翌日の記事にはデカデカとこう書かれていた。
日本のウマ娘、海外勢に惨敗。
日本と海外ウマ娘のエキシビションの合同レースとはいえ、あれだけの実力差を見せられれば惨敗と書かれても仕方ないだろう。
だが、まだ皆心が折れたわけじゃ無い、これからが本番だと会長のシンボリルドルフはそう確信していた。
彼女は翌日のこの記事が出てからトレセン学園のG1級のウマ娘を全員集めた。
それは再来年に向けた壮大な準備を行うためだ。
「知っての通り、海外ウマ娘達とのエキシビション、そして、宣戦布告があった。予定は前倒しにはなるが今日を持って八番勝負は取りやめ、全G1ウマ娘の強化合宿を一年半を通して行う」
それは、ルドルフ、シンザンを含めた生徒会が出した一年間の期間をつけた壮大な強化合宿だ。
その期間は一年半、この間に日本のウマ娘は全員強化合宿を行う。
「強化合宿だが、選抜に選ばれた君達には専属のレジェンドトレーナーがつく、どの方々も名が知れた君達全員に馴染みが深いトレーナーばかりだ」
そう言って、ルドルフ会長の隣から現れたのはオカさんである。
トレセン学園始まって以来の海外ウマ娘という予期せぬ怪物達の襲来に彼等が全G1ウマ娘達を強くするために立ち上がった。
そう、それはつまり、地獄の一年半の幕開けを意味する。
「ルドルフから聞いての通りだ。我々が全力で君達をサポートする、死ぬ思いをする事になるだろうが、世界頂上決戦に望むという気持ちで一年半のトレーニングに励んで欲しい」
レジェンドトレーナーの言葉に全員が元気よく、ハイ! という返事を返した。
先日の一件が悔しいと思わないウマ娘など一人もいない、なんとか、海外ウマ娘達に一矢報いたいと思うウマ娘ばかりだ。
そんな中、私はというとそんな事があったのかー、くらいに聞いていた。
だって回収されてすぐにマッサージとかしてましたからね、何が起こったのかは新聞見てようやく把握したくらいです。
それからしばらくして、世界戦に向けたチームについてルドルフ会長が話をはじめた。
「世界を相手に戦うには、強力な個性と実力が必要とされる。……まずは世界に立ち向かうために特殊な対世界ウマ娘用のチームを作ることに決めた。その先駆けとして一つ目のチームのリーダーに任命したのは彼女だ」
そう言って、ルドルフ会長はその世界の決戦に向けたチームの一つを発表する。
そこに現れたのは漆黒のウマ娘だった、彼女は漆黒の髪を靡かせながら選抜メンバーの前に立つ。
そして、彼女の名前をルドルフ会長はゆっくりと皆に告げた。
「黄金旅程、いや、ステイゴールド、彼女が一つ目のチームのリーダーだ。そして、マックイーンが副リーダーをしてもらうッ!」
「はっ?」
突然の任命に間の抜けた声をこぼすメジロマックイーンさん。
いや、それはそうだ、見てみなさいよ、リーダーステイゴールドからの副リーダーがメジロマックイーンさんですよ。
私はこの時点で何かを察してしまった。物凄い嫌な予感がする。
「チームメンバーを発表する。ゴールドシップ! ナカヤマフェスタ! ラニ! ドリームジャーニー! そして、オルフェーヴルだ!」
その瞬間、その場にいた選抜メンバー全員から血の気が引いた。
指定暴力団、ステマ組の出来上がりである。
気性と素行がめちゃくちゃ悪そうな連中のチームに入れられるマックイーン先輩には同情せざるを得ない。
どうしてこんなチームを作ったんだ言え!
「か、会長、メンバーを間違えているのではなくて?」
「いやあってるぞ、最終兵器としてこのチーム構想は考えていた」
「なんでわたくしがこのチームの副リーダーなんですの!?」
ごもっともである。マックイーン先輩はこれは怒っていい案件だ。
約一名、なんか違う気はするが、多分それは気にしたら負けだと思いました。あのチームまとめるトレーナー地獄ですよ一年半。
だが、しかし、意外性では多分群を抜いている、なんだったら海外ウマ娘を素手でボコボコにできるような人達ではなかろうか。
そういう勝負では無い気がするんですけどね、なんにしろチームアルコルが出来上がりました。
チームアルコルは北斗七星の側で輝く星だそうです。それはもう死兆星ではなかろうか。
「チームアルコルには先陣を切ってもらいたいと思っている。一年半、頼むから問題を起こさずしっかりとトレーニングを積んでくれ」
「…………」
マックイーンさんは言葉が出ず口をパクパクさせていた。
それはそうである、なんでよりによってこのチームなのかと思いたくなるだろう。多分、下手したら私もあそこにぶち込まれたかもしれん(恐怖)。
続いては、ビワハヤヒデさんとナリタブライアン先輩の姉妹チームだ。
こちらはミナさんがトレーナーを勤め、一年半トレーニングを積むとのこと、なぜ姉妹かというと
「……姉貴、私らならやれる」
「あ、あぁ……。そうだな」
デイラミ、ダラカニの最強姉妹に対する為の選抜であった。
あの二人を倒せるのは私とブルボンの姉弟子かこの二人しかいない。
だけど、私は別の相手がいる。その名は前から聞いていた。
そう、私が倒すべき相手、それは、世界第3位、リボーだ。
「アフトクラトラスは私と一緒にオカさんとトレーニングだ。
ミホノブルボンはセクレタリアト戦、ライスシャワーはステイヤー対決でマックイーン、ハーツクライと共にイェーツと戦ってもらう」
「はい」
私は返事を返し、ライスシャワー先輩とブルボン先輩も静かに頷く。
次々と読み上げられていく選抜メンバー、ダートの部門は特に強化必須という事で彼らを加え、さらに東條ハナトレーナーとダート戦専用にシラさんというレジェンドトレーナーを迎え入れる事にした。
「イナリワン、クロフネ、カネヒキリ、ゴールドアリュール、ヴァーミリアン、エスポワールシチー、メイセイオペラ、スマートファルコン、トランセンド、ホッコータルマエ、コパノリッキー、ホクトベガ、ラニ、ヴィクトワールピサ、このメンバーがダートのベストメンバーだ。米国三冠ウマ娘達を倒せるのはお前達だけだ頼んだぞ」
「はい!」
「やるしかないねっ!」
日本における最大ダート最大選抜メンバー。
日本でのダートの精鋭達を限界まで集めた。
先日は海外ウマ娘達に蹂躙されたが、今回は本気のメンバーを厳選した上でさらに猛トレーニングを行う。
世界レベルを獲れるレベルまでの調整だが、このメンバーが果たしてどれほど通用するのか。
「そして、ティアラ部門だが、エアグルーヴ、ヒシアマゾン、ウオッカ、ダイワスカーレット、メジロドーベル、……それから、ジェンティルドンナ! アーモンドアイ! ブエナビスタ! レッドディザイア! シーザリオ! メジロラモーヌ! アパパネ! リスグラシュー! このメンバーが日本におけるティアラ選抜チームだ」
「はい!!」
「やっべぇな……燃えてきたぜッ!」
ティアラ部門では新旧混ぜ合わせた上で海外でのG1勝利経験もあるメンバーを集めた。
特にジェンティルドンナ、シーザリオ、ブエナビスタ、メジロラモーヌの四人はかなりの実力を兼ね備え、メジロドーベルは今やアンタレスの統括をしている。
これらのメンバーなら海外勢にも引けをとらないだろう、もちろん、誰もがシニア、ティアラ関係なくG1を勝てる面子だ。
「それから、中距離部門。こちらはサイレンススズカ、エイシンフラッシュ、ウイニングチケット、シンボリクリスエス、エルコンドルパサー、ナリタタイシン、キングカメハメハ、グラスワンダー、アグネスデジタル、ドゥラメンテ、キズナ、ミホシンザン、トウカイテイオー、エピファネイア、そして、フランス三冠を獲ったネオユニヴァースこれが今回のベストメンバーだ」
中距離部門だが、こちらもかなりの実力者揃いだ。
だが、解せないのはここに入っていない二人、その二人について、ルドルフ会長はゆっくりと口を開く。
「フジキセキとアグネスタキオン、お前達はラムタラと戦って貰う、無敗の天才対決だ。燃えるだろう?」
「さて、どうかな」
「まあ、それも一興さ」
フジキセキとアグネスタキオンは神のウマ娘と呼ばれる天才ウマ娘、ラムタラとの直接対決へ。
確かにあのウマ娘に対抗できるとすればこの二人しかいないだろう、タキオンさんに関しては大丈夫かなって思いますが。
超光速の粒子の本気が見れるかもしれません。
「長距離部門だが、ゴールドシップ、キタサンブラック、セイウンスカイ、スペシャルウィーク、ステイゴールド、ダンスインザダーク、サクラローレル、メジロブライト、マヤノトップガン、タマモクロス、オグリキャップ、スーパークリーク、テイエムオペラオー、ギュスターヴクライ、フェノーメノ、そして、アイルランド三冠を獲ったゼンノロブロイこれがベストメンバーだ」
長距離部門ではこの面子、ゴールドシップをはじめ意外性を入れつつ、長距離を得意とするG1ウマ娘を選抜した。
長距離のレースならば、期待が持てるメンバーだ。
海外のレースは最大で4000mの超長距離のG1レースなんかもあると聞くが、海外ウマ娘との地力の差をどこまで埋めれるかは彼女達次第だろう。
「次にマイルだが、ニホンピロウイナー、タイキシャトル、トロットサンダー、ノースフライト、ジャスタウェイ、バンブーメモリー、デュランダル、ヤマニンゼファー、ダイワメジャー、ラインクラフト、カンパニー、そして、モーリス! これがマイル選抜メンバーだ」
マイルは1600〜1800m、そのレースで海外勢を脅かせるのはこのメンバーだけだろう。
問題はフランケルとワイズダンをどう攻略するかだろう、この2人さえ倒せればマイル戦線は日本ウマ娘が勝つことができるはずだ。
「続いては短距離部門だが……、サクラバクシンオー、フラワーパーク、ニシノフラワー、カレンチャン、ダイタクヤマト、エアジハード、グランアレグリア、ハットトリック、シーキングザパール、レッドファルクス、そして、龍王、ロードカナロア、これがベストメンバーだ」
そう話すルドルフ会長の口はどこか重かった。
それもそのはず、立ちはだかるは25戦25勝無敗の内、G1で15勝を挙げている怪物、ブラックキャビアを倒さなくてはいけないのだから。
正直言って、シーバード並みに攻略の糸口を見つけるのが難しい難敵である。フランケルやワイズダンもそうだが、こちらも恐ろしく強い。
だが、一年半の期間でマイル・短距離のメンバーが覚醒することだってある筈だ。今はそう信じるしか無い。
それから、最後に三冠ウマ娘達だが。
「私はディープインパクトとシンザン先輩と共に世界一位シーバードに挑む、セントライトさん、オルフェーヴル、ミスターシービー先輩の三人はミホノブルボンと共に世界二位のセクレタリアトと戦ってもらいます。そして、アフトクラトラスお前は最終戦、世界三位リボーとの直接対決だ、他の海外ウマ娘もいるだろうがいけるな?」
そう言って私に問いかけてくるルドルフ先輩に私は静かに頷く。
私のみリボーとの単騎決戦に挑まなければいけないが、はなっから海外遠征で周りに海外ウマ娘がいる中で揉まれ慣れている。
周りがアウェーだろうが私にしてみればどうということはない。
「以上が世界戦に向けた選抜メンバーになる。皆、一年半は各トレーナーの元、各自トレーニングを積み重ねてくれ」
こうして、この日からトレセン学園の世界選抜メンバーの猛特訓が幕を開ける事になりました。
期限は一年半、この一年半の間に皆が大きく成長し、海外ウマ娘を打倒できるレベルにならなくてはいけない。
私はオカさんの元、ルドルフ会長とともに打倒海外ウマ娘を掲げ、地獄のトレーニングに励むことになりました。