遥かな、夢の11Rを見るために   作:パトラッシュS

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合間の休日

 

 

 

 テイオーちゃんと街に繰り出した私はいろんなところを引っ張り回された。

 

 無邪気で元気が良いですよね、テイオーちゃん。

 

 そんな彼女の姿を見て、私は笑みを溢す。

 

 

「お姉さん! これ3個貰うね!」

 

 

 そう言って、テイオーちゃんは私の分のにんじんクレープを今買いに行ってくれている。

 

 あー癒しなんじゃあ、何であんなに元気印なんでしょうねテイオーちゃん。

 

 可愛いって素敵やん。

 

 すると、ベンチで座っている横にあるウマ娘が何やら当然のように腰掛けてきた。

 

 なんだ、誰だよー、せっかく癒しを眺めていたのに。

 

 ふと、視線を横にやるとそこに居たのは満面の笑みを浮かべたあの人だった。

 

 

「何してるんだ? アフトクラトラス?」

「げぇ! ルドルフ会長!?」

 

 

 思わずげぇとか言ってしまいました。

 

 だって、大体呼び出されると怒られてばかりですもの、ルドルフ会長は怒ると怖いです。ちなみに私は怒らせるのは得意ですからね(ドヤ顔。

 

 何度、頭にたんこぶ作った事やら。

 

 

「げぇとはなんだ、げぇとは」

「あ、ごめんなさい、つい先日悪戯でとっちめられたばかりなんで」

「それはお前の自業自得だろう」

 

 

 グゥの音もでないど正論である。それはそうだ。

 

 まあね、ルドルフ会長はこう見えて私には甘いですからね、うん、優しいんですよ? 

 

 すると、会長はゆっくりと話をし始めた。

 

 

「……先日は不甲斐ないレースを見せてしまったな」

「不甲斐ないだなんて」

「いや、負けた。それが事実だ」

 

 

 そう言って、深いため息を吐く会長。

 

 あの状況で最善の手をルドルフ会長は打ったと思う。あれ以上を求めるのであれば、それは、レース開始時のスタートから始まる話だろう。

 

 あんな好スタートを決めて、シンザン先輩が先頭を取りにいかないなんて、予想できるもんじゃない。

 

 私だってきっとルドルフ会長と同じならそう戦法をとったに違いありません。

 

 

「あれ? カイチョーじゃん! 来てくれたんだ!?」

「やあ、テイオー」

「なんかいつの間に居ました」

「うん、だって僕が呼んだんだもん」

「お前が呼んだんかいっ!」

 

 

 クレープをハムハムしながら、当たり前の様にそう告げてくるテイオーちゃん

 

 心臓に悪いんだが! いや、会長が隣に座った際に私の時間が一瞬停止したぞおい。

 

 生徒会の業務は確かにSWDTがある期間はないと言ってましたっけ、確か。

 

 私もまさか、こんなところでばったりと会うなんて思いもしなかったですからね。

 

 

「じゃあ僕、カイチョーとアフちゃんの間に座るねっ!」

「おい、テイオー」

「ちょっ! また強引な……」

 

 

 そう言って、嬉しそうに私とルドルフ会長の間にクレープを持ったまま座ってくるテイオーちゃん。

 

 うむ、まあ、可愛いから許してあげましょう。

 

 そんなニコニコしながら来られたらね、私はテイオーちゃんには甘いのです。トレーニングでは別ですけどね。

 

 私とルドルフ会長に挟まれてるテイオーちゃん、なるほど、これが皇帝サンドイッチか、新しいな。

 

 

「前回のレースは残念だったけど、気にしないでよカイチョー。僕はカイチョーが1番強いって思ってるからさっ!」

「テイオー……」

「え? テイオーちゃん? 私は? ねえ、私は?」

「アフちゃんはねー……。んー、多分強い」

「おい、多分ってなんだ、おい」

 

 

 充分強いだろうが、なんだこいつは仕方ないみたいな感じの反応は! 

 

 尊敬の念が感じられんぞ、どういう事だ。

 

 うん、自分の行動を顧みたらまあ、仕方ないけども、なんか煮え切らんな! 

 

 だが、可愛いから許す。可愛いって素敵ですねなんでも許されますもの。

 

 私は許されない事が多いのは何故だろう? 日頃の行いですかね。

 

 

「ふふ、ありがとう二人とも少しだけ元気が出た」

「それなら良かった、あ、そうだクレープ二人のも買ってきたんだから食べてよ」

「んぐっ! くひぃにふっもうふぁ!」

 

 

 そう言って、私の口にクレープを突っ込んでくるテイオーちゃん。

 

 私の扱いが雑になってきてるような気がするんだが、きっとそれは気のせいではないだろう。

 

 私は口に突っ込まれたクレープをモグモグする。

 

 おう、これはなかなか美味しい、いいチョイスをするではないかテイオーちゃん。

 

 

「しかしアフは私を全く警戒しないな?」

「ん?」

「トレセン学園の皆は私を警戒するんだが、お前だけはむしろ何というか……」

「煽り散らかしてる感じですか?」

「おい」

「ごめんなさい嘘です」

 

 

 私の言葉にピキッと青筋を立てるルドルフ会長。

 

 嘘ですよーやだなー、会長が好きだからに決まってるからじゃないですかー。

 

 愛ですよ愛、全く怒ったら怖いんだからこの人。

 

 まあ、私の場合はどんな人が相手だろうが関係ないですからね、警戒してないことはないです、だって私の場合は、ほら、いつもルドルフ会長をからかって怒られてますんで。

 

 

「そりゃ私はルドルフ会長をなんだかんだ言って好きですからね、ね、ルナちゃん」

「おい、何で私の幼少期の名前を知ってるんだお前」

「え! 会長ってルナちゃんって名前だったんだ! 可愛いー!」

「テイオーまで……。やめないか」

「そうだぞ、ハマノちゃん」

「何で僕の幼少期のあだ名知ってるの!?」

 

 

 そう言って、私の口から飛び出す言葉にビックリするテイオーちゃん。

 

 幼少名がハマノテイオーとか日焼けしてそうなんですよね、せめて、ミナミノテイオーとかにして欲しかったなと。

 

 いや、待てよもしかしたら横浜のテイオーという可能性もありますねぇ。

 

 あ、これはこれであかん、テイオーちゃんが闇金になってしまう。

 

 取り立てが怖いぞー、でもサングラスかけたテイオーちゃん想像したらなんか可愛かったから良し。

 

 

「まあ、私は皆さんの幼名を密かに知ってますからね、ね、ルナちゃん」

「おい」

「すいません、マジトーンはやめてください怖いですルドルフ会長」

 

 

 拳をぽきりと鳴らしたところで私は慌ててルドルフ会長に弁解する。

 

 そんなんだから皆さん怖いとか言うんですよ、ルナちゃん、これだからルナちゃんは本当怖いんだから。

 

 心の中ではいくらでもルナちゃん言っても怒らないですからね、にしし。

 

 

「じゃあ、とりあえずカイチョー! アフちゃん! 買い物付き合ってよ!」

「別に構わないが……何を買うんだ?」

「んーとね、シューズとぉ、あとは服とか?」

「あ、そういえば、私もそろそろ足につける新しい数十キロの重りを買おうと思って……」

「それは買わないよ」

 

 

 そう言って満面の笑みを浮かべてくるテイオーちゃん。

 

 なんでや! 私なんていつも義理母や姉弟子と行くときは基本的にダンベルとかバーベルとか買ってたんですよ! 

 

 それくらい普通では無いですか! え? 違うって? そうなんですか、教えて偉い人。

 

 なるほど、今日は女子女子する日でしたか、すまんな、最近、女子力という女子力は宇宙の遥か彼方に置いてきてしまいまして、もはや存在していませんでした。

 

 

「まあ、アフちゃんに似合う服も見繕ってあげるから、ほら! 早く早くぅ!」

「あ! ちょっ!?」

「はあ、全く仕方ないな……」

 

 

 テイオーちゃんに背中に押されながら、ショッピングモールに向かう私。

 

 とりあえず今日はテイオーちゃんに付き合ってあげるとしますかね。

 

 私も気分転換したかったですし、とはいえ、ルドルフ会長がついてくるのはとんだ誤算ではありましたけど。

 

 テイオーちゃんときゃっきゃできるという私のプランは崩壊しました。

 

 

「アフちゃん! これとかどう? 似合いそうだけど?」

「え? これめっちゃ胸元開いてないです?」

「ふむ、風紀的にはあまり良くないな」

「なるほど、じゃあ、この背中空いてるやつとかは?」

「基本、胸が見えるんですがそれは」

 

 

 横から胸がっつり見えるぞそれ、いやいや、ダメダメそんなの着たら痴女扱いですよ私。

 

 よし、もっと普通の服にしましょう。たしかに可愛いですけど、こんなん着たら私の身に明日何が起こるかわかったもんじゃない。

 

 もっと可愛いのあるでしょ、たしかにタイキシャトルさんとかマルゼンさんとかは露出多めですけども。

 

 という事でとりあえず私は試着室へ。

 

 

「どうですか?」

「可愛いー! 良いじゃんアフちゃん!」

「うむ、だが……うーん」

 

 

 私の格好を見て何やら悩んでるルドルフ会長。

 

 ちなみに私が着てるのはデニムのパンツにトレーナーというごくごく普通の格好です。

 

 いや、露出も少ないですし、風紀的には問題無さそうなんですけど。

 

 

「そうだな……、存在自体が風紀に引っかかるから何着ても一緒だな」

「おい、ちょっと待ってください不本意な扱いなんですけどそれ!」

 

 

 辛辣なルドルフ会長の評価に声を上げる私。

 

 ほう、言うではないですか会長、私を怒らせてしまったようだな。歩く風紀違反なんてあだ名を付けるとは良い度胸ではないですか。

 

 とりあえず私は適当な服を持ってくると会長に向かいこう告げる。

 

 

「じゃあ会長着てみてくださいよ、ほらほら」

「お前……、これ、また露出が高そうな服を」

「会長が着ると気品がある感じになるんでしょ? ね?」

 

 

 そう言って私は会長に服を手渡す。

 

 ふふん、生足スリットが出るチャイナ服なんざ誰が着ても風紀を乱すに決まっています。

 

 へへへ、着終わった途端にルドルフ会長を煽り散らかしてやるぜ。

 

 服を着替えたルドルフ会長が中から出てくる。

 

 

「ど、どうだ? その……これ脚が……」

「今まで散々煽ってすいませんでした。ふともも舐めても良いですか?」

「アフちゃん!?」

 

 

 私から出てくる言葉にびっくりしたように驚く。

 

 なんだ、テイオーちゃんこんな素晴らしいふとももを前にして舐めちゃダメとか何考えてるんですか。

 

 その後、制止をされた私は冷静さを取り戻し大きく深呼吸する。

 

 続いて、テイオーちゃんが着衣室へ。

 

 ほう、これ以上を見せてくれるというのか感謝。

 

 

「えへへ、どうかな? 似合ってる?」

「ルドルフ会長、この娘しばらく誘拐しますね」

「おい、ちょっと待て」

 

 

 出てきたメイド服のテイオーちゃんを見た途端、真顔でルドルフ会長にそう告げる私だったが、同じくルドルフ会長から止められてしまった。

 

 なんだよ、二人とも、私とは大違いではありませんか! 

 

 こんなことは許されない、私なんて服着て歩いたら風紀乱すなんて言われんのやぞ! 

 

 

 そんな感じで、二人と私は楽しく買い物をしながら過ごしました。

 

 可愛い子の可愛い服とか犯罪だと思うんですよね。

 

 ルドルフ会長もこれで少しは元気出てくれたら良いんですけど。

 

 私としても楽しい休日を過ごせたと思います。

 

 

 復帰して間もないですから、今後、私ももっと頑張って本来の調子に戻していかないとですね。

 

 

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