲まれて私は嬉しい限りですよ。

 

 アンタレスの練習にも、しっかりとついて来てますからね二人とも。

 

 

「まあ、それはともかくとして、聞きましたか? SWDTの話」

「ああ、ウマ娘八番勝負でしょう?」

「えぇ、これでまた先輩にリベンジができる訳なんですが」

 

 

 そう言って、満面の笑みを浮かべるディープインパクト。

 

 いやいや待て待て、またリベンジする気かよ、もうお腹一杯なんですよディープインパクトと走るのはね。

 

 あんだけ壮絶にやりあってまだ足りぬと申すか。

 

 

「貴女、私のこと好きすぎでしょう、有馬でやりあったでしょうが」

「だってあれ、アフ先輩万全じゃなかったじゃないですか、だからノーカンです」

 

 

 そう言って、プイッと顔を逸らすディープインパクト。

 

 可愛すぎかよ、そんな顔してもめんどくさいもんは面倒臭いんだがね。

 

 そんな話を繰り広げていると、そこに割り込むようにマスクをしたウマ娘が一人やってきた。

 

 

「……空いてる?」

「げぇ! オルフェーヴル!?」

 

 

 呂布が出る並みに声が出てしまった。いや、可愛いから良いんだけども。

 

 その背後からはひょっこりとゴールドシップが顔を出して来ている。連れて来たのはお前かい。

 

 

「よすよす! オルフェが話に交ざりたそうにしてたからよぉ! アフいいだろぉ! 席!」

「なんでご飯食べるだけでこんなに人が集まるんですかね」

 

 

 まあ、私がこう言っても当然ながら話を聞かないんですけどね。

 

 ゴルシちゃんは座るぞと一言だけ言うと、オルフェーヴルと共に席に座ってきた。

 

 一言だけ、皆さんに断りを入れておこう、こいつらメジロ家の人達だからね、こんなバチクソヤンキーみたいな世紀末感ありますけど。

 

 おい、誰かマックイーン先輩呼んでこい! 一言文句言ってやる! 

 

 すると、マスクを外したオルフェーヴルは私とディープインパクトに向かって話しはじめた。

 

 

「おい、私を外しておもしれぇ話してんじゃねぇか? ウマ娘八番勝負で私を除いて勝負できると思ってんのか? お?」

「近い近い」

 

 

 顔が近いオルフェーヴルに苦笑いを浮かべながらそう告げる私。

 

 いや、話は聞いたけれども別に誰が誰と当たるとかまだ決まって無いですからね。

 

 タイマン勝負とだけ聞いてます。てか、マスク外すと豹変しすぎだからオルフェちゃん。

 

 私はそっとマスクを口元に直してあげます。

 

 はい、ちゃんとイケさん付けてください貴女は。

 

 

「……アフ先輩と勝負したい」

「という話みたいだぞ」

「最初からそう言わんかい、あんな啖呵切る必要ないでしょうが」

 

 

 私はそう言いながら苦笑いを浮かべる。

 

 ほら見てみなさい、ドゥラちゃんとキズナちゃんが怖がってるでしょうが、ワイルドサイドの友達に慣れてないんだよ二人とも! 

 

 ディープインパクトはマイペースにお茶飲んでますし、なんなのこの空間。

 

 そんなこんなで決まったSWDTに向けて、各自、想いをそれぞれ私にぶつけてくる二人。

 

 私はそんな二人から迫られて、なんだか疲れたようにため息を吐くしかありませんでした。

 

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