遥かな、夢の11Rを見るために   作:パトラッシュS

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新ユニット結成!

 

 

 さあ、レースに向けてきっついトレーニングを積み重ねてきた私なんですけどもなんか今日は呼び出しを食らいました。

 

 というのも呼び出されたのはたづなさんからです。

 

 まあ、この人が関わっているというのはつまりそういう事なんでしょうけど。

 

 

「なんでタイシンさんも居るんです?」

「ん? なんかしんないけど呼ばれた」

 

 

 私とちょうど良い視線の持ち主、小さくて可愛いこのウマ娘はBNWの一角であるナリタタイシンさんです。

 

 身体が小さくて可愛いという事で知られています。可哀想に私の身長を分けてあげたいくらいですよ。

 

 と、思ったら身長が変わらないという事実、ちくしょうめ! どこに栄養いってんだこら! 

 

 

「あー! アフちゃんとタイシンちゃんだ! 2人とも呼ばれたの?」

「あり? マヤちーも呼ばれたんですか?」

「そうだよぉ、なんかぁ、マヤに大事なお話があるって言ってたからきたの」

「……なんなんだこの面子」

 

 

 そう言って頭を抱えるナリタタイシンさん。

 

 私達の前に現れたのはちょっと幼さがあるマヤノトップガンちゃん、通称、マヤちーだ。

 

 身長が小さくあざといことで知られている。ふっ、そのあざとさ私は嫌いじゃないぜ。

 

 まあ、そんなことはどうでもいいですが、身長が同じくらいなんでなんだか落ち着きますね、だって、スパクリさんとかアケボノさんとか一緒にいると私チビ扱いされますから。

 

 そして、部屋に入った私達を待ち受けていたのは。

 

 

「おー! 来たか皆の衆! 待ってたぞ!」

「理事長じゃないですか、ちすちす!」

「おい、理事長に対してお前……」

「あはは、相変わらずだな! アフトクラトラス!」

 

 

 そう言いながら嬉しそうに笑う理事長。

 

 秋川やよい理事長、通称ちびっ子理事長である。

 

 なんか、いつも変な扇子を持っていますけど気になるんですよねぇ。

 

 天晴れってなんやねん、そこは熱盛りにして欲しかったと思います。

 

 何故かたまに激熱扇子が登場しますが、皆さんは見かけたことありますかね? 

 

 

「あら、来ましたか、三人とも」

「あ、たづなさん、どもども」

 

 

 ニコニコしながら手を振ってくるたづなさんに私も手を振り返す。

 

 たづなさんって丸の内OLみたいな感じで良いですよねぇ、しかも美人ですから。

 

 なんかオカさんもたづなさんと話すだけで何故か体力が回復するって言ってましたしね、癒しって素敵だと思います。

 

 まあ、私に対してはたまに欲望剥き出しでグラビア雑誌のお願いしてきますけども。

 

 すると、理事長は私達に向かいゆっくりとこう告げ始める。

 

 

「うむ、お前達を呼んだのは他でもない、トレセン学園の広告の為に一肌脱いで貰おうと思ってな!」

「ほう、それは興味深い」

「そうだろう! そうだろう! そう、君達三人でユニットを組んで貰う! その名もこれだ!」

 

 

 バン! と私達の前に何やらホワイトボードを出して書いてあるものを理事長は元気よく発表しはじめる。

 

 そこに書いてあったのは……。

 

 

「パワフルリトルシスターズ?」

「そうだ!」

「おい、ちょっとまて、リトルってなんだリトルって」

 

 

 そう言って名前にリトルが入っていることに早速反応したのはナリタタイシンさんである。

 

 察しの良い人はお気づきかもしれないが、この身長小さなウマ娘が集められたというのはつまり今回のユニットはそういう事だろう。

 

 これにはマヤちーも私もナリタタイシンさんも誠に遺憾である。

 

 

「はい! 解散! 帰宅入ります! お疲れさんっしたぁー!」

「はーい、ねぇねぇ、マヤお腹減ってきちゃったからアフちゃんドーナッツ食べいこー」

「はぁ無駄足だったか」

「ちょっ!? ちょっと待て! お前達ぃ!」

 

 

 そう言って、ズザーと扉を塞ぐように立ち塞がってくる秋川理事長。

 

 いや、終わりですよ、なんもないんです諦めてください。

 

 身長が小さいユニットとかざけんなぁ! 嫌がらせじゃねーか! 吊し上げますよ本当! 

 

 こちとら毎日牛乳飲んでまだ成長期だからって言い聞かせとんのだぞ! 許さん! 

 

 

「トレセン学園の広告の為! 頼む折れてくれ! お願いだ!」

「おいこら、秋川理事長、私達をちび呼ばわりとか言う前に鏡を見たんか己は」

「君達の気持ちはわかっているっ! いつも隣にたづながいる私の身にもなれ!」

「……確かにそれは同情の余地はあるな」

 

 

 そう言いながら、血の涙を流している理事長に私達は互いに顔を見合わせなんとも言えない表情を浮かべていた。

 

 タイシンさんは肩を竦め、私は仕方ないと左右に首を振る。

 

 そんな私達のやり取りをほっこりした表情で眺めているたづなさん。

 

 理事長も可哀想に、こんなモデルみたいなナイスバディのお姉さんがいつも隣にいるなんて、さぞ、身長をたくさん弄られてきた事だろう。

 

 

「てか、理事長がセンターすれば良いんじゃないですかね?」

「理事長である私を歌わせようとするとは、とんでもないウマ娘だな君は、というか誰得だ」

 

 

 そう言いながら深いため息を吐く理事長。

 

 ナリタタイシンさんもマヤちーと私もまあ、ここまで血の涙を流しながらお願いしてくる理事長を無下にすることもできないですね。

 

 とはいえ、解せぬ、身長も胸も小さいタイシンさんなんて激おこですよ。

 

 これを口に出すと多分、グーパン飛んでくるんでやめておきましょう。

 

 

「はぁ、仕方ないわね、全く……」

「え? タイシンさんやるんですか? まさか」

「しょうがないでしょ、ここまで言われたら」

 

 

 ちびを受け入れるだなんて、なんて懐が大きいんだタイシンさん。

 

 今まで、なんで勝負服のジーンズ破れてるのにまだ穿いてんのなんて思っててすいませんでした。

 

 しかし、ユニット名、これだけは変えてもらいたい。

 

 

「じゃあ、せめて名前変えましょうよユニット名」

「よし、じゃあわかった。抱き枕ユニオンシスターズという名前はどうだろう?」

「……おい、抱き枕って……」

「まあ、少しはマシですね少しは」

「えー、マヤ抱き枕にされちゃうのー?」

 

 

 そして、改名して私達のユニット名は抱き枕ユニオンシスターズという名前になりました。

 

 抱き枕にちょうどいいというのはなんとも言えないものはありますが、まあ、リトルシスターズよりはましかと思います。

 

 というか、そもそもシスターズってなんやねん、なんで姉妹扱いなんですか、私、姉弟子が居るんですけど。

 

 

「じゃあ、せめて抱き枕ユニオンガールズにしましょう、まだマシです」

「よし決まりだなッ!」

 

 

 理事長は私の言葉に頷き、こうしてユニット名が決まった。

 

 その名も抱き枕ユニオンガールズ、なんだこのクソダサい名前のユニットは。

 

 自分で付けておいてなんだが、恥ずかしくなってきましたよ。

 

 ナリタタイシンさんもなんとも言えない表情を浮かべています。それはそうだ。

 

 

「よし! それじゃセンターはアフトクラトラス! 頼んだぞ!」

「まぁ! 抱き枕代表ですね! アフちゃん!」

「おい! たづなさん貴女楽しんでるでしょう!」

 

 

 嬉しそうに笑うたづなさんにそうツッコミを入れる私。

 

 最近、貴女ショップ店員して、私のグッズをこっそり売ってるの知ってるんですからね! 

 

 そういうわけで、私、ナリタタイシンさん、マヤちーの三人で抱き枕ユニオンガールズが出来上がりました。

 

 

 そして、私は2人と共にライブをやる事になった訳なんですけど。

 

 観客席から送られてきた言葉には涙が出てきましたよ本当。

 

 

「ちっさくて可愛いー!」

「お持ち帰りしたいー!」

「きゃー! アフちゃーん! タイシン〜! マヤちゃーん!」

 

 

 これである。小さくて可愛いである。

 

 しかも女性人気が跳ね上がっております、抱き枕ユニオンガールズの抱き枕は高額で売られる始末。

 

 リアルに抱き枕にされている私の身にもなって欲しいですね全く。

 

 私がステージに上がっている間に見慣れたシャドーロールとか、ドーベルさんとかいた気がしましたがもはや、突っ込む気にもなれませんでした。

 

 

「それでは聞いてください、『抱きしめて! climax!』 ……なんだこの曲名ッ!」

 

 

 顔を引き攣らせながら曲名を叫ぶ私。

 

 なんだ、『抱きしめて! climax!』って

 

 こんなん抱き枕にしてください、言うてるもんでしょうが! 

 

 タイシンさんも私のツッコミに頭を左右に振りながらもちゃんと楽しそうに歌ってくれました。

 

 マヤちーは歌うの元々好きですからね、楽しそうに歌っています。

 

 何というかこの、己に刃を突きつけるような所業は……。

 

 例えるなら、貧乳の人が貧乳の歌を歌うようなものだぞ! 

 

 あ、すいませんスズカさん、貴女の事じゃないです。スズカさんはほら、鉄板なんで! 

 

 

 それから、一通りライブを終えた私達はトレセン学園の食堂で神妙な面持ちで頭を抱えていました。

 

 計一名は呑気に楽しそうにニンジンパフェを食べていますがね。

 

 

「……タイシンさん」

「なんだアフ……」

「どうしたら身長大きくなりますかね……」

 

 

 それは、心の中から出た悲痛の叫びであった。

 

 タイシンさんもこれにはなんと言えば良いかわからずに頭を抱えていました。

 

 抱き枕ユニオンガールズ、別名ちびっ子同盟。

 

 そう言われるのも時間の問題だろう、タイシンさんも私もこれには遺憾しかない。

 

 

「……明日から頑張って牛乳飲むか……」

「……私、牛乳飲んでも胸がおっきくなるだけなんですけど……」

「おい、表に出ろ。私の胸を見て喧嘩売ってんだろお前」

 

 

 ピキッと青筋を立てながら、にこやかな笑顔でそう告げてくるナリタタイシンさん。

 

 体も小さく、胸も小さい、何という事でしょう。

 

 こんな事言ったらいよいよタイシンさんがキレちゃいますのでやめておきます。

 

 

「はぁ……」

「とりあえずライブの打ち上げという事で、ニンジンジュースでも飲んで忘れましょう」

「そうだよぉ! 2人とも! 早くメニュー決めてよー! マヤお腹すいちゃったー!」

 

 

 そう言いながら無邪気な笑みを浮かべるマヤちゃん。

 

 何というか、純粋って素晴らしいですね、とりあえず、私とタイシンさんは身長をどうやって今後伸ばしていくのかを互いに考えながら、マヤちゃんとライブの打ち上げを楽しむのでした。

 

 そんな私達の姿を物陰から覗く1人のウマ娘。

 

 

「抱き枕ユニオンガールズ……! また強力なライバルが現れたわね! けど! ファル子負けないからっ!」

 

 

 そう言いながら、私達を変にライバル視してるこの娘はウマドルのスマートファルコンちゃんです。

 

 多分、ガチでトレーニングしさえすれば、ダート最強になれるようなそんなウマ娘ちゃん。

 

 アメリカに海外遠征すれば億単位のお金を稼ぐことができる化け物アイドルです。

 

 

「これは逃げ切りシスターズを招集しなくてはいけないみたいねっ! 待ってなさい! 抱き枕ユニオンガールズッ!」

 

 

 なんか、変にライバル視をし始めているファル子ちゃんをよそに私達は食堂で楽しく打ち上げをするのでした。

 

 後日、何を血迷ったか、ファル子ちゃんがアイドルバトルとかを仕掛けてくるのはまた別のお話。

 

 

 

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