さて、開幕式を終えて、数日後。
私はある事をしていた。
というのも皆も心待ちにしていただろう、私の趣味を再開させるためだ。
その趣味とはゴルシちゃんがきっかけで始まったものなんですけども、日課になってしまったもの。
そう、アフちゃんねるの復活である。
「あ、あー、お久しぶりですっ! 皆さん! アッフだよ!」
『アッフ来た!』
『アフちゃんねる! 復活したのか!』
『待ってたぞ!』
アフちゃんねるを開くのもかなりの期間空いてしまいましたがね。
あの有馬の前に皆に最後だと言っておきながら、こうして、帰ってきたんですが、皆は温かく迎え入れてくれました。
本当、アフちゃんねるに来てくれてる人達は大好きです。
「えへへ……。恥ずかしながら帰ってきちゃいました」
『ええんやで』
『楽しみが帰ってきた……助かる』
『もうどこにも行かないで……』
『心配したんだぞ……お前』
そう言いながら、私の安否を喜んでくれる皆さん。
そうですよね、配信をやめるって言って、有馬記念に応援しに来てくれた彼らの前で倒れ、私は生死の境を彷徨いましたから。
かなり心配をかけてしまったと正直なところ申し訳なさも感じていた。
「もうどこにも行かないから大丈夫、ありがとう皆さん」
『アッフ……』
『本当にな』
『もう無理するんじゃ無いぞ』
皆は私の笑顔にそう言いながら、心配するようなコメントをしてくる。
いかんいかん、一発目の配信からこんなしんみりなんて私らしくも無い。皆を楽しませてなんぼでしょう私は。
さて、気を取り直して、私はあるゲームを取り出した。
「というわけで、しんみりした空気をぶち壊すためにとりあえずゲームやりますね」
『草』
『切り替えが早すぎて芝しか生えん』
『やはりアッフはアッフだったか……』
『まあ、これでこそだけどな』
ご納得頂けて、嬉しい限りですね。
そう、これが私なのだ。さて、今回やっていくゲームは何が良いんやろうなぁ。
私は尻尾をふりふりしながら何か面白いゲームが無いか探す。
ホラゲ、恋愛ゲーム、FPSはやりましたからね、次は何が良いだろう?
「98ウマ娘? お、これにしましょうか」
『あ……(察し』
『それはあかん』
『またなんつーものを選んだんや……』
皆からの反応はさまざま、え? これそんなやばいゲームだったんですかね?
なんか見ると、ウマ娘をモデルにしたスポーツゲームって書いてありますけども、面白そうだなとか思いましたよ素直に。
早速ゲームをつけてみる。
あのちょっと前のレトロ感があって良い感じじゃないですか。
しかもウマ娘が出てくるゲームとかちょっとテンション上がってしまいますよ。
ハード機器はちょっと前のやつを使ってますけどね。
だが、私はゲームが始まりその冒頭を見て改めてゲームのチョイスをミスったなとその時すぐに察した。
2098年。
URAはある決断を下した。
それは、『走法の自由化』。
ウマ娘の創造性を尊重するその決定が……。
ターフを魔境へと変えた。
そこからはもう色々と酷かった。
それはあまりにもスポーツゲームというには先を走りすぎていたのである。
「おい! ちょっと待てぇ! なんで横に横転しながら走ってんの!?」
『プ ロ ペ ラ 走 法!』
『ア フ や っ て み ろ』
『ちょっとプロペラ回しまーす』
無理だろ、なんで横に回りながら走ってるんですかね!? おい、誰だこのゲーム開発したやつは! 物理法則完全無視じゃねーか!
そのゲームを見た途端目を疑った。
こんなレースしたら普通に大怪我するわ! 私でもこんな走り方せんわ!
だが、これだけならまだ良かった。いや、よくはないんだけど、この時すでに。
次々と現れる独特な走法に私はもう目を疑った。
「ボクシング走法……。いや前に進んでないが……」
『草』
『手じゃなくて足使え』
『これがウマ娘のゲームですか?』
そんなわけあるか、こんなウマ娘居たら逆に怖いんだが。
まだ、私のクラウチングスタートが可愛く見えるレベルである。どうしよう突っ込みが追いつかんぞ。
このゲーム開発した人、どんな気持ちで開発したんでしょうね。
「コサックダンス走法、クッソ足早くて草しか生えんのだが」
『レコード叩き出してて草』
『こ れ が 魔 境 』
『は し っ て み ろ』
「無理に決まっとるだろ! アホか!」
コサックダンスしながらどうしてそんなに早く走れるんですか、教えて偉い先生。
いやいや、とんでもないゲームを見つけてしまったようですね私は。
このゲームはレジェンドになりますよ、本当。
色んな意味でよくこんなゲームを許可したなトレセン学園。ルドルフ会長が見たら泣くぞ。
「トランスフォーム走法、いや、トランスフォームする間に出遅れてるんだが」
『あれはNASAの最終兵器……、完成していたのか』
『おい、今、120億円が紙屑と化したぞ』
『ゴルシかな?』
派手な走法で見事に出遅れたウマ娘に思わずツッコミを入れたくなる。
何故その走法にしたんだ。出遅れるのわかりきってるだろ、普通に。
まあ、そんなこんなでとんでもない走法が次から次へと飛び出してくる事に困惑が隠せません。
よくこんなゲーム作れたな! 本当凄いですよある意味な!
「獲れたて鮮魚走法……なんかピチピチしてる」
『これで走れてるから凄いよな』
『今年も鮮度が良いな』
『マグロ、始まります』
もはや、突っ込むのが疲れてくるレベル。
いや、走法の自由化とかそういうレベルじゃないと思う。
皆がスタンディング走法してる中、クラウチングスタートをしている私が言うのもなんなんだけどさ、これは酷いて。
こんなん見たら、ルドルフ会長卒倒するわ。
「なんか、くるくる回りはじめた」
『これが……全国……!』
『クソ! 身体が持つのか! 持ってくれ!』
『来いよ……お前の命受け止めてやるッ!』
『この走りで……決めようというのか……!』
『あいつならやれる……!』
コメント欄ではなんか、くるくる回りじめたプレイヤーキャラに合わせるかのように厨二くさいセリフが流れはじめた。
おい、二番目のお前、それ、私リアルでそれやったからマジでやめろ! そのセリフは私に効くッ!
ていうか、本当に前に、私は己の命燃やしたばっかりだぞ、マジで洒落にならんからな! こんなふざけた走法と一緒とかヤバいだろ!
だが、いつまで経っても走る気配がないので私から一言。
「はよ走れ」
『どうでもいいから走れ』
『走れ』
『とにかくゲートから出ろ』
『お前らwwwww』
とりあえず、そんなこんなでカオスなゲーム、98ウマ娘をやりながら私は久々に皆と盛り上がった。
いや、このゲーム作った人、URAから怒られますよ、なんつーもの作ったんかと。
でも嫌いじゃない、こんな風にぶっ飛んだ事をやってみたいものですね、多分、やったら周りがブチ切れるのでできませんけども。
真面目なレースでふざけ倒して負けていい立場でもないですからね私の場合は、無敗記録はずっと継続しているわけですし、義理母の手前、レースに関しては私はかなり真面目ですから。
さて、ゲームを終えて、久々にはなりますが、お馴染みのアフちゃんの質問コーナーにしましょうかね。
「さて、今日の質問はですねー。どれどれ? ペンネーム究極生命体さんからのご質問です。ん? 石仮面でも被ったのかな?
ドゥラメンテとディープインパクト、どちらが一番可愛い後輩と考えてますか? ですって」
『カーズ様! カーズ様じゃないか!』
『え? ディープインパクトだろ』
『ドゥラちゃんは天使』
『大穴のキズナという可能性も……』
そう言って、コメント欄ではなんか今にも三国志が始まりそうな勢いでした。
うむ、これは難しい、なんか変な言葉選んだら私の身に危険が及ぶ気がする。
頼むからヤンデレ化だけは勘弁してくれ(必死。
「そ、そうですねー、二人とも大好きですから私はね? 選べないなーあはは」
『ギルティ』
『お疲れ様アッフ』
『葬式には花添えてやるぞ』
『カーナーシーミノー』
「おい、ついこの間、私、生死の境を彷徨ったばっかやぞ! また死にかけるのは勘弁して!」
コメント欄の辛辣な突っ込みにそう声を上げる私。
いやはや、皆私を好きすぎてなんか怖いんですよね、最近は特にやたらと過保護ですし。
姉弟子とライスシャワー先輩まで過保護ですからね、やれやれ。
「さて、じゃあ気を取り直して次の質問です! ペンネーム、グレンフォートさんからの質問です。ぽんこつカワイイアフちゃんさんの一晩抱き枕権は何処で手に入りますか? らしいです」
『お、アッフも抱き枕デビューか』
『言い値で買おう』
『抱き枕アッフは胸熱』
私の抱き枕ねー、たづなさんとか密かに作ってそうなんですよね本当。
私自身が抱き枕にされる事が多いんでね、いやはや、これも私が可愛いのが罪か、何という事か可愛いよりカッコいいと言われたかった。
おかしいんだよなぁ、あれー? 私ってかっこいいよね? 皆。
「多分、URAで売ってあるかも? 誰か手作りしてそうですけどね」
『つまり諭吉を出せと』
『これがパパ活ですか』
『アッフお前って奴は……』
「おい、語弊があるぞお前ら! やめろ!」
私がそんな金の亡者みたいに言わないでください。
別に私はお金なんてもう微塵も興味ないんですよ! 全くもう、なんて視聴者だ!
類は友を呼ぶ、あ、そういうことですね、はい、つまり私も同類でしたか、これはすまんかったな。
「はい、では最後の質問行きましょうかね。
ペンネーム深い衝撃さんからです。ん? どっかで見たことあるぞこれ?」
『あっ……(察し』
『アッフさぁ……』
『相変わらず身内からで草』
うん、皆が言わんとしてることはわかる。
おい、三冠ウマ娘、こんな配信を見に油売ってんじゃないよ! 何してるんですか一体!
久方ぶりの配信だというのに突っ込みどころが多すぎて芝しか生えんのだが、どうしたものか。
「なになに? アフさんは何でそんなに皆に愛されてるんですか、秘訣を教えてくださいですって」
『愛されてる……?』
『あーうん』
『ソウダネー』
『はいはい、可愛い可愛い』
そう言って、私のまともな質問に適当に返すコメント欄。
そんなこと言って、皆、私の事が大好きなのは知ってますからね、そうですね、まともな質問にどう答えるべきか。
やはりここは一つ、真剣に答えてあげましょうかね?
「やっぱり、ルドルフ会長を煽り散らかすくらいの度胸をつけるのがコツですかね」
『アフトクラトラス、後で生徒会室に来るように』
『草』
『会長wwww何やってんですかwwww』
「ちょ!? ルドルフ会長見てたんですか! えー! ちょっと待ってぇ!」
こうして、私の久方ぶりのアフちゃんねるは幕を閉じました。
この後、ルドルフ会長から怒られたのは言うまでもありません。
というか、毎回、こんな感じでアフちゃんねるやるたびに身内が多分枠見てるんですよね。
まさか、配信をして、呼び出されるとは思わなんだ。とほほ。