遥かな、夢の11Rを見るために   作:パトラッシュS
<< 前の話 次の話 >>

20 / 22
併走パートナー

 

 

 さて、スピカとの併走トレーニングが決まったその晩のこと。

 

 私はいつものようにナリタブライアン先輩とヒシアマゾン先輩の宿舎の部屋に居た。抱いておく事に定評のあるヌイグルミ役は未だに健在である。

 

 ナリタブライアン先輩も寝るときには私が居ないともうダメな身体になってしまったとか(意味深)。

 

 いやいや、どんだけやねん、私に対する依存性高すぎるでしょう。

 

 毎回のように寝ぼけているブライアン先輩から胸を鷲掴みにされることにも慣れてしまった。

 

 代わりに私は腹いせにひっそりと寝被っているブライアン先輩とヒシアマ姉さんのマシュマロを鷲掴みにして発散したりはしていたが、あの弾力性には感動したのは記憶に新しい。

 

 ヒシアマ姉さん流石ですね。しかし、最近、私は胸を揉んでばかりな気がする。なんやかんやで皆んなが皆デカいんですよね本当に。

 

 あ、チームスピカにいる最速の機能美さんの事は触れてあげないでください、あれは仕様です。

 

 下手に言ったら多分、グーパン飛んでくると思いますので、えぇ、絶対言ったらダメですよ!

 

 というわけで、現在、先輩らの寝室にいる私なのですが。

 

 

「ふふふっ…、フルハウスですっ! ニンジンは頂いたぁ!」

「かーっ!! ツーペア! また負けかぁ」

「すまないな、フォーカードだ」

「「嘘ぉ!」」

 

 

 ニンジン賭けポーカーをやっていた。

 

 そして、見事にブライアン先輩にヒシアマ姉さんと共にカモられ中である。

 

 嘘やん、フルハウスなんてなかなか出ないのにフォーカード出すなんて、絶対サマですよ! イカサマ…っ! ノーカン…っ! ノーカン…っ!

 

 勝負強さというやつか、私はブライアン先輩から回収されるニンジンを見ながらそう思った。

 

 トランプ弱いな私、麻雀なら勝てる自信はあるんですけども、多分、それでもブライアン先輩には負けそうな気がする。

 

 このままだと賭けるニンジンがなくなって、私とヒシアマ姉さんは衣服を賭ける事になりそうだ。

 

 せめて、取られるなら上着だけにしといてほしい、パンツやブラジャーまでひん剥かれては真っ裸で寝ることになってしまう。

 

 現にヒシアマ姉さんは持ちニンジンが無いのでパジャマの上着を脱いでいた。

 

 どうやら、ウマ娘にはパジャマの上着はニンジン一本分の価値らしい、どんな基準なんでしょうね、本当。

 

 しかし、みんな負けず嫌いなので、例え、下着姿を晒そうが、真っ裸になろうが退かないのである。

 

 ウマ娘としては、確かにプライドは大事だが、それ以上に失うものが大きいのではなかろうかと私は個人的に思う。

 

 賭けるニンジンも私も僅か、このままでは、ブラジャーとパンツだけで正座しているヒシアマ姉さんみたいになってしまう。

 

 だが、負けられない戦いがそこにある!

 

 

「勝負じゃあぁぁぁ!」

「やってやらぁああ!」

 

 

 私はカードを握りしめて、ヒシアマ姉さんと共に雄叫びを上げてシャドーロールの怪物に立ち向かう。

 

 ウマ娘の寮だから良いものを、きっと、こんなところをファンの人達から見られようものなら揃いも揃って多分ドン引き不可避だろう。もう嫁入りできないだろうなと思った。

 

 女子寮ならではの光景かもしれない、しかしながらだいぶカオスである。

 

 さて、結果からお伝えするとしましょう。

 

 カードでナリタブライアン先輩に気迫を込めて挑んだ私達でしたが、その結果。

 

 ヒシアマ姉さんと私はパジャマと下着を全部ひん剥かれ真っ裸のまま土下座する羽目になりました。

 

 ニンジンは全部取られ、衣服もひん剥かれ、そして、ナリタブライアン先輩の一人勝ち。

 

 ポーカーなんてするもんじゃないよ、ロイヤルストレートフラッシュなんて初めてみたよ。

 

 こうして、裸にひん剥かれたヒシアマ姉さんと私は生まれたままの格好で寝る羽目に、ブライアン先輩のヌイグルミ代わりになる私はせめてパジャマの上だけ着て寝せてほしいと懇願する事になってしまった。

 

 すまぬ、オグリ先輩、貴女にあげる予定だったニンジンは倍プッシュしてしまいました。

 

 ショックを受けて更に真っ白になるオグリ先輩の顔が目に浮かぶ、悪気はなかったんですよ、でも、勝負事って熱くなるじゃないですかやっぱり。

 

 というわけで、私は裸パジャマ(上)という格好で夜を過ごしました。

 

 ヒシアマ姉さんは男らしく全裸で寝てます、風邪引きそうですよね。

 

 翌日、無事、ブライアン先輩から私達はパジャマと下着をちゃんと返品されました。使い道がないですもんね、それはそうなる。

 

 さて、そんなアホな事をやっている私なのですが、今日からスピカの併走パートナーを務める事になりました。

 

 義理母から反対されるかもとか思っていたのですが、どうやら、最近、調子が悪いのかよく病院に通っているそうです。

 

 なので、姉弟子も今は一人でトレーニングを積んでいるみたいです。

 

 義理母の事は心配ではありますが、姉弟子の菊花賞もあることですし、これからどうせ調子を上げてくることでしょう。

 

 そういうこともあり、トレーニングが効率的にも出来そうなチームスピカへ、ここには変態ながら聖人のようなトレーナーさんも居ますし、心配もないでしょう。

 

 

 

 

 早速、ゴルシちゃんから連れられた私は顔合わせにスピカの部室にいる。目前にはスピカの誇る名ウマ娘達がズラリと並んでいた。

 

 咳払いをする私は満面の笑みを浮かべながら話をしはじめる。

 

 

「こほん、えー、今日から臨時の併走パートナーの役を務めさせてもらいます。アフトクラトラスです! よろしくおねがいします」

「よっ! アフちゃん先輩! いらっしゃい!」

「今日からよろしくおねがいしますね!」

 

 

 そう言いながら、私の事を歓迎してくれるダイワスカーレットちゃんとウオッカちゃんの二人。

 

 いやぁ、ええ子達やなぁ、私はこんな後輩たちに恵まれて幸せやで、ほんま。おっと、何故か関西弁が出てしまいました。

 

 さて、そんな自己紹介を皆にしていると私の前に白い流星のメッシュにしている黒鹿毛のウマ娘が私の前に現れて手を握ってくる。

 

 

「貴女がアフちゃん? 私、スペシャルウィークですっ! 今日からよろしくおねがいしますねっ!」

「いつもお腹ミ○フィーさんですね! はい、よろしくおねがいします」

「一文字もあってないっ!?」

 

 

 そう言いながら、私の返答にガビンとショックを受ける日本総大将ことスペシャルウィーク先輩。

 

 私のその返答に周りからは笑いが起こる。いや、昼間によく見かけるのですけどスペシャルウィーク先輩はオグリ先輩とおんなじくらい食べるのは有名だ。

 

 私もあの食事量には度肝を抜かされた。あんな量が良く入るものだと尊敬するほどである。

 

 なので、お腹にバッテンおへそが見え放題なのだ。

 

 ペンで何度、目を書いてやろうかと思ったことか、ちなみにオグリ先輩のお腹には私は一度、目を書いてみた事がある。

 

 オグリ先輩から拗ねられはしたが、可愛かったので後悔はしていない。やっぱり目を書くとウサギさんのそれにしか見えないから不思議だなと思いました。

 

 さて、気を取り直して、そのあと、スペシャルウィーク先輩の肩を叩いて私の目の前に現れたのは綺麗なサラサラの栗毛の髪をした儚げな美人という言葉が似合うウマ娘だった。

 

 彼女は私に微笑みかけるとこう告げはじめる。

 

 

「サイレンススズカといいます。はじめまして、話はいつも聞いてるわ」

「あ…はい、えぇ、私も聞いてますよ、サイレンススズカさん!よろしくですっ!」

 

 

 そう言いながら、スズカさんと握手を交わす私、あの伝説のウマ娘とこうして対面する機会があろうとは思いもしなかった。

 

 沈黙の日曜日、あの日のことは私は忘れもしない。

 

 だが、こうして、元気な彼女の姿を今見れているという事はきっと何かしらの過程でその困難を乗り切ったのだろう。

 

 このウマ娘はかつて、私に夢をくれたウマ娘の一人だ。そう、アンタレスにいるミホノブルボン先輩やライスシャワー先輩のように。

 

 復帰レースがあったと聞いていたので見られなかった事が本当に悔やまれる。

 

 私は元気な姿のサイレンススズカ先輩をリスペクトしつつ、満面の笑みで握手を交わした。

 

 さて、続いてはこの人。

 

 小柄で快活な小顔で流星のメッシュが入っている鹿毛に愛らしさがあるウマ娘が私とスズカ先輩の間に割って入ってきた。

 

 

「いえーい! 君がアフちゃんだよね! 僕の名前はトウカイテイオー! テイオーちゃんって呼んでくれていいからね!」

「ほうほう、なるほど貴女があの…。どうぞよろしくです」

 

 

 そう言いながら、笑みを浮かべて答える私。

 

 シンボリルドルフの後継、まさに、皇帝を継ぐテイオーとはこの人の事だろう。

 

 怪我さえなければ三冠は間違い無しだっただろうトウカイテイオー先輩。イケメンだろうなとは思ってはいたけれどこんなに愛らしくなっちゃって、うーん、あざとい。

 

 そんな中、私の腕をひっ掴んできたテイオー先輩は元気よくこんな話をし始めた。

 

 

「堅苦しいご挨拶はいいよぅ! ねぇねぇ! 君ってさ! 会長が一目置いてるおんなじ皇帝って名前なんだって? ならさ! 僕と勝負しようよ! 勝負!」

「気持ちは嬉しいですが、ま、また今度ですね」

 

 

 そう言いながら、私の腕に頬を擦りつけながら寄ってくるトウカイテイオーちゃんに顔を引きつりながら答える私。

 

 皇帝? いいえ、違います、今ではマスコット扱いなのですよ、残念ながら。

 

 私の名前にギリシャ語で皇帝なんて付けるからこうなっちゃうんですよね、一体誰でしょうね、付けた人。

 

 というより、私はギリシャというか、何を間違えたか毎日毎日、お隣の国のスパルタン式に鍛えられてるんですけどね。

 

 あれ? 私もしかしてスパルタの皇帝だった?

 

 300人率いて100万の兵隊を倒さなきゃいけないんですかね? そんなことできるわけないんですけど。

 

 ルドルフ会長も一目おかなくて良いです。そんな事したら、また、坂路が増えちゃうじゃないですか。

 

 打倒シンザン、打倒ルドルフはウチの義理母がよく言っていたのでそのせいで檄が凄いんですよ本当に。

 

 さて、そんな感じで擦り寄ってくるトウカイテイオー先輩をあしらいながら、最後はこの人。

 

 皆の衆、刮目しなされ、この人こそ、あの世紀末ヒャッハーウマ娘の一族の創始者にして数々の伝説を残している。

 

 ゴルシちゃん同様にサラサラな芦毛の髪にいかにもお嬢様感を醸し出してるウマ娘。

 

 

「貴女がゴールドシップがよく言っていた…、アフトクラトラスさん?」

「メ、メジロマックイーン先輩! お、押忍っ!」

 

 

 メジロマックイーン先輩その人である。

 

 もう、私の頭には世紀末ソングが流れ始めている。ヤバイ、ヤバイですよ、この人。

 

 どのくらいヤバイかというとあのサンデーサイレンスとかいう不良ウマ娘とマブダチというくらいヤバイ人です。

 

 皆さまには以前からご説明はさせて頂いたと思うので割愛させて頂きます。はい、あの伝説のヤバイ人です。さっきから私ヤバイしか言ってませんね。

 

 私はその小柄ながら雰囲気のあるマックイーン先輩を見た瞬間、敬礼をしてこう告げる。

 

 

「すいません! マックイーン先輩! 今からニンジン焼きそばパン買って来ますっ! 調子のってすいませんっしたっ!」

「ちょっ!? ま、待ってくださいっ! なんでそうなりますの!? しなくて大丈夫ですからっ!」

「いえっ! マジ勘弁してくださいっ! すぐ買って来ますんでっ!」

 

 

 マックイーン先輩は私の急変した態度に思わずオロオロと動揺しはじめる。

 

 この人は怒らせたらアカン。やられてしまう、私はそう思った。

 

 おそらく、来年にライスシャワー先輩がマックイーン先輩とやり合う事になるんだろうけども、よくこの人とやりあえるなと素直に尊敬する。

 

 私は知っている。お嬢様は仮の姿、真の姿はきっとヒャッハーに違いないと、皆は騙せても私は騙されんぞ!

 

 忘れていた。そう、チームスピカも癖ウマ娘が二人もいるではないか、こんなところに居たら私は木刀を持たされて乱闘要員にされる!

 

 今のうちに媚びを売っておかねば!

 

 すぐさま、小銭を片手に食堂へ駆け出そうと足に力を入れる私。

 

 だが、ここで、そんな私を見たゴルシちゃんが見事な手刀が首元にクリーンヒット。

 

 

「ふんっ! 落ち着け」

「ぐへっ」

 

 

 取り乱した私がニンジン焼きそばパンを買いに行こうと駆ける前に阻止されてしまった、解せぬ。

 

 こうして、私は臨時とはいえ、併走パートナーを務めるチームスピカの皆に何事もなく、自己紹介をし終えることができた。

 

 これから先、不安でいっぱいだが、無事に併走パートナーを終えて、私は生きてアンタレスに帰れるのだろうか?

 

 しかしながら、結局アンタレスで地獄のトレーニングをするよりかは生存率が高いなと、その後、意識を取り戻した私は自己完結するのだった。

 








※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。